ジョイント・モデル

1970年代を中心に男児向けキャラクター玩具を取り上げます。 INDEXからご覧下さい。

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シーホースの周辺


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タツノコプロと創業者吉田竜夫について書かれた書籍「世界の子供たちに夢を」(メディアックス2013)によれば、1970年代ころの同社には映像制作を中核としてディズニーのような総合企業を目指す意向があったそうです。


同書のインタビューで大河原邦夫氏は、タツノコプロが今井科学と組んでタツノコランドというプラモデル会社を興したこと、1976年ころに同社の依頼でプラモデル用にマッハ号の敵マシーンを新たにデザインしたことを語っておられます。


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これがインタビューで語られたプラモデルの現物と思われるもの。
1977年7月に新たなマッハ号「マッハ号6」と敵マシーンの計4種が発売されています。


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インタビューでは敵マシーンにしか言及されていませんが、マッハ号6の車体デザインは翌年大河原氏が担当するマシーン飛竜によく似ています。
マッハ号6も大河原デザインである可能性が考えられそうです。


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ただしこれらのプラモは、タツノコランドではなくシーホースという会社から発売されています。
シーホースとはタツノオトシゴの英名なので、これもタツノコプロの関連会社のようです。
大河原氏が同社とタツノコランドを混同しているのは、どちらもタツノコ系のプラモ会社として同じ位置づけにあるからかもしれません。
タツノコランドとシーホース、両社はどのような関係なのでしょうか。




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タツノコランドの創業は1973年のようです。
当時放送中のガッチャマンでプラモデルやプラトイの商品化を担っていた万創が同年6月に倒産しており、そのプラモデルを引き継ぐかたちで7月からタツノコランドの商品が発売されています。
おそらくは万創の倒産という事態を受けてタツノコプロが自社でのプラモデル販売を模索し、以前からマッハ号の模型化で付き合いのあった今井科学に協力を求めたのではないでしょうか。


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タツノコランドはガッチャマン以外にもかいけつタマゴン、けろっこデメタン、キャシャーンなどの自社作品をプラモ化していき、一方で今井科学も同時期にマッハ号やガッチャマンの新作プラモを発売して、両社が並走しています。
ところがタツノコランドは、1974年末のポリマードリルを最後になぜか活動を停止したようです。


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画像は1975年の玩具商報9月号より、タツノコプロの社告です。
今井のマッハ号プラモが契約期間満了後も不正に販売が続けられていること、対策として版権シールを変更すること、新たなマッハ号プラモが近日永大から発売されることが告知されています。


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これは当初使用されていた丸いタイプの証紙。

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こちらが改訂された証紙。

こうした証紙は通常、商品の契約数に応じて版権元がメーカーに配布するようです。
今井のマッハ号が契約数を満了してもなお販売され続けたらしいこと、版権シールを変更するという対策がとられた事実からは、今井側が勝手に版権シールを偽造していたという疑いが浮かびます。
ただし現時点で上掲の社告以外の資料や情報は目にしていないので、断定はできません。
あくまで「疑惑」止まりです。

なお永大のマッハ号プラモは同年12月に発売されたようです。

タツノコランドの休止にはこうしたトラブルが関係したのかもしれません。
その後、入れ替わるようにシーホースが1977年からタツノコプラモの発売を開始しています。
背景にトラブルがあったとすれば、シーホースは今井とは別個に設立された会社だったのではないかと想像されます。




今井のマッハ号プラモは本放送当時から1970年代前半ころまで、安定した人気商品でした。
1972年には小サイズリモコン版、73年には特大サイズやミニプラモ4点が新商品として投入されています。
しかしこれらは、70年代後半以降はまったく再生産されていません。
1990年台になってようやくリモコン版のみ再版されましたが、こうした再版事情にもかつてのトラブルが影響しているのでしょうか。
スタンダードや特大サイズが再版の機会に恵まれなかったのは、残念です。

1969年に一度倒産を経験した今井科学は、復活した70年代初めころ、一部のプラモを無版権のまま再版しようと計画したと思われる形跡があります。
怪奇大作戦のトータス、キャプテンスカーレットの追跡戦闘車などの再版プラモの箱絵が意図的にマーキングを変えられたりしているのは、そうした疑念を抱かせます。
もちろんそれらは、結果的にはきちんと版権取得のうえで発売されてはいるのですが。

その後今井はサンダーバードの再版やマクロスプラモなどで実績を積み重ね、1990年代にようやくタツノコとの関係が修復されてマッハ号の再版が可能になったのかもしれません。
そのころにはスタンダードや特大のマッハ号の金型は失われていたのでしょうか…?




以下は蛇足です。

証紙つながりで、ウルトラの証紙で気になっていることがあります。


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ウルトラマンタロウやレオの時期に、ブルマァクの台紙パックソフト人形でひとつの本体にたくさんのウルトラ戦士のマスクがセットになっているものがあります。
台紙にはブルマァクの社標やSTマークもあるのですが、人形自体の作風や仕様にどうも違和感を感じていました。
とはいえ入手困難なので雑誌などの掲載写真でしか見ることはなかったのですが、数年前に某所で現物のひとつを見る機会がありました。

その商品に貼られたタロウの証紙は、紙の地色が真っ白でした。
正規の証紙は上画像の通り、地の部分に細かな文字が印刷されています。
おそらくそのソフト人形は、ブルマァクを騙った無版権品なのだと思われます。

1972年前後にブルマァクを中心とした正規メーカーが無版権ソフト人形の摘発を行ったため、追い詰められたニセモノ業者が証紙やSTマークまで偽造するという奇策に走ったのではないかと想像しています。
一部の雑誌・書籍ではこれらをブルマァク正規品としている場合があるので注意が必要です。


閉じる コメント(6)

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タツノコランドからシーホースへの流れ、なるほどと言った感じですね。シーホースになると、造形などの商品力がガクンと落ちているので、そこの所も納得です。

2019/8/7(水) 午前 10:46 [ ueda dai ]

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シーホースのプラモはほとんど手元に無くて、実際のところがよくわかっていません。
素組み完成品をもっと見てみたいところです〜

2019/8/7(水) 午後 8:55 [ pazulumo ]

タツノコランドとシーホース マッハ号プラモの ご考察 大変、勉強になりました。
版権シールの偽造、あったんでしょうね。
正規版権シールの 資料が円谷にあれば立証出来ますね。

2019/8/13(火) 午後 9:32 [ スチュピッド6 ]

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マッハ号の場合は単純に証紙の無い状態で出荷していた可能性も考えられますので
どちらともいえないですね〜

2019/8/14(水) 午前 11:30 [ pazulumo ]

1980年代半ば頃にフジサキというメーカーがタツノコプロ作品のプラモデルを出していましたが(覚えている限りでマッハ号、ゴッドフェニックス、テッカマンがあり、発売予定としてフレンダー各形態もありました)、発売予定のものも含めてこれらは元々タツノコランド〜シーホース製のものの再販だったのかもしれないですね。

2019/8/15(木) 午後 0:32 [ 紙粘土 ]

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ゴッドフェニックスは元は万創でタツノコランド→シーホース→フジサキ、テッカマンは日東→マーク→フジサキでしょうか。
マッハ号は未確認ですが永大→アルカンシェル→フジサキだったような…?

タツノコランドとシーホース以外にも永大、日東、マークなどが入り乱れているのでタツノコプラモの全容把握はタイヘンです。

2019/8/15(木) 午後 1:31 [ pazulumo ]


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