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トランプ氏の大統領就任演説を聞いた。内容は、連日のツイートまとめ。たしかにアメリカの大統領だから、アメリカ国民に対して発言すれば十分なのだろう。世界のトップリーダーとしての見識や配慮は感じられず、アメリカという国が、いちだんと身近に感じられる不思議な就任式だった。朝のニュースでは、就任式の会場外での混乱ぶりが報道されていた。他民族国家のアメリカが、共有すべき理念も無いまま、目先の問題解決だけで向こう4年間、本当にもつのか心配になる。でもアメリカはトランプ氏を選択したのだ。
第3問は、民主主義と政治の問題だ。2016年は意外な投票イベントが相次いだ。6月、イギリスで実施されたEU離脱の国民投票。まさかのEU離脱に決着してしまった。そして11月のアメリカ大統領選挙。それから年末のNHK紅白歌合戦で実施されたAKB48出演メンバー選抜投票。購入したCDの投票券による投票ではなく、本当に一人一票の、“平等選挙”だ。通常の“総選挙”で実施されるCD投票券による“累積投票”とは結果が少し違う感じがして、これはこれで興味深かった。
EU離脱の国民投票とアメリカ大統領選挙の共通点は、決着後の後味の悪さもさることながら、貧困、移民という社会システム崩壊の原因であり結果でもある要因が背景にあることだと思う。それから、フタを開けてみるまで投票結果をほとんど読めていなかったマスコミの失態を目撃したイベントという点でも共通していた。読めていなかった、というのは、格差問題の深刻さが本当のところ理解できていなかった、ということだろう。ダボス会議に先立つ16日、世界の貧困問題に取り組むNGO“オックスファム”がレポートを発表した。それによると、世界でもっとも裕福な所得上位8人の総資産は4260億ドル(約48兆5000億円)で、所得の少ない世界の人口の半数、36億人の総資産とほぼ同じ、とのことだ。世界のトップリーダーは、その点をよーく考えて欲しい、との問題提起だ。
民主政治を行う際、国政のすべてに国民が直接関与することは困難である。それゆえ、多くの国では、国民が選挙で自らの代表を選び、その代表が政治を行う間接民主制がとられている。ただ、人々の価値観が多様化する中で、選挙では人々の意見の表出や反映が十分にできないのではないかとの懸念も生じている。政治に対する不信や不満が高まり、投票率が低下している国は少なくない。 アメリカがトランプ氏を選んだのは、正しい選択だったのか、というのは愚問だろう。格差の問題を真正面から扱った選挙の果て、アメリカ国民は、何をどう妥協して彼を選んだのか?そのことを謙虚に学び取らなければならないと思う。
問題も少し見ておく。問2、利益集団に関する問い。
④日本においては、利益集団のニーズに応じて利益誘導政治を行うことが推奨されている この選択肢は誤り。憲法にも“日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し”(前文)、“両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。”(第43条)とあり、全国民を代表する議員による政治運営が規定されている。議会政治を補完するものとして特定の利益集団を代表する圧力団体によるロビイング活動は存在するけれど、推奨されているわけではない。しかしながら、日本の政治の現状を思うと、国会と民意のねじれ現象が起きていて、誰のどの利益が優先されるとそんな結論になるんだよ、と言いたくなることが少なくない。思わず④にマルを付けたい衝動に駆られる。
ふたたび、トランプ氏の就任演説に戻ると、彼は近年のアメリカ政治の堕落の原因としてワシントンを攻撃しているけれど、金融業界とか、IT業界とかの圧力団体との関係はどうなのか?没落した白人中間層を救うというポーズを見せて格差問題に真摯に取り組んでいるように見せながら、憎悪の矛先を巧みに反らしているようにも見える。
そうそう、日本国憲法前文には、こうも書いてある。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。 アメリカの押しつけ憲法だから改憲が必要だ、と言う人もいるけれど、大切なのは内容だ。かくも高貴な精神の憲法を押し付けてくれなかったら、そのうち日本も“Japan, First”とか首相が連呼しているかもしれない。そんな国にならないことを願っている。
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