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本記事は、ミサイル防衛に関連するため、あるいはミサイル防衛が必要かどうかを考える上で重要な背景を含む資料と私が認定したので「ミサイル防衛アーカイブ」に保存します。皆様がミサイル防衛の意見をまとめる際、参考資料となれば、嬉しく思います。 JEALOUS GAYの戦争関連アーカイブ記事より http://homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay/tmd.html 疑問だらけ 戦域ミサイル防衛構想 防衛庁にも苦慮する声米国が日本に協力を求めている戦域ミサイル防衛(TMD)構想が議論を呼んでいる。現在、協力の可能性を探る日米事務レベル協議へ向けて、調整が進んでいるが、米国の“売り込み”の真意は? 巨額な開発費に見合う効果があるのか、集団的自衛権や宇宙の平和利用と矛盾しないのかなど、急浮上した同構想の問題点を検証した。(東京社会部・半田滋、政治部・大島宇一郎)
米の真意は兵器輸出 米国がこの構想で日本などの協力を求めるのは、地域紛争などに対応する米国の国防戦略の転換やミサイル防衛の拡散という冷戦終結後の新しい状況を考えた上でのことだが「米政府の狙いは新兵器の売り込み」(防衛庁幹部)という面もみのがせない。 SDI(戦略防衛構想)がつまずき、膨大な費用をかけて、そのために開発、蓄積してきた技術を“輸出”し、米国国防産業の救済を図ろうという米産業界の願いがこめられている。 純軍事的な意味でも、日本を含めた北東アジアには、核疑惑に満ちた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)という不安定要員が存在する。ちょうど、北朝鮮が日本の大部分が射程にはいる中距離弾道ミサイル「ノドン1号」の実験に成功したこともあって、TMDの日本“売り込み”がある種の現実味をもって急浮上した。 迎撃の能力は未知数 ところで「ミサイルをミサイルで撃ち落とすことが本当に可能だろうか」。米国が日本政府に参加を勧めているTMD構想について、迎撃効果を疑う声が防衛庁内にある。湾岸戦争で生まれた「パトリオット神話」が幻想であることを知っているからだ。 湾岸戦争で米国は、イラクが発射したスカッド改良型の中距離弾道ミサイル「アルフセイン」を地対空ミサイル「パトリオット」(PAC2)で迎撃した。米軍は当初、96%を撃破と発表したが、その後の調査で9%にすぎないことが判明した。 TMD構想に含まれる「PAC3」や戦域高々度防空システム「サード(THAAD)」にしても、空中でミサイル同士をぶつけ合う“神業的手法”を取ることに変わりない。命中率が上がらず、技術的につまずいた米国のSDI(戦略防衛構想)の焼き直しだけに、命中精度は「まったくの未知数」(航空自衛隊幹部)。確実なのは、1個高射群で約800億円するパトリオットと比べ、はるかに高額であることぐらいだろう。 集団的自衛権に抵触 この構想には制度面でも問題点がある。第1に憲法上許されない集団的自衛権に抵触しないかという点。 畠山蕃事務次官は先月末の講演で、米国が「TMDはミサイル防衛の世界的なネットワークに加盟するものではなく各国個別のミサイル防衛構想の総称」と説明したことを強調し、集団的自衛権にはあたらないとの見解を示した。 だが、同じころ来日した韓国の韓昇洲外相は韓国人特派員に対して、日米協議に参加したいとの考えを表明。これにより、韓国の関与の仕方によっては集団的自衛権に抵触する可能性が指摘されることになった。 4日の衆院予算委で質問にたった自民党の橋本竜太郎政調会長は「万一の危険へ対応を準備するのは当然だ」と構想の趣旨には理解する立場を示したが、「日米韓のTMDとなると問題を生ずる」と述べたのをはじめ、与党内にも「集団的自衛権は微妙な問題が残る」(公明党幹部)との見方が早くも出ている。 実際、防衛庁内にも「日米韓でTMDを構成すると確実に問題は出る」(宝珠山昇防衛庁官房長)と、抵触の可能性を認める発言も出ており、さらに慎重な検討が必要なようだ。 宇宙平和利用と矛盾 もう1つは宇宙平和利用の国会決議と矛盾しないかという問題。 この国会決議については「わが国における宇宙に打ち上げられる物体および打ち上げ用のロケット」を対象としていることから、防衛庁内は「衛星を他国と共有せず、米国の衛星からの情報提供は問題はない」との見方が強い。しかし決議は昭和44年の通常国会で議決されたもので、TMDのような衛星の利用法を想定していたものかどうかは疑問。TMDを契機に宇宙利用のありかたについて改めて議論を呼びそうだ。 米国は、8月、9月の2度にわたり国防省次官を日本に派遣したうえ、11月上旬にはアスピン国防長官の来日計画を進めており、TMDへの勧誘に熱を入れている。防衛庁内には「米国と付き合わないわけにもいかず難しい問題だ」(幹部)と対応に苦慮する声も出ている。 【戦略ミサイル防衛(TMD)構想】 中距離弾道ミサイルを軍事衛星で探知、その情報をコンピューターで即時処理し、パトリオットほか、イージス艦搭載の対空ミサイルや戦域高々度防空システム「サード(THAAD)」を複合的に活用して迎撃するシステム。米国で開発を進めている。 米国の盟友国やその国に配備されている米軍を守るため、ハイテク防衛網を張り巡らせようとするもので、米国は今後6年間に400億ドル(約4兆2000億円)を投じる計画。日米次官級安保定期協議(SSC)の下で協議することが決まっている。(中日新聞 1993/10/16) パトリオットは役立たず 米物理学者ら証言 湾岸戦争から1年 米で性能論戦開戦湾岸戦争で米軍のパトリオット・ミサイルは、イラク軍のスカッド・ミサイルを撃墜して、一躍、名をあげた。17日の湾岸戦争開戦1周年にタイミングを合わせたかのように、米国ではパトリオット・ミサイルの性能をめぐって「実はスカッド迎撃には全面的に失敗した」「いや十分に役目を果たした」と論争が起きている。
湾岸戦争では現地での生々しい戦闘の様子がテレビで世界に中継された。米軍のパトリオット・ミサイルがイラク軍のスカッド・ミサイルを撃墜する瞬間もテレビで映し出された。 イラク軍はスカッドをサウジアラビアとイスラエルへ向けて発射した。湾岸戦争ではイラク軍が効果的に用いた唯一の武器だった。 サダム・フセイン・イラク大統領は去る6日のイラク陸軍記念日にイラク国営テレビで演説を行い、「わが国のミサイルは、のろわれたイスラエルを攻撃し、いたるところでアラブ人を解放した」と述べ、湾岸戦争におけるスカッドの威力を自慢した。 パトリオットはこのスカッドの攻撃を食い止めたとされているが、それは見せかけの成功にすぎない、というのがパトリオット批判派の言い分だ。 論争の火付け役は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のセオドール・ポストル教授(国家安全保障政策論)。同教授は国防総省でアドバイザーを務めたこともある物理学者。 昨年4月、ポストル教授は米ハーバード大学のアルバート・カーネセール教授とともに、米議会公聴会で、パトリオットの性能を批判する証言を行ったが、最近、ハーバード大学科学・国際間題センターの学術誌「国際安全保障」に詳細な論文を寄せて、その中で「パトリオットが成功したという話は幻想にすぎない」と主張している。 米陸軍のパトリオットはイラク軍のソ連製スカッドと同様に戦術弾道ミサイル(TBM)に分類され、長さは5.18メートル、直径は0.41メートル、射程は160キロ。 パトリオツトの迎撃システムは、まず地上レーダーがスカッドを識別して管制ステーションに情報を送り、それに基づいてミサイルが発射される。地上レーダーはスカッドの飛行ルートを予測して、パトリオット先端部のレーダーに信号を送ってスカッドに向かわせる。 ポストル教授はこう言う。 「スカッドの設計はあまりにもお粗末のため、目標に接近した際、厚い大気の中でミサイル本体がバラバラになってしまい、迎撃が困難となる」 その結果、パトリオットが迎撃に成功した相手はスカッドの破片にすぎず、肝心のスカッドの弾頭部分は無傷のまま、目標へ突っ込んでいくケースが多かったという。 同教授は「パトリオットがスカッドの破片に命中したのを本体を撃墜と錯覚するのは、炎とさく裂音に惑わされるためで、ビデオを詳しく調べると、そうでないことが分かる」と述ペている。 さらに「パトリオットをスカッドヘ向けて発射した場合、地上における損害は、パトリオットを発射しなかった場合より大きくなったと思われる」と同教授は述ペ、「パトリオットはスカッド迎撃にはほとんど全面的に失敗」と決めつけている。 パトリオットは湾岸戦では150発がイラク軍のスカッドとその改良型ミサイルのアル・フセインヘ向けて発射された。 これに対してパトリオットの主要メーカー、レイセオン社(マサチューセッツ州レキシントン)は「パトリオットはサウジでは90%近くの成功率をあげ、イスラエルでは50%の成功率を記録した。イスラエルでの成功率が低かったのは、要員の訓練が十分ではなかったからだ」と反論した。 同社の広報担当副社長、ロバート・スケリー氏が発表した声明は「事実は単純明快である。パトリオットは十分に役目を果たした」と述ペ、「ポストル教授はかねてから迎撃ミサイルは役に立たないと主張しており、今回もそうした自説を展開しただけである」としている。 パトリオットは湾岸戦争をきっかけに、各国から注文が殺到しているといわれる。それだけにレイセオン社としては、パトリオットヘの批判を無視できない。国防総省は同社を応援する立場にあるが、まだポストル教授の主張に本格的な反論は試みていない。(中日新聞 1992/01/17) 「SDIにニセ実験 ソ連と米議会欺く」 NYタイムズ【ワシントン18日=ニューヨーク・タイムズ特約】レーガン政権時代の複数の政府当局者が明らかにしたところによると、いわゆるスターウォーズ計画――戦略防衛構想(SDI)の担当者が不正なやりかたでミサイル迎撃実験を操作したうえ、他のデータも改ざんして、当時の仮想敵国ソ連と米議会をだましていた。この不正な計画は当初、SDIの実験が成功しているようにソ連に思わせることが狙いだったが、米議会から多額の予算を獲得するための説得材料にも使われるようになったという。
これらの政府当局者によると、不正な実験計画は当時国防長官を務めていたワインバーガー氏も承認していたとされる。これに対して同氏は承認したかどうかについては確認を避け、「議会をだましたことはない。しかし、敵に偽情報を流すのは常道だ」などと述べた。 偽情報の具体例として関係者が挙げた実験は、1984年6月に行われた。カリフォルニアから発射された標的のミサイルを、太平洋上から打ち上げたミサイルで迎撃するものだった。しかし、最初の3回が失敗したことで、「議会で多額の予算が認められなくなるのを恐れた」(実験を担当した科学者)ため、4回目の実験を偽ったという。 この科学者によると、標的のミサイルに特定の周波数を発信する無線標識を取り付け、受信機をつけた迎撃ミサイルが用意に捕そくできるように仕組んだ。結果は「見事に命中し、議会も疑問を持たなかった」と話している。(朝日新聞 1993/08/19) |
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