自然のなかをゆったり散歩と詩と本のはなし

そしてまた季節は移ろい さまざまな想い出だけが通りすぎて行く ・・・

詩と思い出(7)

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 『 祭りのあと 』   白川慎二

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     ピーシャラ  ピーシャラ
     今夜の主役は このオイラさ

     ピーシャラ ピーシャラ
     祭のあとには あの娘と待ち合わせ
     今夜こそ オイラの最高の晴れ舞台さ

     ピーシャラ ピーシャラ
     それにしても ゆかた姿の女の子は
     だれもが色っぽくて艶めかしい

     ピーシャラ ピーシャラ
     きっとあの娘も 白い襟首を艶やかにひからせて
     オイラの迎えを ウキウキしながら待ってるはずさ

     ピーシャラ ピーシャラ
     オイラも早く祭りをきりあげて
     あの娘とともに 恍惚の海で
     夜明けまで 踊りあかさなくちゃ・・・・

                               白川慎二の詩集より

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 『 令和時代の幕開け 』    宝永京子

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    「令和時代の幕開けね・・・」
    「ウ〜ン ちょっと不思議な感じもするね」
    「あなたは昨日とちっともかわっていないものね・・・」
    「ウ〜ン でも なんとなく身が引き締まる感じかな・・・」
    「何言ってるの・・・いままでよりは 少しは大人になってよ・・・」
    「ウ〜ン 大人にか・・・なんとなくそれも嫌だな・・・?」
    「やっぱり無理か・・・困った人ね・・・まぁ期待してないけどね・・・」
    「ウ〜ン それもちょっと・・・・」

                              宝永京子の作品より

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 『 故郷からの旅発ち 』   福井十四子

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      「本当に行ってしまうの」
      「・・・・」
      「まだ おこっているの・・・」
      「そんなことないわ・・・」
      「じゃあ どうしてとつぜん東京へゆくの・・・」
      「それは・・・まえからおもっていたのよ・・・」
      「・・・・」
      「あなたに言えば 反対されることはわかっていたから・・・」
      「・・・・」
      「でも いちどきりの人生っていうじゃない・・・」
      「・・・・」
      「じぶんでも うまくいくなんておもっていないわ・・・」
      「・・・・」
      「でも もう決心したのよ・・・」
      「・・・・」
      「いちど 親からも ふるさとからも そしてあなたからも
       ひとりだちして 歩んでみようとおもったのよ・・・」
      「・・・・」
      「もう 逢えないかもしれないけれど・・・・お元気でね・・・」
      「・・・・わかった でも もし悩むことができて 自分で解決
       できそうにないときは きっと連絡しろよ!・・・・いつまでも
       ともだちなんだから・・・・」
      「うん ありがとう・・・・・・・・・じゃぁ サヨウナラ・・・・」
      「・・・・・・・・・・・・」

                            福井十四子の詩集より

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 『 なごり雪 』   金津裕子

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      もうすぐまた三月になりますね
      あの日 春先のなごり雪が舞い降りるなか
      わたしは あなたからの連絡をずうっと待っていたのに
      あなたは とうとうみえられなかった

      わたしは家族に置手紙をして
      だれにも知らせずに家をでるつもりだったのに・・・・

      あとになって その前日に
      わたしの両親があなたのところに行って
      わたしを連れて行かないようにと懇願したことを知ったわ・・・・

      それであなたは わたしに何も連絡しないまま
      この街をでていってしまったのですね・・・・

      それはあなたのやさしさかもしれませんけど
      でも そのことにわたしがながいあいだ
      どれほど苦しんだことでしょうか・・・・

      それから幾年か重ねるうちに
      どうにか あなたのことをわすれて
      あらたなひととのあゆみをはじめたのですが

      でも 不思議なもので
      いまでも 春先のなごり雪が空から舞い降りてくると
      あの日のことが 鮮明におもいだされるのです・・・・

                             金津裕子の詩集より

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 『遠い日の思い出』  越前裕子

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      あれはたしか十年前の大雪のとき
      あなたはわたしの編んだ長いみどり色のマフラーを
      二重に首に巻いたまま 
      すこし淋しげに ずうっと黙ったまま
      それから二時間遅れの最終電車に飛び乗って
      わたしの街から去っていったのよ

      けれど もしあのとき
      どんなにわたしの親が反対してても
      あなたがひとこと
      「一緒に行こう・・・」と言ってくださったなら
      わたしはきっと一緒の電車に乗ってついていったわ・・・

      それがよかったのか
      そうでなかったのか
      そんなことは誰にもわからないことだけど

      でも おかしなもので
      いまでも雪の降る日の夜半になると
      粉雪をまき散らしながら突っ走ってゆく電車の陰影が
      ぼんやりと遠い日のシルエットと重なって      
      あの日のあなたの後ろ姿が浮かんでくるのです。・・・

                             越前裕子の詩集より

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