自然のなかをゆったり散歩と詩と本のはなし

そしてまた季節は移ろい さまざまな想い出だけが通りすぎて行く ・・・

詩と思い出(6)

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 『 サクラの樹の下で 』  長良信子


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      あの日のこと まだ覚えていますか
      二人で城跡の原っぱに仰向けに寝転がって
      かなり長い間 お互いとも黙ったまま
      わたしは きっと 先に話しはじめたら 
      すべてが終わってしまうように 思っていたのだわ・・・

      あなたも わたしの手を握ったまま ずうっと黙っていた
      きっとあなたも わたしとおなじように
      話しはじめたら ・・・・ と、おもってらしたのでしょう ・・・・

      そのあと あなたは話しはじめることなく
      いつものように わたしを抱きよせて
      やさしく くちづけしてくださったわ ・・・・

      でも わたしには わかっていたの
      それが あなたの精いっぱいの
      わたしへの おもいやり ・・・・

      それから かなり長い時間が経って
      あなたは わたしの顔をみつめながら
      両手で わたしの頬を やしさく
      なんどもなんども 撫でてくださった

      あのとき わたしは
      泣いてなんかいなかったわ
      それなのに あなたは
      わたしの頬を やさしく撫でてくださった

      それでよかったのよ
      それでわたしは なんだかすっきりして
      あなたをみつめながら 
      微笑みのなかで
      あなたと おわかれできたのだわ ・・・・

      もう あの日から
      なんども なんども
      サクラの花が咲いては散って
      そしてことしも 咲いては散っていったわ ・・・・

      でも 不思議なもので
      まいとしまいとし サクラの樹の下から
      サクラの樹をみあげると
      サクラの樹の空間から
      ちょっと困惑した あの日のあなたの
      やさしい顔が浮かんでくるのです ・・・・

                             長良信子の詩集より                       

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 『 秋祭り 』   白川慎史

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       うす青い夕暮れ時の空のした
       街のシンボルの橋のうえを
       古くて大きな祭りの山車が通るよ
       ピーシャラ ピーシャラ

       大きな山車のうえでは
       鉢巻きをしてお鼻のうえにお白いを塗った少年が
       得意満面の顔をして笛を吹いてるよ
       ピーシャラ ピーシャラ

       橋の前から長い髪の少女が走り寄ってきて
       少年に向かって 白くて長い手をおもいっきり伸ばして
       右に左に何度も何度も大きく手を振ってるよ
       ピーシャラ ピーシャラ

       祭り衣装に着飾った得意満面の少年は
       笛の音を一層 たかくつよく吹きながら
       髪の長い少女に向かって 山車に乗れよと誘ったよ
       ピーシャラ ピーシャラ

                              白川慎史の詩集より

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 『 ある夏の日のおもいで 』  山中清江

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     あの夏の日の夜のこと
     ふたりはゆかた姿で 静かな川辺の小道を歩きましたね

     あたりはすっかり暗くなっていたけど
     雲間に見え隠れする月あかりが ふたりの足元を照らして
     なぜかしら期待と不安が交錯して いつまでも黙ったまま

     それから暗がりの横道にさしかかった時
     あなたは 汗ばんだ右の手をぎゅっと強くにぎりなおして
     やがて その手をわたしの背中にまわされて 
     とってもつよく抱き寄せてくださった

     ふたりはそのまま小道の横のクローバーのうえにねころがり
     暗がりのなかでも おたがいの瞳をみつめあいながら
     無言のまま 限られたひとときを過ごしましたね・・・・

     あれからいくつもの年月が流れて
     あの静かだった川辺の小道もすっかりあかるくなり
     遠い日の月あかりも もうみられなくなりました

     でも どういうわけでしょうか 毎年暑い夏の夜になると
     あの夏の日の夜の 白地に朝顔のゆかた模様と
     胸の奥に秘められたままの汗ばんだひとときのことを
     とてもなつかしく おもいだします・・・・

                      山中清江の詩集 「おもいで」 より

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『 夏つばき 』  白川慎史

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 夕暮れどき
 小雨に濡れた一輪の真っ白い夏つばきの花が
 深緑の苔のうえにポトッと落ちた

 柔肌のようにすべすべしている幹肌から伸びた新緑の枝葉の繁みに
 隠れるようにして こっそりと咲いたばかりの一輪の夏つばきの花は
 雲間に見え隠れする宵の月を待つこともなく 母樹の下にポトッと落ちた

 今朝がた
  黄色い花芯を包み込むようにひっそりと咲いたばかりの真っ白い
 夏つばきの花は 雨あがりの宵の月を待つこともなく
 夕暮れどきに ポトッと落ちた

                                   白川慎史の詩集より

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 『 ある秋の日のたわいない会話 』  宝永京子

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    「ねぇ もみじはどうしてあんなに紅くなるか知ってる。?」
    「そりゃあ 寒くなって葉の色素がだんだん壊れてゆくからだよ。」
    「あなたは相変わらずのトンチンカンね。」
    「じゃあ 君の考えはどうなんだい。」
    「もみじはね 秋になるとさみしくなるのよ。もみじもね花も咲くし
     実もなるのよ けれどね その時はほとんど誰も知らないの。」
    「それでね 秋が深まる頃になると真っ赤に化粧してみんなから
     注目される鮮やかな季節の舞台の主人公になるのよ。」
    「・・・あなたはいつまでたっても 真紅に染まったもみじの気持ち
     が わからないひとなのよ。・・・」

                               宝永京子の詩集より

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