智に働き、黄昏る

おもしろき〜こともなき仕事はやはりおもしろくなく〜♪

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『キアズマ』近藤史恵著、新潮文庫

文庫再読
「サクリファイス」と同じ自転車ロードレース世界を描いていますが、今回は学生主役です
それぞれに抱えたもの・過去を持つロード初心者の岸田正樹とヤンキー(?)レーサー櫻井元紀

一応、サクリファイス・シリーズではあるけど、ミステリー性は無く、青春スポーツ物になっていますね

サクサク読めて、苛酷なスポーツの裏側や人間ドラマを感じることも出来て、なかなかの良作です

まあ、大学から始めて数ヶ月で強豪選手になるって無理がありすぎな気もしますが…
(可能性で言えば、スケートスプリンターから自転車競技者かなぁ…柔道からはちょっと難しいだろうに)

キャラの行く末も描いてほしいのだけど、正樹か櫻井がOggiに入るのかなぁ
(Oggiはサクリファイスシリーズのプロチームね)


このシリーズ、競技者や人生で夢に賭ける者たちの痛みを感じざるを得ないテイストなのですが…
だからこそ、ミステリーであろうがなかろうが読者を惹き付けるのだと思います


新作出してくれないかなぁ
『粗にして野だが卑ではない 〜 石田礼助の生涯』城山三郎著、文春文庫

ずっと読もうと思っていた本です
事の良し悪しは別に、現代の財界人の発言に道理や筋を感じないもので…

石田礼助
明治〜昭和を生きたカッコいい男の不器用かつ天衣無縫の仕事ぶりを描いています

もう、物語どうこうではありません

国鉄時代の直近の部下に
「ずいぶん多勢の人に仕えたが、あんなに気持ちのいい人はいない。
毎朝、石田さんに会うのがたのしみだった。生涯、あの人ほどの人物
にめぐり会うことはないだろう」P162から

周囲から、このように評される人物に私はなれないし、会えてもいない…
(私も言いたい放題系であるが、徹底的に人望がないので 器が小さいんだわ)

くせ者も多かったであろう当時の代議士や記者も礼助の卑でない
実直な発言に魅せられていったようです
時代が人物を産むのかもしれませんが、それにしてもねぇ…

まあ、良い心構えを教わった読書となりました


星は★★★(3.0点)
※満点は5点です

伝記というか人物記ですので評点するのは若干違う気もしますが…
卑屈、卑怯なやり様は私の生きざまから駆逐しようとの決意も込めて

きっちり思う点をつけさせてもらいました
『望郷』湊かなえ著、文春文庫

湊さんも3作品目
やっぱり初見の「告白」のイメージが強すぎて…
(惹き込みは強いけど毒が…)
この人って結構な闇を抱えてない?って感じて気にはしつつも少々敬遠してました


はてさて、そんな中での感想は…

こういう、少しほっこりさせる作品も描けるのね
人が生きていく中で刺さるトゲを解きほぐす物語でした
(湊さんの毒も感じるが何か微妙に昇華されてる)

連続性のない短編集だけど、白綱島という或る種の閉塞空間と誰もが持つ故郷への懐古感を使い上手くまとめられています

著者自身の生い立ちも反映されていると思いますが、島っていうのは良いよね

また、決して昔に帰れる訳ではないのだけど、大切なことは時間を越えて繋がっていると感じられます

ただ、やっぱり湊さんが描くとトゲの部分にドキリとさせられますわ
(結論、女性は怖い!)


星は★★★(3.0点)
※満点は5点です

少々怖い作家さんですが、また何か読んでみたいと思います

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