黒船来航

htmlやwikiが非常に面倒臭いのに気付いた。便利な方法は無いものか・・・。

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「私のために、私に喜んでもらおうとして買ってくれたのに、私は破いてしまったの…。ごめんなさい…じいの気持ちも考えずに…」
一番引っかかっていた、一番謝りたかったことを謝ると、他にもたくさん伝えたい事があるのに気づく。
「いつも迷惑ばかりかけて、悪戯ばかりして、困らせていてばかりで…ごめんなさい、私、一度もじいに謝ったことなかった…いつも悪いことしてるの解ってたのに、一度も謝らなかった、ずっと甘えたままだった」

徐々に声は大きくなり、涙はどんどん零れ落ちる。
涙を拭う。私の手を握るじいの手から、徐々に力が抜けていくのを感じる。
「待って…じい!まだたくさん云いたい事があるの!」
一緒に過ごした時間があまりにも長く、伝えたい事がたくさんありすぎて、何も云えなくなる。だけど一番伝えたいことは解っていた。
「じい、ありがとう」
これも、一度もいえなかった言葉、そして最も云いたかった言葉だった。
「色々、ありがとう。楽しかったよ、じいがいてくれて幸せだった…。大好きだよ」

その瞬間、じいは私を見て、そして笑顔を見せてくれた。私の手を握っていた手からはもう、完全に力は抜けていた。
最後の最後まで、じいは私を待っていてくれたように思う。
じいは私が、多くの人のように結局最後まで伝えられなくて後悔しないように、私の帰り、言葉をずっと待っててくれた。そしてじいの最後の笑顔が、最後に本当に聞きたかった言葉は、「ごめんなさい」ではなく、私の本当に云いたかった、「ありがとう」だったことを教えてくれた。

じいの葬儀が終わり、私は学院へ戻るための汽車に乗る。その前に、見送りにきた父と母に今まで何度も云ってきた、伝え忘れていた言葉を贈った。想いを伝えきれず、伝え忘れて後悔しないよう。










黒子「これ『もう一度会えたら伝えたい』っていう歌詞の歌が元ネタよね」
黒船「ええ、でも別に伝えられなくて後悔したって歌でもないんですが、どうせなら最後に伝えられてスッキリしたほうがいいかと」
黒子「まあそれでも、そこそこ歌詞に忠実に出来たね」
黒船「かなり無理やりな部分もありましたが…。まあ、今回は珍しく不幸な人も可哀想な人もでませんでしたね」
黒子「そうね、可哀想といえば、セバスチャンの昔の扱われ方くらいで、最後は笑顔で死ねたもの」
黒船「……セバスチャンの扱われ方で可哀想なのってありましたっけ…?」
黒子「………」

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父は家庭を省みず、仕事のことしか考えず、母は母親としてよりも女として見飾る事しか考えていなかった。
もちろん、家族のため仕事にかまける父を理解していたし、父のため、いつまでもキレイであろうとする母の努力も理解していた。
それなのに私はじいのことを理解する努力すらしていなかった。どんなにじいが私のことを理解し、理解しようと勤めたかもわかっていながら。
だから、どうしても謝りたかった。いままで、謝ることを恐れてずっと胸に秘めていたけど、墓前に謝ったところで、じいに伝わるはずもない。このままじゃ思い出に慰められること以外できなくなる。それどころか、じいの優しい思い出は、その優しさとは裏腹に苦痛の思い出になってしまう。

汽車は目的地に着き、私は家路へと急ぐ。
帰郷の手紙はもう着いただろうか。
家に着くと、皆の驚く顔が見えた。どうやらまだ手紙は着いていないようだった。

「どうしたんだ、学校は?」
二年ぶりに出会う娘に父は問う。私は何度も読み返した父からの手紙を取り出し、それを父に見せた。
父は私の心情を察したのか、優しく私の手をとり、セバスチャンの部屋にともに向かう。部屋では横たわるじいの傍らで、眼を腫らした母が座っていた。

こんな二人だから私は理解しようと思えたのだろう。少なくとも、私の両親は彼を大切に思っていた。

私は母に席を譲ってもらい、じいの顔を覗き込む。
家を出る前は元気だったじいが、今はやつれ、精気もない。わずかながらゼーゼーと、やっと息をし、私に眼を向けると、笑顔をつくろうと、努力していた。だけど、まだ生きている。まだ間に合う。
私がじいの手を握ると、父と母はそっと部屋から出て行く。今までは、忙しく流れる時の中、ずっと色んな言葉を失ってきた。タイミングを逃して云えなくて、そして気恥ずかしさと、無意味な恐怖から云えなくて、ずっと後悔していたはずの言葉を云わなければならない。ならないはずなのに、涙を零さないよう努力すればするほど、私はまた人形のように、言葉を失う。
私は焦り、じいの手を強く握り、懸命に言葉を出そうとする。

「おかえりなさい」

口を動かすだけで精一杯のじいから、微かだが、確かに聞こえてきた。

「じい、ただいま」

一旦言葉が出ると、もうどんなに努力をしても涙は止まらなかった。

「じい、憶えてる?誕生日に買ってくれたスカーフのこと…ずっと、謝りたかったんだよ」



ある国のある都市の駅で、彼女は少ない荷物だけを持ち、車内に入った。名門女学院に通う彼女は学院から遠く離れた、田舎町の裕福な家庭に生まれ育ち、現在は学院寮に住んでいた。彼女は約二年ぶりに実家の町に一時帰郷する。
二日前の夜、寮に実家から一通の手紙が届いた。実家から離れ、彼女は多くの人を見てきた。その中で、取り返しのつかない後悔に泣く人も見た。そんな人たちを慰めながら、全く意識せず、自分とは無関係な不幸だと信じていた彼女は、初めて、そういう後悔をしなくてすむよう、間に合うよう神に祈る。
彼女は実家から届いた、何度も繰り返し読んだ手紙をポケットから取り出し、再度目を通す。
手紙の中には、セバスチャンが、以前から病んでいた胸の病気が悪化し、倒れ、危篤状態に陥ったと書かれていた。
恐らく間に合わないだろうとは思いながらも、一縷の希望にかけ、急いで帰郷の手続きをとり、今やっと駅に着き、汽車に乗ったところだ。
「…じい…」
生まれた頃より、ずっと世話をしてくれたじいに、どうしても謝りたい事があった。彼は憶えてもいないかもしれないが、彼女にはずっと心の奥底で、引っかかっていたこと。

町の洋服店でみかけた、やや薄めのピンクの、きっと私の服に合う、可愛いスカーフをずっと欲しがってた。じいはそれを知って、私の誕生日にスカーフを買ってくれた。けど、色違いで私は
「じいの馬鹿、こんなのいらない!」
と、その場で破いてしまった。

何時もの事だった。何時も我侭ばかり言って、それが当たり前だと思っていた。どんなヒドイことを言っても、じいは笑顔で受け入れてくれた。あの時も、笑顔で
「じいの配慮が足りませんでした。申し訳ございません、お嬢様」
と許してくれた。ただ、直前に、悲しそうな眼を一瞬だけ見せて。

その眼がずっと忘れられず、心に引っかかっていた。きっと、その眼を見なければ、何時もの事として、何時もの日常としての思い出にしかならなかったかもしれない、傲慢な私の記憶にずっと残っていた。
思えば、じいには甘えてばかりいた。父も母も、一瞥するなり興味も持たなかった、私の初めて作った―甘いほうが美味しいと、塩も入れずに砂糖を大量に入れた―料理を美味しそうに食べて、笑顔で「お嬢様が作ったものですから、美味しくないはずがない」と言ってくれた。
寂しくて泣いている時には常に傍にいてくれた。
風邪を引けば寝ずに看病してくれた。
疲れたらおぶってくれた。
学校で褒められたら、誰よりも喜んでくれた。
私が物を壊しても、代わりに謝ってくれた。
悪戯して、じいの所為にしても受け入れてくれた。
父に叱られた後は決まって焼きたてのパイを持ってきてくれた。
気が付けば、何時もお茶を用意してくれて、机や暖炉や、ベッド以外の場所で寝ていて、起きたらベッドの上だったことなんて普通だった。

それでも、私はじいに何も云わなかった…。それが当たり前だったから。

終わりに

黒子「マジ、ッパネーッス…フィクションとはいえ、マザー・テレサ、アンタの妄想の産物とやっちゃってるじゃないっすか…」
黒船「いや、だって…そうでもしなきゃサイミール、魔法つかえるようになりますもん…」
黒子「いや、確かに30まで純潔を守りゃ魔法は使えるみたいだけど、架空の人物だし…信者からしたら噴飯ものよ」
黒船「マ、マザー・テレサとは書いてないじゃん。テレサって修道女もいっぱいいるだろうし、アグネスって娘もいっぱいいるはず!」
黒子「まあ、それは置いておいて、これは色々とマズそうよ(信者的に)…。偉人を悩み、迷える人間というコンセプトはわかるけど、コレは…忠誠心0になってるし…ゲームだったらいつ謀反を犯してもおかしくないレベル…」
黒船「まあ、それが一神教の悲しいところで、これが日本の神様だったら『いや、そんなこと云われても…無茶云わんでくださいよ…』とか云えるけど、全知全能の神ですからね…。死後に公開された書簡とかからすれば、リアルでも似たようなこと考えてたっぽいですよ…いや、どんな内容かは知りませんが…」
黒子「でも1946年って…」
黒船「こういうのは若い頃に罹っとくのがいいんですよ。信憑性は置いといて」
黒子「…まあ、いいんだけどね…そういや彼女、出身はオスマン帝国領のコソボ出身だそうだけど、コソボの人って当時あんな感じだったの?」
黒船「…カタカナ圏の人は名詞の前後にmy とかdearとかつけさせときゃ感じ出るんじゃなかろうか…
黒子「…ああ、そう、カタカナ圏…ね…」

年月日や時代背景、記録などは適当にググッたものを適当に使ってますから、間違いがあるかもしれませんので、悪しからず。

テレサ6

「サイミール…」
アグネスの目には留めようのない程の涙が溢れていた。
「アグネス…いや、聖母テレサ…」
アグネスは首を振り、アグネスと呼ぶようせがむ。
「いいや、本当は10年前から、そう呼ぶべきだった…キミは、僕の天使であり、僕の、そしてみんなの母だった…」
「ああ、サイミール、私のサイミール…そうである前に、私はあなたのアグネスです」
サイミールはアグネスの手を掴み
「テレサ、僕のテレサ…僕はあの日以来、ずっと神様を恨んできた…一度だって神様を許したことはない…でもテレサ、キミは、君の信仰を捨てるべきではない」
「いいえ、あなたを失うさだめを私に下した神に、私は祈れるはずもありません」
サイミールは困った顔をして、アグネスに微笑みかけた。
「僕の愛しいアグネス、それなら神を利用し、キミの理想を広めればいい。絶望し、僕たちが男と女になった日に共に抱いた理想を。
神の名を借りてでも、弱き人を、愛薄き人を、忘れられる人を救う理想を」
「サイミール、それをあなたのアグネスでなく、テレサとしてやれと?
それはあまりにも残酷です。まるで、神のように…」
「ゴメンよアグネス、そして聖母テレサ。僕はキミに、他の誰に忘れられてもいい、キミに忘れられる事が怖い。それでも通りで見かける、誰の関心も寄せられないはずの枯れた草も、愛しげに見つめるキミが、僕を心に留めて置いてくれることを確信を持って逝けるのだから、例え地獄に落ちても僕は…」
神よ、私の信仰心と、あなたとの距離は、多分生涯、広まることはあっても、埋まることはないでしょう…。

「僕は…」の続きはなんだったのでしょう…。続く言葉は、誰かへの感謝の言葉なのでしょうか。彼でもない、男でない私には生涯わからないのかもしれません。
神はそれに未だ答えてくれません。それでも私は、この先の生涯を、できるだけ多くの人を救い、神に

「私はあなたの名を借り、これだけの人間を救った!
あなたは、あなたの名の下に、どれほどの悲劇を産み、どれほどの無垢な命を奪ったでしょう。平凡な、神の代理人でもないこの私でさえ、これだけの人の平安を祈り、救ってきました。それに勝るあなたの愛を、これからでもいい、是非私に示してください!」

そう言えるよう、誰かのためというなら、私のサイミール、あなたのためにそう生きたいと願っています。

ダージリンに着いた。テレサはゆっくりと席を立ち、自分の座っていた席を見下ろす。そして神に一時の別れを告げた。

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