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麻生太郎副総理兼財務相金融担当相が、「内容が気に入らない」と「受け取らない」と宣言した「報告書」、最初は麻生も内容を肯定したにもかかわらず、「2000万円」が、クローズアップされると一転「国民に誤解を与えた」と火消しに躍起だ。このトンチンカンが、ABE・麻生から全国に天下って、さらにその悪徳は国境を越えて浸潤している。その果てが、マラッカ海峡でのタンカーへの攻撃だ。ABEが呼び込んだ被害に犠牲者は出なかったが、日本への強烈な警告をABEは受け止めることができるだろうか…。今回もごまかしと言い逃れで済まそうとしているが、そのことで損なわれる「国益」は取り返しがつかない。


「年金細り、バクチまで!」
老後2千万円、専門家の指南
2019615日:朝日新聞


 「老後の生活費として2千万円の蓄えが必要」。こんな前提に立ち、年金では足りないと資産形成を呼びかける金融庁審議会の報告書について、議論が沸騰しています。なぜ、これだけ注目を集めたのか。老後のお金の不安との向き合い方は。経済ジャーナリスト荻原博子さんに聞きました。


2千万円に「聞いてないぜ!」


 ――今回の議論をどう見ていますか。
 老後のお金について、不安を抱えている人は多いでしょう。そうした中、報告書によって、年金ではやりくりできないことを知り、2千万円という具体的な額を突きつけられた人たちが憤ったのです。2千万円は大変な額です。待遇面で課題のある非正規雇用も広がっています。「聞いてないぜ!」と怒りがわいてくるわけです。
 年金の「100年安心」というキーワードは、「私が十分暮らしていける額の年金を、ずっともらえる安心」という趣旨で伝わっています。ところが今回の報告書の議論を受け、安倍晋三首相が、「マクロ経済スライド」という年金の抑制策について触れて「100年安心」を強調したように、どうやら制度としての持続性だったらしいことに気づいた人もまた、怒りを覚えているのでしょう。
 ――報告書では、「毎月の赤字額は約5万円」で、30年分の不足分として2千万円と指摘しています。これは、総務省の2017年の家計調査をもとに高齢無職世帯の平均像を出したものですが、数字自体は目新しいものではありません。
 私はこの報告書を、投資へ向かわせるためのものと読みました。だからこそ、「年金では足りない」「30年で2千万円不足」というメッセージを発し、脅しているのでしょう。ところが、今回の報告書には盛り込まれていませんが、46%の顧客が運用で損をしているという金融庁の分析もあります。年金が頼りにならない上に、そんなバクチをさせるのかと、これまた憤るのではないでしょうか。
 2千万円という額に踊らされてはいけません。モデルとなった世帯の支出は、食費が約6万4千円、住居費が約1万3千円です。どうでしょうか。家庭によって、実情は千差万別のはずです。


年金は破綻(はたん)しない


 ――年金だけで生活できないことを知り、年金制度への不信感を口にする人もいます。
 年金制度そのものは崩壊しません。公的制度ですから、場合によっては、保険料を上げる、受給額を減らす、加入者を増やす、そうした手段をとることで持続させます。また、年金制度には、「遺族年金」や「障害年金」といったセーフティーネット機能もあります。多くの保険料を支払う年金です。ぜひ、そうした仕組みがあることも知ってほしいと思います。


医療と介護費用は、2人で1300万円


 ――お金はどのくらい必要なのでしょう。
 まず、年金や給与などの収入、そして支出を書き出して、家計を把握することが必要です。それで差額分があるのであれば、収入に見合った生活にする。それが基本です。
 リタイアして、すでに年金を軸に暮らしている70〜80代の人は、教育費や住宅ローンを払い終わっているならば、それほど心配はいりません。ただ、体調を崩した時のことは気がかりだと思います。
 医療費については、公的医療保険の枠組みで、年齢や所得に応じて負担額に上限を設けた「高額療養費制度」があります。70歳以上で、年収156万〜約370万円の場合、上限額は世帯ごとに月5万7600円に抑えられます。数千万円の医療費を使っても、です。また、入院期間も限られています。そうなると、一般的には夫婦2人で200万〜300万円を用意していれば十分とされています。
 介護に必要なお金も、人それぞれです。ただ、生命保険文化センターの調査では、1人平均で約500万円。2人だと1千万円です。医療費とあわせ、夫婦2人で1300万円程度が、もしもの際の目安になるのではないでしょうか。平均的な退職金で賄える金額です。
 それでもお金が工面できない場合は、自宅を売って住み替えることも視野に入れるべきです。よりコンパクトな住まいを買うことで、差額分を生活費に充てることもできます。
 定年を控えた世代が検討すべきは、働き続けて一定の収入を確保し続けることです。本人に働く意思があるなら、生きがいにもつながるはずです。
 定年世代や、それより上の高齢世代は、基本的に投資に目を向けるべきではありません。例えば、毎月配当をもらえる分配型の商品は、タコが足を食べるように配分することがあります。それを「年金」のように勘違いして買ってしまう例もあります。複雑な仕組みのものも多いので、証券会社に勤務していたなど知識がある人たち以外、投資は避けた方がいい。


40〜50代はつらいよ


 ――働く世代は、どうしたら?
 40〜50代は、住宅ローンや子どもの教育費を抱えています。家を買い、子どもを大学に行かせないといけないと思い込んでいる。まずは、本当にその必要があるか見極めてください。
 その上で、住宅ローンについては、月払いにすることです。ボーナス払いをあてにすると、家計が放漫になりがちです。すべて月払いとすることで、家計が筋肉質になります。その上で、ボーナスにも余裕があるならば、繰り上げ返済をすべきです。
 子どもの教育費については、私立か公立かにもよりますが、1千万円程度とされています。これについては、もしもに備えて必要額分の生命保険に入っておくことも一案でしょう。


在庫管理」がポイント


 ――家計のやりくり方法は、どう考えればいいのでしょう。
 食事や日用品、衣類などのやりくりのポイントは「在庫管理」です。冷蔵庫に何が入っているか、洗剤は残っているか、どんな服を持っているか。把握をしていないと、無駄な買い物につながってしまいます。
 私がすすめるのは、スマホなどで写真を撮っておくことです。冷蔵庫の中身を撮っておけば買い物の際に役立ちます。撮っても何が写っているか分からないくらい入っているなら、買わなくても料理はできます。同じような洋服を買うこともなくなるでしょう。
 あとは、通信費も見直すべきです。ご自身の使い方にあわせて、どんなプランなら支払いが安くなるのか、定期的に尋ねてみればいいのです。プランに納得すれば、変えればいい。あるいは、格安スマホに乗り換える手もあります。
 ――民間保険については?
 最低限に絞るべきです。最たるリスクは、稼ぎ手が亡くなった時に収入が途絶えることでしょう。こうした場合、公的な遺族年金がありますが、教育費までは賄えません。そこで、教育費分を生命保険でカバーすることが、私の考える最低限です。それ以外は、必要ないとさえ思っています。


報告書の拒否 逃げて不安を広げるな

2019614:東京新聞


 老後は年金以外に二千万円不足すると試算した金融庁の報告書が宙に浮いている。与党・自民党も国会審議から逃げている。報告書をないものにしたいのだろうが、年金制度の問題はなくならない。
 年金制度の実情説明から逃げ回っていてはかえって不安を拡大させることになる。政府・与党はそれを自覚すべきだ。
 麻生太郎副総理兼金融担当相の報告書受け取りの拒否は、理解に苦しむ。
 「制度自体が崩壊するかのごときに思われるような表現になっていた」「これまでの政府の政策スタンスとは違う」と麻生氏は言う。
 報告書は年金制度が維持できても十分な給付が得にくくなると言っている。
 厚生労働省が五年前に公表した年金の財政検証では、経済状況によるが今後百年間で現役世代の手取り平均収入の半分の給付水準は維持できる。ただし、水準はそこに向かって徐々に目減りすると示した。報告書と矛盾しない。
 むしろ政府は報告書を受け取った上で考えを堂々と主張すればいいのではないか。迫る参院選への影響を考え、報告書自体をなかったことにしたいのだろう。
 年金制度への関心の高まりは改革論議のチャンスだ。政府の対応はあまりに無責任である。
 自民党の姿勢も疑問だ。
 森山裕国対委員長は「報告書はないから審議の対象にならない」と、野党が求めている集中審議を拒否した。
 政府が報告書を受け取らなかったとしてもそこに指摘されている事実や問題点は変わらない。
 政府は国会に対し年金制度の実情を説明する責任がある。国会もその機会を奪ってはその責務を果たすことにはならない。国会会期末まで時間がある。審議を求める。
 野党にも言いたい。
 「年金不安」として参院選で政府・与党への攻撃材料になると考えていないか。だが、社会保障の議論は与野党関係なく社会の支え方を考える問題である。政争の具にすべきではない。
 二〇一二年に旧民主、自民、公明三党がまとめた「社会保障と税の一体改革」は、それを政治の駆け引きに使わず問題意識を共有して制度改正につなげようとの改革だった。それを忘れてほしくない。

 国民は「制度がどうなっているのか」をまず知りたい。そして「どうすればいいのか」を聞きたい。そこに向かって建設的な議論をしない限り不安は消えない。


「もうないわけですから」

「老後赤字」で自民国対委員長
公文書 なかったことに?
2019614日:東京新聞・こちら特報部


 「老後の蓄えに2000万円必要」と金融庁の審議会がまとめた報告書を、自民党の森山裕国対委員長が「もうない」と繰り返している。そして、「ないから審議になじまない」という理屈で野党が求める予算委員会の開催を拒否した。しかし、報告書は公文書。内容が気にくわなくても、なかったことにはできない。こんな強弁は許されない。
                        (石井紀代美、片山夏子)
予算委開催応じず


 「この報告書はもうないわけですから。なくなっているわけですから、予算委にはなじまない」。自民党の森山氏は12日、野党が求める衆参両院での予算委員会の開催を拒否し、記者団にこう理由を説明した。
 報告書は金融庁の審議会に設けられた「市場ワーキング・グループ」という作業部会がまとめた。公的年金の不十分さを認める内容と受け取られて「炎上」した。例のあれだ。


受け取り拒否でも存在 金融庁HPにも


 麻生太郎副総理兼金融担当相受け取りを拒否し、森山氏に至っては、存在すら消してしまった。しかし、まとめたものを無くすことはできるのか。試しに13日、金融庁のホームパージ(HP)をのぞいた。
 あるじゃないですか。しかも目立つところに。
 金融審議会の「答申・報告書等」という項目の、一番上にファイルで保存している。公表日は63日、20189月から計12回にわたり、検討して取りまとめた報告書との説明書きが添えられていた。
 「もうない」発言と金融庁のHP。どう理解していいのか分からず、金融庁に問い合わせた。広報担当者は申し訳なさそうに「多忙すぎて対応できる人がいない」。一連のすったもんだで担当課員は政治家や関係者らへの説明に飛び回っているとのことだった。
 仕方がないので「こちら特報部」で各種の資料を集めて調べた。
 作業部会のメンバーは、大学教員や弁護士、投資会社やシンクタンクの代表者ら計21人。財務省や厚生労働省などの関係省庁、銀行、生命保険、投資信託などの業界団体もオブザーバー参加し、事務局は金融庁市場化が務めた。
 この部会は「市場・取引所を巡る諸問題に関する検討」をするために、麻生氏の諮問を受けて設置された。麻生氏は専門家に意見を求めながら、答えを聞かない、という態度に出たことになる。
 行き場を失った報告書。その扱いはどうなるのか。受け取ってもらえなくても、保管が必要な「公文書」だということには変わりないのではないか。
 「ほぼ間違いなく公文書です」。内閣府公文書管理課の畠山貴晃課長はこう答える。同課は国の公文書管理制度を所管している。
 公文書とは「行政職員が職務上作成・取得をし、組織的に用いる文書」と法で定められている。畠山課長はこちらの考えた通り、「公文書に当たるかどうかは、法律の定義を満たしているかどうかで決まる。各省庁の審議会がまとめる報告書については、相手が受け取るかどうかは関係ない」と説明する。
 その保存期間は、金融庁の規則に定められている。「審議会等文書」のうち「中間報告」「最終報告」「議事録」は10年。しかも満了後の扱いは、一部を除いて「移管」となっている。どうやら国立公文書館に長く保存されるようだ。
 つまり、報告書は「ある」し、、今後も残る。自民党の要職を務める政治家とはいえ、「ない」ことにするのは許されない。森山氏の発言は、国会、国民、国を侮っている。


「一強」の奢り また露呈
日報隠し、公文書改ざん
言い逃れ体質「やり方同じ」


「報告書はないというが、言葉の使い方がおかしい。大臣が受け取っても受け取らなくても、報告書が出ていることは否定できないし、公文書であることは間違いない」
 公文書管理に詳しい成城大非常勤講師瀬端源氏(日本近現代史)は森山氏の発言を批判する。
 諮問しておきながら報告書の受け取りを拒否した麻生氏の姿勢にも疑問を感じる。「報告書を受け取った上で、内容を正々堂々と批判すればいい。審議された過程も結果も公表されている。今さら報告書をなかったことにはできない」
 自衛隊のスーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠し、森友・加計学園を巡る公文書改ざん。瀬畑氏はこういった問題を次々と挙げる。今回も含め、いずれの問題でも政府・自民党の公文書に対する意識の低さが共通している。瀬畑氏はそう感じている。
 「文書管理上の問題としては今回は性質が違う。しかし、問題が発生して証拠が挙がっているのに、それに対して正面から答えないやり方は同じだ。こうやって言い逃れし続ければ、国民は忘れると思っているのだろう」


「ノーと言わない国民にも問題」


 そんな態度を許しているのは、国民にほかならない。瀬畑氏は「NO」の声が上がらないことも問題と考えている。
 むちゃな発言が出るのは、参院選が間近に迫っているため。こう推察するのは、政治アナリストの伊藤敦夫氏だ。「不都合な真実が今、明るみにでるのはまずい。何が何でもなかったことにしたいんだろう」
 伊藤氏は、3年ほど前からこんなごり押しがまかり通るようになったと指摘する。この時期に「それまでは自民の一強と野党の他弱だったのが、『安倍一強』と言われるようになった」と説明する。
 そしてどうなったか。伊藤氏は「霞が関の官僚の忖度や不祥事、政治家の暴言や失言が頻発しても、内閣の支持率は一瞬下がるだけ。すぐ回復する。国民にしてみれば他に選択肢がなく、支持しているわけではない。だが、何が起きても痛くもかゆくもなくなった」と語る。政権運営から緊張感が失われ、その延長線上で「もうない」発言があったと考える。
 さらに、今回の報告書を巡る騒動が、他の審議会に影響を与えないか、伊藤氏は心配する。「珍しく、役所が忖度しない報告書だった。今回のように否定されてしまうと、今後、政治に忖度しない報告書が一切出てこなくなる可能性がある」
 専修大の岡田憲治教授(政治学)は、「もうない」発言に憤りを隠せない。
 「行政文書をなかったことにし、歴史を改ざんするジョージ・オーウェルおSF小説があった。まさにそれが起きた」。その小説は「1984年」。核戦争後の監視社会の中で、政府は日々、歴史の改ざんを続けていた。
 岡田氏は、今の日本と小説の舞台を重ね、「こんなことがまかり通れば、どんな事実もなかったことにできる。そして、政府が決めたことには、どんなことでも従えということになる。これは100%全体主義だ。近代政治、民主主義の基盤を崩すものだ」と強く批判する。
 そして、野党、国民がここまでの「でたらめ」を許してきたと訴え、危機感をあらわにする。
 「問題があっても誰も何も責任を取らない。ずっと繰り返しているのに見逃し、何回も選挙で勝たせた。このままでは議論するという前提が失われ、政治が消滅する。ここまで来たら、政府のメンバーを取り換えるしかない」


デスクメモ
 給与明細を見る。所得税、住民税と並んで厚生年金がずしっと重い。こんなに引かれていても、本当にもらえるのか。50を過ぎても心配だ。若い人ならいっそう不安だろう。報告書をないことにしても、年金は100年安心にならない。この際だから、しっかり議論してもらいたい。     (裕)


【吉田茂という反省】

憲法9条にみる
吉田茂が「憲法に犯した過誤」
2019614日:夕刊フジ


 令和となって、上皇ご夫妻となられた平成時代の天皇、皇后両陛下は、象徴天皇として務めを果たすとして、全国民から慕われる天皇、皇后両陛下になられた。まさに国民統合の象徴として、大徳を築かれた。
 ただ、「象徴天皇」ということを話されるとき、「だから国の元首ではない」というように聞こえるときがあった。憲法学からすれば、象徴であるゆえに元首であらせられていたのだ。にもかかわらず、政府は現在、天皇陛下が元首であるということをはっきりとは言わない。これも、吉田茂首相の下で、内閣法制局がしっかりしなかったからだ。
 現行憲法を占領軍の押し付け憲法だというが、その大本になった連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官、ダグラス・マッカーサーの3原則では、筆頭に「天皇は国の元首の地位にある」とあった。そうしてGHQ内でできた、いわゆる憲法改正のマッカーサー草案をマッカーサーに提出する際に添付された作成報告書にも、天皇は儀礼的としながらも元首であるとはっきり記してあった。
 つまり、押し付け憲法としては「天皇は元首であった」のであり、ヨーロッパの例を踏まえても、「象徴であるということは元首である」ということなのだ。
 にもかかわらず、日本の内閣法制局がそう明確に言わないのは、吉田の作り上げた内閣法制局が、敗戦利得者の詰めた役所になっていたからだと確信している。
 吉田の憲法に犯した過誤は第9条に大きく現れ、いまなお日本国を大混乱の中に陥れている。
 押し付け憲法としては、例の「芦田修正」によって、自衛戦争に限っては日本は戦力も交戦権も保持できるようになったと占領軍は理解し、それを容認したことを、吉田は十分に知っていた。
 だが、占領末期の昭和25(1950)年6月、米国務省顧問のジョン・F・ダレスが対日講和条約交渉特使として日本にやってきて再軍備を要求したとき、吉田は憲法は自衛戦争のためにも戦力や交戦権は持てないという解釈を変えなかった。だったら、憲法改正に踏み切るべきであった。
 実は、マッカーサーは同22(47)年、憲法が国民の自由意思に基づいてできたことを明確にするため、国会で再検討するよう指示を出していた。再検討として憲法改正は極めて容易であったのだ。
 しかし、吉田はそのどちらもしなかった。
 理論的に物事を考えるより、感情的に反応することが多かった吉田は、ダレスの「再軍備しろ」という要請を断って、憲法改正もせず、正式な軍隊を作らないままに終わった。
 そのことが、今日も日本を途方もなく混迷に陥れているのである。とても、大宰相とはいえない。=敬称略


 杉原誠四郎(すぎはら・せいしろう) 教育研究家、日本近現代史研究家。1941年、広島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。城西大学教授、武蔵野大学教授を務めた。新しい歴史教科書をつくる会顧問。著書・共著に『外務省の罪を問う』『保守の使命』『吉田茂という反省−憲法改正をしても、吉田茂の反省がなければ何も変わらない』(いずれも自由社)など多数。


[特派員コラム]
朝・日の首脳は会えるだろうか
2019613日:朝鮮日報

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1990928,金日成主席(中央)が訪朝した金丸新自民党副総裁()、田辺誠社会党副委員長と

労働党、自民・社会党の3党宣言に署名をした後握手している//ハンギョレ新聞社


 1990924日、自民党の金丸信議員と社会党の田辺誠副委員長が北朝鮮を電撃訪問した。198687年に副首相を務め、日本政界の実力者として君臨した金丸氏は、926日に妙香山(ミョヒャンサン)で金日成(キム・イルソン)主席と会談した。訪朝最終日の928日、自民党と社会党、そして北朝鮮の朝鮮労働党は「3党共同宣言」を発表した。共同宣言には「3党は、かつて日本が36年間にわたり朝鮮人民に加えた大きな不幸と災難、戦後45年間に朝鮮人民が負った損失に対して公式的謝罪をし十分に補償しなければならないことを認める」と宣言した。さらに「両国間に存在している非正常的状態を解消し、できるだけはやく国交を樹立しなければならないことを認める」「在日朝鮮人が差別を受けずに、その人権と民族的なすべての権利、法的地位が尊重されるべきで、日本政府はこれを法的に保証しなければならないことを認める」と宣言した。

 29年前の金丸氏の電撃訪朝の背景には、冷戦の解体という時代の流れがあった。3党共同宣言の二日後の930日、韓国はソ連と国交樹立した。一年後の1991年には、ソ連が解体された。しかし、国交樹立は成り立たなかった。3党共同宣言に明示された公式的謝罪と補償に対して、日本国内では「屈辱外交」という非難が起きた。1992年には右翼団体会員が講演会に参加した金丸氏に向かって銃を撃つ事件も起きた。幸い銃弾ははずれたが、衝撃的な政治家襲撃事件として今も記憶される。日本人拉致問題も朝日国交正常化がなされない原因だった。
 北朝鮮と日本は、2002年に再び国交正常化のために大きく動いた。小泉純一郎首相が平壌を訪問し、金正日(キム・ジョンイル)北朝鮮国防委員長と会談した。金正日委員長は、日本人拉致問題について認め謝った。2002年に北朝鮮と日本が発表した「朝日平壌宣言」に「(北朝鮮は)両国の異常な関係の中で発生したこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」という表現を入れ、間接的に日本人拉致問題に言及した。2002年の平壌共同宣言の背景には、ジョージ・ブッシュ米国政府の対北朝鮮強硬政策があった。ブッシュ大統領はその年の129日、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しした。小泉訪朝と「平壌宣言」を主導した日本総合研究所傘下国際戦略研究所の田中均理事長は「当時、北朝鮮は米国が攻撃しないだろうか恐れていた。北朝鮮が当時日本と交渉した理由には安全保障の問題も関わっていた」と回顧した。
 安倍晋三首相は先月から「条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と会いたい」と話している。安倍首相は、以前は北朝鮮に対して「最大限の圧力」だけを叫んだが、ドナルド・トランプ米大統領が20183月に韓国の仲裁で朝米首脳会談を決断すると、いちはやく態度を変えた。

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チョ・ギウォン東京特派員//ハンギョレ新聞社


 昨年6月の初の朝米首脳会談以後の1年は、そのような意味で国際政治の冷静さを実感できる時間だった。北朝鮮と日本は、時代が大きく変化する度に会ってきたが、国交正常化という実は結べなかった。安倍首相の今回の提案が受け入れられるかも未知数だ。今月7日、東京の日比谷公園野外音楽堂で日本の市民が「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を」というテーマの集会を開いた。集会参席者は、日本政府と北朝鮮の対話を促しながらも「安倍首相は足もとを見なければならない。朝鮮学校の高校無償化教育除外のような在日朝鮮人差別があってはならない」と話した。

チョ・ギウォン東京特派員(お問い合わせjapan@hani.co.kr)


米紙「安倍氏は初心者」と報道
 タンカー攻撃、痛い教訓得た
2019615:東京新聞


 【ワシントン共同】米紙ウォールストリート・ジャーナルは14日、安倍晋三首相のイラン訪問中に日本のタンカーが攻撃を受けたことに絡み「中東和平における初心者プレーヤーが痛みを伴う教訓を得た」との見出しで報じた。トランプ米大統領が今回の訪問に謝意を示す一方、米国内に日本の中東外交への冷ややかな見方があることを示したと言える。
 同紙は、タンカー攻撃で緊張が高まる中東情勢を踏まえ「日本の指導者による41年ぶりの訪問を終え、米国とイランの対立関係は以前より不安定になった」と論評。「米イランの橋渡し」を目指した訪問と紹介したが、訪問の成果に関する言及はなかった。

13日にイランの最高指導者ハメネイ師との会談した後、取材に応じる安倍首相(左)
=テヘラン(共同)


防衛省のイージス・アショア失態、
玉川徹が原因を喝破!
米国のために買わされた、
防衛省も「いらねえ」と思ってる
2019612日:LITERA


「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」という安倍首相の主張は一体なんだったのか。安倍政権が秋田県秋田市と山口県萩市を配備候補地として導入を進めている地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をめぐる、杜撰極まりないデータ問題と、防衛省職員の居眠り問題の件だ。

 防衛省は527日に配備候補地である秋田市の陸上自衛隊新屋練習場が「適地」であることを示した「適地調査」の報告書を公表。そのなかで他の国有地19カ所が適地かどうかを検討していたが、そのうち9カ所で山を見上げたときの角度を示す「仰角」を過大に記載していることを地元紙・秋田魁新報がスクープ。この報道を受けて防衛省は、報告書の作成者がGoogleEarthを使って断面図をつくったとし、〈起伏を強調するために図が縦方向に拡大されていることに気づかないまま、代替地から山までの距離と山の高さを定規で測り、三角関数を使って仰角を割り出した〉(朝日新聞デジタル8日付)と認めたのだ。

 この報告書では秋田市の新屋練習場が東日本で「唯一の適地」としたものだが、いい加減な手抜き調査で配備地を秋田市に押し付けようとしていたのだ。その上、この重大問題が発覚したあとの住民説明会で防衛省職員が居眠りしたとなれば、住民の怒りは如何ばかりのものか。
 いや、そもそもこんな杜撰な調査で配備地を決めようとしていたことは、安倍政権が声高に叫ぶ「国防」とやらはこの程度の意識でしかなかったということを証明している。前述したように、安倍首相はこのイージス・アショア導入の必要性について「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」と繰り返し強調し、勇ましく吠えてきたが、その実態がこの適当さである。
 だが、それもある意味、当然だろう。このイージス・アショア配備の理由は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に備えるため、ということになっているが、それは後付け。日本政府はアショアと同性能のイージス艦8隻体制を進めており、イージス・アショアの配備は不要なのではないかと指摘されてきた。つまり、トランプ大統領のご機嫌取りのためにホイホイ購入したにすぎない。
 事実、トランプ大統領をはじめとして関係国が北朝鮮との対話路線に転換し、「北朝鮮の脅威」を叫べなくなった安倍首相は、今年2月の衆院予算委員会において、イージス・アショアの必要性についてこんな主張をはじめた。

「まさに陸上においての勤務となる。これは(イージス艦とは)大きな差なんですよ!全然ご存じないかも知れませんがね。あの、いわば、ずっと外に出ている、1カ月間とか出ているということとですね、いわば、これは自分の自宅から通えるわけですから。勤務状況としては全然違うんですよ」
「実際にみなさん、勤務したことないから、そういうことおっしゃっているんだろうと」

 そう言う安倍首相はいつイージス艦に勤務したのかよと言いたくなるが、ようするに安倍首相は、「自宅から通えるようになる」ためにイージス・アショアを購入すると言っているのである。トンチキにも程があるだろう。


国民に2000万円貯めろと言いながら、
米国守るだけのアショアに8000億円を


 しかも、問題はその値段だ。当初、イージス・アショアは1基あたり約800億円とされていたが、今年になって関連費用含め2基で2350億円と発表。しかし、発表された「2350億円」は発射装置や施設整備の費用を除いた金額であって、実際には〈基地建設費なども含めれば8000億円近くに達する見込み〉(「週刊朝日」2018119日号/朝日新聞出版)とも言われている。
 国民には「長生きしたければ2000万円貯めておけ」と要求しながら、トランプには8000億円も貢ぐ──。その上、重要なのは、このイージス・アショアはじつのところ、「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」ではなく、アメリカを守るためのものだと言われていることだ。
 たとえば、防衛省報告書の杜撰データ問題をスクープした秋田魁新報による「イージス・アショアを問う」というシリーズ企画によれば、米国の代表的シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は、昨年5月に発表したレポートのなかで「(アショアは)米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たしうる」としている。
 実際、秋田市は北朝鮮とハワイを結ぶ直線上に、萩市はグアムを結ぶ直線上にそれぞれ位置している。2017810日の国会閉会中審査では、当時の小野寺五典防衛相が、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを発射した場合、「米側の抑止力・打撃力が欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとも言えない」として集団的自衛権を行使できると答弁。安倍政権はあきらかに、米国の防衛を重視して超高額なイージス・アショアを買い、それを秋田市と萩市に押し付けようとしているわけである。
 8000億円とも言われるイージス・アショアの導入は、日本国民の命を守るためではなく、トランプ様に貢ぎ、アメリカ様を守るため……。あまりにバカバカしすぎて言葉を失うが、そうした背景が今回の杜撰データ問題と居眠り問題を引き起こしたのではないかと批判する声もある。


玉川徹
「合理性なくても米国が『買え』と」「F35も欠陥指摘されてるのに」


 10日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、玉川徹氏が秋田市と萩市が配備候補地になっていることについて、やはりハワイとグアムを守るためではと指摘した上で、「北朝鮮(からの攻撃)を想定すれば、(地上型のアショアより)イージス艦のほうがいい」とし、「防衛省としても別にこんなもんいらねえのに、政治が決めたからやらないといけないけど、でも住民説明会はやらなくちゃいけなくて『しょうがねえなあ』と思った感じが、あの居眠りかなと」と、防衛省の本音を推測。こうつづけた。
「『買え』ってことですよ、アメリカから。日本で合理性がなくても買えと。(世界で最初にイージス・アショアを導入した)ルーマニアは、アメリカが(金を)出している」
「日本が『買う』と言うところが重要なんです。戦闘機も100機、日本は『買う』。F35が落ちちゃっているわけです。いろいろな欠陥が指摘されていて、アメリカはF35より古いF15をいっぱい買うことを決めている」
 しかも、こんな状況になっても、岩屋毅防衛相は11日、「秋田市の新屋演習場が配備候補地として「適地」であるとの考えに変わりはない」と強調している。
 安倍首相によるトランプに気に入られたいという尻尾振りによって武器を大量購入し、地域住民の不安や自衛官の身の安全は一顧だにせず、結論ありきで配備が決まってゆく──。「強固な日米同盟」を演出したい安倍首相がトップであるかぎり、国民を見捨てたアメリカからの爆買いはなくならない。今回の防衛省のような問題も、そうした根本を変えなければ、ずっとつづいていくのである。
(編集部)


イージスのはかり間違い=青野由利
2019615:毎日新聞


 <do−ki>

 地球上の好きな場所を鳥瞰(ちょうかん)図のようにズームして見られる。「バーチャル地球儀ソフト」のグーグルアースを久しぶりに見てみたのは、例の「イージス・アショア配備」をめぐる分析ミスに驚いたからだ。

 ミサイル迎撃をめざす防衛省はまず秋田県と山口県への陸上イージスの配備を決め、両県の国有地から1カ所ずつ「適地」を選んだ。これ以外に適地の国有地があるか。判断基準のひとつが「周辺に弾道ミサイル探知の支障となる遮蔽(しゃへい)がないか」だった。

 そこで担当官が使ったのがグーグルアースだ。候補になりうる国有地ごとに、鳥海山、本山など付近の山が入る「断面図」を描き、定規で距離と標高を測り、山頂を見上げる仰角を求めていた。

 試してみると確かにきれいな断面図が描ける。だが問題は横軸の距離と縦軸の標高の縮尺に違いがあること。担当官はそれに気づかず、仰角を過大評価していた、というのだ。

 その結果、秋田県内の国有地9カ所のうち5カ所は「遮蔽あり」で「不適」に。4カ所は津波の恐れなどで「不適」と判断された。隣接する青森県と山形県も「適地なし」となった。

 プロなのに縮尺を間違うなんてありえない、現地に行かずに判断すること自体が問題、といった声が出るのは当然として、むしろ私の疑問は「日本の防衛省なのに、なぜ日本の国土地理院の地図ではなくて、米国のグーグルアース?」だった。

 地理院の地図では断面図が描けない、なんてことはない。ウェブ版の地理院地図を試してみると、望みの地点の断面図をちゃんと描いてくれる。しかも図の縦軸の縮尺が変えられるので、距離と標高の縮尺が同じと間違う人などいないはずだ。

 そもそも、それ以前に、各地点の標高や2点間の距離は数値で示される。おおまかな仰角ならそこから求めればいい。

 防衛省に聞くと、ミスが判明した後の再計算には地理院の地図を使ったというから、グーグルを使った理由は謎のままだ。

 防衛省は、候補地周辺での陸上イージスのレーダー電波の影響について、住民やペースメーカーなどの医療機器、電子機器、ドクターヘリなどを対象に計算式などを使って検討し、「安全」と結論付けている。

 でも問題の遮蔽の有無についても「数理的な分析をした」と以前に説明していた。それを思えば地元が「白紙に戻して」と訴えるのは当然だと思う。(専門編集委員)

イランは、DTのメッセンジャーでしかないABEに愛想をつかし、「激怒!」ということか?
ただの伝言ボーイのABEによって、また、また、また、また、日本の信頼が損なわれている。
親日国であるイランが、日本を米国の手先でしかないと見切ったことは、イラクの原油に頼る日本にとって、致命的な失敗だ。


オマーン沖でタンカー攻撃、
米は背後にイランと非難
 原油先物価格が急騰
2019614日:ニューズウィーク
原油輸送の要衝であるホルムズ海峡に近いオマーン沖で13日、石油タンカー2隻が攻撃を受けた。
写真は火災が発生したタンカーの消火活動を行うイランの海軍艇

2019年 ロイター/TASNIMNEWS AGENCY


原油輸送の要衝であるホルムズ海峡に近いオマーン沖で13日、石油タンカー2隻が攻撃を受けた。事件は米国とイランとの間の緊張が高まる中で発生。米国務長官は攻撃の背後にイランがいるとの見解を表明し、緊張が一段と高まる懸念から原油価格が急騰した。
攻撃を受けたのはノルウェーのフロントラインが所有する「フロント・アルタイル」と、国華産業(東京都千代田区)が運航する「コクカ・カレイジャス」(船籍パナマ)。フロント・アルタイルでは爆発が起き、火災が発生。乗組員は避難し、付近を航行中の船舶に救助された後、イランの救命艇に乗り移った。関係筋によると、フロント・アルタイルは磁気機雷による攻撃を受けた可能性がある。コクカ・カレイジャスの乗組員も無事に救助された。
事件を受けポンペオ米国務長官は記者会見を行い、「オマーン沖で発生した攻撃について、米政府はイランが攻撃の背後にいたと判断している」とし、「機密情報、使用された武器、こうした攻撃の実施に必要な手腕、イランによる船舶に対する類似した攻撃に加え、この海域で活動するいかなるグループもこのような高度な攻撃を実施する能力は備えていない事実を踏まえ、米政府はこのような判断を下した」と述べた。ただ、具体的な証拠は示さなかった。
米国が昨年、2015年のイラン核合意から撤退したことを受け、米国とイランとの間の緊張は高まっており、イランはこれまでも繰り返し、米国の制裁措置によりイラン産原油の輸出が不可能になった場合は原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を閉鎖すると警告してきた。
イランのザリフ外相は安倍首相のイラン訪問中にこの問題が発生したことに言及し、攻撃は「疑念を抱かせる」とツイッターに投稿。域内の対話を呼び掛けた。
この付近の海域で512日に発生した石油タンカー4隻に対する攻撃について、米政府はイランが背後にいたとの見解を表明。イランは否定している。
これまでのところ犯行声明などは発表されていない。
国連のグテレス事務総長はタンカー攻撃について「湾岸地域での大きな対立」は看過できないとして強く非難。「事実を解明し、責任を明確にする必要がある」と述べた。
このほか米国は、民間商船への攻撃は「許されない」とし、国連安保理常任理事会に対し「非常に深刻な懸念」があると訴えた。外交筋によると、安保理はこの日に非公開会合を開き、米国が中東における「航行の安全と自由」を巡る問題を提起する計画だという。
イランと同盟関係にあるロシアは、今回の事件がイランに対する圧力を掛ける口実に利用されてはならないと警戒を呼び掛けた。

タンカー攻撃を受け、原油先物は一時4%上昇。清算値では22%高だった。タンカー連盟、インタータンコのパオロ・ダミコ会長は、「ホルムズ海峡は海上輸送される原油の約30%が通過する。この海域の航行が安全でなくなれば、西側諸国全体に対する原油供給はリスクにさらされる」と述べた。


安倍首相仲裁外交中の

イラン沖タンカー攻撃に日本政府は困惑
2019614日:朝鮮日報










日本の安倍晋三首相が米・イラン間の確執仲裁のため12日からイランを訪問している中、イラン周辺のホルムズ海峡近くで日本の船会社に所属するタンカーなど2隻が攻撃された。世界の原油物流量の5分の1以上が行き来するホルムズ海峡近くで、先月に続き今月もタンカーが攻撃受けたことから、中東地域の緊張が再び高まっている。タンカーが襲撃されたというニュースに、北海産プラント油は一時、1バレル当たり4%以上急騰した。
 AP通信やNHKなどによると、13日(現地時間)、日本の海運会社「国華産業」が運航する「コクカ・カレイジャス」とノルウェーの船会社「フロントライン・マネジメント」所有の「フロント・アルタイル」がホルムズ海峡の入り口であるオマーン海で魚雷・機雷攻撃を受けたとのことだ。
 ロイター通信によると、「コクカ・カレイジャス」は魚雷と思われる攻撃を受けて船員21人が脱出し、「フロント・アルタイル」は機雷の爆発で炎に包まれたが船員23人は全員脱出に成功したという。中東のメディアは、「フロント・アルタイル」が襲撃されてすぐ沈没したと報じたが、ノルウェーの船会社側はこれを否定し、イラン国営IRIB放送も「船体の火災は鎮火し、船は沈んでいない」と報じた。
 バーレーンに司令部がある米海軍第5艦隊は「1隻は午前612分、もう1隻は同7時に救助信号を送ってきた」と襲撃の事実を認めた。タンカー2隻が襲撃された地点は直線距離で約50キロメートル離れていたという。日本の共同通信によると、同日、魚雷と推定される攻撃を受けた「コクカ・カレイジャス」はサウジアラビアのアル・ジュバイル港からシンガポールへメタノール25000トンを運ぶ途中で、「フロント・アルタイル」はアラブ首長国連邦(UAE)のルワイス油田地域での石油化学原料であるナフサを積載して、台湾の高雄に向かっていた。
国華産業は同日、緊急記者会見を開き、「午前7時ごろ、砲弾が船体左側後方に当たり、エンジンルームに火がついたものの鎮火したが、23時間後、再び砲弾が船体左側の中央に当たり、船長の指示により全員救命ボートで脱出した」と明らかにした。国華産業によると、タンカーは現場海域を漂流中だという。世耕弘成経済産業相も同日午後、「ホルムズ海峡近くを航行中の日本関係の積み荷を積んだ船が攻撃されたとの情報がある」と発表した。
 今回の攻撃の主体や背景の詳細は分かっていない。国土交通省は同日、攻撃主体が明確ではなく、日本を標的にしたのかどうかも分からないと述べた。
 日本政府は、安倍首相のイラン訪問中にこのような事態が発生したことについて、戸惑いを隠せない様子だ。日本経済新聞によると、テヘラン滞在二日目の安倍首相は緊急連絡網を稼動させ、関係省庁に情報収集や乗組員の安全確保に万全を期すよう指示したとのことだ。日本政府は同日、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。
 先月12日にも、今回の攻撃が発生した場所に近いオマーン海上で、サウジアラビア・UAE・ノルウェーのタンカー4隻が攻撃を受けている。米国の情報当局などは当時、イランが背後にいると指摘したが、イランはこれを否定した。
 今回の襲撃についても、イラン政府は「自分たちは攻撃に関与していない」とすぐに否定した。イラン内閣のアリ・ラビーイー報道官は同日、この地域の政情不安から利益を得る人々の罠に気を付けるよう地域の国々に警告した。安倍首相のイラン訪問に先立ち、米財務省は7日、イラン最大の石油化学グループであるペルシャン・ガルフ石油化学工業(PGPIC)に対する制裁を発表している。今回襲撃されたタンカーのうち、1隻は赤黒い炎が吹き出すほど被害が大きかった。毎月発生しているタンカー襲撃事件で、米国とイランの緊張はますます高まる見通しだ。

東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員, チョ・ジェヒ記者


NHKが提灯報道も
安倍首相イラン訪問は「成果ゼロ」だった
2019614日:日刊ゲンダイ


「世界の平和と安定のためにこれからも努力を重ねていきたい」――。13日、イランの最高指導者ハメネイ師との会談後にこう語っていた安倍首相。緊張関係にある米国とイランの橋渡し役をトランプ米大統領から頼まれたといい、意気揚々と会談に臨んだものの、案の定、「成果ゼロ」だった。


 日本メディアは、安倍首相のイラン訪問を<41年ぶり>などと持ち上げ、ハメネイ師との会談を<安倍首相への異例の厚遇>と大々的に報道していたが、冗談じゃない。NHKは<ハメネイ師から『核兵器を製造も、保有も、使用もしない。その意図はない。するべきではない』との発言があった>という安倍首相の会談後の発言を速報。さも、安倍首相がハメネイ師から新たな言質を引き出したかのように「演出」していたから呆れる。

 安倍応援団のネトウヨは「大金星」などと安倍首相を礼賛しているが、ハメネイ師の姿勢は会談前から全く変わっておらず、会談後も「トランプ大統領はメッセージを交換するに値する相手ではない」「トランプ氏に返事はしない」――とのコメントを発表。大ハシャギで報じているのは日本メディアだけで、安倍首相の橋渡し役は意味がなかったのだ。
「イランと米国の緊張関係が続いているのは、米国がイランとの間で交わした2015年の核合意を一方的に破棄して制裁を加えているからです。ロウハニ大統領もハメネイ師も『合意を履行する用意がある』と一貫して言い続けているので、安倍首相が本当に説得すべきは米国です。説得する相手を間違えている時点で、今回の訪問は仲介ではありません」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)

 いつもの「やっているフリ」だったワケだが、安倍首相が計算外だったのは、日本の海運会社「国華産業」が運航するパナマ船籍のケミカルタンカーがホルムズ海峡で攻撃された事件だろう。現地には緊張が走り、安倍首相の囲み会見のニュースもたちまちかき消されてしまったからだ。

 米トランプ政権は訪問を狙ったかのように、イランの追加制裁を発表。安倍首相がイラン訪問中なんてことは、すっかり忘れているのだろう。要するに米国はハナからアベ外交の成果など期待しちゃいないのだ。


ホルムズのタンカー攻撃
 危機の回避へ国際連携を
2019615:毎日新聞


 中東のホルムズ海峡付近で日本などのタンカー2隻が攻撃された事件を巡り、米国とイランが非難の応酬を始めた。両国の緊張がさらに高まることが憂慮される。

 事件は安倍晋三首相が緊張緩和を促すためイランを訪問中に起きた。ポンペオ米国務長官は「イランに責任がある」と断じた上で、イランが「日本を侮辱した」となじった。

 イランは関与を全面否定し、ザリフ外相は米国による「妨害外交」だと反発した。

 米国はイラン側がタンカーから不発の水雷を除去したとする映像も公開した。プロパガンダ合戦は過熱している様相だ。

 ホルムズ海峡は、海上輸送される世界の原油の約3割が通過するエネルギー供給の生命線だ。日本の輸入原油の8割強もここを通過する。民間船舶への攻撃など安全航行の観点から許されるものではない。

 また周辺海域は、中東での覇権争いをしているイランと、親米国のサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)が対峙(たいじ)する地政学的な要衝でもある。ここを紛争の発火点にしてはならない。

 だが、既にサウジに対してはイエメンの親イラン武装組織フーシがミサイル攻撃などを続け、小競り合いによる緊張は広がっている。

 国連安保理の非公開会合では各国から事件に対する非難の声が相次いだが、安保理決議や声明はまとまらなかった。グテレス国連事務総長はペルシャ湾海域での大規模な衝突を避けるため各国に自制を求めた。

 今後の会合ではイランの関与の有無を巡り親米国と親イラン国の間で論争になることも予想される。しかし、海域の安定のために何ができるかを第一に考えるべきだろう。

 まずは国連が主導し、事件の厳正な調査を進めるとともに、国際的な連携のもと、ホルムズ海峡の安全確保や危機の回避に全力を挙げなくてはならない。

 今月28、29の両日には大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議も開かれる。議長国である日本は、緊張緩和へ向けた外交を積極的に続けるべきだ。

 国際社会が結束して動かなければ、取り返しのつかない事態に発展してしまう。


イラン外交、
安倍首相訪問前から日本政府関係者の間で
ささやかれていた「二つのリスク」
2019614:毎日新聞

イランの最高指導者ハメネイ師(右)と会談する安倍晋三首相
=テヘランで2019613日(イラン最高指導者事務所提供)


 首相として41年ぶりの歴史的なイラン訪問から帰国した安倍晋三首相。中東の緊張緩和を目指したが、イラン側から米国との対話に前向きな姿勢は引き出せなかった。さらに逆にホルムズ海峡付近で日本の海運会社運航のタンカーが攻撃され、緊張が高まる事態に。中東外交の難しさが浮き彫りになった形だが、実は訪問前から日本政府関係者の間では「二つのリスク」がささやかれていた。【秋山信一】


イランとのギャップ


 イランの望む「お土産」を用意できない――これが一つ目のリスクだ。

 イランは米国の制裁を受け、物価高騰で国民の不満が募っており、今回の会談でも投資や原油売却など経済的な「実利」を望んでいた。だが、日本側は緊張緩和に主眼を置き、そうした意識は希薄だった。そもそも日本企業は米国の制裁に引っかかるリスクがあるイランとのビジネスには慎重姿勢をとる。制裁対象になれば、ドル決済ができなくなり、外国とのビジネス全般を失いかねないからだ。

 この両国のギャップは、最高指導者ハメネイ師が13日の安倍首相との会談後に出した声明で鮮明になる。「イランとの関係拡大を望むなら、他の重要な国がしているような固い決意を示すべきだ」。ハメネイ師は、米国の制裁の中でも交易を続ける中国やロシアを念頭に日本に高いハードルを突きつけた。

外交巧者イランの「カモ」?


 もう一つのリスクは、外交巧者のイランに利用されることだった。2015年のイラン核合意は、離脱した米国を除く主要国が支持している。イラン側が「米国の同盟国である日本も核合意を支持している。悪いのは米国だ」と対外発信し、日米間にくさびを打ち込んでくるのは「想定の範囲」といえた。

 しかし、ハメネイ師の声明は予測を上回る激しさだった。「トランプ(大統領)のような人間からは、真の交渉は生じない」と一刀両断し、「米国が自分たちの考えと信念をいつも他国に押しつけようとしてきた事実をあなた(安倍首相)が認めたことは良かった」と会談内容を暴露。トランプ氏との「蜜月」をアピールする安倍首相にとっては大きな打撃だ。

 首相はイラン外交の「ずる賢さ」は理解していたはずだ。124月、民主党(当時)の鳩山由紀夫元首相がイランを訪問した際、イランメディアが「鳩山氏は『国際原子力機関(IAEA)は(イランなどに)二重基準だ』と述べた」と報じたことがあった。鳩山氏は否定したが、野党議員だった安倍氏は「無邪気な善意を示しても、外交交渉の場では何の役にも立たない。カモになるだけだ」と新聞のコラムで指摘していた。

「鬼門」の中東


 「緊張緩和が目的のはずが、逆の結果になってしまった」(日本政府関係者)

 米国とイランの「仲介」への難しさが改めて明らかになった今回の訪問に追い打ちをかけたのが、タンカー攻撃事件だ。米国やサウジアラビアは一斉に「イランが背後にいる」と非難。これに対して、イランは「根拠のない主張だ」と反発し、イランのザリフ外相がツイッターで「Bチーム(米国のボルトン大統領補佐官ら対イラン強硬派)が安倍晋三首相によるものを含めた外交を妨害し、イランに対する経済テロを取り繕おうとしている」と批判するなど、緊張は一段と高まった。

 過去にも、安倍首相が151月に中東を歴訪した直後に過激派組織「イスラム国(IS)」による日本人殺害事件が起きるなど、中東の情勢不安が日本の外交を複雑にするケースが発生している。菅義偉官房長官は14日の記者会見で「緊張緩和に向けた道のりは困難を伴うが、日本政府は今後も中東地域の平和と安定に向けて努力していきたい」と述べた。


(社説)
安倍氏とイラン 次は米大統領の説得を
2019614日:朝日新聞


 平和主義を掲げる極東の国、日本の首脳による異例の仲介外交である。今後の広い国際貢献をめざす上でも、公平で実効的な仲裁を全うしてほしい。
 米国とイランとの緊張が高まるなかで、安倍首相がイランを訪ね、ロハニ大統領、ハメネイ師と会談した。現職の首相による同国訪問は41年ぶりだ。
 ハメネイ師は最高権力者だが、西側の首脳とはあまり会わない。その指導者と直接、意思疎通した意義は大きい。
 米・イランの双方と良好な関係をもつ先進国として、日本が緊張緩和に向けて汗をかくのは理にかなった試みである。
 日本は原油の8割を中東に頼るが、中東の和平の模索は国際秩序全体の安定に資する。日本が誠実な仲介者たりえるのか、今回が試金石といえよう。
 まず日本の立ち位置を明確にする必要がある。米国との緊密な同盟関係が前提ではあるが、同時に米国に必要な行動の説得ができる健全な関係がなければ仲裁は成り立たない。
 日本外交の基軸は対米追随ではなく、平和主義と国際協調などの普遍的な理念にあることを確認せねばならない。それは仲裁だけでなく、日本の対外政策全般の重みに関わる問題だ。
 安倍氏はイラン訪問に続いてトランプ米大統領と向きあい、直言すべきだ。イランの指導部を含めて誰も対立の激化を望んでおらず、イランの核開発をめぐる国際合意を立て直すことが賢明な道である、と。
 そもそも、今の危機を生み出したのはトランプ政権である。長年に及ぶ多国間外交の成果だった核合意を一方的に破棄したことが問題の発端だ。
 ハメネイ師は安倍氏に対し、核兵器の製造・保有・使用の意図はないと語った。穏当な落着を欲している証しだろう。
 トランプ氏も圧力の一方で、対話も口にしている。安倍氏はハメネイ師らの肉声を伝えるとともに、トランプ氏に軍事的な脅しをやめさせるべきだ。
 そのうえで、両者のメンツを保ちつつ、イラン原油の輸出再開と核開発の凍結を両立させる手立てを、欧州など他の仲裁国と連携して探る必要がある。
 安倍氏はかねて「積極的平和主義」を唱えてきたが、実質は対米同盟を偏重する概念にすぎなかった。国際的に尊ばれる貢献をめざすなら、日本の特性を生かした外交による和平活動の幅と密度を高めるべきだ。
 今月の大阪でのG20首脳会議では、イラン問題の関係国が顔をそろえる。そこで緊張緩和の意思を確認するなど息長く仲介を続けたい。参院選前のパフォーマンスに終わらせるならば、関係国の失望をかうだけだ。


安倍イラン訪問で
NHK岩田明子記者がフェイク解説!
ハメネイ師は「怒りのツイート」
してるのに「安倍首相の助言を重視」
2019614日:LITERA


「アメリカとイランの橋渡しができるのは世界で安倍首相だけ」という掛け声は、一体なんだったのか──。関係が悪化しているトランプ大統領とイランを仲立ちすべく、昨日、イランの最高指導者・ハメネイ師と会談をおこなった安倍首相だが、またしても「外交の安倍」なる看板が羊頭狗肉にすぎないことを世界中に知らしめてしまった。
何しろ、何の成果も示せなかったばかりか、会談とタイミングを合わせたかのように、日本の海運会社が運航するタンカーがホルムズ海峡で砲撃を受けるという事件が起こったのだ。この事件についてアメリカのポンペオ国務長官は、「米政府はイランが攻撃の背後にいたと判断している」として、「日本に対する侮辱だ」と語った。
  一方、イランのザリフ外相は〈米国が一切の物的証拠も状況証拠もなく即座にイランを非難したことは、安倍晋三首相によるものも含め、Bチームが妨害外交というプランBに動き、イランに対する経済テロを隠蔽しようとしていることを明確に示している〉とTwitterに投稿。「Bチーム」とは、ジョン・ボルトン米大統領補佐官やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド皇太子を指すもので、5月にもザリフ外相は「『Bチーム』が米国に戦争をさせようとしている。自殺行為だ」として非難していた。今回の安倍首相の「伝書鳩」外交を、ザリフ外相は「Bチーム」の妨害外交のひとつと見なしているようなのだ。
 現段階ではタンカー攻撃に本当にイランが関与していたかどうかは断定できないし、ポンペオのコメントはイラン攻撃の口実に利用しただけかもしれないが、少なくとも、安倍首相のイラン訪問がアメリカとイランの関係修復に何の役にも立たなかったことは間違いない。それは安倍首相との会談後、ハメネイ師がTwitterにこんな投稿を連投したことからも明らかだ。
〈我々は、安倍晋三の善意と真剣さは疑いません。しかし、あなたが米大統領から伝えられたことについていえば、私はトランプをメッセージのやり取りをするにふさわしい相手とは思っていない。トランプへの返答はありませんし、彼に答えるつもりもありません〉
〈安倍晋三氏よ、アメリカ大統領は数日前にあなたと会って、イランについても話した。しかし、日本から帰国した後、彼はすぐにイランの石油化学産業に制裁を科しました。これが誠実なメッセージですか? これで彼が嘘偽りのない交渉をする気があるということが示されると?〉
〈安倍晋三氏よ、あなたは、トランプは米国との交渉がイランの進歩につながるだろうと話していたと、そう言いましたね。我々の進歩は、交渉や制裁解除がなくとも、神の恵みによってなされゆくのです〉
 トランプ大統領の「伝書鳩」として赴いたのに、ゼロ回答どころか、ハメネイ師の怒りを可視化してしまった安倍首相。しかも、笑うに笑えないのは、この「伝書鳩」役はトランプに押し付けられたわけではなく、安倍首相から手を挙げて立候補したものであるということだ。なんと、2016年にトランプが大統領に就任する前にはじめて会談した際、安倍首相は「自分ならハメネイ師に会うことができる」と持ちかけ、トランプも「そうなのか、ハメネイ師に会えるのか」と返答したのだという(朝日新聞デジタル11日付)。つまり、原油の輸入国として長く友好を築いてきた日本とイランとの関係を、安倍首相はトランプに取り入るためのカードとして最初から用意していたのである。
 ところが、その結果はご覧の通り、ものの見事に玉砕。いや、それどころか、安倍首相がトランプの代弁者として振る舞った結果、築き上げた日本とイランの友好関係にもヒビが入った可能性さえあるだろう。
 さらに悲惨なのは、安倍首相とハメネイ師の会談直前に、米財務省がイラン関連企業などへの追加制裁を発表したこと。ようするに、安倍首相は当のトランプ大統領から梯子を外されてしまった、というわけだ。


安倍は「トランプへの返答はないし、
答えるつもりもない」とあしらわれたのに岩田記者は


 そもそも、アメリカとイランの関係は、トランプ大統領が、イランが核開発を制限する見返りに経済制裁を一部解除した多国間合意から一方的に離脱したことで一気に緊迫化した。オバマ前大統領が取り付けた成果を御破算にするという幼児的なその行動はエスカレートし、米軍が中東地域に空母を派遣するなど、いつ軍事衝突が起きてもおかしくはないほどの危険な状況に陥っている。
 だが、安倍首相はトランプ大統領の核合意離脱を他国の首脳たちのように非難することもなければ諫めることもせず、それどころかトランプをノーベル平和賞に推薦する始末。そんな「トランプの犬」でしかない安倍首相の話にイランがおいそれと応じるわけがなく、ハメネイ師の「完全拒否」は当然過ぎる結果なのだ。
 しかし、驚くべきは、安倍首相の「外交やるやる詐欺」だけではない。こんな大失敗に終わったにもかかわらず、御用メディアと安倍応援団は「大成功」と安倍首相のイラン訪問を伝えているのだ。
 たとえばNHKの岩田明子記者は、昨晩放送の『ニュース7』で、こう解説した。
「ハメネイ氏が外国の首脳と会うことは多くなく、日本政府は伝統的な友好国のトップであり、なおかつトランプ大統領とも緊密な関係を維持する安倍総理大臣の助言を重視していることの表れだとみています」
「安倍総理大臣は一連の会談でイラン側の真意を引き出すことができたと受け止めている」
 どう考えても「安倍首相の助言を重視」している人物が、「トランプへの返答はないし、答えるつもりもない」とあしらうはずがない。しかし、岩田記者はそうした解説はせず、「(安倍首相は)トランプ大統領の真意を正確に伝えた」とアピールに励んだのだ。
 まったく頭がクラクラしてくるが、じつはこうした無理矢理な安倍イラン訪問礼賛は、NHK岩田記者だけではない。多くのマスコミがイランでの会談以前から今回の会談への期待感を煽り、「アメリカとイランの橋渡しができるのは世界で安倍首相だけ」と必死に喧伝していた。


田崎史郎は「安倍さんは米から何かカードを貰っている」と噴飯解説


 その典型が、12日放送の『ひるおび!』(TBS)。安倍首相のPRマン・田崎史郎氏が登場し、「トランプさんとイランの首脳部と双方から信頼されているのが、安倍総理しかいないんですよ」「イランから見てもアメリカから見ても、安心して任せられる人が、いまは安倍総理しかいない」と強調していた。
 イランが安倍首相のことを「安心して任せる」などとはまったく見ていないことが判明したいまとなっては、田崎氏の解説がいかに空っぽなのかよくわかるが、さらに田崎氏はこんなことも述べていた。
「(トランプ大統領が)来日したときの首脳会談では、安倍さんが(イランに)行くことについて、ボルトン(米大統領補佐官)さんは『グッドタイミング』と言っているわけですね。だから何かカードを貰っている可能性はある」
 カードを貰うどころか、安倍首相は手ぶらでトランプのメッセージをただ伝えるという外交の無能っぷりを見せつけただけなのだが、しかし、安倍応援団としては期待を煽りに煽り、当事者から事実が突きつけられても「安倍首相の助言を重視」などと言い張って押し通せば、それで成功なのだ。
 これは、安倍首相や官邸もまったく同じだ。とにかく外遊に行きまくってやってる感を演出し、安倍応援団に「大成功」とPRさせれば、国民なんて簡単に騙せると考えているのだろう。
 そして、実際には、ロシアのプーチン大統領にはコケにされ、北朝鮮との糸口もなく、トランプ大統領にはゴマをするだけすっても梯子を外されるという失態を繰り返しても、国民はまだ外交の安倍というイメージを信じ込んでいる。一体いつになったら目が醒めるのだろうか。
(編集部)


「仲介失敗」と厳しい見方も
 首相イラン訪問、各国反応
2019614日:朝日新聞


安倍晋三首相がイランを訪問し、米国と緊張下にあるイランのロハニ大統領、最高指導者ハメネイ師と相次いで会談した。イラン核合意の当事国は静観姿勢だが、各国メディアでは訪問成果について懐疑的な見方も出ている。
 核合意の維持を訴える欧州連合(EU)では首脳らから目立った発言は出ていない。EUにとっては、イラン核合意は多国間外交で、世界の安定につなげた近年の最大の成果の一つだ。その履行は国際ルール順守の象徴で、米国を筆頭に「自国第一主義」が世界で台頭する中、イラン核合意への思い入れは極めて強い。安倍首相の訪問が、EUと関係が悪化している米国の要請ということもあり、訪問の結果を見定めようとしているとみられる。
 EUは、合意を順守するイランに経済的メリットをもたらすことができず、イランからの信用も失いつつある状況にある。英仏独は核合意の維持をめざして1月、イランを経済的に支援するための組織「貿易取引支援機関(INSTEX)」を立ち上げた。だが、米国の制裁を恐れる欧州企業は及び腰で、まだ機能していない。
 こうした状況にイランは「原油取引などの経済的利益を保証する約束が守られていない」とEU側を批判。EU側からは「米国とともに、イランの弾道ミサイルの開発規制や、この地域の安定などを実現させるために、米国は交渉を始める必要がある」(マクロン仏大統領)と米国の動きを容認するような発言も出ている。
 国際紛争に関するシンクタンクの「国際危機グループ」(本部ブリュッセル)のアリ・バエズ氏は「核合意を巡る米イラン間の緊張緩和に関して今、EUができることはない。イランの要求に応えられず、イランとの関係が悪化するリスクを高めているだけだ」と語った。


「狙いは参院選」


 一方、各国メディアでは今回の訪問の成果への期待や懐疑的な見方が入り交じっている。
 英BBCは、今回の安倍首相のイラン訪問がトランプ米大統領の来日直後で、出発前日には電話会談もしたことに注目する。米イラン間の緊張を緩和し、両者を対話に持ち込める期待があると指摘。ただ、「何らかの取引を仲介できる可能性はゼロに近い」という識者の分析を伝えた。トランプ氏との良好な関係をアピールする安倍氏はイランから公平な存在とみられておらず、訪問成果への期待値は低く、政府高官も期待をトーンダウンしようとしている、と解説した。
 また、本当の狙いは7月の参院選に向けた国内向けのアピールにあるとする専門家らの見方も紹介した。テンプル大ジェフ・キングストン教授の「外交政策では選挙には勝てないが、安倍氏を実体以上に重要に見せることの助けにはなる」とのコメントも紹介している。
 独誌シュピーゲルは「仲介役としての試みに失敗した」とし、「少なくとも米国が経済制裁を維持する限り、緊張は終わらない」とした。
 一方、イランと敵対するサウジアラビア資本のシャルクルアウサト紙は13日付の1面で「日本の首相がイランに緊張緩和を呼びかけ」との見出しで報道。カタールのニュース専門衛星テレビアルジャジーラは「米国の同盟国である日本はイランとも良好な関係があり、良い交渉の立場にある。主要な目的は両国の仲介であり、地域の緊張を和らげることにある」と好意的に伝えた。
 中東地域の覇権などをめぐり、サウジやイスラエルはイランと激しく対立している。昨年5月にトランプ氏が核合意離脱を表明した際には両国は歓迎の意向を示した。イスラエル・ハイファ大学のメア・ジャベダンファー研究員(イラン政治)は、「いくら良好な関係を築く日本でも、イランを動かすのは容易でない。サウジやイスラエルにとって、日本の仲介への期待度は高くはないのではないか」と述べた。(ブリュッセル=津阪直樹、ロンドン=下司佳代子、エルサレム=高野遼)


<考論>鈴木一人・北海道大教授(国際政治経済学)


 安倍首相にとって今回の最も重要な仕事は、イランに米国との対話を拒否させないことだ。ロハニ大統領との共同記者発表などを見る限り、「トランプ大統領と会って欲しい」という日本の考えを伝えて、イラン側を説得したが、ハメネイ師の反応は厳しいものだった。しかし、それは想定内の反応で、対話の可能性がなくなったわけではない。
 ただ、両国の緊張緩和が実現できたかと言われれば疑問だ。トランプ大統領安倍首相に具体的な役割を託したわけではなく、イラン訪問を容認しただけだろう。次はトランプ大統領を説得する必要があるが、ボルトン大統領補佐官を始め、米国では反イラン派の影響力が強い。安倍首相がイランから持ち帰ったメッセージだけで、トランプ大統領が対話を決断して、軍事的緊張を緩めるかどうかは分からない。
 安倍首相がイランとトランプ大統領の双方から信頼されている唯一の人物であることは確かだ。G20の日米会談はイラン問題が中心になるだろう。今回のイラン訪問の成果は、その会談の中身次第ではないか。(聞き手・宋光祐)


記者解説 イランの孤立に利益なし


 核開発に固執して国際社会で孤立したイランは、2015年、米英仏独ロ中と核合意を結び、国際社会に復帰した。核合意で、イランが核開発を大幅に制限する見返りに、欧米は経済制裁を解除した。
 それを台無しにしたのがトランプ氏だ。昨年5月に核合意から離脱し、イラン産石油の禁輸を柱とする経済制裁を順次復活させた。
 イラン国民は困窮している。通貨の暴落などで物価はこの1年弱で軒並み2倍以上に高騰。家賃を払えずアパートを立ち退いた人もいる。紙おむつや食用油など生活必需品は品不足になった。
 テヘラン中心部の商店主モルテザ・ガレコズルさん(43)は「核合意を破ったトランプが、核合意を守るイランに制裁を科すのはおかしい!」と憤る。イランでは今、イスラム体制の熱心な支持者を中心に、米国との対決を望む声が高まっている。こうした主張が穏健派にも広がれば、核合意は完全に崩壊しかねない。
 トランプ氏はこれ以上、イランを追いつめてはならない。イランが再び孤立すれば、中東はさらに不安定になる。石油の9割近くを中東に頼る日本にとってもひとごとではない。イラン、そして中東の安定に向けて、今回の首相訪問のような外交を続けるべきだ。(テヘラン=北川学)


安倍首相ロハニ大統領の共同記者発表の要旨


 【安倍首相


 イランと日本が外交関係を樹立し90年で歓迎を受けたことを心から感謝申し上げる。長い道のりだった。前回から41年もの月日。両国民はそれぞれの思いをかみしめ、古い歴史に誇りをもつ文化大国として目に見えない心の交流を続けてきたのだろうと思う。
 この場で私が発信する言葉は決して耳に聞こえの良いことばかりではないが、皆様の力になりたいから申し上げる。現在中東の緊張は高まっている。何としても武力衝突は避ける必要がある。中東の安定は世界の利益。紛争は絶対に起こしてはならない。できる限りの役割を果たしていきたいという思いで(イランを)訪問した。
 イランは今日まで中東の大国。将来もそうだろう。偶発的衝突が起こることのないよう、中東の安定が確固たるものになるようイランが役割を果たすことが不可欠だ。中庸が最善という教え、ハメネイ師に敬意を表する。イランがIAEA国際原子力機関)、核合意を引き続き順守することを強く期待している。
 先般の洪水被害への緊急人道支援などを引き続き行っていく。ここまでの道のりは長かった。かなり忍耐のいる努力だと思う。それでもなお中東地域、世界の平和のためにやり遂げなければならない。そのために日本はこれからも諦めることなくできる限りの役割を果たしていく。



 安倍首相と会談ができ、うれしく思う。両国は今年で国交樹立90周年だ。これまでも首相とは建設的な会談を重ねてきており、今回が8度目になる。日本がイランから石油を買い続けることに加え、財政的、技術的、文化的な関係を続けてきたいと強く望んでいることをうれしく思う。
 二国間問題とは別に、地域の情勢や緊張についても話をした。両国は地域の安定や治安確保に熱心だ。私たちはどんな戦争も考えておらず、米国に対してもそれは同じだが、攻撃を受ければ断固たる措置をとる、と首相に伝えた。
 首相は今後の見通しに楽観的な考えを示し、前向きな展開が進行中だと述べた。首相が(米英仏独中ロの6カ国、欧州連合とイランによる核合意である)「包括的共同行動計画(JCPOA)」への支持を継続し、地域と世界にとって重要な合意だと考えていることを歓迎する。私たちは核合意を維持したいと考えており、その枠組みの中で行動していると首相に話した。また私は両国が核分野で協力すべきであり、核兵器に反対をしていると伝えた。
 地域の緊張は、イランに対する米国の経済戦争が理由だ。それが終わればいつでも、地域と世界にとって、肯定的な進展が待ち受けている。日本はとても重要な国で、地域の平和と治安確保に積極的な手段を講じている。


「タンカー攻撃はテロ組織が関与」
 イラン革命防衛隊元司令官が指摘
2019613日:産経新聞


 対テロ作戦などを担当する精鋭部隊、イラン革命防衛隊のキャナニモガッダム・ホセイン元司令官(60)は13日、首都テヘランで産経新聞の取材に応じ、日本のタンカーが攻撃された事件について、「安倍晋三首相の訪問を反イラン宣伝に利用する狙いで行われたもので、テロ組織が関与した」との見方を示した。
 ホセイン氏は、米・イランの軍事的緊張を高める目的で、分離主義を掲げるイラン南東部の反政府組織「ジェイシ・アドリ」などが行った可能性を指摘。同組織は「特定の国の支援を受けていることが分かっており、軍事技術も高い」と話した。
 ほかに、イランと敵対関係にあるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカーイダ系などが関与した可能性もあるとした。
 イラン側の関与については、政府の救難当局がタンカーの乗組員44人を救助したとの報道があることをふまえ、「衆人環視の状況であり不可能だ」と否定。一方で、「現場海域はイランの軍艦が常時監視している。犯行集団を特定することもできるのではないか」とし、イラン政府が調査に乗り出す可能性を示した。
 ホセイン氏によると、現場海域はテロ組織のほか、船に積み込まれた金や原油を奪う海賊集団も暗躍しているという。ホセイン氏はイラン・イラク戦争(1980〜88年)に参戦したあと、陸軍司令官として対イラク工作を担当した。
(テヘラン 佐藤貴生)


「出口戦略」なく非難の応酬
 米イラン関係に新たな火種
2019615日:朝日新聞


 中東のホルムズ海峡付近で起きたタンカー攻撃事件をめぐり、米国とイランが非難の応酬を繰り広げている。トランプ米大統領は14日、「イランがやった」と断言。13日には米軍がイラン関与の証拠とする動画を公開した。一方、イラン側は「誰かの秘密工作」と全面否定。対話の糸口すら見いだせない中、両国の緊張がエスカレートしている。
 タンカーに横付けした船の上で、黒っぽい服装の10人弱が何か作業をしている。その後、作業を終えたのか、船はタンカーから離れていった。13日のタンカー攻撃事件後、米中央軍が公開した1分39秒の映像の内容だ。
 米中央軍は、船はイランの精鋭部隊「イスラム革命防衛隊」の巡視船、タンカーは日本の海運会社・国華(こくか)産業(本社・東京)が運航する「KOKUKA COURAGEOUS」で、不発だった水雷の除去作業の様子だと主張する。国華産業によると、タンカーに日本国旗はなく、船籍のあるパナマ国旗を掲揚しているという。
 事件を受けて、米側は矢継ぎ早にポンペオ国務長官が「イランの責任」と断言し、中央軍は映像を公開した。背景には、国際社会に「イランの犯行」を印象づけたい思惑が透ける。だが、映像は白黒で不鮮明で、どんな作業をしていたかはわからない。イランの犯行を裏付ける証拠を米国はまだ示せていない。
 来年の大統領選で再選をめざす上で、泥沼になる可能性が高いイランとの戦争は避けたいのがトランプ氏の本音だ。ポンペオ氏も13日、「経済、外交努力でイランを交渉のテーブルに戻し、包括的な(核)合意を促す方針に変わりない」と述べた。イランに圧力をかけるのは、米国との対話を促すのが目的だ。
 イランの最高指導者ハメネイ師は、トランプ氏が安倍晋三首相に託したメッセージを拒否したとしている。対話が実現する見通しは立たない。「出口戦略」を描くことができないまま、イランとの緊張が高まる危険な状況に陥っている。(ワシントン=渡辺丘、ニューヨーク=藤原学思)


イランは「秘密工作」「妨害外交」を批判


 「ホルムズ海峡の安全確保の責任はイランにあり、我々は損害を受けたタンカーや乗員を迅速に助けられることを示しただけだ」
 イランメディアによると、同国外務省のムサビ報道官は14日、米国がイランの攻撃関与を明言したことに不快感を示した。イラン当局が炎上するタンカーの鎮火作業にあたり、乗員を救出したとも伝えている。イラン南部のジャスク港の施設に乗員を収容した。国営メディアはいち早く事件現場の様子を報じ、救助された船員が「親切な扱いを受けている」などと感謝の言葉を並べる映像も流していた。救出劇を国際的にアピールしていた矢先に米国から「事件の首謀者」に認定された形だ。
 米国とイランの緊張緩和のためにテヘランを訪れていた日本の安倍首相が最高指導者ハメネイ師と面会した13日朝に事件が発生。ムサビ氏は「日本の首相が緊張緩和に動く一方で、その努力を損ねよ

連日、やるせないニュースがつづき、気分は「鬱」です。と、言っても元気ですが…。
日本社会、個人の劣化が目に余るが、中でも「保守派」、右派、極右の劣悪がひどい。
右派勢力の基調は、考えず、気分で粘り強く行動する単純さなのだが、それにしても昨今のカレラはあまりに自己都合中心で国内でも浮いている。もちろん違う意見のものを納得させるような論理は持たないが、そういうことに頓着しないのが「力」の源だ。



ショボすぎる嫌韓派の正体
根っ子は日本国内の格差問題に
201962日:日刊ゲンダイ


 KPOPに魅せられ韓国へ旅行する多くの日本人若者から「ウザイ存在」と小バカにされている反韓・嫌韓派。彼らの実態は長くベールに包まれていた。匿名のネットの書き込みで拡散しているためだが、図らずも最近、意外とショボイ素顔が次々と明らかになった。

 韓国のことを「卑怯な民族。断交、無視が一番」と書き込み、ネット上ではかなり知られた匿名の人物が、実は「日本年金機構」世田谷年金事務所長であることがバレ、更迭された。また神奈川県議会の野党候補は過去のヘイト的書き込みが批判され出馬を辞退した。2人とも「軽い出来心」と謝罪したものだが、自分の立場と軽い出来心の影響が理解できないとはオソマツな話だ。かと思えば、金浦空港で「韓国が嫌いだ」と泥酔状態で職員にからんだ男が現行犯逮捕されたが、なんと厚労省の賃金課長だった。これでは日本の若者からもウザイと言われるわけだ。
 彼らはいずれも40〜50代の働き盛りであることに、右肩下がりの日本の特殊事情が映し出されている。
 彼らが「いつまで謝ればいいのか?」と不満をぶつける慰安婦問題、元徴用工問題などは韓国側にも非があることは否定しないが、合理的に対応すれば解決できる問題である。聞く耳持たずに匿名で「制裁」や「断交」をヒステリックにあおるのはフェアでないし、事態をこじれさせるだけである。

 では、彼らの目的は何なのか。

「個人的な鬱憤のはけ口にしている」との指摘が多い。反韓・嫌韓派のはしりとなるヘイトスピーチ集団を追った時に同じことを感じた。この集団は、在日韓国・朝鮮人が多く住む神奈川県川崎市桜本に連日デモで押しかけ、「日本から出て行け!」と拡声器でがなりたてるのだが、一部のプロ活動家以外は顔を隠していた。顔を隠す付和雷同組の彼らと接触して私が気づいたのは、それぞれの人生が平たんではなく、非正規雇用、格差、年金問題などに強い不安や不満を抱いているということだった。
 しかし、その原因が日本社会にあることには思いが至らず、在日が財政的な負担になっていると責任転嫁し、やがて韓国憎しとなっていったようだ。

 ズバリ言おう。彼らは時の政権の失政隠しに利用されているだけではないのか。そう思えて仕方ないのだ。

 (作家・河信基)


ネット右翼見えてきた実像

初の学術的研究所を読み解く
自衛・経営者/3050代・地元の顔/高学歴/ミリオタ
201968日:東京新聞・こちら特報部


 愛国的・排外的な思考を持ち、ネット上で差別的な言説を流布させる「ネット右翼(ネトウヨ)」。今や彼らの書込みを目にしない日はないが、その実態はまだ良く分かっていない。そんな彼らの実像に迫ろうと、研究者が集って出した初の学術書「ネット右翼とは何か」(青弓社)が注目を集めている。8万人規模の世論調査やフェイスブックの分析など、研究成果を集めた本格的な研究書だ。彼らを研究する意義とは何か。著者の1人、樋口直人・徳島大准教授(50)に聞いた。        (中沢佳子、稲垣太郎)


 「ネット右翼と呼ばれる、得体のしれないものをデータを基にあぶり出し、彼らがどういう人物かをつかむ。それが目的だった」
 ネット右翼の実像に迫ろうと、複数の研究者がそれぞれの観点で分析した本書。その取りまとめ役を務めた樋口直人氏は、同書に込めた意義を語る。
 ネット右翼といえば、愛国主義や排外的な思考で、ネット上に差別的な言説をまき散らす人々と言われる。家に籠って四六時中パソコンに張り付き、特定の国や地域に対して鬱屈した感情をせっせと書き込む。そんなイメージが根強く、「若い男性」「低学歴」「不安定雇用」といった人物像を描く人も少なくないだろう。同書はそういったイメージにとらわれず、大規模な世論調査やフェイスブック利用者の分析などをもとに、ネット右翼を学術的に探究、彼らがどんな生活を送り、その主張がどうやって生まれるのかを浮かび上がらせようとした。
 きっかけは、排外主義について研究してきた樋口氏が、仲間の研究者たちと取り組んだ、東日本大震災後の社会運動に関する8万人規模の世論調査。共同研究者の東北大の永吉希久子准教授の提案で、ネット右翼に関する項目も含むことになった。その結果、社会的な階層や職業に極端な偏りはなく、これまで信じられてきた「ネトウヨ像」とは違う姿が浮かんできた。
 樋口氏は実名が原則で属性情報も登録するフェイスブックでの分析も試みた。日々の出来事や趣味の活動も綴られており、「ネット右翼活動」の後ろに広がる実生活をたどる手掛かりになると考えたからだ。対象にしたのは、201512月の「慰安婦問題」についての日韓合意に対する書き込み約2500件だ。
 「(日本)軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた」ことについて「(日本政府は)責任を痛感している」との合意内容に、「憤ります」「がっかり」など批判的コメントをした人のうち、「右の立場」から安倍政権を非難した1396人を中心に属性情報などを分析した。すると、高学歴、中心層が3050代、自営・経営者といった傾向が見えてきた。
 「自営・経営者は地元の顔役的存在で、地域活動に関わることが多い。日本社会には戦前の全体主義が底流に残っており、地域活動をする人は保守的なものと親和性が高い傾向がある。そういう人のうち、ネットで主張するのが好きな人が『ネット右翼』と言える」と樋口氏は見る。趣味などにも特徴があるといい、「武器や自衛隊などが好きなミリタリーオタク、武道関係者、宗教的活動に関わっているなどの背景のある人が多い」という。


「不当な扱い」不満抱える
軽視できない存在に


 他の研究者も多様な切り口から迫った。
 樋口氏とともに8万人調査に取り組んだ永吉氏は、どんな人がネット右翼になりやすいかを考えた。客観的に見て学歴や収入が低くない人が多いものの、本人が何らかの不満を抱え、自分は不当な地位にいると思い込んでいる傾向があるという。また、中京大の松谷満准教授は「在日特権を許さない会」の元会長、桜井誠氏の支持者を「ネット右翼シンパ」と名付けて分析。桜井氏が出馬した都知事選で約11万票を獲得した背景を探ったところ、「階層的な偏りや特徴はない」と分かった。
 諸研究から何が見えてきたのか。樋口氏は、ネット右翼は民主主義の一形態だと見る。「彼らは現実社会と遊離した存在ではない。むしろ、日々の地域活動や仕事を素地に、社会と密接につながっている。彼らはネットという手段を得て表に出るようになった、一つの極端な政治的立場だ」。ただ、日本は欧州のような極右政党が台頭する状況になりにくいという。「自民党が極右を取り込み、与党として長期政権を続けているので、極右政党自体が生まれにくい」。実際、安倍政権はネット右翼を意識したメディア戦略を練り、彼らもまた現政権に心地よさを感じ、時には叱咤する。
 樋口氏は今後、ネット右翼の詳細な分類化や、差別的発言をどう規制するかが研究課題だという。「質より量の書込みをすることが、ネット右翼の目的と考える研究者もいる。いずれにしても、意見を分極しやすいネット空間で、ごく少数の人間が大量に発信する極端な発言が社会的影響力を持ち、軽視できなくなっている」


ネトウヨの変遷


1999年 掲示板に「ネット右翼」の言葉
 そもそも「ネット右翼」はいつ生まれたのか。
 詳細は分からないが、ネット掲示板「2ちゃんねる」(現3ちゃんねる)をウォッチするブログ「2ちゃんねるとネット右翼(ネトウヨ)ウォッチング&その分析」は、1999429日にネット上の掲示板に「このたびネット右翼が団結し」と書き込まれたのが、「ネット右翼」という言葉が初めて使われたケースと指摘する。
 また、ネット右翼が一般に認知されるきっかけは、2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)日韓大会で行われた日韓双方の論争にあるとの研究もある。


2006年 在特会発足 動画などで支持拡大
 他方、現実社会では、排外主義を掲げる団体「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が06年に発足し、在日コリアンに対するヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り広げる街宣活動を全国で展開。その様子を動画投稿サイトに投稿したり、掲示板や会員制交流サイト(SNS)を利用したりすることで、急速に支持を拡大したとされる。


2016年 ヘイトスピーチ対策法成立
 これを法的に規制しようと、ヘイトスピーチ対策法が16年に成立。ネット上でも悪質なユーザーに対し、掲示板管理者が掲示板に書き込みができないように制限するなどの「BARN」と呼ばれる措置がとられるようになった。動画投稿サイト「ユーチューブ」も今月、差別的な動画禁止を強化するようガイドラインを改定するなど、ネット右翼を取り巻く環境は厳しさを増している。
 ブログ「ネトウヨ大百科」の管理人は「ユーチューブで文字だけの動画は広告が禁止になったので、嫌韓動画も以前より減ったように思う。だが、5ちゃんねるはヘイトスピーカーのたまり場になっている」と指摘する。今後ネット右翼はどうなるのか。
 この問題に詳しい評論家の古谷経衡氏は「独自の調査でネット右翼は200万人から250万人と見ている。新たにネット右翼の世界に入る人と出る人の数が拮抗しているため、向こう23年は変わらないと思う」と話している。


デスクメモ

 樋口氏の指摘で特に注目すべきなのは、欧米では政権外の野党でしかない極右勢力が、日本では自民党の内部に取り込まれている点だ。ネオナチや国民戦線が与党だとしたら…。ネトウヨの差別的言説もなくなるはずがない。そしてその発信者は、あなたの隣にいるかもしれない。      (典)


朝鮮学校の差別 五輪前に撤廃を

 全国ネット IOC全委員に働き掛け要請
2019611:東京新聞


 朝鮮学校の高校無償化措置からの除外や補助金停止は民族差別だとして反対している「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」(東京)が、国際オリンピック委員会(IOC)の委員九十五人全員に、来年七月の東京五輪開幕までにこうした施策をやめるよう日本政府に働き掛けてほしいと求める電子メールを送付した。

 朝鮮学校の無償化除外を巡っては、国連の人種差別撤廃委員会で、差別だとして懸念表明や是正勧告が続いている。一方、朝鮮学校の生徒らが起こした除外処分取り消しなどを求める訴訟では、これまで地裁と高裁で七件の判決が出ており、大阪地裁が訴えを認めた以外は請求を退けている。
 メール作成の中心になった田中宏・一橋大名誉教授は、人権問題を扱う国際機関は既に日本政府・司法の見解を真っ向から批判していると指摘。「五輪は差別に厳しく反対してきた歴史がある。その大会が東京で開かれる前に現在の状況を改める必要があると、IOCの要職にいる人に知ってもらいたい」と話す。
 メールでは、一九二三年の関東大震災の際に朝鮮人虐殺が起きたことを挙げながら、北朝鮮の日本人拉致問題を機に在日朝鮮人へのヘイトスピーチや朝鮮学校が襲撃される事件が起きていると説明した。

 五輪開催がこのような政策を変え差別をなくす契機となるよう、日本政府と東京都に懸念を表明してほしいと訴えている。


産経新聞コラムが

「引きこもりは自衛隊に
入隊させて精神を鍛え直せ」
右派の徴兵制&強制収容所的発想があらわに
2019611日:LITERA


 農林水産省元事務次官・熊沢英昭容疑者が長男を自宅で殺害した事件で、「親が引きこもりの子どもを殺すのは正しい」なる暴論が蔓延るなか、産経新聞が引きこもりは自衛隊に入れて精神を鍛え直せという趣旨のコラムを掲載した。
 6日付のフォトジャーナリスト・宮嶋茂樹氏による連載コラム「直球&曲球」だ。宮嶋氏といえば、「不肖・宮嶋」の愛称で知られもともと「フライデー」(講談社)出身のフリーカメラマンだが、自衛隊従軍記ルポを数多く出版、雑誌「正論」(産経新聞社)や「WiLL」(ワック)常連の右派論壇の一員だ。
 その宮嶋氏が「日本もブッソウな国になったもんや」と題した産経紙面のコラムで、まず、川崎市の殺傷事件と元農水次官の殺人事件について〈これ、みーんな「引きこもり」が関係しとるかもしれんのやて?〉〈40歳、50歳にもなった大人が働きもせず、他人さまを巻き添えにしよって。ワシにはやっぱり、面倒見とる親(や親類ら)が甘やかしとるんとしか思えん〉と述べ、「マトモな政策」を考えついたとして外国人労働者の代わりにニートや引きこもりを駆り出せと主張。続けてこう書いているのだ。
〈まだ10代のうちに自衛隊へ入隊させて、規則正しい生活送らせ、なまった肉体と屈折した精神を鍛え直すんや。
 その上で、自衛隊にはさまざまな職種があるから、個々に適した仕事を見つけてもらう。そのうちの何割かは、自衛隊員としての適性を見いだされ、そのまま正式に入隊してもエエやろ。そうなったら定員割れしとる自衛隊内の人手不足問題も解消や。結果、わが国の国防の役に立つやないか〉
 ようするに、10代の「引きこもり」を自衛隊に無理矢理入隊させろというのである。
 さらに、宮嶋氏は、自衛隊に強制入隊させたうちの何割かが引きこもりに戻ったら〈自治体の住民税、何割増しかにしてもらう〉と税負担増を主張、〈働かず税金も払うてない人間が大きな顔して行政サービス受けられるか?〉などと締めくくっている。
 いやはや、宮嶋氏も、それを掲載した産経新聞も、軍隊が好きすぎて、脳みそが迷彩カラーになっているとしか思えない。「引きこもりを自衛隊に入隊させろ」って徴兵制どころか、強制収容ではないか。完全に「意に反する苦役」を禁じる憲法18条違反である。
 いや、そんな当たり前の批判以前に、宮嶋氏がありえないのは、「引きこもり」のことを何も理解しておらず、差別感情丸出しで攻撃していることだ。
 そもそも引きこもりは、個人の資質だけに還元されるものでなく、学校教育の問題や、格差社会、不安定雇用など社会構造の問題も大きい。学校でいじめにあったり、職場での過重労働やパワハラ、リストラをきっかけに引きこもりになってしまったという人も少なくない。
 ところが、宮嶋氏は引きこもりを「甘やかすな」「大きな顔するな」などと完全に厄介者扱いして、「自衛隊に入れて、精神を鍛え直せ」と精神論をふりかざして恫喝するのだ。


「自衛隊で引きこもり克服」って、
自衛隊こそいじめで自殺者続出なのに


 だいたい自衛隊大好き宮嶋氏は、自衛隊に入れれば引きこもりを克服させられるかのように言っているが、そもそも、その自衛隊で、いじめやパワハラが横行し、それによる自殺者まで出していることをどう説明するのか。
 たとえば昨年9月には、神奈川県横須賀基地の補給艦「ときわ」の司令部事務室で、当時32際の三等海尉が首を吊って自殺しているのが発見された。これは、ジャーナリストの寺澤有氏のスクープで判明したことだが、寺澤氏によれば三等海尉の自殺の背景には、艦長や上司からのパワハライジメがあった。三等海尉は上官から「バカ」「辞めろ」「死ね」「消えろ」などの暴言を吐かれ、処理しきれないほど大量の課題を与えられたり、艦内から陸上へ出ることを禁止されたりと執拗ないじめにあっていたという。しかも、海自はこの自殺を「過労死」として処理、隠蔽しようとまでしていた。
 他にも、有名なのは2004年には護衛艦「たちかぜ」の乗員(当時24歳)が電車に飛び込み自殺。遺書には上司を名指しで「許さねえ」と記されており、海上自衛隊横須賀地方総監部が内部調査を行ったところ、「虐待」が判明した。 
 また201491日には、同じく海自の横須賀護衛艦乗務員が、上司の1等海曹からペンライトで頭を殴られたり、館内の出入り口の扉で手を挟まれたり、バケツを持って立たせられたりするなどのイジメやパワハラを受け、自殺した。
 幹部自衛官を育成する防衛大学校でもいじめが蔓延っている。今年2月には、上級生らから暴行や嫌がらせを受けたとして、退学した元男子学生が、在学時に学生だった8人と国に損害賠償を求めた裁判で、福岡地裁がうち7人の違法性を認め95万円の支払いを命じ確定した(国との裁判は継続中)。
 宮嶋氏と産経新聞の言うように、もし懲罰的にこんな人権無視の自衛隊に入隊させたら、それこそ、自殺者が続出するだろう。このグロテスクな提案を聞いていると、もしかしたら「自衛隊に送り込んで、それでも役に立たないやつはどんどん自殺させろ」とでも思っているのか、と勘ぐりたくなる。だとしたら、それこそナチスばりの強制収容所的発想だろう。
 川崎児童殺傷事件をめぐっては、立川志らくらの「ひとりで死ね」発言や松本人志の「不良品」発言が批判を浴びたが、しかし、産経などの右派論壇界隈ではもっとひどいこんな暴論が平気で野放しにされているのだ。いかに、この国の言論が狂ってきているか、の証明と言えるだろう。


政治家にも同じ発想!

稲田朋美も「自衛隊入隊を教育の一環に」


 いや、恐ろしいのは言論だけではない。「自衛隊で若者の精神を鍛え直せ」と考えている連中は、政治家、権力を握る自民党・安倍政権のなかにうじゃうじゃいるのだ。
 その代表例が元防衛大臣の稲田朋美衆院議員だ。稲田氏は「正論」(産経新聞社)20113月号での元空将・佐藤守氏との対談で「徴兵制」に高い関心を示し、佐藤氏が現状では必要ないと言っているにもかかわらず、こう述べている。
「教育体験のような形で、若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうですか」
「『草食系』といわれる今の男子たちも背筋がビシッとするかもしれませんね」
 また、2015年には上の発言について「女性自身」(光文社)20151110日号に問われて、「でも、たとえば自衛隊に一時期、体験入学するとか、農業とか、そういう体験をすることはすごく重要だと思います」「(自衛隊体験入学は)まあ、男子も女子もですね」と変わらぬ態度をとっている。
「教育機関」でもなんでもない自衛隊入隊を「教育の一環」として強制化する──。徴兵制そのものであり、軍国主義国家復活丸出しだが、しかしこれこそが、右派政治家の本音なのだ。
 右派メディアや政治家はふだん、護憲派を「頭がお花畑」と攻撃し、「日本を守るためには現実的な政策が必要だ」としたり顔で語っているが、実は連中が改憲や軍備増強を叫んでいるのは「日本を守るための」などではない。連中の最大の目的は、「軍」を復活させることで、国民が国のあらゆる命令に従い、国家のために命を捧げるように作り変えたい、それこそ「精神を鍛え直したい」ということなのだ。
 今回、「引きこもり」が問題の俎上に上がったことで、その本音は頭の悪いメディアと言論人の口からだだ漏れになった。しかし、同じことを考えている連中が権力中枢にその何倍もいることを、私たちは知っておくべきだろう。

(編集部)


防衛省のイージス・アショア失態、

玉川徹が原因を喝破!
米国のために買わされた、
防衛省も「いらねえ」と思ってる
2019612日:LITERA


「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」という安倍首相の主張は一体なんだったのか。安倍政権が秋田県秋田市と山口県萩市を配備候補地として導入を進めている地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をめぐる、杜撰極まりないデータ問題と、防衛省職員の居眠り問題の件だ。

 防衛省は527日に配備候補地である秋田市の陸上自衛隊新屋練習場が「適地」であることを示した「適地調査」の報告書を公表。そのなかで他の国有地19カ所が適地かどうかを検討していたが、そのうち9カ所で山を見上げたときの角度を示す「仰角」を過大に記載していることを地元紙・秋田魁新報がスクープ。この報道を受けて防衛省は、報告書の作成者がGoogleEarthを使って断面図をつくったとし、〈起伏を強調するために図が縦方向に拡大されていることに気づかないまま、代替地から山までの距離と山の高さを定規で測り、三角関数を使って仰角を割り出した〉(朝日新聞デジタル8日付)と認めたのだ。

 この報告書では秋田市の新屋練習場が東日本で「唯一の適地」としたものだが、いい加減な手抜き調査で配備地を秋田市に押し付けようとしていたのだ。その上、この重大問題が発覚したあとの住民説明会で防衛省職員が居眠りしたとなれば、住民の怒りは如何ばかりのものか。
 いや、そもそもこんな杜撰な調査で配備地を決めようとしていたことは、安倍政権が声高に叫ぶ「国防」とやらはこの程度の意識でしかなかったということを証明している。前述したように、安倍首相はこのイージス・アショア導入の必要性について「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」と繰り返し強調し、勇ましく吠えてきたが、その実態がこの適当さである。
 だが、それもある意味、当然だろう。このイージス・アショア配備の理由は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に備えるため、ということになっているが、それは後付け。日本政府はアショアと同性能のイージス艦8隻体制を進めており、イージス・アショアの配備は不要なのではないかと指摘されてきた。つまり、トランプ大統領のご機嫌取りのためにホイホイ購入したにすぎない。
 事実、トランプ大統領をはじめとして関係国が北朝鮮との対話路線に転換し、「北朝鮮の脅威」を叫べなくなった安倍首相は、今年2月の衆院予算委員会において、イージス・アショアの必要性についてこんな主張をはじめた。

「まさに陸上においての勤務となる。これは(イージス艦とは)大きな差なんですよ!全然ご存じないかも知れませんがね。あの、いわば、ずっと外に出ている、1カ月間とか出ているということとですね、いわば、これは自分の自宅から通えるわけですから。勤務状況としては全然違うんですよ」
「実際にみなさん、勤務したことないから、そういうことおっしゃっているんだろうと」

 そう言う安倍首相はいつイージス艦に勤務したのかよと言いたくなるが、ようするに安倍首相は、「自宅から通えるようになる」ためにイージス・アショアを購入すると言っているのである。トンチキにも程があるだろう。


国民に2000万円貯めろと言いながら、
米国守るだけのアショアに8000億円を


 しかも、問題はその値段だ。当初、イージス・アショアは1基あたり約800億円とされていたが、今年になって関連費用含め2基で2350億円と発表。しかし、発表された「2350億円」は発射装置や施設整備の費用を除いた金額であって、実際には〈基地建設費なども含めれば8000億円近くに達する見込み〉(「週刊朝日」2018119日号/朝日新聞出版)とも言われている。
 国民には「長生きしたければ2000万円貯めておけ」と要求しながら、トランプには8000億円も貢ぐ──。その上、重要なのは、このイージス・アショアはじつのところ、「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」ではなく、アメリカを守るためのものだと言われていることだ。
 たとえば、防衛省報告書の杜撰データ問題をスクープした秋田魁新報による「イージス・アショアを問う」というシリーズ企画によれば、米国の代表的シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)は、昨年5月に発表したレポートのなかで「(アショアは)米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たしうる」としている。
 実際、秋田市は北朝鮮とハワイを結ぶ直線上に、萩市はグアムを結ぶ直線上にそれぞれ位置している。2017810日の国会閉会中審査では、当時の小野寺五典防衛相が、北朝鮮がグアムに向かってミサイルを発射した場合、「米側の抑止力・打撃力が欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとも言えない」として集団的自衛権を行使できると答弁。安倍政権はあきらかに、米国の防衛を重視して超高額なイージス・アショアを買い、それを秋田市と萩市に押し付けようとしているわけである。
 8000億円とも言われるイージス・アショアの導入は、日本国民の命を守るためではなく、トランプ様に貢ぎ、アメリカ様を守るため……。あまりにバカバカしすぎて言葉を失うが、そうした背景が今回の杜撰データ問題と居眠り問題を引き起こしたのではないかと批判する声もある。


玉川徹
「合理性なくても米国が『買え』と」「F35も欠陥指摘されてるのに」


 10日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、玉川徹氏が秋田市と萩市が配備候補地になっていることについて、やはりハワイとグアムを守るためではと指摘した上で、「北朝鮮(からの攻撃)を想定すれば、(地上型のアショアより)イージス艦のほうがいい」とし、「防衛省としても別にこんなもんいらねえのに、政治が決めたからやらないといけないけど、でも住民説明会はやらなくちゃいけなくて『しょうがねえなあ』と思った感じが、あの居眠りかなと」と、防衛省の本音を推測。こうつづけた。
「『買え』ってことですよ、アメリカから。日本で合理性がなくても買えと。(世界で最初にイージス・アショアを導入した)ルーマニアは、アメリカが(金を)出している」
「日本が『買う』と言うところが重要なんです。戦闘機も100機、日本は『買う』。F35が落ちちゃっているわけです。いろいろな欠陥が指摘されていて、アメリカはF35より古いF15をいっぱい買うことを決めている」
 しかも、こんな状況になっても、岩屋毅防衛相は11日、「秋田市の新屋演習場が配備候補地として「適地」であるとの考えに変わりはない」と強調している。
 安倍首相によるトランプに気に入られたいという尻尾振りによって武器を大量購入し、地域住民の不安や自衛官の身の安全は一顧だにせず、結論ありきで配備が決まってゆく──。「強固な日米同盟」を演出したい安倍首相がトップであるかぎり、国民を見捨てたアメリカからの爆買いはなくならない。今回の防衛省のような問題も、そうした根本を変えなければ、ずっとつづいていくのである。

(編集部)


「アベノミクス」ならぬ「アベノフセイ」が極まりつつある。モリトモカケ問題、公文書改ざん・破棄、違憲閣議決定、違憲法案強行成立などなど数々の不正の果てに年金問題が国民の前に晒されている。
年金問題は金融庁「報告書」や「2000万円」にあるのではなく、少子高齢化問題をなおざりにした政治の不在の結果として年金不全が生じていることにある。ABEの無能の一つが、問題を「群」として捉えることができないことと、長期的見通しを持つことをしないことにある。問題を狭く捉え、目の前の問題として焦点化して見せることによって、「大問題」を矮小化してきたのが、「安倍思考」だ。結果、問題を総合的に解決することができず、「問題群」は解体されて、ばら撒かれて存在し続け、より深刻化している。
憲政史上最長に迫る「安倍政治」の成れの果てに国民の不幸が紡がれている。


厚労省の年金「財政検証」
公表遅れは自民への露骨な忖度
2019612日:日刊ゲンダイ


「老後に備え2000万円貯蓄せよ」――批判噴出の金融庁の報告書について、麻生金融担当相が11日、異例の受け取り拒否を表明した。自らが金融審議会に諮問したにもかかわらず、都合が悪いと読まずに撤回とは報告書の中身同様フザケているが、さらに不可解なのは年金財源の健全性をチェックする「財政検証」が遅々として公表されないこと。既に公表の準備は整っているはずなのに、実施しないのは参院選を目前に控える安倍自民への忖度に違いない。

      

 財政検証は厚労省が5年に1度行う。前々回は、2008年11月に検証に用いる経済前提の詳細が、厚労省の専門委から年金部会に報告され、09年2月に公表。

 前回は、14年3月に年金部会に経済前提が報告され、同6月に公表されている。年金部会への報告からおおむね3カ月程度で公表されてきたのに、今回は今年3月13日の報告から現在に至るまで、公表時期すら明示されていないのだ。
11日の野党合同ヒアリングでは、議員から「なぜ財政検証を公表しないのか」との質問が集中。厚労省の担当者は、「年金部会の議論のほか、政府の『未来投資会議』や自民党の『人生100年時代戦略本部』の議論のとりまとめが行われている」「現在、それらのとりまとめ作業の最中だ」と説明。年金の受給開始年齢を、70歳超に繰り下げられるように議論してきた未来投資会議や戦略本部の検討内容を、財政検証に反映させる作業に時間がかかっているという言い訳だ。

作業はほぼ終わっているはずだが

 確かに厚労省が3月13日にまとめた「2019年財政検証の基本的枠組み」では、〈保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択化〉を検討課題に掲げている。

 とはいえ、未来投資会議は先月15日、既に年金受給開始年齢を70歳超にまで拡大するとの提言をまとめている。戦略本部も同21日、同様の提言を政府に提出した。
 つまり、必要な条件は出揃っており、あとは反映する作業を済ませれば財政検証は公表できるはず。優秀な官僚なら朝飯前だろう。

ヒアリングで野党議員に「自民党の議論はもう終わってますよね」と指摘されると、担当者は「提言は出されています」と蚊の鳴くような声で認めたが、「作業は今どこまで進んでいる」との問いには「公表前なのでお答えできない」の一点張り。進捗状況すら明かさないのだから、フザケている。

 今回の財政検証は、少子化に伴い将来的に給付額が低下することを示す内容になる可能性が高い。厚労省は参院選前に安倍自民の「ネガティブキャンペーン」をするわけにはいかないと忖度しているに違いない。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「厚労省の態度は確かに不可解です。しかし、役所だけの問題ではないでしょう。戦闘機F35の墜落は操縦士の責任となり、公文書改ざん問題では財務省が責任を取らされた。結局、人事を握る官邸に、役人は逆らえないのです。厚労省が財政検証の公表を遅らせているのは、忖度の可能性もありますが、官邸から指示されたからではないのか。そう疑われても仕方がありません」
 最終的に損するのは国民だ。


社説 [老後報告書 実質撤回]
 フタをせず説明尽くせ
2019613:沖縄タイムス


 国民の関心が極めて高い問題であるにもかかわらず、説明も議論も不十分なままだ。 選挙を意識した国民不在のドタバタ劇が将来不安をかき立てている。
 麻生太郎金融担当相は、老後の資産形成を促した金融審議会の報告書を「正式な報告書としては受け取らない」ことを明らかにした。
 報告書は、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦の場合、年金だけでは老後の資金をまかなえず、生活費が30年間で2千万円不足する、と試算している。
 年金以外に約2千万円の蓄えが必要だとの試算は、年金制度そのものへの不安をかき立て、各方面から反発を招いた。
 野党は一斉に「年金の『100年安心』はウソだったのか」と政府を追及した。
 自民党は参院選への影響を懸念し、金融庁に強く抗議した。
 審議会の作業部会が報告書を発表した当初、麻生氏は内容を容認する姿勢を示していた。各方面からの批判にさらされ、麻生氏は「表現が不適切だった」ことを認めた。
 自らが諮問して専門家らに作成させた報告書の受け取りを担当大臣が拒否するのは極めて異例である。
 自民党は「政府は報告書を受け取っていない」との理由で、野党が要求した予算委員会の開催を拒否した。
 選挙への影響を最小限にとどめるため、公になった報告書そのものをなかったことにし、十分な説明もないままフタをしようとする−その姿勢が不信感を招き、年金不安を高めているのである。
        
 予算委員会の開催は、衆院が3月1日、参院は3月27日が最後で、その後一度も開かれていない。なぜ、予算委で集中審議し、国民の不安に答えようとしないのか。それがまったく理解できない。
 少子高齢化が進む中で公的年金の給付水準が低下するのは避けられない、と言われ続けてきた。
 報告書は原案では、年金水準の「実質的な低下が見込まれる」としていた。公表された報告書では「今後調整が見込まれている」とのあいまいな表現に変わった。
 表現が変わっただけで、将来の想定が変わったわけではない。そして強調されたのが資産形成などの「自助」の勧めである。
 選挙前になると政権与党は、糖衣錠のような「おいしい話」を有権者向けに打ち出し、「苦い話」を避けたがる。だが、今必要なのは正確な事実に基づいた将来を見すえた制度構想だ。
        
 各世代に広がる年金不安を放置すれば、有権者は将来に備え、個人消費を抑制する。 金融機関は投資を奨励するが、リスクを考えると、とてもなけなしの預貯金を投資に回すことはできない。
 安倍政権の経済政策(アベノミクス)の恩恵を受けている層は、大企業や資産家など一部に限られている。
 単身高齢者の貧困や高齢者間の格差は深刻だ。
 議論すべきことを先送りしてきたツケが回ってきているのである。


「年金」報告書 逃げずに実情を語れ
2019612:東京新聞


 年金だけでは老後生活は立ち行かない、だから自身で貯蓄に励め−。金融庁が公表した報告書に批判が集まっている。背景には、制度の実情について政府の説明不足があるからではないのか。
 老後の生活を支えられる給付が得られるのか、そこを知りたい。しかし、十日の国会論戦で政府はこの疑問に明確に答えなかった。逃げているように見える。
 金融庁の報告書は、高齢期を迎えた夫婦だと年金収入だけでは月五万円の生活費が不足する。老後が三十年として二千万円の蓄えが必要との試算を示した。
 金融庁には「貯蓄から投資へ」を掲げ個人資産の運用を広げたいとの考えがある。報告書も資産運用の重要性を訴え「資産寿命」を延ばす「自助」を促すことが狙いなのだろう。
 だが、そうは受け取れない。
 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、確かに高齢世帯の平均貯蓄は約千二百万円ある。だが、貯蓄のない人は全世帯の約15%、母子世帯では四割近い。現役世代は非正規雇用が増え貯蓄する余裕のない人も少なくないだろう。
 給付額もさまざまだ。国民年金加入者は最大でも月約六万五千円ほどで年金だけでは暮らせない。報告書は、国民の置かれている現状や感じている将来への不安に鈍感すぎるのではないか。
 さらに報告書は年金制度への不信も拡大させかねない。
 二〇〇四年の制度改正で政府は考え方を転換した。高齢化と制度を支える現役世代の減少に備え、現役世代が払う保険料の上限を決め、そこから得られる財源で給付をまかなうことにした。だから給付水準を少しずつ下げるルールも導入した。将来に向かって水準の目減りは事実だ。
 事実上、十分な給付の確保より制度の維持を優先させた。「百年安心」とは、将来へ制度の維持ができるとの意味だろう。
 社会保険である年金は保険料を出し合って支える「共助」の仕組みだ。制度を支えるには現役世代が減る以上、増える高齢者の給付を抑えていかざるを得ない。
 社会保障は給付減や負担増など「負担の分配」の議論から避けて通れない。それだけに国民の理解が不可欠で、政府には制度の実情や対策を丁寧に語る責任がある。
 政府は五年に一度、年金財政の健康診断である財政検証を公表している。今年がその年に当たる。参院選前に公表し国民に説明すべきだ。


(社説)
報告書「拒否」 議論避ける小心と傲慢
2019613日:朝日新聞


 1週間前に自慢げに紹介した有識者の報告書を、選挙の逆風になるとみるや一転してこき下ろし、受け取りを拒む。相次ぐ批判も報告書ごと「なかったこと」にして、議論から逃げる。あけすけな小心さと幼稚な傲慢(ごうまん)さが同居する政府与党の姿には、あきれるしかない。
 金融審議会の作業部会がまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書のことだ。長寿時代には資産の寿命も延ばす必要がある。長期・積み立て・分散投資が大事で、金融機関も顧客のニーズに応えるべきだ――そんな内容だ。
 前提として、公的年金の水準が「今後調整されていく」、つまり現役世代の平均収入に対する年金額の割合が下がっていくことが指摘されている。今の高齢者(2人世帯)の支出の平均は月約26万円で、年金などの収入約21万円との差額5万円は資産の取り崩しで賄われているという数字も示された。30年分で約2千万円との計算になる。
 麻生金融相は当初、100歳まで生きる時代には人生設計を考え直す必要がある、といった説明をしていたが、11日には報告書を受け取らないと表明した。自民党二階俊博幹事長が報告書を批判し、「我々選挙を控えておるわけですから、そうした方々に迷惑を許すようなことのないように注意したい」と発言した直後だった。
 「年金不足」が夏の参院選の争点になることを恐れたのだろう。語るに落ちるとは、このことである。
 報告書は、学者や金融業界関係者らが昨秋来12回の会合を重ねてまとめられた。金融庁が事務局を務め、会合は公開、資料や議事録も公表されている。そもそも麻生氏の諮問を受けて設けられた作業部会だ。議論を頼んでおきながら、風向きが悪くなると背を向けるのでは、行政の責任者の資格はない。審議会は政府を代弁すべきだという「本音」が露呈している。
 麻生氏は「これまでの政府の政策スタンスとも異なっている」という。異論があるなら、受け取ったうえで反論すればいい。不正確なところがあるのなら、より正確なデータや解釈を示すべきだ。
 確かに、報告書が資産の取り崩しの平均値を「不足」や「赤字」と表現したのはやや乱暴にみえる。だが、年金の水準が下がり、それだけでは豊かな老後が送れないかもしれない国民がいるのは動かしがたい事実だ。
 5年に1度、年金の給付水準の長期的な見通しを示すための財政検証も、例年より公表が遅れている。選挙後に議論を先送りしようとしているのなら、許されることではない。


水説

金融庁は悪くない=福本容子
2019612:毎日新聞


 <sui−setsu>


 「安心してください、はいてますよ」。数年前、そんなお笑いネタがあった。パンツ一丁でたくみにポーズをとり、まるで素っ裸であるように見せてハッとさせる。

 でも、もし本当にパンツをはいていなかったら……

 金融庁が発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」が波紋を広げている。「安心してください」と言っていたのに、公的年金では足りないから自力で2000万円用意しろって詐欺だ! 批判が噴出した。

 だが、金融庁の報告書は「あの人、パンツはいてませんよ」と正直に書いたに過ぎない。

 公的年金だけで、老後もそこそこの生活水準をキープするのは一般的に無理。これが現実=「裸」だ。政府も公的年金だけで100年安心、とは言っていない。2004年にできた制度は、平均的な現役会社員が受け取る収入の最低50%を公的年金でカバー、がそもそもの目標だ。当初から残りはご自分で、が前提なのである。

 ところが「百年安心」の広告は見出しが派手な半面、「年金制度の話であり、100歳時の収入が安心かどうかは個人差があります」の注意書きは目立たなかった。

 当然、受け手は具体的な危機感を持たない。そこで警鐘を鳴らしたのが、金融庁に委託された学者らによる作業グループだ。

 5月22日に報告書の原案を公表した。公的年金の給付額は「中長期的に実質的な低下が見込まれている」「公的年金だけでは望む生活水準に届かないリスク(がある)」と精いっぱいの正直さで厳しい将来を表現した。

 かつては元サラリーマンなら、退職金を足せば何とかなった。今は長生きにより死ぬ前に使い切る恐れがあるうえ、支給額も過去20年で平均が1200万円以上も減っている。これからは、若い頃から少額でもこつこつ蓄えよう、と啓発を試みた。

 だが正直さがあだとなる。

 世間の不安や怒りを受け、今月3日公表の報告書最終版では、原案にあった正直話がずいぶん削られた。それでも安倍政権の怒りは収まらず、「報告書は受け取らない」と。

 怒りを向けるべきは、少子化にも財源不足問題にも長年本気で向き合わず(選挙受けしないから)、目先の景気浮揚策(選挙受けするから)に何兆円も税金をつぎ込む一方、消費増税を先送りしたうえ、「安心してください」と誇大広告を続けてきた与党政治家の方だ。

 何はともあれ話題の報告書である。原案と最終版のセット読みがお勧めだ。(論説委員)


「年金だけでは不安」消えず
 老後2000万円報告書、実質撤回
2019612:東京新聞


 麻生太郎副総理兼金融担当相は十一日の閣議後記者会見で、公的年金以外に夫婦で老後に二千万円の蓄えが必要と試算した金融庁の金融審議会の報告書を受け取らない意向を示した。報告書は金融審の総会を経て麻生氏に手渡されることになっており、事実上の撤回。自民党は早い幕引きで夏の参院選への悪影響を回避する狙いがある。金融庁は報告書の修正などを検討する。 (木村留美)

 麻生氏は会見で、報告書について「著しい不安と誤解を与えている。政府の政策スタンスとも違うので、正式な報告書としては受け取らない」と述べた。
 金融審議会は首相、金融担当相らの諮問機関。報告書は今月三日に金融審議会の「市場ワーキング・グループ」が公表したもので、平均的な無職の高齢夫婦世帯で月五万円の赤字が見込まれ、二十年間で約千三百万円、三十年間で約二千万円が不足するとした。
 麻生氏は報告書の位置付けについて「まだ金融審議会の総会を通っていない」として、公式な文書ではないと強調。「(老後の)生活費として不足、赤字だという表現を使ったのは、極めて不適切だ」と強調した。
 記者から「もう一度報告書を出すことになるのか」と問われると、麻生氏は「いつまでにと日にちをもって考えているわけではない」と述べるにとどめ、再提出を行うかなどの明言は避けた。
 これに先立ち、自民党の林幹雄幹事長代理は金融庁の三井秀範企画市場局長を党本部に呼び、報告書の撤回を求めていた。
 自公政権は二〇〇四年の年金制度改革で「百年安心」との看板を掲げていた。野党は、金融審議会の報告書が多額の自己資金が必要なことを示したことから「百年安心はうそだった」などと激しく反発。安倍晋三首相は十日の参院決算委員会で「不正確であり、誤解を与えるものだった」と釈明していた。
◆不都合な現実 説明避ける政府
 金融審議会の報告書が問題化したのは、公的年金だけでは老後の生活費が不足しかねない「不都合な現実」を示したためだ。多くの人が漠然と感じていた不安を裏付けた形で、政府が正面からの説明を避けてきたツケが噴き出した。撤回して議論そのものにフタをしても、老後の資金が年金だけでは心もとない事実は変わらない。将来はなお見えず、不安が募る悪循環が続く。
 「みんな公的年金だけでは無理だと感じているから、生活防衛に走っている」。家計相談を数多く受けている生活マネー相談室(東京)の八ツ井慶子さんは相談者の状況を明かす。
 高齢になっても働き、消費を控え、リスクがある運用をしない。人々の生活は公的年金への不安に根ざすと感じる。八ツ井さんは「蓄えが目減りすることに本能的な恐怖を感じている」と解説した。
 金融庁が報告書で示した「二千万円足りない」などの試算も、民間のシンクタンクでは複数出ているもの。審議に参加したみずほ総研の高田創氏は「こういう統計があることを前提に、これからどうすれば良いか議論しただけなのに」と、反発の大きさに当惑を隠せない。
 公的年金の議論に携わってきた学識経験者は「自助も含めなければやっていけないという長年の議論を政府が説明せず、逃げ続けてきたツケ」と嘆く。日本総研の西沢和彦氏も「報告書の撤回などせず、厳しい現実を政府が正面から語ればいいだけ。野党にも同じことが言える」と政局に利用すること自体を批判した。
 七日に都内であった「高齢化と金融」がテーマのシンポジウムで象徴的な場面があった。ドイツの金融監督庁長官が「私の国で一番大きな課題は公的年金の維持だ」と正面から語った。これに対し、麻生太郎金融担当相は十一日の会見で「(報告書の内容が)政府のスタンスと違う」とあいまいに言葉を濁し続けるだけだった。 (渥美龍太)
(東京新聞)


夫婦の老後資金「2000万円が必要」
根拠は厚労省が提示 麻生氏の説明と矛盾
2019612:毎日新聞

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影


 夫婦の老後資金に関し、金融庁の金融審議会の市場ワーキンググループ(WG)報告書に盛り込まれた「30年間で約2000万円が必要」とする試算の根拠は、厚生労働省が示したものだった。同じデータは2月に同省の審議会でも提示。麻生太郎副総理兼金融担当相は「政府の政策スタンスと異なっている」として報告書の受理を拒否したが、実際には従来の政府の考え方を踏襲したもので、麻生氏の説明との矛盾が浮き彫りになった。

 報告書をまとめたWG412日の議事録によると、資料を示したのは厚労省年金局の課長。老後資金の確保のために公的年金を補完する手段として個人年金の意義を紹介。総務省の家計調査を元に高齢夫婦無職世帯の現在の収入・支出状況の資料を示し、「実収入209198円と家計支出263718円との差は月5.5万円程度となっている」と説明した。

 これに対し、民間委員からは、公的年金の給付水準が今後、低下することを踏まえ、「(試算にある)社会保障給付の19万円は、団塊ジュニア世代から先は15万円ぐらいまで下がっていくだろう。月々の赤字は10万円ぐらいになってくるのではないか」との発言があった。

 麻生氏は11日の記者会見で、「高齢者の生活は極めて多様。平均値で出すことに無理がある」と指摘した。だが、厚労省の課長は222日に開かれた厚労省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会でも同じ資料を配って同様の説明をしており、WGでの「5.5万円不足」の議論は厚労省の従来の考え方を繰り返したにすぎなかったことが分かる。

 金融審の報告書は、老後の備えに「自助努力」を求めた点も批判を浴びた。ところが、2月の社保審部会の配布資料でも「企業年金・個人年金制度に関する主な検討課題」の一つとして「働き方や勤務先に左右されない自助努力を支援する環境の整備など」を挙げている。

 自民党も7日に発表した参院選公約に「人生100年時代の到来を踏まえ、国民が生涯にわたり安定的な資産形成を行うため、『つみたてNISA(ニーサ)』をさらに普及する」と記載。長寿化を見据えて自ら老後に備えるよう促す考えを示している。

 佐々木信夫中央大名誉教授(行政学)は「『年金だけでは足りないからどうするか』というのは当然のこと。『ではどうするか』を真摯(しんし)に議論すべきだ」と述べている。【野原大輔】

「あべしんぞうぅ〜、あそうたろうぅ〜」と唄うのは右田くん。これに続く歌詞は「あべやめろぅ〜、かっぷラーメン、400え〜ん」だったと思う。500000000円以上の資産があり、年収も20000000円弱、一年間の飲み代が20000000円弱、議員を辞ると年金訳4000000円の麻生太郎副総理兼財務大臣に「老後のために20000000円貯めておけ」と説教されても、「ふざけるなぁ〜!」だ。
しかも自分が諮問した報告を、中身が気に入らないと言って受け取り拒否とは何事か。現実を見て、政策を立案して、実行するのが政治家の責任だ。無責任にもほどがある。ABE政権の「傲慢・頽廃極まれり」だ。こんな腐った政権に、この国が米国に切り売りされていると思うと、おとなしいボクのはらわたも沸騰しきっている。


2000万円」報告書
与党幹部が金融庁を一斉批判
 参院選の争点回避に躍起
2019611:毎日新聞

 夫婦の老後資金として「30年間で約2000万円が必要」との試算が盛り込まれた金融庁の報告書を巡る問題は、麻生太郎副総理兼金融担当相が受け取りを拒否するという異例の事態になった。与党幹部らは一斉に金融庁を批判。参院選での争点化を避けようと火消しに躍起だ。


  自民党内に強い危機感


 「微熱がある」として11日朝の自民党役員連絡会を休んだ二階俊博幹事長が午前11時ごろ、党本部に姿を見せた。

 「2000万円の話が独り歩きしている状況だ。国民に誤解を与えるだけではなく、むしろ不安を招いており、大変憂慮している」

 二階氏が急きょ出て来て記者団の取材に応じたのは、党内の強い危機感の表れだ。これに先立ち、林幹雄幹事長代理が金融庁幹部を国会内に呼び、抗議した。

 二階氏の発言から約40分後には、麻生氏が記者会見で報告書の受け取り拒否を表明。自民党の森山裕国対委員長は、公明党との会合で「報告書自体がなくなったものと認識している」と述べた。自民党の岸田文雄政調会長も記者団に、「極めてずさんだ」と報告書の中身を酷評した。

 政府・与党が早期の火消しに動いたのは、予想される参院選の公示まで約3週間と迫っているからだ。第1次安倍政権当時の2007年参院選で「消えた年金問題」が足を引っ張って大敗を喫した記憶もよみがえる。改選を迎える与党の参院議員からは「金融庁は野党の味方か」といった声も漏れる。自民党幹部の一人は「なんであんなもんを選挙前のタイミングで出してきたのか」と憤りをあらわにした。

 公的年金制度の「100年安心プラン」を03年に打ち出した公明党の山口那津男代表も11日の記者会見で「人生100年時代の過ごし方と、年金100年の制度の問題は全く次元が違う。無理やり混同させるような議論はおかしい」と語気を強め、「誤解を招くような言動が政治家から出ている。年金の不安をあおるような言動は罪深い」と野党を批判した。

 有識者会議に諮問した大臣が受け取りを拒否するという前代未聞の対応に、野党からは批判の声が上がっている。国民民主党の原口一博国対委員長は11日、金融庁の報告書に関する野党合同ヒアリングで、「国会議員として私たちも説明を受けた報告書を受け取らないなどあり得ない。国会をばかにするのはやめてほしい」と指摘した。

 立憲民主党の枝野幸男代表は同日、日本記者クラブでの記者会見で「貯蓄しろと言って消費不況を加速させる経済認識のずれと、政府にとって都合の悪いものを隠し、ごまかそうとする姿勢が争点だ」と語った。【竹内望、東久保逸夫】

金融庁や審議会委員、拒否に戸惑いや批判


 「前代未聞だ」。麻生氏が、金融庁の審議会がとりまとめた報告書を「政府の政策スタンスと異なっている」ことを理由に受け取りを拒否する考えを示したことを受け、金融庁や審議会の委員らの間では戸惑いや批判の声が上がっている。

 報告書は、首相と金融担当相の諮問機関である金融審議会(会長・神田秀樹学習院大大学院教授)傘下の「市場ワーキング・グループ(WG)」がとりまとめた。WG座長は神田会長が兼ね、委員は金融や社会保障に詳しい大学教授やエコノミストら20人。金融庁が事務局を務め、高齢化時代の金融サービスのあり方を検討しようと昨年9月から12回会議を開き、今月3日に報告書をとりまとめた。

 平均寿命がのび、生涯で必要な生活費の総額が増える一方、少子高齢化で将来受け取る年金が今より減るということをデータで示し、人生の早い時期から計画的な資産形成を促すのが狙いだった。その手段としては、政府が後押しする積み立て型少額投資非課税制度「つみたてNISA(ニーサ)」などを挙げた。

 問題となった「(年金以外に)30年で約2000万円の資産が必要」という試算は、資産形成の議論の前提となるもの。総務省の家計調査を基に毎月約5万円の不足が発生すると仮定してはじき出した数字だったが、「不安をあおっている」と政府・与党からも批判が殺到した。金融庁幹部は「今となっては表現が適切でなかった部分があったと思う。(資産形成の必要性という)目を向けてほしい重要な部分に注目が集まらず残念だ」と肩を落とした。WGの報告書は金融審で了承を取り付け麻生氏に答申する予定だったが、今後の取り扱いは未定だ。

 ただ、支え手の減少に応じ、給付を自動的に抑制するルールを04年に導入したことで年金の受け取り水準が減っていくのは既定路線。WG412日の会議でも厚生労働省年金局の課長が、「実収入の社会保障給付は低下することから取り崩す金額が多くなり、今からどう準備していくかが大事」と明言している。

 WG委員の上柳敏郎弁護士は「自動的に抑制するルールで年金が減るのは前提条件で、備えの手段をどうするかが焦点だった。関係省庁も入って真剣に議論してきたのに一体何だったのか。理解できない」と麻生氏の対応を批判。「選挙前という事情があるかもしれないが、問題を直視し政治の場で議論をしてほしい」と訴えた。【古屋敷尚子】

財政検証、参院選後に先送りへ


 政府は、公的年金の今後100年にわたる給付水準の見通しを示す「財政検証」の公表を、夏の参院選後に先送りする方向だ。少子高齢化を背景に、年金の給付水準は長期的には低下が避けられず、金融庁の報告書問題で勢いづく野党が「年金だけでは暮らせない」と追及材料にするのは必至だ。

 財政検証は2004年の制度改正以降、法律で5年に1度の実施が義務付けられている。検証では、「モデル世帯」(厚生年金に40年加入した会社員と専業主婦)が65歳の支給開始時にもらえる年金額がベースだ。その時々の現役の平均手取り収入と比較して、50%の割合を維持できているかを主に確認している。

 そもそも、保険料を納める現役の「支え手」が減り、年金を受け取る高齢者が増えれば、年金の財政は行き詰まる。このため、給付を自動的に抑制するルールを制度に織り込んでいる。

 前回は1463日に公表され、モデル世帯は「40年間会社に勤め、ボーナス込みの手取り平均月額が348000円だった夫と、40年間専業主婦だった妻」。複数ある経済前提の標準ケースの厚生年金の給付水準は627%だが、43年度には506%に低下。月額に換算すると、14年度は218000円、43年度は244000円で、見かけ上は119%増える。しかし、現役の賃金の伸び率(385%)に遠く及ばず、実質的な価値は2割目減りするとの結果だった。

 国民年金だけの場合はさらに厳しい。給付水準は14年度の368%が43年度には26%まで低下。月額は128000円が125000円となる。実質価値の目減りは3割に達する。

 今回の検証でもモデル世帯は「将来の給付水準で50%を維持」との結果になるとの見立てが通り相場だが、それまでの間に「給付水準が下がる」状況に変化はないとみられる。金融庁の報告書原案から削られた「年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい」の表現はこのことを指している。

 財政検証の公表が遅れている理由について、厚生労働省は表向き「試算の前提が複雑で計算に時間がかかっている。統計不正問題を受けて数字も念入りにチェックしている」(幹部)と説明する。しかし、野党は今国会中の公表を要求し、参院選の主要争点に据える構えだ。政府・与党内には「今出せば火に油を注ぐだけ」(政府関係者)との見方が支配的だ。【横田愛】


金融庁報告書

「老後2000万円」 麻生氏、受け取り拒否

2019611:毎日新聞


 麻生太郎副総理兼金融担当相は11日の閣議後記者会見で、夫婦の老後資金として「30年間で約2000万円が必要」とする試算を盛り込んだ金融庁の報告書について、「政府の政策スタンスと異なる」として受け取らない意向を示した。

 麻生氏は「公的年金制度が崩壊するかのように受け止められたが、高齢者の生活は多様で、年金で足りる人もいればそうでない人もいる。公的年金は老後の生活をある程度賄うことができるという政治スタンスは変わらない」と強調。試算について「誤解を招く」と指摘した。報告書は金融庁の審議会の下に設置されたワーキンググループがまとめたもので、通常は審議会で了承され、担当相に報告される。報告書の受け取りを拒否するのは異例だ。

 また、自民党の二階俊博幹事長は11日午前、党本部で記者団に「撤回を含め、党として厳重に抗議している」と述べ、同庁に抗議したことを明らかにした。二階氏は「2000万円の話が独り歩きしている。国民に不安を招いており、大変憂慮している」と強調。「(試算は)年金制度とは別問題で、将来にわたり、持続可能な年金制度を構築している」と述べた。

 試算を巡っては、野党が夏の参院選に向けて争点化しようとしており、10日の参院決算委員会でも追及。自民党内では、2007年参院選で「消えた年金問題」が大敗の一因となったことから危機感が高まっており、異例の抗議に踏み切った。【竹内望、古屋敷尚子】


老後の生活費、いくら必要?
研究所に試算してもらうと
2019611日:朝日新聞


 老後の生活費はいくら必要なのか。多くの人が疑問を抱く点に、金融庁の報告書は「約2千万円」との試算を出し、批判を浴びた。
 必要額は現役時の年収や老後に望む生活水準で大きく違う。報告書が前提としたのは、総務省の17年の家計調査の数値で高齢無職世帯の平均像。夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯で、支出が収入を月約5万円上回るとした。それを蓄えから取り崩すため、預貯金退職金などで2千万円分必要だと指摘した。
 ただ、家計調査の18年のデータだと結果は異なる。第一生命経済研究所の永浜利広氏が同じ条件で試算すると、必要額は約1500万円に減った。収支の差額が17年より小さいためだ。
 一方で、2千万円では足りないという試算もある。
 ニッセイ基礎研究所は、サラリーマンと専業主婦の2人世帯で老後に自由に使える収入が公的年金のみのケースを想定して試算した。
 65歳で退職して年金を受給し、生涯で資産がなくなるリスクがほぼない前提での試算。現役時代と同じ生活水準を保とうとすれば、年収300万円未満の世帯で1800万円、1200万円以上の世帯で7700万円など、年収が増えるごとに必要額も大きく膨らむ。
 十分な蓄えがなければ、「公的年金生活保護などの公的給付で生きていけるように支出を切り詰めるしかない」(高岡和佳子・主任研究員)。支出を20%削った場合、必要な蓄えはそれぞれ550万円、4千万円に下がるという。
 2千万円超もの蓄えが難しい世帯は多い。金融広報中央委員会の調査では、高齢者世帯(2人以上世帯で世帯主が60歳代)が持つ金融資産は、500万円未満が約1割、持っていないと答えた人も約2割いる。
 アベノミクスでは、大手企業の収益が大きく伸び、失業率も改善したが、実質賃金は思うように上がらない。多くの人は景気回復の実感が乏しく、将来不安を解消できないのが実情だ。
 野村総合研究所の木内登英氏は「アベノミクス金融緩和に比重を置きすぎた。構造改革は進んでおらず、経済の潜在能力が上がらないので、実質賃金も上がらない。自分の生活がよくなる展望が持てないことが老後不安が消えない理由の一つ」と話す。(笠井哲也、寺西和男)


「蓄える上に年金払うの嫌」
老後2千万円報告書に戸惑い


 老後の蓄えとして「30年間で2千万円が必要」――金融庁の審議会がまとめた報告書に対し、街では不安や戸惑いの声が聞かれた。一方で、「年金制度が崩壊するのは目に見えている」と資産運用を意識する人もいた。
 「今から2千万円なんて、とうてい無理」。11日夜、東京・JR有楽町駅前で帰路に就いていた埼玉県川口市の男性会社員(53)はあきらめ顔だった。年収は約550万円。独身で、賃貸マンションに一人で暮らす。90代と80代の両親は離れた実家に住む。「将来には介護も必要だろうに、数百万円しか蓄えがない」
 定年後に収入がなくなれば、首都圏以外に引っ越しせざるを得ない、と心配する。「国まかせではどうしようもない、ということがよく分かった。自分で自分を守らなければ……」と険しい表情で語った。
 JR新橋駅前にいた東京都西東京市の男性会社員(61)も、「(老後に)2千万円必要だというのはふざけた話だ」と憤る。再雇用で月収56万円。「将来の保証がないのだとしたら、年金を払いたくなくなるのも仕方ないのでは。自分は家のローンを払い終わっているからまだいい方だが、所得の低い人はどうすればいいんだ」と話した。
 一方、駅前で知人と待ち合わせをしていた男性会社員(25)=東京都品川区=は「2千万円を蓄えなきゃいけない上に、年金を払わなきゃいけないってのは、少し嫌だな」と漏らした。
 ただ少子高齢化で、もらえる年金が減るのは当然で、あてにはできないと感じてはいる。メーカー勤めで月収は30万円前後。将来的に2千万円を蓄えるのは「きつい」と考えるが、将来への備えが必要だというのも理解できる。1年ほど前から外貨建ての保険に入り、月3万円ずつ積み立てているという。
 資産運用をアドバイスする「ファイナンシャルスタンダード」(東京都千代田区)には、金融庁の報告書公表以降、普段の5倍ほどの相談が寄せられている。これまで3割程度だった30〜40代からの問い合わせが、8割を占めるという。同社は「給料が右肩上がりになりそうにないなか、働く現役世代が『2千万円』という数字にどきっとしたのでは」と見る。
 11日夕、資産運用の相談で訪れていた横浜市の女性会社員(50)は「年金制度が崩壊するのは目に見えている。2千万では安心できない」と口にする。
 現在の年収は600万〜700万円ほど。65歳で定年退職した後も、年に数回は海外旅行できるような生活水準を保ちたいという。独身で、将来的には70代の親の介護費用も心配だ。「生活水準ってなかなか落とせない。少なくとも3千万円は蓄えたい」
 同社社長でファイナンシャルプランナーの福田猛さん(40)は、今回の報告書公表を「資産運用を考える、いいきっかけかもしれない」と捉える。「ゼロ金利政策で利息がほとんど付かないのに、預金を銀行口座で眠らせているのは日本くらい。人口減少や高齢化を踏まえて、一人ひとりがどう生きるか考えなければならない」と言う。(鶴信吾、関口佳代子)


もっと怒れ無策・搾取の末に

2000万円稼げ」の責任転嫁
2019611日:日刊ゲンダイ


 10日の参院決算委員会は途中で審議が何度も止まる大紛糾だった。もちろん揉めたのは年金問題。金融庁が<夫婦が95歳まで生きるには年金だけで賄えず、2000万円の蓄えが必要>と試算したフザけた報告書について、ようやく野党が安倍首相や麻生財務相を追及する場ができたのだ。

「100年安心」だったはずの年金制度の破綻が明らかとなったことについて謝罪の言葉でもあるのかと思いきや、安倍も麻生も「誤解を与えるものだった」「豊かな老後を送るために資産形成も大切との見方が述べられたもの」などと開き直るばかり。麻生に至っては、「報告書の全体を読んでいるわけではない」と言い放ったから許し難い。先週の会見で、「100歳まで生きるつもりなら、いまから老後のことを考えておけ」と上から目線で国民を説教していたが、報告書も読まずに、自分勝手な見解を押し付けていたわけで、あまりに腹立たしい。
 安倍も安倍で、いつもの質問をはぐらかす冗漫な答弁に野党が反発して委員会室がざわめくと、「大きな声を出すのはやめましょう」と逆ギレ。揚げ句に、「年金の運用益は民主党政権の時よりプラスになっている」と毎度の民主党批判だからア然である。

 決算委で安倍が何度も言い訳に持ち出したのが「マクロ経済スライド」だった。これは、賃金や物価の上昇率だけでなく、現役世代の減少や平均寿命の延びを加味して年金支給額を調整するもの。「将来世代のために給付と負担のバランスを取る」「マクロ経済スライドで100年安心は確保されている」と強弁したが、冗談じゃない。年金制度が立ち行かなくなったから、給付額を抑えるために窮余の策で2004年に導入が決まった制度改悪だ。

 マクロ経済スライドによって、今後、毎年1%ずつ年金支給額が減っていくとされる。それなのに、どうして安倍や麻生は「安心だ」とエラソーな態度を取っていられるのか。政府が「現役世代が減っているため」と長期にわたって国民を言いくるめてきたからだろう。ネットの投稿などを見ても、「少子化なのだから仕方がない」などという認識が広がっているが、あまりに物わかりが良すぎる。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が「もっと国民は怒らなきゃいけない」とこう続ける。

「少子化によって若年人口が減っているのは、今の日本が子供を産み育てる環境にないからです。『子どもは3人産め』などと簡単に言う政治家がいますが、少子化は政策の失敗が原因。幼児教育の無償化など小手先ではなく抜本的な政策転換が必要です。そして国民は政府に対し、『2000万円貯められるような給料にしてくれ』と言うべきです。老後の心配をしなくていいように国が面倒を見るのが年金制度。『自己責任でよろしく』なら政府は要りません」


日本だけがGDP横ばい、賃金低下の失政


 年金額が減ったのは、少子化もさることながら、経済政策の失敗が根本にある。長期にわたってこの国が経済成長できなかったことが原因だ。


 経済評論家の森永卓郎氏が、平成が終わるにあたってNHKインタビューで「平成は転落と格差の30年だった」と振り返ったことを今年3月、日刊ゲンダイで取り上げたが、あらためてもう一度、ここに記したい。

「日本の世界に対するGDPのシェア、日本経済が世界のどれだけの割合を占めているのかっていうのは、例えば1995年は18%だったんです。それが直近では6%まで落ちた。つまり日本経済の世界でのシェアが20年余りで3分の1に転落したんです」 

「ジワジワ来たので、みんなあんまり感じてないかもしれないんですけれども、その世界シェアっていう面で見ると、とてつもない大転落を日本経済が起こしてしまったっていうこの30年の歴史なんだと思います」 
「日本の会社が海外あるいはハゲタカのものになって、しかもそこで稼ぐお金を全部ハゲタカが持っていって労働者に分配しない。この構造の中で一気に大転落が起きて、その結果、なにが起こったかっていうと、とてつもない格差の拡大っていうのがこの平成の間に起こったんだと私は見ています」 


 過去20年のGDP伸び率の国際比較を見ると、日本だけが成長していないのは歴然だ。中国は18倍、インドは6倍、英は3倍、米と独は2倍に伸びているのに、日本は0・9倍で唯一横ばいなのである。

 日本人の賃金も世界からどんどん引き離されている。OECDのデータをもとに全労連が作成した「実質賃金指数」によれば、1997年を100とした場合の2016年の指数は、仏126、独116、米115と1割以上上昇しているのに、日本は89。1割以上、下がっているのである。


 シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏がこう言う。

「日本の成長率が鈍化したのは『賃金デフレ』をやってしまったからです。労働者の賃金上昇を抑えることで、イノベーションを起こせずグローバル競争から脱落する大企業を存続させてきた。日本の大卒初任給は月額20万円前後で、ここ24年変わっていません。しかし例えば、いま注目されている中国のファーウェイは本社なら初任給が月額80万円、日本法人でも40万円ですよ。いかに日本は低賃金の国かということです。加えて、日本では非正規雇用を増やし、賃金水準をさらに引き下げている。これでは若い人はお金を使えない上に、将来不安から貯蓄に励むしかない。これで経済が成長するわけがありません。現在の年金制度は現役世代が引退世代を支えるものです。人口減少社会を耐えうるためには、まずは若い人の賃金を上げなければなりませんでした」


弱肉強食の新自由主義が間違いだった


 結局、日本を成長しない国におとしめたのは小泉構造改革が最大の戦犯だ。規制緩和の名の下、市場原理主義で民営化を加速、ハゲタカに日本の富を売り払い、大企業・金持ち優遇政策を推進する一方、地方や中小企業は切り捨てられ、サラリーマンの賃金は抑えられ、正社員から非正規へのシフトを推し進めた。その結果、取り返しのつかないほどに格差が拡大し、消費は低迷。給料の少なさから結婚にも出産にも躊躇するような社会にしてしまったのである。

 安倍はその小泉政権で幹事長や官房長官を務めるなど一翼を担ってきた。そして自分の政権でも、構造改革の旗振り役だった竹中平蔵東洋大教授を使って新自由主義を続けているのだから最悪だ。その竹中らが「未来投資会議」を仕切って「働き方改革だ」「定年延長だ」と「人生100年」の青写真を描き、そうした政府の方針に沿って出てきたのが、今回の金融庁の報告書なのである。
 政治の無策で国富を減らし、その穴埋めに労働者から搾取する。国民は老後が不安で死ぬまで働き続けなければならない。その末路が「2000万円貯めろ」だと。こんなバカな話があるか。


 政治評論家の森田実氏が言う。

「英国のサッチャー首相や米国のレーガン大統領の路線に乗って、日本も弱肉強食の自由主義競争を走ってましたが、そうした経済政策が間違っていたということです。米国に言われるがまま、新自由主義の下、構造改革を推し進めてきた結果、国力が低下し、むしろ経済成長を止めてしまった。新自由主義の失敗はもはや明確になったのに、いまだ官邸の奥深くには新自由主義の信奉者が巣食っている。これでは日本は潰れてしまいますよ」

 野党は予算委の集中審議を求めているが政府与党は完全無視。閣僚全員が出席した10日の決算委は、その代わりのアリバイづくりだ。「参院選前に一度くらいは言い訳しておこう」というズルい魂胆がミエミエ。「嘘」と「ペテン」と「欺瞞」にまみれた不誠実な安倍政権の極みである。

 この政権は、根っから国民を軽んじている。それなのに、国民が怒りもしないという喜劇的惨状に、さぞ安倍政権はシメシメだろう。


「老後へ2000万円貯めろ」
麻生大臣の飲み代は年2019万円
2019610日:日刊ゲンダイ


「年金が不足するから、老後のために2000万円貯蓄せよ」――金融庁の報告書が波紋を呼び、安倍政権に「『100年安心の年金』はウソだったのか」と批判が渦巻いている。当初、「いまのうちに考えておかないと」と居丈高な暴言を吐いた麻生金融担当相は、慌てて「不適切だった」と火消ししたが、庶民が2000万円を貯蓄するのがいかに大変か、分かっているのか。「2000万円って、年間の飲み代だろ」――麻生氏の認識がこの程度だろうことが、政治資金の使途から浮かび上がった。


有名寿司店に高級和食店、馴染みの会員制サロンにも

「㈲すきや橋次郎 14万8176円」「浅田屋伊兵衛商店㈱ 16万7464円」――

 麻生氏が代表を務める資金管理団体「素淮会」の政治資金収支報告書(2017年分)をチェックすると、素淮会が交際費や渉外費に関わる「組織活動費」として、飲食を伴うとみられる「会合」費用を有名寿司店や高級日本料理店に支出しまくっていることが分かる。
「会合」費用の総額はナント、17年の1年間だけで計2019万6547円にも及ぶ。15年分は計2007万6292円で、16年分は計1947万2575円。庶民に対し「貯蓄しとけよ」と迫っている2000万円は、素淮会にとって、毎年の飲み代程度の金額ということだ。


 安倍首相が代表を務める資金管理団体「晋和会」ですら、17年の「会合費」は計145万円。素淮会の「会合」費用は、閣僚の中でも突出している。

 問題なのは、麻生氏が足しげく通う会員制サロン「ボバリー」(東京・港区)を運営する「オフィス雀部」に素淮会が年間数百万円も「会合」費を支出していること。同店オーナーの美人ママと麻生氏の親密関係は度々、メディアに報じられてきた。日刊ゲンダイを含め、複数メディアが再三、政治活動として適切な支出なのかと質問してきたが、これまで麻生事務所からの明確な回答はない。
 政治資金規正法は関係者との飲食費を「組織活動費」として処理することを禁じていない。


 しかし、明確な回答をよこさない麻生事務所は、会員制サロンへの支出がよほど後ろめたいのか、それとも「法律に違反してないのに何が問題なの?」と開き直っているのか。いずれにせよ、支出内容の説明を避ける麻生氏に「庶民は2000万円貯めておけ」などと言われたくない。

「麻生氏は首相時代、カップ麺の値段について『400円くらい』と発言し、庶民感覚のなさが問題視されました。飲食費だけで年間約2000万円というのはあまりにも大きい。本来、ポケットマネーで支払うべきものを平然と政治資金から拠出したのではないか。庶民とはかけ離れた感覚が、政治資金の使途に表れているように見えます。少なくとも、マスコミからの質問に対し説明責任を果たすべきでしょう」(政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏)

 少しは自らの政治資金の“放蕩体質”を改めてはどうか。


金融庁「年金下がるから資産運用」報告書
批判に、麻生太郎大臣が
開き直って国民に説教!

でも自分が貰う議員年金の金額は

201965日:LITERA



 金融庁が3日に例の「高齢社会における資産形成・管理」の報告書を正式に公表した。
 この報告書は、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」がとりまとめたもので、522日の段階で報告書の「案」を公表。これに対してネット上では怒りの声があがっていた。
 というのも、この報告書案は、〈公的年金の水準が当面低下することが見込まれている〉〈少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある〉としたうえ、平均的な高齢夫婦でも公的年金だけでは毎月5万円の赤字になると試算。退職後30年間で約2000万円が赤字になるとして、若いうちから資産運用をするように、提言していたからだ。
 本サイトでも2回にわたって追及したが(既報1→https://lite-ra.com/2019/05/post-4742.html、既報2→https://lite-ra.com/2019/06/post-4748.html)、「いまごろになって、年金がこれから減るから生活できない、自分で資産運用しろとは、あまりに無責任だ」と批判が殺到したのだ。
 こうした批判の結果、3日に公表された報告書では、〈年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい〉〈公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある〉という年金に関する表現を軒並み削り、代わりに〈少子高齢化という社会構造上、その給付水準は今後調整されていく見込みである〉といった表現に代えていた。
 だが、これはたんなる言い換えにすぎない。実際、本サイトによる金融庁への直撃取材では、「やはり見込みとして、長寿化、少子高齢化の影響で給付水準は下がっていくというところはあります」「今の支出を前提とすれば、(自助で)賄わないといけない金額というのはおのずと増えてくる。客観的データから言うと、事実ではある」と認めているからだ。
 批判を浴びたので曖昧な表現に変えただけで、結局、金融庁が国民に迫っているのは、「長生きしたいなら年金だけに頼らず自助努力しろ」ということに変わりはないのだ。
 年金制度の不備や破綻の危険性は長く指摘されてきたのに、政府は「年金100年安心プラン」「公的年金は絶対大丈夫!」などと喧伝してきた。それがここにきて「自助でどうにかしろ」と自己責任を押し付ける──。多くの人が怒りの声をあげるのは、あまりにも当然の話だろう。
担当の麻生大臣が「100歳まで生きるならいまのうちから考えておけ」
 だが、こうして政府としての責任を放棄しておきながら、堂々と開き直った男がいる。金融庁トップの金融担当大臣を務める麻生太郎だ。
 
 麻生大臣は今回の報告書について記者から質問を受けると、いつもの居丈高な態度で、こんな話をはじめた。
「オレが産まれたころの平均寿命はいくつだったか、知ってるか?」
47(歳)です。(記者陣を指差して)だいたい終わっているよな。それが戦後は53になって、それでこのあいだまで81とか言ってたのが、100だってんだろ?」
「そうすると、人生設計を考えるときに100まで生きる前提で退職金って計算してみたことあるか? 普通の人はないよ、たぶん。オレ、ないと思うね」
「いきなり100って言われて、『あと20年間ゴルフつづけられるのか』って、『そんな体力ねえな』とか『金がねえな』とか、いろんなことを考えるだろうから、そういったようなことを考えて、いまきちんとしたものを、いまのうちから考えておかないかんのですよと」
 何を偉そうに開き直っているのか。平均寿命が伸びていくことも少子高齢化もとうの昔から予測されていたことで、いま発覚したようなものではない。そうした予測のもとでも政府は「年金100年安心!」と喧伝してきたというのに、嘘をついてきたことの責任にはまったくふれず、麻生大臣は「100歳まで生きる気ならいまから考えておけ」と言い放ったのである。
 言っておくが、多くの国民にとっては将来の蓄えをする余裕などないのが現状だ。現在、日本では7人に1人が貧困にあえいでおり、貯金はもちろん、資産運用など考えられない状態に陥っている。実際、2017年の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2人以上世帯で運用や将来への備えなどを目的とした金融資産を「保有していない」と答えた世帯の割合は31.2%にものぼり、過去最高を記録している。賃金は上がらず、非正規の雇用者は増えつづけるという経済状況をつくり出しておきながら「長生きしたいなら2000万円貯金しろ」「投資で資産運用しろ」とは、この国の現状と照らし合わせれば「棄民政策」としか言いようがない。
 しかし、財閥のボンボン育ちで資産をたんまり貯め込む麻生大臣には、そんな庶民の生活実態など想像もしたことがないのだ。
 現に、2017年に公開された閣僚資産では、麻生大臣の保有資産額はなんと52303円で断トツのトップ。20171年間の所得も4040万円となっており、自民党平均の2612万円を大きく上回っている。
 その上、これだけの稼ぎと蓄えがありながら、麻生大臣は「愛人」と週刊誌で報じられた女性がママをつとめる「Bovary」という六本木の会員制サロンで、毎年、政治資金を湯水のように使いまくっている。麻生副総理の資金管理団体「素淮会」の収支報告書によると、2017年分だけでその額は792万円だ。


議員年金廃止になっても、

引退後は年間448万円の高額年金もらえる麻生大臣 

 高給を食みながら、血税が原資の政党交付金が含まれる政治資金で豪遊。その一方で「たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」「人の税金を使って学校へ行ったんだから」などと国民皆保険制度や教育への公的支出を否定する暴言を連発する──。こんな人間がいまだ副総理や財務大臣を務めていることが端的に言って異常なのだが、もうひとつ、指摘しておかなくてはならないのは、麻生大臣にはしっかりと議員年金が支給されるということだ。
「国会議員互助年金」は20064月に廃止となったが、廃止時点で在職期間が10年以上の現職議員には、引退後に従来より15%減となる年金、納付金総額の8割の退職一時金のどちらかを選択して受け取ることができるのだ。
 そして「FRIDAY」(講談社)2012413日号の試算によると、麻生氏が受け取ることができる議員年金の金額は年間4482559円にものぼる。同誌によれば、この国会議員年金の廃止後は掛け金収入がないため、100%が国民の税金負担で支払われているという。
 ちなみに、昨年12月に発表された2017年度の厚生年金平均支給額(65歳以上男性)は月額174535円で、年額にして2094420円だ。
 つまり、国民には給付金の削減や保険料などの負担増で生活を追い込んでいる上、「年金の給付水準がいままでと同等だとは期待するな」と言い出したというのに、麻生大臣には納付額の8割が現行制度ではきっちりと支払われるのである。「ふざけるな」という話だ。
 今回の金融庁の報告書を受けて「年金返せデモ」の動きも出てきているが、このふざけた政府の態度に対し、いまこそ国民が明確に怒りをぶつけなければ、わたしたちの生活はどんどん「自己責任」で片づけられてしまうだろう。


【主張】
老後「2千万円」 厳しい現実に目背けるな
2019612日:産経新聞


 「老後資金は2千万円不足する」とした金融庁の報告書が波紋を広げている。野党が政権への攻撃材料として取り上げ、安倍晋三首相は「誤解を与えるものだった」と釈明した。
 報告書の趣旨は「人生100年時代」を見据えて国民が老後資金を確保する重要性を訴えたものである。不足額は現在の家計調査をもとに機械的に算出したものにすぎない。
 だが野党は、ことさらに公的年金と豊かな老後を送るための余裕資金を混同させ、不安をあおってはいないか。これが参院選を控えた戦術であるとすれば、あまりに不毛だ。これでは少子高齢化が加速する中で、国民の利益につながる老後のあり方について、建設的な論議など望みようがない。
 報告書は総務省の家計調査にもとづき、平均的な無職の高齢世帯(夫65歳、妻60歳以上)について「毎月の赤字額は約5万円」と試算し、「20年で約1300万円、30年で約2千万円の取り崩しが必要になる」と指摘した。
 不足額を「赤字」と表現したことについて政府は「誤解を招いて不適切だった」と釈明した。与党内からも問題視する声が上がり、麻生太郎金融担当相は報告書を受理せず、金融庁は事実上の撤回に追い込まれた。数字の独り歩きを招く表現は軽率だった。
 野党は報告書について「『100年安心』は嘘だったのか」と揚げ足取りに終始している。だが公的年金は元来、老後資金の全てを賄う設計とはなっていない。この大原則は民主党政権時も同様で、知らないはずはない。
 老後に必要な資金額を紹介し、自助努力を促すことは本来、当然のことである。
 公的年金は、現役世代が今の高齢世代を扶助する仕組みである。今後は高齢化が進むのに伴い、給付の抑制も予定される。現役世代にどこまで負担を求め、高齢世代への給付をどう抑えれば理解を得られるのか。今はその難しいかじ取りを迫られている。
 それだけに野党は、公的年金に対する無用な不信を広げるような言動は慎むべきである。政府・与党も報告書の撤回でお茶を濁し、少子高齢化で迎える厳しい現実から目を背けてはならない。年金の長期的な給付水準を示す財政検証を早期に示し、与野党で幅広い真摯(しんし)な議論を進めるべきである。


人気女性モデルと
自民党のコラボ広告で公選法違反か
ViVi」の
政党ロゴ付きTシャツプレゼントが波紋
2019611日:AERA


 講談社の女性向けファッション雑誌「ViVi」オンライン版が、自民党の広告記事で同誌所属のモデルを9人登場させ、Tシャツをプレゼントする企画を発表したことが波紋を広げている。

 同誌は10日、「わたしたちの時代がやってくる!権利平等、動物保護、文化共生。みんなはどんな世の中にしたい?」と題した記事を公開。ツイッターでは、「#自民党2019」「#メッセージTシャツプレゼント」の2つのハッシュタグをつけて、どんな世の中にしていきたいかをツイッターやインスタグラムに投稿するよう呼びかけた。また、メッセージを投稿した人から抽選で13名にモデルたちが考えたメッセージをプリントしたTシャツをプレゼントすると発表した。

 講談社に取材を申し込むと、「このたびの自民党との広告企画につきましては、ViViの読者世代のような若い女性が現代の社会的な関心事について自由な意見を表明する場を提供したいと考えました。政治的な背景や意図はまったくございません」との回答だった。なお、今回の企画の広告費用については「お答えできません」(講談社広報担当者)という。

 ただ、今夏に実施される参院選を控えた政党が、人気カリスマモデルを使って広告を展開すること自体は異例なこと。広告の連絡先は『「#自民党2019」プロジェクト事務局』となっていて、同プロジェクトは安倍首相の側近の一人である甘利明選対委員長がリーダーを務めている。

 しかも、ViViのホームページでは「メッセージTシャツプレゼント」の企画も告知されていて、そのTシャツには自民党のロゴマークも印刷されているように見える。公職選挙法では、政治家が選挙区内でお金や物を贈ることは禁止だ。選挙区内の有権者に線香セットを配ったことで、2000年に小野寺五典衆院議員が議員辞職した例もある。

 はたして違法性はないのか。政治資金の問題に詳しい神戸学院大学法学部の上脇博之教授は、こう話す。
「公職選挙法では、現金や物を渡したり、受け取ったりするだけではなく、事前に受け渡しを約束することも寄付行為として禁止されています。また、自民党はすでに今夏の参院選で全国比例で出馬する候補者を発表しています。同法では、候補者の氏名が類推されるような方法での寄付は禁じられており、今回のプレゼント企画は同法に抵触している可能性があります」

 一方で、同法では候補者による寄付については細かく禁止規定があるが、政党による寄付については定義があいまい

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