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本書は日本を代表する民俗学者の宮本 常一が日本各地(辺境の地)に住む人々対して、聞き取り調査をおこなっている。聞き取りを行なうことで現在の文化を築き上げ、継承している人々がどのような生活・社会環境の中で生活しているのか活き活きと描いているものである。
知っているようで知らない「昔の日本人の姿」。昔の記録は数多くあれども、昔の文化の痕跡はまだ残っていようとも、それらはどのような人々によって生産されているのか?そして、そのエネルギーはどこから生まれてくるのか?それらはごく普通の生活の営みの中で繰り返し続けられてきたものであり、当人らにとっては「当たり前」のものであるが、なかなかそれを見ることはできない。 彼らは日本の文化を支えてきた重要な存在でありながらも焦点が当てられてこなかった。そんな彼らに対し、宮本は辺境の地で出会う古老の話を克明に記録し、そこから立ち上がってくるなかなか見ることのできない人々の姿を描き出そうとしたのではないか? 「村でとりきめをおこなう場合には、みんなの納得のいくまで何日もはなしあう」「みんなが納得のいく結論を出すことを重視する」村落の決定システム「合議制」について書かれている「村の寄り合い」から、盲目のばくろうの語りの中から男女の関係について考えさせられる「土佐源氏」。「女の世間」「世間師」とどれも面白い。 その中で、個人的に気になったものとしては同書に収録されている「子供をさがす」という短い文章。 母親に叱られた子供が、家の者を少し困らせてやろうと外へ出て行きってしまう。夕飯時になっても帰らない子供を心配して、家族・村の人々が子供を捜しに出ていく時のお話・・・ 以下引用文は子供が見つかった後の様子を記したもの・・・ 「 ・・・Aは山畑の小屋へ、Bは池や川のほとりを、Cは子どもの友達の家を、Dは隣部落へという風に、子どもの行きはしないかと思われるところへ、それぞれ探しにいってくれている。これは指揮者があって、手分けしてそうしてもらってのでもなければ申しあわせてそうなったものでもない。それぞれ放送をきいて、かってにさがしにいってくれたのである。警防団員以外の人々はそれぞその心当たりをさがしてくれたのであるが、あとで気がついてみると実に計画的に捜査がなされている。
ということは村の人たちが、子どもの家の事情やその暮らし方をすっかり知りつくしているということであろう。もう村落共同体的なものはすっかりこわれ去ったと思っていた。それほど近代化し、選挙のときは親子夫婦の間でも票のわれるようなところであるが、そういうところにも目に見えぬ村の意思のようなものが動いていて、誰に命令せられると言うことでなしに、ひとりひとりの行動におのずから統一ができているようである。 ところがそうして村人が真剣にさがしまわっている最中、道にたむろして、子のいなくなったことを中心にうわさ話に熱中している人たちがいた。子どもの家の批評をしたり、海へでもはまって、もう死んでしまっただろうなどと言っている。村人ではあるが、近頃よそから来てこの土地に住みついた人々である。日ごろの交際は、古くからの村人と何のこだわりもなしにおこなわれており、通婚もなされている。しかし、こういうときには決して捜査に参加しようともしなければ、まったくの他人ごとで、しようのないことをしでかしたものだとうわさだけしている。ある意味で村の意思以外の人々であった。いざというときには村人にとっては役に立たない人であるともいえる。 ・・・略・・・ 」 昨今、奈良の少女殺人事件・町田の女子高生殺人事件・そして広島の女児殺害事件と痛ましい事件があったからだろうか、心に引っかかった。どう思われますか? もちろん、これら事件および「子供をさがす」の内容をすべて同一視してはならないし、現代の生活と昔の生活を比較して、どちらがいいと言うつもりもない。 しかしながら、ここで宮本先生が調査し、浮かび上がらせた「忘れられた」姿は今読んでも大変興味深いし、同時にそこに含まれているとてつもなく重いものを感じさせてくれるのではないか? 社会問題が生じた時に何らかの対策として、防止策、社会整備など様々なかたちでなされ、ある方向へ方向付けられていく。それらは本当に「正しい」のか?的外れのことを、「正しい」ようなふりして行なっていないのか? 蛇足ですが、そんなことも考えたりしました。 チャンチャン♪
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読書記録
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文章をまとめるのが下手なので、問題設定が甘いので、きちんと論理だって説明することができないので読んでいます・・・ ある先生に「文章の書き方の本はいくつかあるけれど、この本はなかなかよい!君も読んでみたまえ」 と薦められて、書店の棚を探していたのですが見つからず、先日手にすることができました また、近いうちに感想を掲載したいと思います。 決して「論文」という堅苦しいものに限らず、「うまい文章」「納得させる文章」を書くための訓練にもなるのではないでしょうか?
この能力って結構重要ですよね!! |
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図書館で本を探していたら「ふっ」と目にとまる・・・ |

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諸国の(特に田舎の)伝承・伝説に準じた「京極堂サイドストーリーズ」として展開されている本作品。 |
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日常に潜む恐怖を描く10の短篇から成る「京極堂サイドストーリーズ」として刊行されている本作品。 |






