|
『 しあわせな一日は 』 立原道造
しあわせな一日は
幾つあったろう
日の終わり
疲れた橋に身をもたれ
かぞえていれば
靄(もや)のなかに
ともる燈(あかり)は
煌(きら)めいて
人の数の
千倍のしあわせが
一人のためにあるのだと
やさしい調べで
繰り返していた
立原道造の詩集より
|
詩と思い出(3)
[ リスト | 詳細 ]
|
『 風のなかに巣をくふ小鳥 』 大手拓次
あなたをはじめてみたときに
わたしはそよ風に吹かれたようになりました
ふたたび みたび あなたをみたときに
わたしは花のつぶてをなげられたように
たのしさにほほえまずにはいられませんでした
あなたにあい あなたにわかれ
おなじ日のいくにちもつづくとき
わたしはかなしみにしづむようになりました
まことにはかなきものは
ゆくへさだめぬものおもい
風のなかに巣をくふ小鳥
はてしなく鳴きつづけ 鳴きつづけ
いづこともなく ながれゆくこいごころ
大手拓次の詩集より
|
|
『 闇(やみ) 』 小川未明
おかあ、足が痛い
我慢をしろよ
おかあ、もう歩けないよ
もうすこし 我慢をしろよ
おかあ、どこへいくのだい?
「・・・・・・・・」
空は真っ暗である
怖ろしい波のとどろきが聞こえる
小川未明の詩集より
|
|
『 しあわせな一日は 』 立原道造
しあわせな一日は
幾つあったろう
日の終わり
疲れた橋に身をもたれ
かぞえていれば
靄のなかにともるあかりは
きらめいて
人の数の千倍のしあわせが
一人のためにあるのだと
やさしい調べで
繰り返していた
立原道造の詩集より
|
|
『 郵便局の椿 』 金子みすゞ
あかい椿が咲いていた
郵便局がなつかしい
いつもすがって雲を見た
黒い御門がなつかしい
ちいさな白い前かけに
赤い椿をひろっては
郵便さんに笑われた
いつかのあの日がなつかしい
あかい椿は伐られたし
黒い御門もこわされて
ペンキの匂うあたらしい
郵便局がたちました
金子みすゞの詩集より
|




