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大阪市北区中崎にある商店街。
シャッターが降りたままの店が半分を占めて、
あとは居酒屋、小さなカフェ、美容院などが
細々と営業している。
その中にこれまた小さな古本屋があって、
僕は普段からその店をよく利用する。
品揃えはほんの少しの店内、
奥にはご老人がひとり、ぽつねんと。
その店主が以前、
『日本語を本当に使いこなせたのは、
三島由紀夫と泉鏡花でしょうな』
と言っていた。
そういうこともあって、
かねてから読もうと思っていた泉鏡花を購入した。
実際に読んでみると、
なるほど、語彙が潤沢、そして流麗。
頭の中で様々なイメージがどんどん膨らむような。
加えて文章のリズムがとても気持ちいい。
まるでダンスのステップを踏むような。
内容もまた僕の好みであった。
夢と現のあわいをふらふらするような。
ふと、背筋がぞくっとする。
あるいは民話をベースにした作品もある。
そして最後に収録されている、
『湯島の境内』は、
シンプルで、普遍的な悲恋物語だった。
読後はどこか物悲しく。
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