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内閣総理大臣
安倍晋三 様
「国民投票法案=改憲手続き法案」の強行採決を憂慮し、抗議する声明
5月14日、憲法「改正」手続きを定める国民投票法案が、良識の府である参議院において、
実質的な審議もされないままに、憲法をかえようとする政府と与党(自民党・公明党)の数の
力によって採決され、成立したことを憂慮し、ここに強く抗議します。
私たち日本キリスト教協議会(NCC)は、武力や暴力によらない平和な国際社会の実現を
願い、その崇高な理念を掲げる日本国憲法を変えてはならないことを主張してきました。また
私たちは、思いを同じくする諸団体・個人と共に、憲法「改正」を目論む「国民投票法案=改
憲手続き法案」の廃案を求める声を政府に対して挙げ続けてきました。「国民投票法案は、憲法
第96条『憲法改正の手続き』に基づく法整備だ」と説明されています。しかし実際は、この
法案の成立を急ぐ政府・与党の近年の動きを見ると、憲法9条をかえて、日本を「戦争ができ
る国」にすることがその狙いであり、それはまた、自民党がすでに公表している「新憲法草案」
を見ても明らかです。
憲法改正の国民投票は、主権者が国のあり方を最終的に決定するもので、高度な民主的手続
きが求められるものです。また、日本国憲法は、国民主権・基本的人権の尊重・戦争を放棄し
た平和主義という普遍の原理に基づく国の基本法であるため、「改正」の手続きについては、極
めて慎重に行われることが求められます。しかし今回の「国民投票法案」は、多方面から多く
の不備が指摘されており、議員提案の法案であるにもかかわらず、十分に審議されず、18項
目にも及ぶ付帯決議が付されて成立しました。私たちは、憲法という法律の根幹を変えようと
する手続き法案が、拙速に、しかも数の論理で成立したことから、「戦争ができる国」としての
日本が、米国の「世界的国防態勢の見直し」と一体化することを急いで進める意図を、読み取
ることができます。憲法9条を棄てる憲法「改正」は、日本を戦争の脅威に再びさらすことに
繋がるばかりでなく、日本が再び軍事侵略をしないことに信頼を置いているアジア・太平洋地
域の人たちの不信を招きます。また、戦後もなお米軍基地を押し付けられている沖縄の人たち
の苦しみをさらに深くすることを意味しています。私たちは、アジア・沖縄の人々と共に「国
民投票法案」の可決によって、「改憲」の動きが政治日程にのり、加速化されることを深く憂慮
します。
私たちは、十字架の主イエス・キリストに従って生きる者として、非暴力によって平和を実
現することを規定した平和憲法を支持します。私たちは、平和憲法をかえて、武力や暴力によ
る紛争解決に道を開こうとする国民投票法案の成立を憂慮し、数の力によって拙速に法案成立
を強行した政府・与党に対して強く抗議します。
また私たちは、非暴力よる平和の実現を祈り、願う人たちと共に、今後も平和憲法がかえられ
ることなく、その崇高な理念が実現していくように努力し続けることを表明します。
2007年5月15日
日本キリスト教協議会(NCC)
副議長・平和憲法推進プロジェクト座長 小河義伸
総幹事 山本俊正
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