自衛隊の犯罪を斬る;マイクロ波聴覚効果及びその関連

https://patentcom.blog.fc2.com/ 弁理士 博士 小池誠;東大卒イリノイ大博士号;

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前回の記事の続きです。



ストックリン米国特許の概要
 
米国特許4858612号(以下、ストックリン米国特許という)は、新型補聴器に関し、マイクロ波聴覚効果を利用して、人の頭部に音声を送信する装置について特許されています。
 
ストックリンは発明者の名前であり、米国特許では発明者の氏名で特許を表記することはよくあります。
 
携帯電話、耳孔に挿入する補聴器、耳にかける補聴器などとは異なり、耳が不自由な人は一切、電子機器を使う必要がありません。
 
補聴器という名称ですが、対人パルスレーダーを応用した電子機器です。
 
ストックリン特許では、第二次世界大戦中にレーダー施設において、レーダーが発射したパルスが頭部に当たったときに音として聞こえる現象が観測されたエピソードを紹介しています。この音は、声として認識できるものではありませんでした。
 
そこで、ストックリンは、この現象を応用して、新型補聴器を開発しました。
 
マイクが音声を電気信号に変換して、この電気信号に基づいて、パルスレーダー用送信器からマイクロ波を頭部に照射して、人間の脳で音声を認識します。
 
ストックリン米国特許は、対人パルスレーダーに人間の耳の機能、しくみに対応する部品(音響フィルター)が組み込まれています。脳内で認識される音声の音質を向上します。
 
1983年12月に出願され、1989年8月に特許されています。
当時の米国特許法では、特許権は、特許が発生した時から17年間、有効と規定されていたので、2006年にはストックリン米国特許は消滅しています。
 
その後、米国特許法は改正され、特許出願の日から20年間で特許権の有効期間は終了します。
 
特許権の有効期間が終了後、誰でも自由にストックリン米国特許の装置を製造、販売されています。
 
ところで、2006年に米国陸軍は、「一部の非殺傷性兵器の生体効果」という報告書を情報公開し、非殺傷性兵器の一種として、マイクロ波を頭部に発射して、音声を脳内に発生させる兵器を公表しました。
 
日本語抄訳は、下記サイトで閲覧できます。
 
 
 
まず、耳のしくみから解説します。
 
 
耳で音が聞こえるしくみ
 
人間の耳は、空気の振動を聴覚神経を伝わる電気信号に変換します。
 
通常、音は、
耳の孔が形成されいる外耳、
鼓膜のある中耳、及び、
蝸牛のある内耳を経由して聞こえます。



この図は、下記リンクより引用しました。


通常、20ヘルツの低音から1万5千ヘルツないし2万ヘルツの高音まで、
音が聞こえます。何ヘルツの高音まで聞こえるかは個人差があります。
 
ところが、外耳、中耳などは、20ヘルツの音から2万ヘルツの音まで、
同様な音響特性を示しているわけではありません。
 
ある周波数の音は、空気の振動エネルギーが小さくてもよく聞こえ、
別の周波数の音は、空気の振動エネルギーが大きくてもあまり聞こえません。
 
人間の耳では、3000ヘルツ前後の音がよく聞こえるようになっています。
女性の悲鳴、駅の改札でスイカを使ったときの「ピッ」という電子音が
3000ヘルツ前後です。
 
一方、お年寄りは、15000ヘルツから2万ヘルツの音はよく聞こえません。
 
このように人間の耳の感度は、音の周波数に依存するものであり、
耳の感度は、外耳、中耳の構造に起因するものです。
 
これに対して、マイクロ波聴覚効果は、外耳、中耳が関与せず、内耳が関与して音を認識します。
 
そこで、ストックリン米国特許では、外耳、中耳の音の特性に対応させて、フィルターバンクなどの電子部品を追加することにより、レーダー用送信器が発射するマイクロ波の強度を調整します。
 
ストックリン米国特許
 
 
ストックリン米国特許では、
音声をマイクに入力して電気信号に変換するとき
多数の音響フィルターを使って、電気信号を処理しています。
フィルターバンク及びその後の電気信号の処理は、人間の耳の構造及び生理機構を反映しており、人間の聴覚中枢がマイクロ波聴覚効果により音声を認識するときに、マイクに入力した音声が歪まないで再現されるための工夫です。
 
音響フィルターとは、ある範囲の周波数の音は通すが、それ以外の周波数の音は減衰させる装置です。
 
表1では、20ヘルツから1万5千ヘルツの領域に渡って、24の周波数範囲に分割して、24個の音響フィルター12が設置されています。24個から最初の3個の音響フィルタについて例示します。
 
1番目の音響フィルターは、50ヘルツの音を中心に100ヘルツ以下の帯域の音を通します
 
2番目の音響フィルタは、150ヘルツの音を中心に100ヘルツの帯域の音を通します
 
3番目の音響フィルタは、250ヘルツの音を中心に100ヘルツの帯域の音を通します。
 
個々の音響フィルターは、それぞれ音階調節器に接続されています。
 
音階調節器は、音響フィルターで分割された周波数範囲に応じて、送信器が発射するマイクロ波の強度を調節します。
 
1番目の音階調節器は、50ヘルツの音を中心に、マイクロ波の強度をどの程度、大きくするか調節します。
2番目の音階調節器は、150ヘルツの音を中心に、マイクロ波の強度をどの程度、大きくするか調節します。
 
n個の音階調節器のひとつは、n個のマイクロ波発振器の一つに接続し、
更にn個のアンプの一つに接続します。

各々の周波数帯について、別個のアンプが接続しているので、
各々の周波数帯について、アンプの出力を調節することができる。

これにより、内耳の蝸牛の音響特性に合致するように、
各々の周波数帯の出力が調整できる。 

n個のアンプは一つのアンテナに接続している。
アンテナからマイクロ波が人の頭部に発射される。
この結果、人の頭部で音声が聞こえる。

図6が、音響特性を調整するときの電波暗室を示している。



ストックリン特許については、図面などが下記の記事で参照できる。

「マイクロ波で脳内に音を発生させる装置のしくみ:ストックリン特許」



フィルターバンクという部品が通信装置のどの部分に使われているかは、
下記の記事で解説されています。


「脳に直接、音声を送信する通信装置の米国空軍特許 part 1」

「脳に直接、音声を送信する通信装置の米国空軍特許 part 2」

「脳に直接、音声を送信する通信装置の米国空軍特許 part 3」

「脳に直接、音声を送信する通信装置の米国空軍特許 part 4

 



参考ウェブサイト

「レーダーのしくみ part 1」


「対人レーダーにマイクを接続して音声送信 part 2」
 
「対人レーダーの応用;マイクロ波で脳内に音声を発生させるしくみ:
ストックリン特許 part 3」

「マイクロ波で脳内に音を発生させる装置のしくみ
:ストックリン特許 part 4」

「マイクロ波で脳内に音を発生させる装置のしくみ:
ストックリン特許 part 5」


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