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本書を読む前の自分の事前知識
面白かった。てか怖かった。
赤字自治体のルポ。著者はNHKの人。2009年発行。
第三セクター(以下三セクと略す)が、いかに自治体を泥沼に引きずり込むかが本書のメインテーマ。夕張市(北海道)は本書のモチーフでは無い。それ以外の自治体地獄。

構成は
・三セク自身の問題点 大鰐市(青森県)など
・銀行との攻防 飯綱町(長野県) 芦別市(北海道)など
・病院か自治体か悪魔の選択 赤平市(北海道)など
の3本柱。

自治体と企業(観光リゾート会社など)が三セクを作り、銀行から金を借りる。ノーリスクと自治体は国などから説明を受けていたが、結局100%自治体の負担となり、実はハイリスクだった、と。

なぜ三セクは上手くいかないのか?の一般的な答は以下3つ。
1 三セクの社長が自治体の首長である場合が多い
→首長の仕事で手一杯なのに社長ができる訳ない。更に その業種and財務の事がわからない不適格な社長(首長)も多い。
2 三セクの社員が議員の子弟である事が多い。
→就職できないからって三セクに来られても。また「(その業種の)人件費の割合は3割まで」が黒字化のラインだが、4割を超えている三セクが多い。
3 調達コストが高い三セクが多い。
→地元商店からの調達で、市場の価格から外れてる事も多い。

大鰐市のケースだと三セクでスキー場・リゾート施設(スパガーデン等)を投資・経営し、最初は客数も増えて良い目も見たが、
・近隣地域の三セクの追随
・過剰投資
が事態を破滅的に悪化させる。特に大鰐市の三セクは当初大鰐市が半分以上の株式を握っていたが、その後、企業に半分以上の株式を握られ、企業の言うままに三セクが金を借りまくる。三セクの社長は首長が兼任していたが、企業の「こちらはプロですから言う通りにしてください」と押し切られ、ハンコ推しマシーンと化す。
バブル崩壊で三セクの企業は倒産。企業が三セクに融資した32億円は放棄。三セクの施設も放棄。同時に企業は三セクの負債も負わないという結果で自治体が以降全て引き受け。

さて、以下銀行との話。
「赤字を垂れ流す三セクは潰してしまうが良い」という主張が当然出てくるが、銀行と三セクの契約がそれを許さない場合がある。多くの融資で「損失補償契約」が結ばれていて、三セクを破綻させると自治体が一括で三セクの借金を払わなければならないのだ→それは無理。
企業は倒産する事がある。が、自治体は倒産する事ができない。更に銀行は「損失補償契約」を付ければ万全。
銀行がほぼ無審査でガンガン貸していったのも、自治体の財政地獄の一因と著者は見てる。
「企業は倒産する事がある」を少し詳しく言うと、だから銀行は企業の債権放棄に応じる事がある、との事。倒産すると貸した金を取りっぱぐれる。ならば、一部の借金を棒引きしても、その企業を生かして残金を回収した方が良い、という計算が出てくる。
「自治体は潰れる事ができない」ので、利率は少し融通しても、元金を割る債権放棄に応じる筈が無いという理屈。

芦別市(北海道)で
三セク破綻→損失補償契約発効→協議(かなりモメる)→分割払いを認める
という画期的な交渉例あり。その後の自治体が続くかは今後の経過待ち。
芦別市で銀行が譲歩したのは、(一括返済を求めて自治体を荒廃させると)悪評が巡り巡って銀行の損になるから、という計算だろうか。

以下、公立病院の話。
赤平市(北海道)は94年、48億円かけて市立病院を改修。2.5億円を30年かけて返済する。市の税収は10億程度で過剰投資だったが、国が「最初に補助金を出す、返済は交付金を使えば良い」とお膳立て。「飛びつかない自治体の方がおかしい」と当時の市の人。
当初は順調に良い目を見ていたが、
・近隣地域での同様な病院がオープン
・04年の医療改革で医師が自由に病院を選ぶようになり、赤平市の病院の医師がどんどん欠けていき設備の遊休化。→医師が1人いなくなる毎2億円の減収。
と、夕張の一歩手前となる。
病院を切らない市長の姿勢は概ね支持されているが、「病院を生かして市が死ぬ」の声も。人工透析を12台→20台にして収益強化の予定。

また本書での赤字自治体のリアル困窮具合。
・市職員の給料カットで「年金を貰っている人じゃないと、この仕事はできない」の声。
・固定資産税上昇。ゴミ収集有料化。保育園廃止。
・地元タクシー会社が潰れる→しばらくタクシー不在に→近隣タクシー会社から数台まわしてもらう
・市長・副市長・課長・一般職の4種しかない。課長職を3つ掛け持ちが当たり前。
・市庁舎の食堂が撤退したまま。
・市民祭りに対する300万円の補助金も廃止。北海道で必須の小中学校のスキー教室も廃止。
・40歳以上の看護師全員をパートタイマーとする。

読後感想。
・いっそ財政再生団体になった方が楽なんじゃないかとさえ思う。その辺は夕張の本も合わせて読んでみるべきか。
・近隣と過当競争して共倒れというケースも多そうだから、「平成の大合併」も少しは良い効果があるのかもしれない。合併しても"均等発展"の呪縛がありそうだが。
・市の事業であれ、三セクであれ、融資は自治体の規模に合わせ、借りてよい額を比率で法定しておくべきだった、最初から、、、という話か。法で縛らなければ財政感覚の無い首長が野放図に借りまくる国ニッポンと。
・インフレで少しは楽になりそうだけど、そういう考え方が破綻を招くのだろうな。実需を見極め、過剰投資に慎重になり、最悪の事態も想定するみたいな陰気さが必須か。攻めの姿勢も悪くないけど、この陰気さを持って初めて攻められる予感。

局地的感想。
"5億円以上の負債を抱える三セク" "1億円以上の負債を抱える公立病院"の2つの表には埼玉の自治体は無いようだ。
とりあえず安心。ある種のエンタープライジングスピリット(大きな企画力)が無いと赤字自治体にもなれない、という事だろうか。無能力の勝利。
埼玉高速鉄道は何故か"5億円以上の負債を抱える三セク"の表には無かったけど、最近単年度黒字だから除外された、という意味で良いのか。「埼玉を入れ忘れたけど、実は無数に赤字三セクがある」という意味ではないよな。
埼玉高速鉄道なんて、あんな田舎をわざわざ地下鉄で走るどう考えてもおかしい事業として認識してたんで、黒字になったと聞いて最初耳を疑った。埼玉スタジアム(三セクではないが)と合わせて、駄目プロジェクトと認識してた。


※1各地方の行政基盤の項で
・自主財源比率
・起債制限比率
・経常収支比率の数値と全国順位がわかって便利。
ジュンク堂(本屋)で物色。
イメージ 1

「日本人の知らない日本語」蛇蔵&海野凪子を読む。面白かった。
内容はamazonいわく
「日本語学校の先生と外国人学生がくりひろげる笑える日本語バトル」。
短い漫画形式です。これは売れて欲しい。
「そうそう、外国人に日本語を教えると日本語の不可解さを再発見するんだよなー」と頷く事しきり。
ただ本書のように、そこまで詳しく教えなくても…という気もする。数詞なんて記憶術の限界に挑まなくても、最大公約数的な最小限で押し通すのが"外国人の正解"かと。
物の名前も、あんまり専門的な日本語を外国人に使われると日本人の方が聞き取れないケースが多い。せいぜい"トング"くらいまでまでなんじゃないだろうか。まあ、志が低いです。
ファミコン言葉(ファミレスやコンビニで使われるマニュアル敬語)も俺は結構許すほう。
ラストの読後感が爽やか。
「日本は優しい。駐車場まで優しい。だって励ましてくれるでしょう。『前向きに』って」

なお、出版社は「ダーリンは外国人」と同じメディアファクトリー。

感想リンク おや友練馬支部さん 
作者リンク 海野凪子
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雑誌「Tokyo graffiti」がユニクロと組んで特別号を出してた。
関連リンク BunBun堂vol.2店さん

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漫画・美術雑誌「大阪芸術大学 大学漫画」vol.12で星里もちるの読切漫画を立読み。ジュンク堂漫画階。
面白かった。言語学コラム。
ロシア語などスラブ語系を習った人は もっと楽しめるかもしれない。

・ロシア父称
ミハイル・セルゲーノビッチ・ゴルバチョフという人の真ん中"セルゲーノビッチ"はミドルネームではなく、父称である。だから、ロシアのシングルマザーは名付けに困るとの事。
公式の場では「名+父称」が一般的。学校の先生、議場、スピーチの紹介は「ミハイル・セルゲーノビッチ」と呼ばれる。

・ロシア名前の愛称例(54頁)
アレクサンドル→サーシャ
アンドレイ→アンドリューシャ
アレクセイ→アリョーシャ
イワン→ワーニャ
ウラジミール→ワローシャ
セルゲイ→セリョージャ
ニコライ→コーリャ
ミハイル→ミーシャ
ピョートル→ペーチャ
ユーリイ→ユーラ 以上男性
イリーナ→イーラ
エカテリーナ→カーチャ
エレーナ→レーナ
ガリーナ→ガーリャ
スベトナ→スベータ
タチアーナ→ターニャ
ナジェージダ→ナージャ
ナターリア→ナターシャ
マリーナ→マーシャ
リュドミラ→リューダ

感想リンク 渡鴉の巣さん
面白かった。
雑誌企画のシミュレーション小説。10分くらいで読める。
家族が落ち合うシーンは笑った。
面白かった。
読んだのは「塩の街」ハードカバー版。電撃文庫版と設定も違うし、文章量は倍。
SF。有川 浩は初めて読む。
アニメ「図書館戦争」を先に観てしまったので有川浩に対し、悪い印象を持ってた。リアリティのない話を書くんだろうな、と。
読み進めていって、意外とリアリティの欠如を感じなかった。アニメ等の映像作品ほど小説はリアリティが重視されないのだな、と。読む事は"リアリティを自動補正する脳内作業をしてる"と実感した。コレこのままアニメでやれば ひっかかるなーという箇所も文章なら気にならない。
まあ、アニメ「図書館戦争」を観てなければ、リアリティの事など少しも考えず、ただ楽しんでいただろう。(まあ、わざわざXXXXXをXXXXXするシーンは何の意味があるのかサッパリだったけどソコだけ)

電撃文庫版を古本屋で見たがイラストがひどかった。
「当初からハードカバーで出版したい、という理由で電撃大賞を落選させようと担当者が思ってた」※1
という話をハードカバー版後書きで披露してるが、電撃文庫版を売れなくしてハードカバー作家にする為のイラストなんだろうか?
有川浩が担当と話し合い、「塩の街」ヒロインを18才から17才にしたそうで、有川浩は「1才の差に何の意味が?」と首を捻っているが、ラノベ層にはエライ違いだと思う。中学生か大人にとっては違いがわからないだろうけど。
電撃文庫版後書きの「ひたすら好き勝手に書いた話を採用していただいて…」も味わい深い文章。

上記あんまり誉めてないようだが、とにかく面白かった。

感想リンク 女王陛下の07さん
連想小説 「ひとめあなたに…」新井素子

※1 結局、第10回電撃小説大賞受賞

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