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ブログ始めました!

FC2へ引っ越し

いよいよ、Yahoo!ブログが停止されるので、Amebaブログに引っ越ししたのですが、使いづらいので、FC2ブログ(https://geoveda.fc2.net/?preview_entry=&editor=&key=eeaab9ba3c71693e6dda36663d3a7d097789075532f739adccc784be70e9ed7a&t=1567164727)に引っ越しました。まだよく使い方が分かりませんが、妄想地理学として今後も続けます。
新居のブログもよろしくお願いします。
現在の日韓関係は「戦後最悪」というが、1998年の韓国・金大中(キム・デジュン)大統領と日本・小渕恵三首相の日韓共同宣言を読むと、現在の日韓関係改善の基調が明確に示されている。
今の安倍晋三首相は「韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた」という勇気があるだろうか。
安倍晋三は「植民地支配への謝罪」もせず、「歴史的事実を謙虚に受けとめる」誠実さもない。
反日と嫌韓の泥沼から、韓国民は冷静に距離を置く選択をしつつあるが、日本国民の異常は未だ終息を見ずというところだ。敗戦の日、朝鮮半島解放(光復節)の日の815日、改めて金・小渕「日韓共同宣言」を静かに読み直したい。


日韓共同宣言

-21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ-


1.金大中大韓民国大統領夫妻は、日本国国賓として1998107日から10日まで日本を公式訪問した。金大中大統領は、滞在中、小渕恵三日本国内閣総理大臣との間で会談を行った。両首脳は、過去の両国の関係を総括し、現在の友好協力関係を再確認するとともに、未来のあるべき両国関係について意見を交換した。
 この会談の結果、両首脳は、1965年の国交正常化以来築かれてきた両国間の緊密な友好協力関係をより高い次元に発展させ、21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを構築するとの共通の決意を宣言した。


2.両首脳は、日韓両国が21世紀の確固たる善隣友好協力関係を構築していくためには、両国が過去を直視し相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要であることにつき意見の一致をみた。
 小渕総理大臣は、今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた。
 金大中大統領は、かかる小渕総理大臣の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である旨表明した。
 また、両首脳は、両国国民、特に若い世代が歴史への認識を深めることが重要であることについて見解を共有し、そのために多くの関心と努力が払われる必要がある旨強調した。


3.両首脳は、過去の長い歴史を通じて交流と協力を維持してきた日韓両国が、1965年の国交正常化以来、各分野で緊密な友好協力関係を発展させてきており、このような協力関係が相互の発展に寄与したことにつき認識を共にした。小渕総理大臣は、韓国がその国民のたゆまざる努力により、飛躍的な発展と民主化を達成し、繁栄し成熟した民主主義国家に成長したことに敬意を表した。金大中大統領は、戦後の日本の平和憲法の下での専守防衛及び非核三原則を始めとする安全保障政策並びに世界経済及び開発途上国に対する経済支援等、国際社会の平和と繁栄に対し日本が果たしてきた役割を高く評価した。両首脳は、日韓両国が、自由・民主主義、市場経済という普遍的理念に立脚した協力関係を、両国国民間の広範な交流と相互理解に基づいて今後更に発展させていくとの決意を表明した。


4.両首脳は、両国間の関係を、政治、安全保障、経済及び人的・文化交流の幅広い分野において均衡のとれたより高次元の協力関係に発展させていく必要があることにつき意見の一致をみた。また、両首脳は、両国のパートナーシップを、単に二国間の次元にとどまらず、アジア太平洋地域更には国際社会全体の平和と繁栄のために、また、個人の人権が尊重される豊かな生活と住み良い地球環境を目指す様々な試みにおいて、前進させていくことが極めて重要であることにつき意見の一致をみた。
 このため、両首脳は、20世紀の日韓関係を締めくくり、真の相互理解と協力に基づく21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを共通の目標として構築し、発展させていくことにつき、以下のとおり意見の一致をみるとともに、このようなパートナーシップを具体的に実施していくためにこの共同宣言に附属する行動計画を作成した。
 両首脳は、両国政府が、今後、両国の外務大臣を総覧者として、定期的に、この日韓パートナーシップに基づく協力の進捗状況を確認し、必要に応じこれを更に強化していくこととした。


5.両首脳は、現在の日韓関係をより高い次元に発展させていくために、両国間の協議と対話をより一層促進していくことにつき意見の一致をみた。
 両首脳は、かかる観点から、首脳間のこれまでの緊密な相互訪問・協議を維持・強化し、定期化していくとともに、外務大臣を始めとする各分野の閣僚級協議を更に強化していくこととした。また、両首脳は、両国の閣僚による懇談会をできる限り早期に開催し、政策実施の責任を持つ関係閣僚による自由な意見交換の場を設けることとした。更に、両首脳は、これまでの日韓双方の議員間の交流実績を評価し、日韓・韓日議連における今後の活動拡充の方針を歓迎するとともに、21世紀を担う次世代の若手議員間の交流を慫慂していくこととした。


6.両首脳は、冷戦後の世界において、より平和で安全な国際社会秩序を構築するための国際的努力に対し、日韓両国が互いに協力しつつ積極的に参画していくことの重要性につき意見の一致をみた。両首脳は、21世紀の挑戦と課題により効果的に対処していくためには、国連の役割が強化されるべきであり、これは、安保理の機能強化、国連の事務局組織の効率化、安定的な財政基盤の確保、国連平和維持活動の強化、途上国の経済・社会開発への協力等を通じて実現できることにつき意見を共にした。
 かかる点を念頭に置いて、金大中大統領は、国連を始め国際社会における日本の貢献と役割を評価し、今後、日本のこのような貢献と役割が増大されていくことに対する期待を表明した。
 また、両首脳は、軍縮及び不拡散の重要性、とりわけ、いかなる種類の大量破壊兵器であれ、その拡散が国際社会の平和と安全に対する脅威であることを強調するとともに、この分野における両国間の協力を一層強化することとした。
 両首脳は、両国間の安保対話及び種々のレベルにおける防衛交流を歓迎し、これを一層強化していくこととした。また、両首脳は、両国それぞれが米国との安全保障体制を堅持するとともに、アジア太平洋地域の平和と安定のための多国間の対話努力を一層強化していくことの重要性につき意見の一致をみた。


7.両首脳は、朝鮮半島の平和と安定のためには、北朝鮮が改革と開放を指向するとともに、対話を通じたより建設的な姿勢をとることが極めて重要であるとの認識を共有した。小渕総理大臣は、確固とした安保体制を敷きつつ和解・協力を積極的に進めるとの金大中大統領の対北朝鮮政策に対し支持を表明した。これに関連し、両首脳は、19922月に発効した南北間の和解と不可侵及び交流・協力に関する合意書の履行及び四者会合の順調な進展が望ましいことにつき意見の一致をみた。また、両首脳は、199410月に米国と北朝鮮との間で署名された「合意された枠組み」及び朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を、北朝鮮の核計画の推進を阻むための最も現実的かつ効果的なメカニズムとして維持していくことの重要性を確認した。この関連で、両首脳は、北朝鮮による先般のミサイル発射に対して、国連安全保障理事会議長が安保理を代表して表明した懸念及び遺憾の意を共有するとともに、北朝鮮のミサイル開発が放置されれば、日本、韓国及び北東アジア地域全体の平和と安全に悪影響を及ぼすことにつき意見の一致をみた。
 両首脳は、両国が北朝鮮に関する政策を進めていく上で相互に緊密に連携していくことの重要性を再確認し、種々のレベルにおける政策協議を強化することで意見の一致をみた。


8.両首脳は、自由で開かれた国際経済体制を維持・発展させ、また構造問題に直面するアジア経済の再生を実現していく上で、日韓両国が、各々抱える経済上の課題を克服しながら、経済分野における均衡のとれた相互協力関係をより一層強化していくことの重要性につき合意した。このため、両首脳は、二国間での経済政策協議をより強化するととともに、WTOOECDAPEC等多国間の場での両国の政策協調を一層進めていくことにつき意見の一致をみた。
 金大中大統領は、日本によるこれまでの金融、投資、技術移転等の多岐にわたる対韓国経済支援を評価するとともに、韓国の抱える経済的諸問題の解決に向けた努力を説明した。小渕総理大臣は、日本経済再生のための諸施策及びアジア経済の困難の克服のために日本が行っている経済支援につき説明を行うとともに、韓国による経済困難の克服に向けた努力を引き続き支持するとの意向を表明した。両首脳は、財政投融資を適切に活用した韓国に対する日本輸出入銀行による融資について基本的合意に達したことを歓迎した。
 両首脳は、両国間の大きな懸案であった日韓漁業協定交渉が基本合意に達したことを心から歓迎するとともに、国連海洋法条約を基礎とした新たな漁業秩序の下で、漁業分野における両国の関係が円滑に進展することへの期待を表明した。
 また、両首脳は、今般、新たな日韓租税条約が署名の運びとなったことを歓迎した。更に、両首脳は、貿易・投資、産業技術、科学技術、情報通信、政労使交流等の各分野での協力・交流を更に発展させていくことで意見の一致をみるとともに、日韓社会保障協定を視野に入れて、将来の適当な時期に、相互の社会保障制度についての情報・意見交換を行うこととした。


9.両首脳は、国際社会の安全と福祉に対する新たな脅威となりつつある国境を越える地球的規模の諸問題の解決に向けて、両国政府が緊密に協力していくことにつき意見の一致をみた。両首脳は、地球環境問題に関し、とりわけ温室効果ガス排出抑制、酸性雨対策を始めとする諸問題への対応における協力を強化するために、日韓環境政策対話を進めることとした。また、開発途上国への支援を強化するため、援助分野における両国間の協調を更に発展させていくことにつき意見の一致をみた。また、両首脳は、日韓逃亡犯罪人引渡条約の締結のための話し合いを開始するとともに、麻薬・覚せい剤対策を始めとする国際組織犯罪対策の分野での協力を一層強化することにつき意見の一致をみた。


10.両首脳は、以上の諸分野における両国間の協力を効果的に進めていく上での基礎は、政府間交流にとどまらない両国国民の深い相互理解と多様な交流にあるとの認識の下で、両国間の文化・人的交流を拡充していくことにつき意見の一致をみた。
 両首脳は、2002年サッカー・ワールドカップの成功に向けた両国国民の協力を支援し、2002年サッカー・ワールドカップの開催を契機として、文化及びスポーツ交流を一層活発に進めていくこととした。
 両首脳は、研究者、教員、ジャーナリスト、市民サークル等の多様な国民各層間及び地域間の交流の進展を促進することとした。
 両首脳は、こうした交流・相互理解促進の土台を形作る措置として、従来より進めてきた査証制度の簡素化を引き続き進めることとした。
 また、両首脳は、日韓間の交流の拡大と相互理解の増進に資するために、中高生の交流事業の新設を始め政府間の留学生や青少年の交流プログラムの充実を図るとともに、両国の青少年を対象としてワーキング・ホリデー制度を19994月から導入することにつき合意した。また、両首脳は、在日韓国人が、日韓両国国民の相互交流・相互理解のための架け橋としての役割を担い得るとの認識に立ち、その地位の向上のため、引き続き両国間の協議を継続していくことで意見の一致をみた。
 両首脳は、日韓フォーラムや歴史共同研究の促進に関する日韓共同委員会等、関係者による日韓間の知的交流の意義を高く評価するとともに、こうした努力を引き続き支持していくことにつき意見の一致をみた。
 金大中大統領は、韓国において日本文化を開放していくとの方針を伝達し、小渕総理大臣より、かかる方針を日韓両国の真の相互理解につながるものとして歓迎した。


11.小渕総理大臣と金大中大統領は、21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップは、両国国民の幅広い参加と不断の努力により、更に高次元のものに発展させることができるとの共通の信念を表明するとともに、両国国民に対し、この共同宣言の精神を分かち合い、新たな日韓パートナーシップの構築・発展に向けた共同の作業に参加するよう呼びかけた。

日本国内閣総理大臣
小渕恵三
          
大韓民国大統領
金大中


1998108日、東京



昨日(814日)は韓国の「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」だった。ボクとしては、「たたえる」という言葉に違和感を覚えるが、韓国の元慰安婦の方々の人間としての尊厳をどう考え、受け止めるかについて、日本とは明確に違うということは確かなことだ。
日本政府、特にABEは、頑なに日本の植民地支配、「従軍慰安婦(日本軍政奴隷)」問題、強制徴用問題を、事実として存在したにも関わらず、さもなかったかのようにごまかそうとしている。その頑なさの淵源は安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼金融担当相など、日本の支配層が当事者そのものだからだ。
また、国民の戦争被害(空襲、徴用など)について謝罪も補償も「受忍限度」論でごまかしている政府が外国籍となっている戦争被害者への謝罪や補償を拒むのは、カレラの「論」としては当然なのかもしれない。日韓関係改善のカギは、日本が歴史に誠実に向き合い、政府が行った戦争・植民地支配の謝罪と補償を国内外で誠実に行うことが、まずスタートラインに立つことになる。その先に東アジア平和構築のあるべき刷ℊ多が見えてくる。まだ始まらない「歴史」を、遅きに失したとはいえ、始めよう。


「慰安婦たたえる日」韓国で2回目
 慰安婦像の除幕式も
2019814日:朝日新聞


 韓国政府は14日、国の定める記念日「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」にあわせて元慰安婦らを招いた式典を開いた。ソウル市も同日、新たな慰安婦像の除幕式を行う。日本政府による輸出規制強化への反発が強まる中で、植民地時代の負の記憶に焦点をあわせる行事が相次ぎ、日韓関係がさらに緊張する可能性がある。
 「慰安婦の日」は、文在寅(ムンジェイン)政権の主導で2017年に国の記念日に指定され、今回で2回目の開催になる。8月14日は、1991年に旧日本軍慰安婦だった故金学順(キムハクスン)さんが初めて実名で体験を公表した日。文大統領は昨年は式典に出席したが、今年は出席を見送り、「政府は被害者の尊厳と名誉を回復するため最善を尽くす」とするメッセージを寄せた。15日は日本統治からの解放を祝う「光復節」にあたり、文氏が演説する。両日とも韓国各地で集会やデモが予定されている。
 ソウル市は14日午後に日本統治時代の「朝鮮神宮」の跡地で、朴元淳(パクウォンスン)市長らが出席し、慰安婦像の除幕式を開く。同市では慰安婦像の建立が相次いでおり、計20体になる。

 日本外務省は13日、韓国への渡航者や滞在者に、デモが行われている場所に近づかないことなどを促す「スポット情報」を出した。(ソウル=武田肇)


この国の不自由の証明

「あいちトリエンナーレ『表現の不自由展・その後』」のその後のこそのこれからが、徐々に動き出しているが、事態は立場で大きく分断されている。
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」を批判する陳腐な市民たちは、これを「あいちトリエンナーレ」問題と認識し、芸術祭の意味をある程度理解している人たちは、「展示中止騒動」と捉えているようだ。どちらの立場に立つかで、「その後のこれから」も大きく違っていく。
前者の立場に立つ人たちは、「大村知事批判」へと舵を切っているようだ。後者の人びとは「展示中止の経緯」「再展示の模索」などへと動いている。
この問題は「国際芸術祭」という性格上、出品している作者も多様で、国籍や民族も違う。また、国際的にも注目を浴びている芸術祭で、「中止騒動」が無くてもその影響は国際的だった。この「表現の不自由展・その後」が会期満了まで中止されることが無ければ、日本の芸術への立場をポジティブに示すことができただろう。しかし、日本社会が寄ってたかって中止に追い込んだことで日本の不寛容さと、芸術への無理解を示すことになってしまった。「芸術」は、創造する作者と作品を鑑賞者、市民がどう受け止めるかという相互関係で成立するものだ。今回は、図らずも作品が展示会場に封印されることによって、鑑賞者を排除することによって、そのメッセージを強調することにもなっている。
さてさて、ボクたちは、この問題をどう捉え、記憶し、考え、行動するのか。問われるのはこの国そのものだ。


中止の「表現の不自由展・その後」
実行委が激白
 「明らかに不当な暴力による人災です」
2019812日:AERA


「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の中止問題。抗議や脅迫の前に挫折した事態は深刻だ。実行委員会が明かした「自由」への侵害とは。

*  *  *

「この企画展をやり遂げるには相当の覚悟と準備が必要だと考えていました」

 こう話すのは、企画展「表現の不自由展・その後」の実行委員会の岡本有佳さん(56)だ。

 実行委が「あいちトリエンナーレ2019」芸術監督の津田大介さんから協力を打診されたのは186月。このとき岡本さんの脳裏をよぎったのは、過去の展示会で経験した修羅場だ。

執拗な妨害や嫌がらせ

「表現の自由が侵害されている実態を可視化したい」

 そんな思いから岡本さんら市民有志は、一時中止に追い込まれた元慰安婦の写真展を12年に、各地の美術館で撤去されるなどした作品を展示した

「表現の不自由展」を15年に、それぞれ都内のギャラリーで開催した。

 その際、執拗な妨害や嫌がらせを受ける。「在日特権を許さない市民の会」が拡声器を使って、「ぶっ殺してやるから出てこい」と罵倒。来場者の姿を勝手に撮影し、ネット上にアップした。岡本さんらは電話や受け付けの応対マニュアルを用意するなど対策を準備。会期中は総勢80人のボランティアが連日警備に当たった。来場者が無断撮影される状況には、シーツで出入り口を隠した。

 このときの主要メンバー5人が、「その後」展の実行委として企画・キュレーションを担当した。受諾に際し、津田監督にこう念押ししたという。

「不当な暴力に屈した場合、私たちは(主催者側の)愛知県や津田さんと対立することもありますよ」

 岡本さんによると、津田監督は「(圧力に屈しないよう)僕も一緒に闘う」と答えた。

 にもかかわらず、開会3日目の中止決定。しかも、実行委との協議を経ず一方的に通知されたという。岡本さんが憤る。

「私たちが納得できないのも当然じゃないですか」

 愛知県の担当者を交えた今年5月の対策会議で、岡本さんらは電話応対の担当者増員や応答要領などの事前研修を提案した。だが、岡本さんの目には不備が目立った。設置を要望した自動録音や番号通知機能のある電話の配備も一部にとどまり、「現場の最前線に立たされる人への対応が不十分」と感じた。


政治家が抗議の前面に

 抗議は、開幕日だけで電話200件、メール500件に上った。事務局は抗議電話に対応する職員を増強し、ベテラン職員が応対した。だが、待たされた人がオペレーターに激高するなど抗議は過熱した。

「お前の母親の写真を燃やしてやるぞ」

 女性に対しては一層攻撃的になり、職員の個人名をネット上にさらす事例も。「このままでは自殺者も出かねない」。連日未明まで続いた対策会議でこんな報告も出された。

 愛知県の大村秀章知事は会見で「事務局スタッフの対応能力からオーバーフローしてしまった」と説明したが、岡本さんは、

「明らかに不当な暴力による人災です。知事が予算や手続きは後回しでいいから、と人員増などを決断していれば、状況は改善できたと思います」

 今回深刻なのは、政治家が抗議の前面に立ったことだ。トリエンナーレ実行委員会の会長代行でもある河村たかし名古屋市長は82日に会場を視察し、「日本国民の心を踏みにじる行為」と主張。大村知事に展示中止を求める抗議文を出した。

「その後」展実行委の永田浩三武蔵大学教授は、こう批判する。

「作品に対するリスペクトがまずあって、作品と向き合うことで議論を深めましょうというのがトリエンナーレの根本精神。言論・表現の自由は人権の基本でもある。自治体行政のトップにある人が展示機会そのものを奪う発言をしてはならない」

 前出の岡本さんも嘆く。

「電話で抗議すれば中止に追い込めることを知らしめてしまった。このままでは、私たちの目から隠される芸術品が増える一方です」

(編集部/渡辺豪)

AERA
 2019826


【主張】

展示イベント中止 「自衛隊排斥」はねつけよ
2019812日:産経新聞


 神戸市の百貨店「大丸須磨店」で7月下旬に予定されていた自衛隊車両の展示イベントが、共産党に近い女性団体「新日本婦人の会」などの反対で中止された。
 同会兵庫県本部はツイッターに中止を「朗報」と書き込んだが、「自衛隊がいるから平和に暮らせているのでは」などと疑問の声が寄せられた。
 同会は、パトカーや消防車、救急車、バスなどに加え、自衛隊の車両も掲載された講談社ビーシーの幼児向け図鑑「はじめてのはたらくくるま」も問題視した。出版社は7月、この図鑑の増刷をしないと発表した。
 これらの自衛隊排斥には一分の理もない。イベントの主催者や出版社が受け入れたのは残念だった。特に後者は「表現の自由」の問題に触れる疑いがある。
 「表現の自由」をめぐっては、愛知県で企画展が中止されたことが論じられている。だがこの企画展は、昭和天皇の写真を燃やす映像や史実をねじ曲げた「慰安婦像」など日本に対するヘイト(憎悪)行為がみられた。「表現の自由」の濫用(らんよう)といえる。
 これに対し、展示イベントや幼児向け図鑑に不適当な点は見当たらない。
 展示イベントは自衛隊の救助活動を知ってもらおうと企画された。神戸は24年前、阪神大震災に見舞われた。そこでの自衛隊排斥などよくできたものだ。幼児向け図鑑に自衛隊車両が載ったのは、国民を守るために「はたらくくるま」だからだろう。
 侵略を抑止し、有事や災害時に国民を守る自衛隊を国民から遠ざけるのはおかしい。隊員の士気を支えるのは国民の理解である。
 共産党の党史『日本共産党の七十年』によれば、新日本婦人の会は昭和37年、「党と民主的な婦人運動の指導者や活動家の努力によって」生まれた。
 昨年8月には埼玉県鴻巣市のショッピングモールで予定された自衛隊や警察との「ふれあいフェスタ」が、同党鴻巣市委員会、新日本婦人の会鴻巣支部などの要請で中止された。同党は自衛隊違憲の立場だ。3年前、当時の党政策委員長が防衛費を「人を殺すための予算」と述べて批判された。

 「人殺し予算」のような発想に立つ共産党や、同党に近い団体の自衛隊排斥の圧力は目に余る。筋を通してはねつければよい。


大村氏、大阪・吉村知事の発言に

「はっきり言って哀れ」
201988日:朝日新聞


 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の展示に対し、ファクスで脅迫文を送った疑いで男が逮捕されたことを受け、芸術祭の実行委員会長を務める大村秀章愛知県知事は8日、報道陣の取材に応じた。大村氏は「多くのみなさんに不安を与え、芸術祭の安全を脅かした。一日も早く事実関係を明らかにし、法と証拠に照らして対処してほしい」と述べた。
 企画展の実行委員会は企画展が中止になった後も芸術祭の実行委事務局の了解を得て現場を保全し、一日も早い再開を求めている。これに対し大村氏は「その後も様々な脅迫めいた電話や犯行予告のようなメールが届いている」と説明。「すべての情報は警察と共有しているが、引き続き対応していかなければいけない面がある。まずは当面、(芸術祭の)安全な管理、運営に全力を期したい」と語った。
 一方、大阪府吉村洋文知事が7日、大村氏が企画展の展示内容を容認したとして「辞職相当だと思う」と述べたことに対し、大村氏は「はっきり言って哀れだ」と批判。そのうえで「憲法21条の表現の自由についてまったく理解していないのではないか。公権力を持っている人がこの内容はよくて、この内容はだめだとずっと言っている。(吉村知事が常任役員を務めている)日本維新の会表現の自由はどうでもいいと思っているのではないか」と疑問を呈した。

 企画展は1日に始まり、慰安婦を表現した少女像や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品など各地の美術展で撤去されるなどした二十数点を展示。大村氏は3日、テロ予告や脅迫も含め、抗議の電話やファクスが相次いだため、中止すると発表した。(堀川勝元)


あいちトリエンナーレの

展示中止騒動をめぐって
201986:ニューズウィーク
<あいちトリエンナーレ2019で、展覧会内企画展「表現の不自由展・その後」が開幕後わずか3日で展示中止になった。他国と同様、日本でも状況は悪化の一途を辿っている......


2006年、石原慎太郎都知事(当時)がとんでもない無責任発言を行った。東京都現代美術館(MOT)で開催された『カルティエ現代美術財団コレクション展』のオープニングレセプションで「私は巨大ブランドは嫌いだ」「すばらしい展覧会だというから楽しみにして来たが、大したことはなかった」「ここにあるものはすべて下手物だ」「説明されなければわからないものはよい作品とはいえない」などと、祝辞とは思えない個人的意見を並べ立てたのだ。
数百人の招待客には、顧客を含む多数のカルティエ関係者がいたことは言うまでもない。直後に『フィガロ』『リベラシオン』などフランスのメディアが次々に発言を記事化し、国際的なアート雑誌『アートフォーラム』ウェブ版も『リベラシオン』の記事を引用する形で事件を報じた。同展は典型的な外部協賛企画であり、MOTの副館長(当時)によれば予算の分担は「我々は1000万円以下、カルティエさんが1億円以上」。つまり石原知事は、上得意に対して暴言を吐いたことになる。


「憲法21条で禁止された『検閲』と取られてもしかたがない」


あいちトリエンナーレ2019で、展覧会内企画展「表現の不自由展・その後」が開幕後わずか3日で展示中止になった際に、そんなことを思い出した。河村たかし名古屋市長が「(企画展に出展された「平和の少女像」は)相当多くのほとんどに近い日本国民が反日作品だと思っている」と述べて、大村秀章愛知県知事に展示の即刻中止を申し入れたからだ。松井一郎大阪市長(日本維新の会代表)が事前に河村市長に連絡し、展示が問題だと指摘したともいう。ポピュリズム右翼政治家による、これもとんでもない発言だ。
説明が前後したが、愛知県知事はトリエンナーレの実行委員会会長、名古屋市長は実行委員会会長代行を務めている。予算は県が約6億円、市が約2億円を負担し、文化庁からの補助金8000万円弱を見込んでいる。菅義偉官房長官は「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と恫喝したが、知事と津田大介芸術監督は、河村氏と菅氏の発言は展示の中止決定にまったく影響せず、主な理由は大量のいやがらせ電話とテロ予告とも受け取れるファクスだと述べた。
僕は8月3日の緊急記者会見で、知事に「両氏の発言は憲法21条違反だと考えないか」と問うたが、その時点では「菅さんの発言は(補助金交付に関わる)事業としてどうだったかということ。事業の手続の中で精査していきたいということだから、それ以上でも以下でもない。河村さんのご意見は内容についてのご意見なので、それに対してコメントすることは(展示の)内容にコミットすることになるので言わないことにしている」という答だった。「行政が芸術祭の内容に口を出すと、表現の自由を制約することになるので、それはしない」というまっとうな見識である。
そして大村知事は5日、河村市長の発言は「憲法21条で禁止された『検閲』と取られてもしかたがない」と一転。「行政や役所など公的セクターこそ表現の自由を守らなければいけない。自分の気に入らない表現でも、表現は表現として受け入れるべきだ」と述べた。知事と市長は昨年来、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致や名古屋城天守木造化問題をめぐって不仲と言われるが、それをさっ引いてもまったくの正論である。河村市長は「ああいう展示は良いんだと県が堂々と言って下さい」と反論したそうだが、そうじゃにゃーのよ、市長。知事の言うとおり、内容についてはコメントしにゃーというのが、民主主義の基盤をなす表現の自由を守るべき行政のどえりゃー正しい態度なんだわ。


「検閲の可視化に成功した」などといって浮かれていてはならない


今回の展開を津田監督は予想していたのだろうか。SNSの炎上も、大量の電話やテロ予告も、ポピュリズム右翼政治家の発言も、すべてがシナリオに書かれていたのだろうか。
そうかもしれないし、そうではないかもしれない。いまごろ津田氏はひとりほくそ笑んでいるのかもしれないが僕にはわからない。身の危険を感じたり、業務に多大な支障が生じたりしたトリエンナーレおよび愛知県のスタッフや、抗議の意を込めて自作の撤去を要請したふたりの韓国人作家を含めた出展作家には気の毒と言うしかないけれど、いずれにせよ、この国の一部の為政者たちがとても情けない反民主主義者だということが知れ渡ったのはよかった。とはいえ、「検閲の可視化に成功した」などといって浮かれていてはならない。
冒頭に記した元都知事は、その後も暴言を繰り返した。MOTではアーティストユニットの会田家(会田誠+岡田裕子+会田寅次郎)による作品に長谷川祐子チーフキュレーターが撤去要請を出し、作家ははねつけたが、館も長谷川氏もいまだに、謝罪はおろか約束した経過説明すら行っていない。広島市現代美術館では、刘鼎(リュー・ディン)の作品が中国当局によって文字どおり検閲され、美術館は海外機関の意向に従う義務などないにもかかわらず、実質的にその検閲に加担した。同様の事例はほかにもある。
トランピズムの時代になって、他国と同様、日本でも状況は悪化の一途を辿っている。あいちの件はまだまだ紆余曲折があるだろうし、ネトウヨによる理不尽な炎上や、政治家のトンデモ発言はこれからも大いにありうる。
だから心ある者は戦い続けなければならない。「正義は必ず勝つ」という世界が存在するのはフィクションの中だけである。現実社会においては、「正しいこと」は戦い続けて勝ち取るしかない。


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執筆者] 
小崎哲哉
1955
年、東京生まれ。京都在住。カルチャーウェブマガジン『REALKYOTO』発行人兼編集長。京都造形芸術大学大学院学術センター客員研究員。同大学舞台芸術研究センター主任研究員。2002年、20世紀の人類の愚行を集めた写真集『百年の愚行』(Thinkthe Earth)を企画編集し、2003年に和英バイリンガルの現代アート雑誌『ARTiT』を創刊。2013年には「あいちトリエンナーレ2013」のパフォーミングアーツ統括プロデューサーを担当。2014年に『続・百年の愚行』(同前)を執筆・編集。近著は当ウェブ連載「現代アートのプレイヤーたち」をまとめた『現代アートとは何か』(河出書房新社)。2019年、フランス政府より芸術文化勲章シュヴァリエを受章。


愛知「芸術祭」問題、百田尚樹氏参戦で白熱! 

「大村知事は『表現の自由』理解していない」
「人種差別も名誉毀損も可能に」
201989日:夕刊フジ


 愛知県の大村秀章知事に批判が殺到している。同県で開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で、昭和天皇の写真を焼いて灰を踏み付けるような映像作品や、「慰安婦像」として知られる少女像などが展示された企画展が開幕3日で中止になったが、「表現の自由」を掲げて自身の責任を認めないのだ。作家の百田尚樹氏は「大村氏はまったく『表現の自由』を理解していない」と言い切った。
 芸術祭の主催は、愛知県や名古屋市などでつくる実行委員会で、文化庁の補助事業である。税金が投入された公共施設でのイベントで、皇室や日本を貶めるような、政治色の強い展示が行われていたのだ。
 このため、大阪府の吉村洋文知事は7日の記者会見で「表現の自由は保障されるべきだが、『反日プロパガンダ』と国民が思うものを愛知県が主催者として展示するのは大反対だ」「(大村氏は)辞職相当だと思う。責任を取らなきゃいけない」と語った。ネットでも、大村氏への批判が多い。
 これに対し、大村氏は8日、記者団に「哀れだ。この程度のレベルの人が大阪の代表なのか。表現の自由を規定した憲法21条をまったく理解していない」と反論した。
 これはおかしい。「表現の自由」を唱えれば、何をやってもいいのか? 憲法は12条で「公共の福祉」に反する権利乱用を禁じている。
 この問題を、どう考えるべきか。

 前出の百田氏は「『表現の自由』は無制限ではない。それを許してしまうと、人種差別や名誉毀損(きそん)も、『芸術』という看板を掲げれば可能になってしまう。あいちトリエンナーレはここを逸脱した。慰安婦像はアートとはいえない。反日プロパガンダのモニュメントだ。百歩譲って、大村氏がそれでも戦うなら税金を投じてやるべきではない。憲法12条の『公共の福祉』に忠実でなければならない」と語っている。


「あいちトリエンナーレ」問題

河村たかし名古屋市長が激白
「私と大村知事を国会に呼んで!」
「日本の世論が
ハイジャックされたような展覧会」
2019812日:夕刊フジ


 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展で、昭和天皇の写真をバーナーで焼いて灰を踏み付けるような映像作品や、「慰安婦像」として知られる少女像などが展示され、開幕3日で展示中止になった問題をめぐり、愛知県の大村秀章知事は9日、検証委員会を設置を発表した。だが、責任を追及されている知事自身が設置した委員会が核心に迫れるとは思えない。評論家の西村幸祐氏が、名古屋市の河村たかし市長を直撃した。
 「この国際芸術祭には、国や愛知県、名古屋市などの公的資金が投入されている。ぜひ、私と大村氏を国会に呼んでほしい。国民に疑念を持たれている点について、公開の場で徹底的に説明・議論したい」
 河村氏はこう語った。
 問題の企画展「表現の不自由展・その後」には、昭和天皇の写真や慰安婦像以外にも、英霊を貶めるような作品も並んでおり、開幕直後から批判が殺到した。
 河村氏は通報を受け、すぐ見に行ったという。
 「私はトリエンナーレに賛同する立場で視察して、『これはひどい』と思った。昭和天皇の写真もそうだが、普通の神経をした人なら『これは美術なのか?』と思うでしょう。いわば、『日本の世論がハイジャックされたような展覧会だ』と思った。だから責任を果たすために、実行委員会会長である大村氏に中止を申し入れた」
 テロや脅迫ともとれる抗議も相次いだため、大村氏は3日、「安全な運営が危ぶまれる」として企画展の中止を発表した。左派メディアはこれに猛反発。大村氏は5日、河村氏が中止を求めたことを「『表現の自由』を保障した憲法21条に違反する疑いが極めて濃厚」と批判した。
 河村氏は「憲法21条違反などという非常識な人間がいるらしいが、本当に憲法を理解しているのか? 『表現の自由』は無制限ではない。憲法12条の『公共の福祉』に反するような展示は認められない」と語った。
 前出の検証委員会は、企画展について、一連の経過を整理して公表するほか、公金を使った芸術作品の展示や支援、危機管理体制についても検討するというが、それが問題の核心とは思えない。

 やはり、芸術監督にジャーナリストの津田大介氏が起用された理由と、大村氏が企画展の展示をどこまで把握・容認していたかだろう。それを解明したうえで、2人の責任問題が問われるべきだ。


ナチスへの抵抗 右翼が政治利用

ヒトラー暗殺未遂から75
201987日:東京新聞


 ナチス・ドイツの将校らによるヒトラー暗殺未遂事件から今年で75年。第2次世界大戦後もしばらくは「反逆者」とみなされていた将校らは、民主主義を取り戻すために抵抗した「模範」としてたたえられるようになった。だが今、こうしたナチスへの抵抗の動きを政権批判に利用しようとする右翼勢力の動きに懸念が高まっている。                         (ベルリン・近藤晶)


 1944720日、ドイツ領東プロイセン(現在のポーランド北東部)の総統大本営の会議室。シュタウフェンベルク大佐は爆弾の入ったカバンを机の下に置いて中座した。軍内部の反ヒトラー派は、ヒトラー殺害後に軍を掌握し、クーデターを起こす計画だった。
 爆発で4人が死亡したがヒトラーは奇跡的に軽傷ですんだ。大佐ら首謀者5人は即刻、銃殺刑。関与が疑われた約1500人が投獄され、200人近くが処刑されたとみられている。関係者の家族らも収容所に送られるなどした。2008年には事件を題材にしたトム・クルーズさんが大差を演じた映画が公表されている。
 暗殺計画は大戦末期、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)や無謀な占領政策に反発した将校らが戦争を早期に終結させようと決行した。だが、戦後も将校らは政権転覆を企てた「反逆者」とみなされ、遺族に恩給が認められたのは1960年代になってからだった。
 将校らの遺族でつくる財団のロベルト・フォンシュタインリュック理事長は「今ですら『彼らは民主主義者ではなかった』と批判する人びとがいる。だが抵抗した兵士に共通していたのは法の支配を回復し、犯罪や独裁体制を終わらせようとしたということだ」と強調する。
 事件から75年を迎えた720日、将校らが処刑されたベルリンの軍施設だった場所で式典が催された。メルケル首相は演説で「(ヒトラーに)抵抗した人々は良心に従って行動した。当時とは状況が全く違うとはいえ、私たちの模範だ」と訴えた。
 ヒトラーの命令に服従したナチス時代の教訓から、憲法にあたる基本法には68年、自由で民主的な秩序を排除しようとする勢力に対する「抵抗権」を国民に認める条項が追加された。現在の連邦軍でも、軍人法で犯罪となり得る命令への服従を禁じ、自身の良心に反する任務には従わないとする「内面指導」が重視されている。


政権を「独裁」批判 暴力正当化の恐れ


 だが昨今、ナチスと重ね合わせるのかのようにメルケル政権を「独裁」などと批判する右翼が、当時の抵抗運動を政治利用する動きが顕著になっている。
 反難民・移民を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は一昨年、当時のナチス抵抗運動「白バラ」のメンバーの写真を選挙運動で支持拡大に利用、反イスラム団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人」(通称ペギーダ)もデモで抵抗運動の旗を掲げて反体制派をアピールしている。
 今年6月にはメルケル氏の難民政策を支持する地方政治家が、右翼過激派とのつながりが疑われる男に射殺される事件が発生。事件後、ペギーダのデモ参加者がテレビの取材に事件を称賛する発言をするなど、右翼の過激化や暴力の正当化に警戒感が広がっている。

 ドイツ抵抗運動記念館のヨハネス・トゥヘル館長は「右翼はナチス抵抗運動を利用することで、自分たちが『独裁』の犠牲者だとして主張を正当化しようとしている」と批判。メルケル氏も式典に先立つ国民向け動画メッセージで政治家殺害事件に触れ、」「私たちには、右翼過激派を含め、民主主義を破壊しようとするすべての勢力に対抗する義務がある」と訴えた


敵を作り煽る手法は戦前と酷似

今必要なファシズムの研究
201988日:日刊ゲンダイ


 いよいよ、世界中が無茶苦茶になってきた。

 安全保障上の輸出管理で優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令が7日、公布された。発動は28日だ。安倍首相が血道を上げる韓国叩きへの反発は燃え盛る一方で、韓国市民は対韓輸出規制の撤回を求め、ソウルの日本大使館周辺で「安倍政権を糾弾する」と大書された横断幕を掲げてデモを展開。

 安倍政権の一連の動きを元徴用工訴訟をめぐる「貿易報復」と受け止める文在寅政権は「我々は二度と日本に負けない」と一歩も引かない構えで、対抗措置のひとつとして24日に更新期限を迎えるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄をチラつかせている。日米韓の安全保障上での連携に支障が生じる懸念があるが、韓国の世論調査会社「リアルメーター」が約500人を対象にした調査(7日実施)では、破棄賛成が47.7%に達し、反対の39.3%を上回った。文在寅政権の強硬姿勢に世論の同調が広がり、戦後最悪といわれる日韓関係は報復の応酬の様相を呈している。
 安倍が媚びへつらう米国のトランプ大統領による中国叩きもエスカレート。トランプが要求する産業補助金の撤廃や知的財産権の保護などを習近平政権が丸のみせず、対中貿易赤字削減のために求めた農産物の大量購入も不十分だとして、制裁第4弾の来月1日発動を発表。対中輸入総額5400億ドルのほぼすべてに追加関税を課すのに飽き足らず、中国を25年ぶりに「為替操作国」に認定した。トランプの圧力に屈したFRB(米連邦準備制度理事会)が0.25%の利下げに踏み切った効果は吹き飛び、米ダウ平均株価は急落。米国発の世界同時株安を招き、マーケットは大混乱に陥っている。「米国第一主義」に凝り固まり、来年の大統領選に向けた人気取りしか頭にないトランプは、イラン問題でも暴走を続ける。

内政しか見ずおっぱじめた宣戦布告なき戦争

 政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「安倍首相の韓国叩きも、トランプ大統領の米国第一主義も本をただせば、選挙目当てに過ぎない。内政しか見ていない日米がおっぱじめた宣戦布告なき戦争に他国を巻き込んでいるようなもので、誰も得しないのは明らかです。安倍首相の異様な韓国叩きの根っこにはアジア蔑視の歪んだ歴史認識があり、トランプ大統領が仕掛けた米中貿易戦争は通商摩擦ではなく覇権争いなのです。米中貿易戦争によって世界経済は減速し、欧米は利下げに動いていますが、異次元緩和を6年4カ月も続ける日本は打つ手がほとんどない。10月に消費増税を控える日本経済はどうなってしまうのか」

 一方、トランプの標的にされて防戦に回る中国は「保護主義と闘う」「自由貿易を堅持する」と国際秩序の維持を訴えるが、足元では共産党独裁丸出しの強権を振るっている。逃亡犯条例改正案に端を発し、香港で9週間も続く市民デモに北京は怒り心頭。国務院(内閣に相当)の香港マカオ事務弁公室の報道官は「中央政府の巨大な力」を過小評価すべきでないと警告。「火遊びする人々は火によって滅びる」と呪詛のような言葉を吐き、習近平政権は人民解放軍の投入を含む介入を示唆し始めた。
 理念なき報復合戦、民主主義の弾圧、憎悪を煽り、分断の政治の先にあるものは歴史が雄弁に語っている。愛国心をたき付け、他者への憎悪を扇動し、延命のためにポピュリズムを最大限利用する。国民を狂気に巻き込み、巧妙に束ねていくのがファシズムの手法である。ハッキリしているのは、トランプも、トランプにすり寄って盟主気取りの安倍もトチ狂っている。いま必要なのは、ファシズムの研究だ。歴史には必ず教訓がある。


ナチスの国連脱退も対韓制裁も「95%」賛成


〈今日の世界は、トランプ大統領の誕生、イギリスのEU離脱、移民排斥をうたう政党の勢力拡大と、ポピュリズム、大衆迎合主義が蔓延しています。ある意味で、ヒトラーが政権を獲得し、第二次世界大戦が勃発した1930年代とよく似ています〉

 元東京都知事で、国際政治学者の舛添要一氏の新著「ヒトラーの正体」(小学館新書)に記された一文だ。まさに、いまの日本にも当てはまるのではないか。安倍は「令和の時代に新たな未来を切り開く」とドヤ顔だったが、令和という時代は未曽有の混乱と戦乱の時代になる予兆である。

 ヒトラーが独裁体制を手にしたのは武力によってではない。当時、最も民主的だったワイマール憲法の下、緊急事態宣言を2回発令して報道や言論の自由を停止し、全権委任法を成立させて独裁体制を完成させた。ミュンヘン一揆の失敗を経てナチスを再建してから8年、民主主義を支える選挙を経て実現したのである。第1次世界大戦で敗れたドイツはベルサイユ条約によって多額の賠償金を科せられ、市民はハイパーインフレに困窮。そこに再登場したヒトラーは、アウトバーン建設などの公共工事で雇用を拡大し、インフレの抑え込みに成功。国民の熱狂的支持と崇拝を獲得していった。

 ヒトラーは「わが闘争」で大衆心理について〈弱いものを支配するよりは、強いものに身をかがめることをいっそう好むのである〉と語り、側近にもこうした言葉を残しているという。

「大衆は、本能に従う獣のようなものである。決して、理性的な判断は行わない」
「熱狂的な大衆のみが操縦できるのである」

 つまり、無気力状態の大衆はコントロールできないが、熱狂的な状況をつくり上げれば思いのままに操ることができるということ。ベルリン五輪を「民族の祭典」に仕立て上げたのが、まさにそれである。反ユダヤ主義については、「人は目に見えぬ敵だけでなく、はっきりと目に見える敵を必要とするのである」と言い切っていた。ウソを重ねて2020年開催の東京五輪を招致し、「新憲法施行」を言い出して、韓国を敵視する安倍のやり口そのものなのだ。ナチスは国際連盟脱退の賛否を問う国民投票で95%を超える賛成票を集めた。「ホワイト国」からの韓国除外をめぐり、経産省が実施したパブリックコメントに95%超が除外賛成の意見を寄せたというのは偶然なのだろうか。

国家滅亡まで止めることができなかったドイツ


 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。

「あいちトリエンナーレの『表現の不自由展・その後』が中止に追い込まれた騒動によって、この国から表現の自由が奪われつつあることが改めて浮き彫りになった。安倍政権はこの6年半余りで国民を単視眼的思考に染め上げ、異論を封殺する雰囲気をつくり上げました。その結果、安倍政権を支持する極右勢力はラウド・マイノリティー(声高な少数派)にもかかわらず、あたかも多数派のように見える状況が出来上がってしまった。ヒトラーもこの手法を巧みに使い、民衆を扇動したのです。そうしてポーランドに侵攻して第2次世界大戦に突っ込み、戦況悪化でヒトラーは自殺。無条件降伏を余儀なくされたドイツは連合軍に分割占領され、国家の形を失いました。かつてのドイツ国民は国家が滅びる最悪の事態になるまで、止まることができなかった」
 この国の歯止めはかかるのか。もはやかからないのか。それは一人一人の意識次第だろう。

「経済はガタガタ、外交はガチャガチャの安倍政権を有権者の過半数が支持しているのは、ファシズムの罠にハマっているからです。官邸に忖度する大メディアがファクトをきちんと報じないため、つくられた世論に乗せられてしまっている。秋の臨時国会で安倍首相は最終目標である憲法改正の発議に持ち込み、米国と戦争のできる国へ突っ走ろうとするでしょう。この国は平成の終わりに返り咲いた安倍政権によって左前に拍車が掛かり、令和はいよいよ沈没に向かっている。国民はゆでガエルそのものです」(本澤二郎氏=前出)

 ファシズムは1日では完成しない。じわりじわりと浸透し、隅々まで覆い尽くす恐ろしさに目を向ける時だ。


市民レベルの日韓交感
 この価値観を絶やさずに
2019811日:毎日新聞


 日韓政府間の対立を市民レベルまで拡大してはならない。そんな思いで行動する人々が双方にいる。

 ソウル中心部の中区で、区長が日本製品の不買運動を呼びかける「NO ボイコット日本」と書かれた旗の掲揚を指示した。ところが市民から「日本人観光客に不快感を与える」などと抗議が殺到し、旗は半日もたたずに撤去に追い込まれた。

 最近、韓国では文在寅(ムンジェイン)大統領は感情的な外交を慎むべきだという主張が動画投稿サイト「ユーチューブ」で広がっている。

 不買運動や日本旅行キャンセルなどの動きが沈静化したとは言えない。中区のほかにも、積極的に反日運動を行っている首長は各地にいる。日本との交流中断は、スポーツ界にまで飛び火した。

 そんな中において、冷静な対応を呼びかける声が上がっているのは救いである。

 日韓両国間では、悪化した政治とは無関係に交流を続けたいというツイートが日本語と韓国語でそれぞれ発信されている。市民の間で自然発生的に拡散しているようだ。

 過去の植民地支配の歴史を乗り越え、交流を通じた新しい日韓関係を構築しようと誓った1998年の日韓共同宣言から20年あまりが過ぎた。昨年、両国の往来者は1000万人に達した。

 問題は、政府間で続いている応酬の行方だ。

 日本政府は、輸出規制を強化した韓国向け半導体材料3品目のうち、一部製品の輸出を許可したと発表した。規制強化したのは、あくまで輸出管理の一環だと内外に強調する狙いがあるようだ。

 韓国政府は、これを受けて対抗措置の発表を延期した。日本側の今後の出方を見守る構えでいる。

 政府間の対立の構図は、基本的に変わっていない。徴用工問題や慰安婦問題での韓国側の対応に、日本で不満が強いのも事実だ。

 それでも、感情的な言動はお互いに傷を残すばかりだ。問題解決にプラスにならない。

 交流の拡大に伴い、少しずつ市民レベルの意識は変化してきている。相手国を肌で知る草の根の絆は底堅いだろう。こうした価値観を絶やさぬよう、大切にしていきたい。


「表現の不自由展」再開の協議申し入れ
 実行委が知事に
2019812日:朝日新聞


 愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展「表現の不自由展・その後」が中止となったことを受け、企画展の実行委員会は12日、芸術祭の実行委員会会長を務める大村秀章知事あてに、展示再開のための協議を要望する申入書を提出したと発表した。
 企画展の実行委によると、企画展の中止を判断した理由や経緯について問う、大村氏あての公開質問状を6日に提出。10日付で回答があり、「テロ予告や脅迫ともとれる電話が多数事務局に寄せられ、日に日にエスカレートした」「緊急避難的措置として、展示は3日までとした」などと書面に記されていた。
 回答に対し、企画展の実行委は「展示の再開について、何の見通しも示していただけなかった」と申入書で指摘。展示再開の前提として会場を保全するよう求め、協議の場を設けてほしいとして、16日までに文書で回答するよう求めた。
 1日に始まった企画展は、慰安婦を表現した少女像や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品など、各地の美術展で撤去されるなどした二十数点を展示。

 だが、テロ予告や脅迫も含め、抗議の電話やファクスなどが相次ぎ、大村氏が3日、中止を発表した。(江向彩也夏)


「表現の不自由展」

 実行委が展示保存などを要求
2019812:毎日新聞

「表現の不自由展・その後」に出品された「平和の少女像」
=名古屋市東区の愛知芸術文化センターで2019731日、大西岳彦撮影


 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が開幕3日で中止となった問題で、表現の不自由展の実行委員会は12日、芸術祭実行委会長を務める大村秀章・愛知県知事に対し、展示再開を求めるとともに、展示会場の芸術祭閉会(1014日)までの保存や芸術祭実行委との協議の早期開催を申し入れると発表した。申し入れの回答期限は16日。

 表現の不自由展実行委は6日に県庁を訪れ、公開質問状を提出。12日に同展実行委が明らかにした県の回答(10日付)によると、中止の理由について「事務局や愛知県庁などに電話が殺到し、テロの予告や脅迫もあったため」と説明。中止の判断を下したのは「大村知事と芸術祭芸術監督を務める津田大介氏」で、芸術祭の意思決定機関である実行委運営委員会は開かれず「知事の専決処分」などとしている。

 芸術祭は1日に名古屋市などで開幕。2日に河村たかし名古屋市長が表現の不自由展を視察し、大村知事宛てに元従軍慰安婦を題材とする「平和の少女像」の撤去を求めた。実行委には抗議の電話などが多く寄せられ、大村知事は3日に中止を発表した。

 この問題を巡っては、県警が7日、脅迫のファクスを送ったとして同県内のトラック運転手(59)を威力業務妨害容疑で逮捕している。【竹田直人】


この国の不自由の証明

下の投書は、ボクが1週間ほど前に投稿したものが、昨日(812日)の東京新聞朝刊に掲載されたもの。内容が少し丸くされ、ニュアンスが弱まっているが、ボクは、この国がすでに全体主義国家であることを自覚している。脅迫した多くのフツーの人びとは「我に正義あり」と傲慢な自信に満ちている。
実は811日に「あいちトリエンナーレ『表現の不自由展・その後』」のその後のそれからを観に、愛知芸術文化センターに研究会で先輩の元・地理教員のMさんに一緒してもらって会場を訪れた。
九条俳句違憲訴訟の傍聴に通って学んだのは、敗戦後始まった「社会教育」は、「0」からの出発で、真面目絵に考え、ルールをつくり上げてきた。図書館、公民館、博物館、美術館などの自由も、社会教育法や図書館法などで保障されている。時の権力が気に入らないからと言って自由を奪うことは許されない。それは、表現の根底にある、思想・信条の自由を侵害することになるからだ。学校に自由がないことは、国連などからも指摘されている。世の中では「いいじゃんニッポン!」という気分の人が多くいるようだが、実は「ダメじゃん日本」とみられているのが現状だ。国際芸術祭での今回の騒動も「ダメジャンにっぽん!」を上書きし続けていることを自覚しなければならない。

不自由展中止 五輪も影響か
2019812日:東京新聞・発言
無職・近正美 63(千葉市中央区)

 あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」が脅迫などによって、わずか3日で中止日追い込まれた。内容が問題だと抗議電話やファクス、メールが大量に送られ、安全に運営できないと判断されたという。
 中止は「『この国の不自由』の証明」となり、国際的なメッセージとして発信されている。私はその会場に行くつもりだ。封鎖され、作品は会場に置かれているという。一つの梱包芸術作品のようであり、会場の前に立つこと自体、意味があると思う。
 来年のオリンピックでもテロ予告や脅迫が心配だ。騒げば中止できるとの悪しき前例ができた影響は、芸術・表現の自由にとどまらず、広く社会全体に委縮を生むかもしれない。

「不自由展」出展者ら再開求める
 意見聞かず中止「暴力的やり方」
201988:東京新聞
「表現の不自由展・その後」の展示中止について記者会見する出展者の中垣克久さん(中)ら
=東京・永田町の衆院第2議員会館で



 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が公開後に中止になった問題で、有識者らでつくる「表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク」などが七日、東京都内で集会を開いた。「今回の事態は、日本が『表現の不自由な社会』であると改めて実証した」として、中止の撤回と展示の再開を求めるアピールを公表した。 
 アピールは「問われるべきは慰安婦問題へのヘイトクライムやガソリンテロという脅迫行為」と指摘。「本来、これらの脅迫から表現の自由を守るべき行政が、中止によって表現の自由への侵害を行った」とした。
 世話人代表で武蔵野美大の志田陽子教授(憲法学)は「表現の自由が大変な危険にさらされ、自粛や萎縮をしてしまう恐れが大変強い状態が起きている。看過できない」と指摘した。
 企画展は元慰安婦を象徴した「平和の少女像」などを一日から展示したが、芸術祭の実行委員会は三日、ガソリンテロ予告や脅迫とも取れる抗議があったとして、中止を決めた。
 出展者の一人で造形作家の中垣克久さん(75)は「作家の意見を聞かずに中止したのは極めて暴力的なやり方。(平和の少女像を作った作家にも)どんな思いで作ったか聞くべきだが、なおざりにされている」と批判した。
 企画展の実行委員会メンバーの武蔵大の永田浩三教授(メディア社会学)は「平和の少女像という作品をちゃんと見てほしかった。わずか三日の展示だったが、たくさんの人たちが、いろんな見方をしてくれた。それは非常に感動的な場だった」と述べた。 (松尾博史)

「あいちトリエンナーレ」
慰安婦像展示への
攻撃・圧力は、表現の自由の侵害であり、
作品の本質を歪曲するフェイクだ
201983日:LITERA

 津田大介氏が芸術監督を務める「あいちトリエンナーレ2019」が、慰安婦像を展示したなどとして、理不尽なバッシングと圧力を受け、作品の撤去に追い込まれそうになっている。
 圧力を受けているのは、同トリエンナーレの企画の一つである「表現の不自由展・その後」。過去に美術館や展覧会等から撤去されたり、内容の変更を求められた作品を集めた企画で、2015年に東京都のギャラリーで催され盛況を博した「表現の不自由展 消されたものたち」を発展させたものだ。
 そのなかで展示されている戦中日本軍による慰安婦問題を象徴する少女像(彫刻家のキム・ソギョン氏とキム・ウンソン氏による「平和の少女像」)や、昭和天皇に見える肖像を燃やしたような作品(嶋田美子氏による「焼かれるべき絵」)などに、ネトウヨたちが炎上攻撃を展開。案の定、高須クリニック高須克弥院長が〈この穢らわしい展示物を片付けなかったら名古屋市民やめます。なう〉とか、ネトウヨタレントのフィフィが〈下品なプロパガンダ〉〈私費であっても非難されるであろう展示に税金が投入されているとは〉などとくってかかり、右派政治評論家の加藤清隆氏が〈こんなものは芸術に名を借りた反日活動に過ぎない。芸術監督の津田大介と主催の愛知県知事は万死に値する〉などと恫喝している。
 まあ、こういう連中の狂乱ぶりは予想の範疇だが、もっととんでもないのが、安倍政権周りの極右政治家たちが露骨に圧力を仕掛けていることだ。
 たとえば自民党和田政宗参院議員は、〈あいちトリエンナーレは文化庁助成事業。しっかりと情報確認を行い、適切な対応を取る〉などとして、文科省・文化庁に問い合わせを行ったと報告。〈文化庁の助成については申請をもとに採択されているが、補助金の交付決定はまだしていない。今回の件は文化庁としてどうするか判断する〉と補助金停止を示唆する投稿をしている。和田議員は1日、YouTubeでの配信で「表現の不自由展・その後」の展示作品についてこう述べた。
「これが表現の自由だと言う人がいれば、じゃあ、エリザベス女王のお写真がそういうことになる展示があったときに、イギリス国民はどう思うのか。またそういう展示があったときに、日本国民としてもこういう展示はマズいだろうということを思うわけであって。皇室・王室に対する敬意というものは、どの国であっても普遍のものであると思っておりますので、特に日本国においてはこのような展示があってはならない。そこに公的な資金が入ったということ、また公的な博物館を借りての展示ということであるならば、私はこれは許容できないと思っておりますので」
 また、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長も、一般ユーザーから〈慰安婦像や昭和天皇のお写真を半分焼いたオブジェが並ぶというトンデモイベント〉とのツイートを受けて〈にわかに信じがたい!河村市長に確かめてみよう〉と投稿。河村たかし名古屋市長といえば、慰安婦問題を否定する言動を繰り返すほか「いわゆる南京事件はなかったのではないか」と発言するなど、バリバリの歴史修正主義者だ。松井代表から連絡を受けた河村市長は2日、「表現の不自由展・その後」を視察した後、「平和の少女像」の展示を即刻中止するよう大村秀章・愛知県知事に申し入れると記者団に語った。
 さらに、菅義偉官房長官も2日の会見で、「補助金交付の決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と述べて展示物を確認して補助金交付の是非を検討するとし、柴山昌彦文科相も同日、「事業の目的と照らし合わせて確認すべき点が見受けられる」などと牽制した。

雄叫びをあげている政治家連中は
戦前の検閲行為を復活させようとする極右

 美術作品に対して「撤去しろ」「万死に値する」とがなり立てるネトウヨ&極右文化人だけでなく、時の権力が一斉に出てきて締め上げにかかる。いったいこいつらは、日本国憲法21条が「表現の自由」を保障しているということをわかっているのか。
 政治家や行政の長が芸術作品に対して、撤去を求めたり、補助金の拠出停止をチラつかせたりするというのは、まさに、権力による弾圧から個人の表現を守るために作られた憲法21条に違反する検閲行為そのものではないか。
 ナチスドイツや戦中日本では、報道だけでなく、芸術作品までが検閲の対象となり、逆に戦争賛美や戦意高揚に利用されてきた。だからこそ、時の権力に左右されないために「表現の自由」が保障されたのである。
 和田議員は「これが表現の自由だと言う人がいれば、じゃあ、エリザベス女王のお写真がそういうことになる展示があったときに、イギリス国民はどう思うのか」などとほざいていたが、英国ではSexPistolsが女王と国を痛烈に揶揄する「GodSave theQueen」を歌ったことがあるし、他の国でも、国家や体制を揶揄する芸術表現は山ほどある。むしろ、王室や権力を批判したり揶揄する芸術文化を認め、保護することこそが、健全な民主主義国家の最低条件といっていい。
 まったくその無教養ぶりと時代錯誤には呆れるが、安倍政権の幹部らも大差ない。ようするに、安倍政権やその周りにいる政治家連中は、国家があらゆる表現を検閲し規制する戦前のような体制に戻したいだけなのである。
 しかも、そのために連中がまたぞろ持ち出してきているのが、「国から補助金をもらっているのだから、こんな作品の展示は許されない」という論理だ。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督がインタビューで映画に国策を押しつける動きを批判した際にも、『万引き家族』が文化庁の助成金を受けていたとして、地方政治家やネトウヨ文化人、ネオリベ経営者などから一斉に攻撃を受けたし、在日コリアンの家族を描いた『焼肉ドラゴン』(鄭義信監督)にも同様の誹謗中傷がくわえられた。
 しかし、表現の自由は国から補助金をもらっているかどうかとはまったく関係なく保障されるべきものだ。むしろ、作品の政治的なスタンスによって補助金支出の可否を判断することこそ、検閲そのものだ。「国から金をもらっているのだから国の言うことを聞かねばならない」という論理がまかり通れば、表現文化が死滅するのはもちろん、一般の市民生活にも多大な抑圧をもたらす。最終的には「生活保護を受けているんだから政府批判するな」という論理にまで発展するのは目に見えている。

是枝監督、松尾貴史、町山智浩らが語った
「補助金もらってるくせに」攻撃への反論

 実際、「補助金をもらっているなら、政府の批判をするな」というこの圧力に対して、是枝監督自身が当時、朝日新聞に掲載されたインタビュー2018625日付)で、真っ向から反論している。
「芸術への助成を国の施しと考える風潮は映画に限ったことじゃない。大学への科研費もそうだし、生活保護世帯への攻撃も同じです。本来、国民の権利のはずですよね」
「補助金をもらって政府を批判するのは真っ当な態度なんだ、という欧州的な価値観を日本にも定着させたい。いま、僕みたいなことをしたら、たたかれることは分かっています。でも、振る舞いとして続けていかないと。公金を入れると公権力に従わねばならない、ということになったら文化は死にますよ」
 また、この是枝監督『万引き家族』が現役市議やネトウヨたちから一斉攻撃を受けた時は、タレントの松尾貴史氏や映画作家の想田和弘氏、映画評論家・町山智浩氏が攻撃を仕掛けた市議に対して、真っ当で鋭い批判を展開した。
〈芸術家に対する補助金とは「政権の都合の良い態度を取るものにのみ支給されるべきだ」という、歪んだ奇妙な考えの市議が、それを隠しもせず自ら拡散する臆面の無さ。安倍氏や林氏のポケットマネーと勘違いしているのか。国民が納めた税金だよ。この人の給料も、市役所ではなく市民が出してやっている〉(松尾貴史氏)
〈ちなみに、政権批判をする人間は政府から助成金を受け取るべきではないという考え方が愚劣かつ全体主義的であることは言うまでもない。政府=公共とは右から左まであらゆる考えや思想に包摂的であるべきで、右だろうが左だろうが基準を満たしメリットがあるなら当然助成金を得られるべき〉(想田和弘氏)
〈政府の助成金受けたら政府を批判すべきじゃないという人はソ連に行ったほうがいいですよ〉(町山智浩氏)

平和の少女像を
「反日プロパガンダの慰安婦像」と歪曲して攻撃する右派の愚劣

 しかも、今回の「あいちトリエンナーレ2019」への攻撃、圧力が問題なのは、こうした「芸術作品における表現の自由の侵害」という原則論だけではない。そもそも、攻撃理由が歪曲とヒステリーに満ちたフェイクそのものなのだ。
 その一つが、「平和の少女像」をネトウヨ政治家連中が「慰安婦像」と呼び「反日プロパガンダ」などと批判していることだ。芸術監督の津田大介氏も、オープニング前にメディアに語っていたが、この像の名前は「平和の少女像」であり、慰安婦像ではない。
 少女像を制作したキム・ソギョン、キム・ウンソン夫妻は、その意図を「週刊金曜日2016916日号のインタビューで「ハルモニ(おばあさん)たちの苦難の歴史、世界の平和と女性の人権のために闘うハルモニたちの意思まで込めようと思いました」と語っている。ソギョン氏はこう続けている。
「最初は碑石に文字を刻むイメージでしたが、人々と意思疎通することができ、ハルモニたちを癒すことができるような像を提案。二度とこのようなことが起こらないよう誓う少女と私たちが一緒に表現できればと思い、制作しました。(中略)人生の険しさを示す裸足の足は傷つき、踵が少し浮いています。これは置き去りにされた人、故郷に戻っても韓国社会の偏見や差別によって定着できなかった人たちの不安、生きづらい状況をも表現しました」
 制作者が語るように、少女像には、世界平和を願い戦争被害と女性の人権侵害という悲劇を再び起こさないようにという願いが込められている。実際、キム夫妻はベトナム戦争時の韓国軍による民間人虐殺の加害意識を正面から受け止め、その責任と謝罪の意味を込めた「ベトナムのピエタ像」も制作、2017年に韓国の済州江汀村に設置した。少女像が決して「反日のプロパガンダ」などではなく、戦争を憎み、犠牲者を悼み、そして同じ惨禍が起こらないよう、普遍の平和を希求する思いのもとつくられた「美術作品」であることの証明だろう。
 そして、あいちトリエンナーレが「表現の不自由展・その後」でこの少女像を展示したのも、本来の制作意図が無視され「反日プロパガンダ」として排撃されていることへの問題提起だったはずだ。
 ところが、ネトウヨばかりか、政治家までがそんなことをおかまいなしに「反日けしからん」と攻撃しているのだ。

「昭和天皇の肖像が焼かれた作品」に込められた真意もまったく無視

 そしてもうひとつ、いまネトウヨや和田議員らが血眼になって攻撃している「昭和天皇の肖像が焼かれた作品」についても、連中がいかに無茶苦茶なことを言っているかを指摘しておく必要があるだろう。
 そもそも、「昭和天皇の肖像を焼いた」などとして批判されている嶋田美子氏の作品「焼かれるべき絵」は、〈大元帥服〉を着ていることから〈昭和天皇と推定できる〉(「表現の不自由展・その後」公式サイトより)肖像の顔部分などが焼けて判別できないようになっている。批評家のアライ=ヒロユキ氏の解説によると、同作は、大浦信行氏の作品「遠近を抱えて」をめぐる検閲事件を契機に生まれたという(大浦作品は今回の「表現の自由、その後」にも展示されている)。
 大浦氏の「遠近を抱えて」(シリーズ)は昭和天皇をモチーフのひとつとするコラージュ作品だ。1986年、富山県近代美術館での「86富山の美術」展にあたって、県議会議員らから圧力を受けて図録が非公開にされた。そして富山県は1993年、作品の売却と残った図録の焼却処分を決定。その後も、2009年の沖縄県立博物館・美術館での「アトミックサンシャインの中へin沖縄」展でも館長によって展示が不許可にされている。
 つまり、作家が「表現の自由」を奪われ、その結果、権力が「天皇の肖像」を「燃やし」たという事実が背景にある。その意味において「昭和天皇の肖像を燃やす」というのは、単なる「反天皇制」という言葉に回収できない意味をもつと言える。燃やされたのは「匿名の責任」であり、その主体もまた「匿名の権力」だという解釈もできるだろう。
 いずれにせよ、作品を「不快だ」と感じるのは個人の受け止め方であって、自由だ。だが、それを「万死に値する」と恫喝したり、政治家が「撤去しろ」と圧力をかけるとなると、話はまるきり違う。連中がほざいているのは「不敬罪」そのものであり、そうした戦中の体制を是認することを含意している。
 過去から現在にいたるまで、政治や公権力によって芸術作品や作家たちは弾圧や検閲を受けてきたが、まして、現在の安倍政権下の日本では「政府批判」だけでなく「慰安婦問題」や「原発」「憲法9条」などについてまで、ありとあらゆるものがタブー化されつつあり、炎上攻撃の対象となっている。そのことを想起せずにはいられない。

Chim↑Pomが語った安倍政権下の検閲
放射能、福島、慰安婦などがNG

 あらためて強調するが、「表現の不自由展・その後」は、こうした美術作品に対する弾圧や検閲、自主規制について考えるもの、つまり〈自由をめぐる議論の契機を作りたい〉(同展公式サイトより)という思いを持つ企画なのである。作品を出展している現代美術集団のChim↑Pomは、同展公式サイトで〈ある国でのビエンナーレへの出品をキュレーターから打診された際に、主催者の国際交流基金よりNGが出た〉と明かし、このように語っている。
〈スタッフからオフレコとして理由を話してくれたのに、その内容を反映したバージョンとして今回作品を展示しちゃって本当に申し訳ないが、つまりは「安倍政権になってから、海外での事業へのチェックが厳しくなっている。書類としての通達はないが、最近は放射能、福島、慰安婦、朝鮮などのNGワードがあり、それに背くと首相に近い部署の人間から直接クレームがくる。」とのこと。〉
 今回の展示会には、「NGワードをぼかすような編集」を提案されたバージョンの作品を出したという。〈「今は我慢するしかない」との職員の悔しそうな言葉に戦前のような響きを感じた〉とChim↑Pomは言うが、まさにそうした状況が、今回の同展に対するネトウヨの炎上攻撃、和田議員や松井市長、河村市長、そして安倍政権の極右政治による剥き出しの圧力で、あらためて可視化されたわけである。
 もう一度言うが、「表現の自由」とは本来、権力による弾圧から人々を守るための概念だ。極右政治家たちは論外だとしても、作品を「撤去しろ」とがなり立てている一般の人々も、その行為が自分たちの「表現の自由」の首を絞めていることに気がつくべきだろう。
 本サイトが2日夜、「あいちトリエンナーレ」事務局に取材したところ、広報担当者は、クレームや政治的圧力について「現段階でどのように対応するは申し上げられない」とのことだった。芸術監督の津田大介氏は、昨日の会見で「抗議電話が殺到し、対応する職員が精神的に疲弊していること」などを理由に「内容の変更も含めた対処を考えている」とした(朝日新聞デジタルより)。抗議の電話は1日だけで約200件あり、テロ予告や脅迫と取れるものもあったという。
 しかし、だからこそ、こんな愚かな攻撃に決して負けてはいけない。そして、わたしたちもこの事態を前に、ただ沈黙や静観を決め込むのでは連中の思うつぼだ。いまこそ、卑劣なネトウヨや政治家たちの何倍も大きな声をあげて、「表現の不自由展・その後」の背中を強く押していく必要がある。
編集部

逮捕者まで出た
「表現の不自由展・その後」中止
渦中の河村名古屋市長が激白
「ワシにもfaxがきたよ」
201988日:週刊朝日

 愛知県で開催されていた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の中止が波紋を呼んでいる。

 同会場の愛知芸術文化センター(名古屋市東区)で「ガソリンだ」と言って警官に液体をかけたとして、愛知県警東署は87日、公務執行妨害の疑いで年齢不詳、室伏良平容疑者(自称)を現行犯逮捕した。室伏容疑者はヘルメットに作業服姿で他の男2人と会場を訪れ、「津田(芸術祭の芸術監督を務める津田大介氏)を出せ」などと騒いだという。

 騒動の発端は、名古屋市長の河村たかし氏が従軍慰安婦を象徴した「少女像」が展示されたことに反発して「展示を即刻、中止してほしい」と要請したこと。

 愛知県知事の大村秀章氏が河村市長の発言後、抗議が相次いだこともあり、主催者らと相談して中止すると発表した。だが、その余波が政治問題に発展している。
 
 大村氏が河村氏の発言に対して、記者会見で「憲法違反の疑いが極めて濃厚ではないか」「憲法21条の表現の自由は守られなければならない。河村さんは胸を張ってカメラの前で発言している。いち私人が言うのとは違う。公権力を行使される方が、この内容はよい、悪いと言うのは、憲法21条のいう検閲と取られてもしかたがない」「裁判されたらただちに負けると思う」と反論した。

 芸術祭の問題で愛知県知事と名古屋市長が激突し、問題がさらに拡大した。大村氏と河村氏はもともとは蜜月だった。09年に衆院議員から名古屋市長に転身した河村氏は、11年に衆院議員だった大村氏を誘い、愛知県知事選、名古屋市長選のダブル選挙で圧勝した。

 だが、その後は対立するようになり、最近でも名古屋城の木造建て替え問題では大村氏が「河村氏は裸の王様だ」と批判。ますます対立が深まっていた。そんな中に芸術祭の問題がぼっ発した。

 芸術祭は実行委員長が大村氏で実行委員長代理が河村氏。総事業費約12億円で、愛知県が約6億円、名古屋市が約2億円を支出。文化庁から愛知県に約7829万円の補助金が充てられるという。


 愛知県議がこう話す。

「過去3度、開催されているが、ほとんど愛知県が主導で丸投げのような感じ。少女像が展示されることも、早い段階で愛知県は知っていたはず。その前に実行委員会などで論議して、こんな大ごとになる前に回避できなかったのか。税金が投じられるイベントなので、リスクヘッジを考えなかったのか。大村知事の方にも問題がある。だが、今では知事、市長ともスイッチが入って非難の応酬だわ」

「憲法違反」と大村氏から指摘された河村氏は本誌に対してこう吠えた。

「誤解しちゃぁ、いかん。ワシは中止を要請、意見をしただけで権力を使ってやめさせたわけじゃない。中止を決めたのは大村氏だ。本来なら、ワシが意見を言った段階で、臨時で実行委員会でも開催して、作者も含めて、話し合うのかと思っていた。だが、実行委員長代理のワシに相談なく、大村氏は中止を決定。その時、京都の放火事件をほのめかすようなFAXがきたので、混乱を避けるとか言っていた。ワシにも同じような文書がきとるよ。だから、ワシの自宅にも警察が来て、警護するなど大変だった。話し合いは民主主義の根幹。それもわからん大村氏がわしが憲法違反だなんて、何を言っとるのか」(今西憲之) 

週刊朝日オンライン限定記事


愛知の不自由展、大阪に飛び火
 知事に市長「言い過ぎ」
201988日:朝日新聞

 大阪府吉村洋文知事が、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会会長を務める愛知県大村秀章知事について「辞職相当」と発言したことについて、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は8日、記者団に「言い過ぎだと思う」と語った。
 吉村氏は維新の常任役員でもあり、同党トップが「軌道修正」を図った格好だ。
 吉村氏は7日の定例記者会見で同芸術祭で企画展「表現の不自由展・その後」が中止となったことを巡り、慰安婦を表現した少女像の展示などについて「反日プロパガンダ」だと指摘。大村氏が展示内容を容認したとして、「知事として不適格じゃないか」などと批判していた。
 松井氏はこの日、大村氏について「(知事を)辞めるまでの話ではないが、説明責任はある」と記者団に語った。(楢崎貴司)

「展示中断」された平和の少女像、
SNSで「小さな少女像」として復活
201989日:ハンギョレ新聞

「独りにしない」SNSで今年初めから始まる 
トリエンナーレ展示場で撮った写真も掲載される 
「ガソリンを持ってお邪魔する」
脅迫のファックスを送った男性を逮捕
「あいちトリエンナーレ2019」に展示された「平和の少女像」のそばの椅子の上に置いて撮った
小さな少女像=SNSよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 日本最大規模の国際芸術祭である「あいちトリエンナーレ2019」で「平和の少女像」(少女像)が開幕から3日後に展示中止されたことをめぐり、波紋が広がる中、日本の市民がミニチュア少女像を撮影した写真をSNSに掲載し、共有する運動が注目を受けている。
 日本の市民団体である「韓国併合100年東海行動」は今年初めから、「小さな『平和の少女像』を広げるキャンペーン」を行っている。キャンペーンの参加者らが、ミニチュアの少女像と写真を撮り同団体に送れば、フェイスブックやブログに掲載する。これまで120枚の写真が集まった。
 同団体は、キャンペーンへの参加を希望する人に作品費用だけ受け取り、小さな平和の少女像を送ることも行っている。キャンペーンの趣旨が少しでも多くの日本人が少女像に触れるようにすることだからだ。ミニチュア少女像は横と縦それぞれ13センチメートルで、持ち運べる程度に小さいものだが、在韓日本大使館の前に置かれた平和の少女像と同じ形だ。
 市民たちは自宅前や旅行先、バスの中、コンサート会場で撮った写真などをこの団体に送った。少女像が出品された「表現の不自由展・その後」の企画展示の最後の日となった今月3日に、少女像の隣にミニチュア少女像を載せて撮った写真が、フェイスブックに7日に掲載されたこともあった。同団体は広報映像で、「二度と(少女像と慰安婦被害者を)独りにしない。ハルモニ(おばあさん)たちの話が広がり、多くの人が連帯してほしい」と明らかにした。「不幸な歴史に向き合い、二度とこのようなことが繰り返されないことを祈る」という内容も含まれた。
タンポポのそばに置かれた少女像=SNSよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 一方、大衆的に広く愛されている日本の代表的な現代美術家である奈良美智氏(60)が、「平和の少女像」が出品された「表現の不自由展・その後」の企画展が中断されたことを批判する意味を伝え、大統領弾劾を貫いた市民の力に言及し、「韓国はいい国だと思った」と綴った。
 ツイッターで自身を「NOWAR! NO NUKES! LOVE & PEACE! ☆」と説明している彼は、今月3日の「表現の不自由展・その後」の展示中止以来、「愛知県で強制撤去させられた平和の少女像。よくわからないニュースだと思った若い子。必読」というツイートや、主宰側の愛知県に「表現の不自由展・その後」に関する脅迫ファックスを送っていた容疑である男性が逮捕されたという記事もリツイートし、検閲を批判するメッセージを添えた。彼は天真爛漫で反抗的な表情の幼い少女や猫のような可愛い動物を描き、全世界で愛されている。
東京/チョ・ギウォン特派員、イ・ジュヒョン記者(お問い合わせjapan@hani.co.kr)

愛知企画展中止
 主催する側にも甘さがあった
201989日:読売新聞

 公的な性格を持つ芸術祭の運営に、問題を投げかけたと言えよう。
 愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展の一つ「表現の不自由展・その後」が、開幕からわずか3日で中止となった。
 いわゆる従軍慰安婦を象徴する少女像に対し、「撤去しないとガソリン携行缶を持ってお邪魔する」と書かれたファクスなどが送りつけられた。芸術祭実行委員会会長の大村秀章愛知県知事は、安全上の観点から中止を決めた。
 表現活動をテロや脅迫で封じ込めようとする行為は、断じて許されない。まず、このことを明確にしておきたい。
 ファクスを送りつけた男は、威力業務妨害容疑で愛知県警に逮捕された。警察は引き続き、悪質な行為に厳しく対処すべきだ。
 芸術祭は県や名古屋市が運営に関与し、予算も支出している。企画展には、少女像のほか、昭和天皇の肖像を用いた作品を燃やす映像もあった。特定の政治的メッセージを感じさせる作品だった。
 芸術作品における表現の自由は最大限、尊重されなければならない。ただ、行政が展覧会の運営に関わる以上、展示する作品やその方法について一定の責任を負うことも確かだろう。
 不特定多数の鑑賞者が想定される展覧会で、政治性の強い作品を、それを批判する側の視点を示さずに、一方的に展示すれば、行政が是認している印象を与えかねない。作品を不快に感じる人たちの反発をあおる可能性もある。
 今回の展示作品は、過去にも論議を呼んできた。
 憲法9条を詠んだ俳句は公民館だよりへの掲載を拒まれ、裁判で不掲載が違法とされた。昭和天皇をモチーフにした作品は、激しい抗議行動があり、公立美術館が管理運営上の理由で非公開とした。その判断は裁判で是認された。
 大村氏は「とんがった芸術祭に」と要望し、芸術監督を務める津田大介氏に企画を委ねた。展示作品が物議を醸すことが予想されたのに、反発を感じる人への配慮や作品の見せ方の工夫について、検討が尽くされたとは言い難い。
 河村たかし名古屋市長は開幕後に少女像の展示などを批判したが、自らも実行委員会会長代行の立場にあったのではないか。
 主催者側の想定の甘さと不十分な準備が、結果的に、脅迫を受けて展覧会を中止する前例を作ったとも言える。その事実は重く受け止めなければならない。

(耕論)
芸術祭、噴き出た感情
 黒瀬陽平さん、宮台真司さん、唐澤貴洋さん

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