おもしろいことを思いついたら、芸人としてそれを貫かないといけない。その美学を追求したから、あのラストになった。主人公の徳永の言葉にもあったけれども、神谷との深い交流があってこそ理解できる展開だったと思いました。よほど神谷を理解している者でない限りは奇行にしか見えないでしょうし、その裏にあるものを読み取ろうと思う人、それを感じられる人、さらにそうしようとするだけの心と時間にゆとりのある人はなかなかいない気がします。神谷は徳永や相方や恋人に理解されていただけ恵まれているのかもしれないと思いました。
 一番印象に残ったところは、徳永のモノローグで真樹の人生を全肯定するというくだりです。これは真樹に対してだけではなく、神谷の人生に対してもそうであるように思ったし、苦しんでいる芸人、解散してしまった芸人、それを支えた人たち全てに対してのメッセージなのだろうなと思いました。

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 最初に考えたことは、この本はさまざまな立場や考え方の生徒を軸に描かれていくので、読者である自分は、自分にとって共感しやすい主人公の目線で好きに楽しめばいいのかなということでした。
 ところが、読んでいくうちに、この本は、オムニバズ形式でありながらも、かなり明確な一つの正義のもとに書かれているという気がしてきました。いろいろな生徒がいて、こんなこともある、あんなこともあるということを示しておき、その上で、それでも譲ってはいけない部分があるということを書いているように思いました。先生の言う「間に合った」という言葉には、子供が自分を嫌いになってしまいそうなときに誰かが寄り添ってやるべきだという正義があって、本のタイトルにもなっている「青い鳥」の章では、いじめとは人を踏みにじって苦しめることであるという、かなり明快な一つの見解が示されています。
 いじめなどに代表される人間関係の問題は、一般的に言えば、正解はないのだと思います。しかし、この本で示している回答例は、私にとってもそうでしたが、多くの人にとって納得のいくものになっているのではないかと感じました。

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