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父が召された後、17年一人暮らしをした母も、3年前の春に召された。しばらく・・
親戚の新婚夫婦が住んでくれたが、その2人も転勤で引越していった。そして・・この夏
実家を売却した。その家は母の生まれた年に建てられた築81年の長屋であった。
果たして売れるのだろうかと気がかりであったが、心をわずわらせる間もなくあっけに
買い手が付いた。契約当日、不動産で初めて顔を合わせた飼い主は何と、弟の幼い友達
であった。銀行で決済を済ませた後、最後の確認のために一緒に家に行き部屋を見て回っ
た。何もかも取りた払われた家はがらんと静かだった。両親はここで弟と私を育ててくれた
のだ、と胸がいっぱいになった、すっかり忘れていたあの頃がふいに鮮明に思い出された。
狭く急な階段は、糸電話をしたり、二人三脚で上がり下ろしたりする私たちの絶好な遊び
場だった。「静かに上がり下りしなさい」と何度、母にしかられただろうか。
「お金は人との交わりのために使いなさい」と言っていた父。道路に面した玄関から・・
いったいどれほどの人が、この家に入ってきたことだろう。
古くてつましい家を、誰れもが気軽に入ってこられる「家庭」にしたのは確かに父と母だった。
一つの役割を終えた家は、次にどんな役割を担ってくれるのだろうか。。
「女の気持ち>コラムより」
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