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日露戦争とは日本とロシアの帝国主義的領土合戦ではなく、日本が朝鮮半島を手に入れるために起こした侵略戦争であり、この戦争中に
独島(竹島)を日本は手に入れたのである。
                   (05年3月/韓国大統領・ノムヒョン)
 
NHKドラマ『坂の上の雲』第二部の放映が始まる。今年(2010)は日本が韓国を併合(植民地にした)して100年めに当たる。司馬は生前(1986年)NHKの番組で「軍国主義を鼓吹していると誤解される恐れがあるから、映像化は一切認めません」と言っていたのだが、NHKは司馬の死後、夫人を執拗に説き伏せてドラマ化をOKさせた。
 
文庫8冊分の原作(放映で文芸春秋は大儲け)を13回に分け足かけ3年かけて放映するのだが、海外ロケ8ヶ国撮影期間3年、一話90分当たりの製作費は大河ドラマ(6000万円)をはるかに上回る1億円…何と1分100万円を超える! さすが全世帯から高い受信料を徴収しているNHKだけあって太っ腹だ。
 
国家主義者(ナショナリスト)の中曽根・元首相などは「あの時代に生きた日本人が、国家に対して堂々と情熱を傾けている様子に、こちらまで息がはやる感がした」と大喜びだ。案の定司馬が恐れていた通り誤解(いや正解というべき?)が“堂々と”まかり通っている。ちなみに本屋に行っても『坂の上の雲』のヨイショ本ばかりが並べられ、批判本はまったく無い。司馬の朝鮮に対する差別・偏見や朝鮮史に対する無知を指摘した『司馬遼太郎の歴史観』(中塚明)なんて、どこを探しても見当たらない。
 
司馬は『坂の上の雲』で、「日清・日露戦争は日本にはまったく領土的野心は無かった。偉大な祖国防衛戦争であった」などと、トンデモ歴史観を披露している。いかにも元・産経新聞記者らしい史観(主観)だが、あの『あたらしい教科書をつくる会』の藤岡信勝はこの『坂の上の雲』を読んで、「これまでの日本は自虐史観と気がついた。これからはこの司馬史観で子供たちを教えなければならないと決心した」と語っている。こういう影響の大きさを考えると、佐高信が「戦後の作家で司馬遼太郎ほど罪深い作家はいない」と憤るのも、あながち過言とはいえないだろう。
 
この『坂の上の雲』は明治100年に当たる1968年に、サンケイ新聞夕刊で連載スタートした。高度経済成長を遂げていたが、いまだ敗戦と罪の意識から脱け出せない大衆市民に、「日本も捨てたものじゃな」という自尊と安心を与えたのでベストセラーとなったのだ。「明るく希望にあふれた青春日本!の時代」という「明治栄光論」は、なぜか多くの日本人の深層意識に刷り込まれてしまっているようだ。しかし明治という時代を生んだ幕末の個性豊かな志士たちは、江戸時代の自由な教育(寺子屋から私塾に至るまで)の賜物であるし、西洋文明(技術と思想の両面)を、かくも短期間に取り入れることができたのも、人々の識字率が高く(寺子屋の数は今の小学校より多いのだ!)250年間続いた平和のおかげで文化力も生産力も豊かだったからだ。司馬は江戸時代をこそ賛美すべきである。
 
司馬は大国ロシアに勝利した日露戦争を高く評価していて、「町工場のような小さい世界の隅のちっぽけな国が、ヨーロッパ文明と血みどろの闘いをしたのが日露戦争である。百姓国家の楽天家たちが前だけ見つめて、ヨーロッパにおける最も古い国家のひとつに対決し辛うじて勝利した。その収穫を後世の日本人は食い散らかした」と書く。「明るい明治、暗い昭和」というわけだ。
 
司馬によれば、明治日本は何とか文明国として認められたいと必死であったから、軍隊も国際法を遵守すべく「陸海軍の士官養成学校では、いかなる国のそれよりも国際法学習に多くの時間を割いた」と記す。そして“武士道”精神を失ってしまった昭和の戦前を「あんな時代は日本ではない」「灰皿を叩きつけたい衝動がある」と嫌悪を顕わにし、「昭和の皇軍参謀は大日本帝国憲法の鬼胎である」と迄書く。よほど昭和の軍隊と軍人が腹に据えかねるようだ。まあ南京虐殺・強姦ひとつとっても…確かに灰皿どころか手榴弾のひとつでも投げつけたくなる非道ぶりだ。
 
しかし、だ。司馬は日露戦争の主役の二人、明治天皇と乃木希典については殆んど言及しない。天皇と軍神の伝説としてではなく、リアリストの秋山兄弟と子規らの「国民の戦争」として描く。だから日露戦争中に4回開かれた御前会議についても一行も記さない。司馬は一貫して天皇と天皇制について言及することを避けて生涯を終えた。どうやら極東の百姓国ニッポンが大ロシア帝国を破った奇跡を、明治天皇や乃木大将の「物語」にはしたくないようだ。旅順港二百三高地で失敗?ばかりして2万人近い戦死者を出した無能(司馬は“愚将”と書く)な軍神乃木よりは、近代的合理精神に満ちたクールでクレバーな戦術参謀秋山真之や兄の好古を、龍馬のようなヒーローとして描きたいのだ。地方の名もなき青年がその才能を奔放に花開かせ、国家や社会の命運を握るような“サクセス・ストーリー”に仕立て上げる。
 
                      ー  つづく  −

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