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今朝「ニューイングランド通信」「アメリカ観察日記」のcheeさんより大真面目な
ご指摘を頂いたので、「私見」をまとめた。いつものお約束事であるが、「五十路
借金男のタワゴト」としてご笑覧いただきたい。
コメント:『私は日本の伝統工法は時代にそぐわないと思います。』
>アメリカの古い都市ではみんな築100年の美しい2x4に住んでいます。
築100年の2x4が本当に阪神大震災の最大震度に耐えられかどうかについては、
私は疑問を持っている。これは私の個人的な判断なのでこれ以上コメントの書きよ
うがない。
>日本の伝統建築のようなものは、ティンバーフレームと呼ばれ、昔はアメ
>リカでも牛舎なんかに良く建てられていました。組み木が美しく強固ですが、
>難点は、全ての部材にいい木材を使い、職人を使い、正しい組み手がつく
>られていることが、維持の条件になることです。
昔のアメリカの牛は今の人間よりも大事にされている?(笑)。国産の材木は現在
限りなく安い。実家改築では柱に4寸角のヒノキを使用したが、節ありの大工さん
向け卸価格で3mの材が4000円/本で、現在はもっと安い。材木価格は昭和55
年頃がピークで、今は昭和40年代の水準まで価格崩壊している。
いま、国産の良材を格安で入手できる。『全ての部材にいい木材を使い、職人を使
い、正しい組み手がつくられていること』というのは、命を預けて安心して住む家
の条件としては、木造軸組みである限り必須であると思う。良い職人を見つけるの
は困難だが、材料面の条件を今ほど満たしやすい時期はない。
>こういったことは、クオリティーコントロールの面からして、大量生産型に
>もっていくのは非常に困難です。ましてや、日本人のように、自分で家の手
>入れをしない国民性では、どんなに強固につくっても持ちません。
住宅は、大量生産する必要があるかどうか、意見の分かれるところだ。メーカ製の
大量生産ハウスは、見てくれが良いのは認めるが、コストを大まかに分解すると、
原材料+工賃(家の建設原価)が約1/3、メーカーとしての営業経費(宣伝費、
間接費も含む)が1/3、中間マージンを含む利益及び金利負担などが1/3であ
る。
家の建設原価には、足場代や養生費用など目に見えない経費が含まれるので、工賃
を除く純材料費は、どんどん削られる。コスト面で大手メーカ製の建物が安っぽく
なるのは避けられない。
実家の改築(自前在来工法)では、間取りは私が考え、棟梁とは別の叔父(一級建
築士)にロハで見てもらい、当時の建築確認申請は叔父とは別の業者にお願いした。
家の図面は棟梁が合板に墨で引いた板図のみである(笑)。余計なコストは仕様の
詰めが甘く、工期が長引いたことに尽きる。足場は間伐材の丸太を番線(針金)で
縛る簡易足場で丸太は棟梁の作業場にあった。左官屋さんの親方の丸太も借りた。
足場代は組立工賃と番線代金のみ。この簡易足場で建設工事の間無事故であった。
95年当時でもベタ基礎は生コンのミキサー車に来てもらい、上棟時はクレーンが
やって来て半日で終わった。
>日本の建築の問題は、安普請の在来構造と、ちゃちい基礎(地下室が無い)、
>そして断熱、換気システムがほとんど無いことだと私は思っています。
改築前の実家は、昭和38年築合計130万円の文字通りの「安普請」の平屋だった。
瓦も半分は古屋解体の瓦を使い、柱の一部も解体資材再利用だった。軸組みは棟梁に
なりたての叔父作だ。これを1995年の阪神大震災直前に築30数年で取壊したが、軸
組みは殆ど痛んでいなかった。大工さんがきっちり建てた家は、在来工法築30年で
も健全であった。
大手住宅メーカは、品質を揃え工期を短縮するため工場でのプレカットを行っている。
木材はプレカットの都合に合わせ人口乾燥(電子レンジの仕組みで強制加熱し水分を
蒸発)している。さらに狂いが少ないとして、集成材も使用されるが、芯持ち材でな
く周辺材の寄せ集め、接着剤の耐久性、ホルムアルデヒド、シロアリ耐性(アメリカ
は殆どシロアリがいないらしいが、シロアリが「うようよ」いる日本で木造地下室は
作れない)が低いなど、日本の気候風土を考慮すると、集成材も長期品質を期待でき
ない。日本の気候風土では、通常RC以外の地下室は論外だと思われる。
原木や、自然乾燥された木材は、例えばヒノキであれば伐採後1000年間は、元の
強度より強い強度を保持する。ところが、大手メーカーが採用している急速に人口乾
燥した木材は木の細胞壁を破壊している。見た目は材木であるが、近年「開発」さ
れた「材木」の強度や耐久性が額面通りとは証明されていない。
>アメリカの2x4のように、多数の部材の組み合わせで構成され、耐震、
>防湿、防寒の役割をする地下室を有し、ちゃんと自分たちで直せるように
>しない限り、長期住宅(としては不合格??字数制限で投稿が切れている)
伝統構法の最大の強みは、充分な太さの柱や貫を使用すれば軸組みだけで自立する家
が建てられる所にある。極端な話、伝統構法の日本家屋は壁なしでも建てられる。軸
組みが完璧であれば壁は間仕切りや外部との遮断の役割のみを考慮すれば良く、構造
補強としての壁は必要ない(東大寺南大門にほとんど壁がないのはこの理由)。
住宅で上記を考慮すると、台風もあるから当然丈夫な外壁は必要だが、構造に直結す
る柱を取り除くような愚かな試みをしなければ、住む人の都合に合わせて開口部や間
仕切りを変更しても、伝統構法では家屋自体の強度低下を心配する必要がない。
建売リフォームでも同様のことが平気で行われるが、「安普請」の在来工法(伝統構
法とは似て非なるもの)の家で耐力壁をなくすと強度が落ちるのは当然であり、新築
でも2階の主要な柱の下に1階の柱がない割合が高く危険な建物が造られる。現行建
築基準法は、指定の耐力壁量が足りると建築確認申請が通るので、このような悪例が
まかり通るらしい。
「自由設計」と聞こえは良いが、家は構造物であり、日本国内で建てる以上、物理の
法則や地震、台風、シロアリなどを無視して建てる自由を行使するならば、当然その
「しっぺ返し」を覚悟すべきで、嫌なら制限つきの自由を受け入れるしかない。
ここまで書いてようやく『時代にそぐわない』という重い指摘に答えられる。『住む
人の都合に合わせて開口部や間仕切りを好きなように変更出来る家』は時代の変化に
(世代の変化にも)柔軟に追従できるのではないだろうか。
土壁と畳は元々調湿効果を持つ。接着樹脂を含まない珪藻土は多孔質なのでより優れ
た調湿効果と、厚く塗れば断熱効果も期待できる天然素材である。実家改築時はこの
素材の利用法を知らず、またコストの都合もあり、内壁は和室以外耐火クロス貼りと
した。外壁と2階天井裏の断熱材は、耐火性能を考慮し10cm厚のロックウールを
使用し、窓は出来る限りペアガラスのサッシとした。但しサッシ枠がアルミなので、
冬に石油ストーブを点けると少し結露する。
断熱材も石油系の発泡材料は、難燃性でも火災時に毒ガスを発生させたり、北京で工
事中に花火が引火したビルのように、一気に燃え上がって丸焼けとなってしまう。伝
統構法の良い所を最大限活かしつつ、耐火性能を上げ上手に断熱や換気、調湿性能な
どを組合せるのは安全且つ快適な住まい作りとして当然必要なことだと考える。
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「集成材に使われている接着剤や防腐剤の成分を明確にし、それらの安全性を
確認した上で使えば、強度や耐久性は問題ありません」
(OZONE情報バンク・リビングコンサルタント 阿比留美和)
http://sumai.nikkei.co.jp/house/qahouse/etc20021007a2068a7.html
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中国・北京市で建設中の高層ビル「TVCC」が全焼、設計はOMA
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090210/530342/
ビルの発注者が「春節」の爆竹で自ら建設中のビルに引火させたらしい。
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シロアリよもやま話
http://sk6483.blog.ocn.ne.jp/6483/
(抜粋)
他のサイトでも2×4のSPF材はシロアリのエサという記述がある。
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伝統構法による家づくりが風前の灯火?!―住宅瑕疵担保履行法が影響
http://news.realestate-jp.com/?eid=1073796
(抜粋)
多くの地震を経験したが、伝統構法なら修復は容易だが、補強金具を使った在来工法は
金物部分の木材が裂けやすく、むしろ修復は困難だ」と、伝統構法の耐震性に自信を持っ
ている。
伝統構法による設計は、建築確認検査機関でも正しく評価できる技術者がほとんどいない。
住宅瑕疵担保保険の保険法人による検査で、木造在来工法を同じチェックリストを使って
検査されたら、まず合格できない
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アメリカもシロアリたっぷりいます。
2009/11/20(金) 午後 7:58
日本よりも湿度が高い所もたくさんあります。
2009/11/20(金) 午後 8:00
日本の気候や風土は言い訳になりません。
地下室は日本でも作れるはずです。
だいたい結構寒くなるのに、凍結深さより浅いような基礎で、湿度が高いのに、下からの防湿対策をろくにしていない家ばかりなのは、やっぱりまずいと思います。
日本は「伝統」をありがたがる国ですが、日本の家は寒いし、簡単にメンテができないし、設備を入れるところがないし、窓やドアに結露できて私は買う気さえしません。向こうの家に住めば、その差ははっきりわかります。伝統くそくらえです。あ。2x4は向こうの伝統か。(設計に関してはもっと自由度は高いです。)
軸組みということは、軸に問題があれば、そこが致命傷になりやすいということです。
2009/11/20(金) 午後 8:07
いっそ日本の場合、地下室のかわりに高床式にして、1階の床下を地面から離したらいいのかも?
2009/11/21(土) 午前 5:58
cheeさん、立て続けに厳しいコメントありがとうございます。
どうやら価値観が違うようなので、軸組みと2×4のどちらが
良いかを互いに議論しても平行線のままのような気がします。
と言いつつまた投稿しますので、遠慮なく突っ込みして下さい(笑)。
2009/11/24(火) 午後 5:52 [ phon_BB ]