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楽器の王様「ピアノ」。楽器の中で最もその人口が多いことは、だれもが想像できると思います。
さて、大変多くのファンを持つ「ピアノ」ですが、果たしてどのくらい”楽器”としての「ピアノ」の事を知っている方がいらっしゃるでしょうか。
ピアノ教室のほとんどでは弾くことは行なっても”楽器”としての「ピアノ」のことまで説明してくださる所は少ないと思います。実際私も同じで、大学に入ってから初めてきちんと楽器としての「ピアノ」を詳しく知ったというのが正直なところです。
音楽大学で楽器としての「ピアノ」のさまざまなことについて知ったとき、私は”もっと早くに知ることができていたらもっと何倍何十倍ももよかったなぁ・・・”と思いました。確かに自分でもっと前に調べればよかったのかもしれませんが、残念ながら4歳から音大に入るまでの間で、私はそういうことを考えつきませんでしたし、そういうことにまで目を向ける余裕もまったくありませんでした。 私としては小学生ぐらいで楽器としての「ピアノ」について知ることができていたら、もしかしたらその後の私のピアノとの付き合い方も少し変わっていたかもしれないと思っているところです。
音大3年生のとき、私は楽器店である一冊の本と出会いました。
『ポケット音楽ブック3』というミニの¥600(+税)という本です。この本は名前に”ポケット”とある通り、ポケットにすっぽりと入る大きさです。この本は1〜4巻までのシリーズもので、『ブック1』は音符や休符など初歩の基本的なことについて書かれていて、『ブック2』は音階や調性について書かれています。そして『ブック3』は”楽器”としての「ピアノ」のお話が書いてあります。『ブック4』はたしか、そのほかの楽器について書かれていたような気がします。(ブック4だけはちょっと自信がありません。違っていたらごめんなさい。ですが、ブック1〜3は合っています!!)
このシリーズはとても読みやすくわかりやすいので、とてもオススメです。中でも私が一押しなのはやはり『ブック3』です。私はピアノについて書かれた『ブック3』を初めて手に取り中身を読んだとき、”もっと早くに出会っておきたかった!!!!!!!”っと、とてもとても強く思いました。
ピアノについて知りたい方は是非ともこの本をオススメします。中身は、ピアノがいつどこで誕生したかに始まり、ピアノの前身はどんなものだったかやピアノとそれ以前のクラヴィコードやチェンバロとの違い。またアップライトピアノとグランドピアノの違いやそれぞれの大体の重さなどなど。素人の方にも専門で勉強する方々にも、とても読みやすくわかりやすく書かれていますよ。ちなみに、ピアノに関するさまざまな逸話も載っていて、おもしろいです。
ちなみに私はこの本を、以前自分が高校の音楽教師をしていたときにも授業で使わせていただき、とても役に立ちました。今では自分のお教室で必須の教材となりました。
さてさて、なぜ楽器としての「ピアノ」を知ることをこんなに押しているかというと、やはりそれなりの理由があります。
「ピアノ」は最初から現在の形で作られたのではありません。「ピアノ」にはその前身である「クラヴィコード」や「チェンバロ」という楽器がありますし、「ピアノ」は最初に誕生したとき、まだ響きも乏しく、音量もあまり出ませんでした。それを色々な方々の様々な研究&試行錯誤によって私たちが知る”現代”の「ピアノ」になることができたのです。
また同時に、「ピアノ」が徐々に発展してきたということは「曲」もさまざまな変化を遂げてきたということにもなります。
私はこの夏にピアノの勉強のため、オーストリアへ行きました。オーストリアといえば、モーツァルトやシューベルトが生まれた国で、首都はあの”ウィーン”です。
私はオーストリアで楽器博物館へ行くことができました。そこには世界で一番最初にできた「ピアノ」から現代の「ピアノ」になるまでのすべての楽器(ピアノ)を置いてありました。そして普通ならできないことですがご好意により、すべてではありませんがそれぞれの楽器に少しずつ触らせていただくことができました。
まだ誕生したばかりの「ピアノ」は、まだ見かけも音もかわいらしくとても愛らしい感じがしました。音楽史上で「古典派」と言われるハイドンやモーツァルト(またベートーヴェンも)が活躍した時代の作品は、ほとんど手首から先だけで弾けると言われているのですが、たしかに実物の楽器の姿とその音を聞くとベートーヴェンの作品のように体全体で演奏してしまったら、楽器が壊れてしまうし、何より楽器自体がそこまでのことに耐えられないからだっということが、とてもよくわかりました。
博物館では最初にできたピアノから現代のピアノに至るまで、ほとんどすべての音色を聴くことができましたが、どれもそれぞれの「ピアノ」には、一つひとつちがった”キャラクター”がありました。Aというピアノが持つ特徴を、Bという別のピアノにはそれがなく、それぞれの楽器にその楽器ならではの違ったキャラクターがあるのです。つまり、Aというピアノが持っている良い部分を、別のBというピアノではそれが欠けていて、Aとはまたちがった良い部分を持っているのです。 (*説明がわかりづらく、申し訳ありません。。)
そして、それぞれのピアノが持つ一つ一つの”キャラクター”を全部取り入れようとして作られたのが私たちが知る”現代”の「ピアノ」です。それぞれの特徴を全部をもらおうと努力しましたので、結果的には”何もかも可能になった”&均一的なピアノになったのです。機能が充実したと同時に、一台一台のピアノが昔ピアノのように独特の味や雰囲気、キャラクターを持つということがなくなってしまいました
現代のピアノはとても立派な楽器です。どんなに激しく弾いても大きな音を出しても”耐えて”くれます。おかげで演奏技術の幅もとてもとても広がりました。ですが残念なことに、”なんでもできるピアノ”になったことと引き換えに、昔ピアノのそれぞれがもっていた一つひとつ違う「個性」をなくしてしまいました。でもこれは「ピアノ」が発展するには、仕方のないことだったのです。
現代のピアノが大変素晴らしいことは言うまでもありませんが昔ピアノを考えてみたとき、それが現代のものと違うということがわかると、演奏も変わってくることになります。
たとえば、私たちが現代のピアノで弾く「モーツァルト」の作品は、楽器が変化し発展してきたことを考えると、モーツァルト自身は私たちがしっている現代ピアノの音を想像して作曲したのではないということがわかります。そうすると、私たちがいかにして現代ピアノでモーツァルトを表現するかにも大きく関わってくることにもなります。
ベートーヴェンはモーツァルトと同じ「古典派」という時代の作曲家ですが、ベートーヴェンは「ピアノ」という楽器を語る上でとても重要な人で、”超重要人物”といえます。なぜかと言うとベートーヴェンがピアノの発展に大きく関わったからです。
モーツァルトまでの時代は、どなたからかの依頼、つまり”今度こういう○○があるからそれに合う曲を書いてほしい”ということがあってから作曲していたのです。そういう時代だったのです。なのであまり気の進まないものでも、依頼があれば書かなければなりません。
それに対して、ベートーヴェンはその殻を破って自分が書きたいと思うものだけを書こう!!!とした最初の人、先駆者なのです。そんなわけでベートーヴェンは楽器としての「ピアノ」の可能性を追求しましたし、それによってピアノは大きく大きく大きく発展しました。なので必然的にモーツァルトの作品のように指先だけで弾けるものではなくなり、体全体でなければ弾けない作品へと変わっていきました。
ピアノの歴史は奥が深く、詳しく知れば知るほどとてもおもしろいものです。それぞれの時代で「ピアノ」の音色や機能がちがっていたということを考えると、作曲者は実際どんな音色をしっていたのか、気になるところです。そのおかげで近年、古楽器(現代ではふつう使われないが昔はこんな楽器だったっというそれぞれの時代の”楽器”)での演奏が見直されるようになりました。
ご自身が古楽器を演奏できる機会はなかなかないと思いますので、可能ならばせめて”古楽器”を使った演奏会に行かれることもまた、自身の演奏の助けになると思います。
何の楽器をやるにせよ、せめて自分のやっている楽器くらいはできれば少し知っておきたいものですね。その方がよりその楽器ーーー私たちでいえば「ピアノちゃん」と”仲良く”できるかもしれません!!!
大変長くなってしまい、申し訳ありません。読んでくださった皆さま、どうもありがとうございました。今後とも懲りずにお付き合いくださいませ。ぺこり。
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