作者の日常における小さな挑戦の中で、眼鏡を外してほとんど見えない世界を楽しむというのは、私もやったことがあります。これは共感しました。寒い中、マスクをつけながら歩いていると、息がすき間から漏れて眼鏡が妙に曇る日があり、うっとうしくなって眼鏡を外して歩いてみたところ、私の両眼の乱視によって街の電灯が花火か万華鏡のような円状の規則的な光に変わり、新鮮な驚きを覚えたことがあります。こういうことを、やはりほかの人もひそかにやっていたりするのだなと思いました。
 もう一つ、引っ越しをする話がよかったと思いました。某芸人さん似の不動産屋さんの最後の一言は、営業の一環でもあるとは思いますが、存在そのものを肯定された感じがしました。職業一つ言うのに作者がつらつらと悩んでいたところを読み、確かに言いづらいだろうな、難しいところだなと同じように思っていたので、勝手な想像ですが、この一言を言われたときの心が晴れるような気持ちがわかるような気がしました。

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 最初に考えたことは、この本はさまざまな立場や考え方の生徒を軸に描かれていくので、読者である自分は、自分にとって共感しやすい主人公の目線で好きに楽しめばいいのかなということでした。
 ところが、読んでいくうちに、この本は、オムニバズ形式でありながらも、かなり明確な一つの正義のもとに書かれているという気がしてきました。いろいろな生徒がいて、こんなこともある、あんなこともあるということを示しておき、その上で、それでも譲ってはいけない部分があるということを書いているように思いました。先生の言う「間に合った」という言葉には、子供が自分を嫌いになってしまいそうなときに誰かが寄り添ってやるべきだという正義があって、本のタイトルにもなっている「青い鳥」の章では、いじめとは人を踏みにじって苦しめることであるという、かなり明快な一つの見解が示されています。
 いじめなどに代表される人間関係の問題は、一般的に言えば、正解はないのだと思います。しかし、この本で示している回答例は、私にとってもそうでしたが、多くの人にとって納得のいくものになっているのではないかと感じました。

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