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全国どこの小学校の音楽室にも子供達を見下ろすように、そして取り囲むように、 ”偉大な”作曲家の肖像画が飾られているのだろうか。少しも音を楽しむ雰囲気はない。私の苦手な風景のひとつだ。
モーリス・ラヴェル(1875−1937)は元々寡作な作曲家でピアノ協奏曲も2曲しか遺していない。その1曲がこれ。3楽章構成で、針を落とした瞬間、ラヴェルらしい華やかで鮮やかな音がおもちゃ箱から飛び出す。
これがピアノ協奏曲? と思わず首を傾げたくなる。リストやベートーヴェンのそれのような重々しさがない。当時真新しかったジャズを取り入れたもので、私も知人に聴かせて「こんなのクラシックじゃない」との言葉を貰った。しかし、第2楽章は一変。フルートとピアノの透明な音色がまるで澄み渡る秋の夕焼けを思わせる。これを聴くとどこかに帰りたくなる。ココデハナイ、ドコカ。
そして再び第3楽章は大騒ぎ。
このアルバムはその世界初録音。マルグリット・ロンのピアノ、ペトロ・デ・フレイタス・ブランコの指揮で1932年4月14日にレコーディングされた。ラヴェルは別室からダメ出しの連続。午前3時になっても満足しなかった作曲者にロンは「ラヴェルに殺されるかと思った」と後年追想している。
片面4分程度の録音しか出来なかったSP盤のため、3枚5面に収録されている(6面は「亡き王女のためのパヴァーヌ」)。盤だけで販売し、希望者には別料金でケースも斡旋した。蛇足ながらこれが新譜を指す言葉「アルバム」として今も使われている。
そりゃあこの演奏が先の世に伝わると思えば、気負う気持ちも分かるけど、随分無茶をさせたようだね。
SP盤に合わせて4分程度で中断してはレコーディングしたんでしょ。まったく。
そんなことをつぶやくと、ウインクするラヴェルが見える。
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