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M&A=バラウリ???

M&A=バラウリ???


2005年10月24日の読売社説を読む限り「企業買収=会社ばら売り」と直結して考えているような感じです。

 読売社説 2005年10月24日
 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20051023ig90.htm


実際にM&A関連の業務に携わったことがある方はお分かりだと思いますが、「ばら売り」は必ずしもM&Aに付随するものではありません。「ばら売り」は企業の事業再構築のために行うのです。

マスコミの多くの記者の方は、「リストラ=人員削減」、「M&A=ばら売り」と直結して考える傾向があるようです。この関係付けが私の実感とは随分違うので、このあたりの話を今回は書いてみます。



M&A≠ばら売り


大体、多くの大手日本企業もかなりの件数のM&Aを行い、自分のグループ企業を文字通り「ばら売り」しているのが現状です。「ばら売り」して得た資金を元に、液晶テレビや半導体などの分野に投資をしている大手の日本企業の経営陣に対しても同じ意見を記者の方はぶつけることが出来るとは思いません。

記者の方の感情論的な面は独仏は違うといっていますが、現実には、ドイツでの自動車業界の再編も株式の持分比率によって行われていることは有名です。また、フランスでも実際には多くの企業が事業の再編をするためにM&Aが行われています。

もしかしたら新聞会社というものは、近年自分の会社としてはM&Aに無縁になっている期間が長かったため、よくM&Aの本質を理解していないのではないでしょうか?


M&Aを行うときに投資をする側、つまり買収側の立場から考えて見ましょう。


別にばら売りが目的ではありません。目的は高い投資収益をあげることにあります。

ですから、買収した後は必ずしもばら売りを行う必要もない訳です。


むしろ、他の企業と合同で事業を行うわけでもないのに、ばら売りをした方がその企業価値が上がるということがあるのであれば、現在の経営陣が経営を怠けていたということになります。ですから、責められるべきは現在の経営陣であり買収をする側の人たちではないと思います。

現に、多くの企業は自社にとっての不要部門を他社に売り渡しています。日本企業も例外ではありません。

いくつかの例を紹介します。NECは医療機器部門を売却しています。

このような例では企業を新たに買収して購入したからばら売りをしてはいません。企業経営を良く見ると「ばら売り」は買収した結果ではないことが分かります。

「ばら売り」は事業再構築を行う際や、自社の強みを分析した結果の業務絞込みを行う場合などに発生するのでM&A=




リストラ≠人員削減


リストラとは何を指すのでしょうか?

英語の Re-structuring の日本語的略称で、日本語では「事業の再構築」のことを指します。

例えば、今ではIBMというとコンピュータを思い浮かべますが、昔はコンピュータなんて扱っていない時代もあった会社です。

日本では、事業再構築を行った事例で有名なものがあまりないので良く感覚が分からないのかもしれません。

リストラ=事業の再構築と銘打って行う経営手法が、単なるコストカットであったり、同じ事業を続けるけれども製品ラインを縮小するという場合が良く見られます。これらは、リストラではなく現在の事業を継続的に行うための単なる普通の経営にしか過ぎないと私には思えます。


マスコミの記者は更に不勉強が重なり、事業の再構築とは何を意味するか分からないまま記事を書いているようです。会社発表では「リストラ」なんて言っていなくて、コスト管理を徹底するとか事業の収益性を見直し製品構成を変更するなんてことまで、記事では「リストラ」扱いされてしまう場合があります。

記事を書く記者はもっと勉強をして、正しい知識を身につけて欲しいと思います。

同時に読者側も間違った記載に対しては、チャンと声をあげる必要があるでしょう。誰も何も言わなければ、書いた記者は自分の記事が受け入れられている=正しい記事だった、と勘違いしていまうかも知れないからです。



M&A≒人員削減


M&Aが行われるとまず何がおこるのでしょうか?

例えば、A社とB社の合併を考えてみましょう。

企業財務部門、人事部などは当然合併前には両方の会社にあります。しかし、合併して1つの会社になればそれぞれ1つの部門で事足ります。

ですから、重複している部門の人員削減が行われることになります。会社全体の人員を減らす方向に動くのか、他に人員の足りていない部門があるので社内異動で終わるのかは、そのA社とB社の合併した後の状況に依存します。

社内異動でという場合には、万年人手不足に陥っている営業部門に余剰人員をあてるというのが一般的でしょう。

実際に、管理部門の社員を営業部門など人手不足の部門に割り振ると拒否されたりする場合もあります。会社経営上の損失を最小限に抑える目的で、人員削減に向かう会社が多いのだと思います。

多くの人員削減を行っている会社では、同時の人員不足の部門も抱えていることが多いのが実際の姿です。全部の部門で人員余剰という会社はよほど経営が下手なのだと思います。

M&Aを行うと、重複部門が数多く出てくるため、合併に伴う経営改善効果を早期に出すためには人員削減を伴うことが多いのです。



リストラ≒ばら売り


企業経営では、経営者は常に自分の会社の強みや弱みと、置かれている状況、社会の動向などを検討するひつようがあります。検討の結果、何処に経営資源を重点的に投資をするのかを決定するのが経営者です。

当然、重点的な投資を行う場合には、経営資源が足りない場合もあります。資金的に経営資源が足りない場合には、資金調達を行うことになります。


経営者が分析した結果、自分の会社の強みではない部門や子会社を持っていた場合には、どうするのでしょうか?

事業解散には普通は費用と時間がかかるものです。当然、その業務に従事する社員も必要になるので人員も割く必要があります。

翻って、同じ事業に進出したいと思っていたり、経営規模を拡張したいと思っている企業が他にあった場合はどうでしょうか?いろいろな経営資源を投入して事業解散を行うよりも、当該事業を他社に売却するという選択肢が生まれるわけです。



まとめ


読売新聞は、事業再構築や事業見直しによる子会社売却については「ばら売り」として非難しているとは到底思えません。ですから、なんだかピンポイントで楽天や村上氏を攻撃しているように私の眼には映ります。

もし、事業再構築などでの業務見直しでの子会社売却を含め「ばら売り」として批判しているのであれば、日本の上場会社の多くを批判することになります。読売新聞でさえ企業統治を株主権の行使を通じて行っている点などをどのように整合性をつけるのでしょうか、私には不思議な社説です。

同じマスコミの他の会社だからという仲間意識から生じることなのかもしれませんが、社説に書くほどの説得力に欠けています。論理性にも乏しいこの社説の掲載を許可した編集長は上からの圧力があったのでしょうか、それとも編集長がこのような考え方を持っているのでしょうか。是非、機会があれば意見を聞いてみたいものです。


株主が経営に口出しするのはいけないということですが、子会社の経営にも口を出せないということをまさか示唆しているのではないと思います。そのあたりの権利関係の整理も出来ないで、感情的な記事を書くのは全国紙の社説としては稚拙としかいえないと私は感じています。

残念です。


公開企業というのは、企業経営をリスクに晒す見返りとして、効率の良い資金調達を行うことが出来るという状態であることを忘れてしまったのでしょうか?

債券のように返済義務のある資金調達は嫌だ、限られた人たちだけでなく世間から広く資金を調達したい、でも会社の経営権は限られたグループだけで保有したい、ということでしょうか。それなら普通株式ではなく優先株式などの発行をすればよいのです。自社で選んだ資金調達方法で株主に権利を与える替わりに、高い株価をつけてもらっているにも関わらず株主の権利は制限すべきという話は本末転倒です。

株主の権利を制限したいのであれば、株主の権利を制限した証券の発行を行うのが筋だと私は考えています。日本の法律ではそのような証券の発行も認められています。

金融の知識をしっかりと勉強してからもう一度社説を書き直して欲しいものです。



おまけ


以前に似たテーマの投稿を行っているので、こちらも良かったら参考にしてみてください。


 村上氏 はダークサイドか? その1(1/4)
 http://blogs.yahoo.co.jp/personalassetmgmt/6543718.html



PAM


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はじめまして、アレンと申します。 僕は現在勉強中で、いろいろと参考にさせてもらいました。 ゲストブックにてごあいさつをしておりますので、そちらも御覧下さいませ。

2005/10/30(日) 午後 0:55 [ hm6**hm ]

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コメントありがとうございます。 仕事でなんだか最近、朝早く夜遅いのでなかなか更新が出来ないのがもどかしいのですが、今後もよろしくお願いします。

2005/11/19(土) 午後 1:33 [ PersonalAssetManagement ]


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