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景気悪化にもかかわらず、訳の分からないホンワカムードと、各国政府当局から金
融機関への巨額資金注入の結果、裏口からあふれ出した資金は国際商品相場に流れ
込み、つい最近まで昨年と同じように一時的な国際商品相場高騰が発生していた。
その政府資金を供給していた米政府は、前回のG8で各国政府から「これ以上際限
なくドルをばら撒くと暴落するから止めて置くように」と釘を指され、資金供給を
絞り始めた。
4月以降色々な指標が発表されるたびに、世界の景気回復は殆どまやかしであり、
特に従来消費を牽引してきた米経済の深刻な状況は、ますます悪化しているという
ことが、誰の目にも明らかとなった。大豆を除くコーンや小麦などの穀物では、6月
初めから早々と「作付けが増え天候が良好である」と言う理由(笑)で、急落して
いた。
今年は何故かコーンはバイオエタノール原料ではなくなった(笑)ような動きとなっ
ている。昨年はコーン相場は原油価格と連動していたが、今年は早々と「食品」と
しての値動きに目覚めたようである。
また金もこれからドルが下落して、金需要が急増するともてはやされ、一時はかな
りの高値になっていた。中国のSDR債購入のニュースは、金需要が国際的に急増
すると言う観測に冷や水を浴びせたかもしれない。第二の国際基軸通貨が登場して
しまえば、供給の限界から既に引退している金には出番がない。
ウソの景気回復情報は、必ず化けの皮がはがれる。特に最近発表された、米雇用統
計は、米国の景気回復説のインチキさを暴露した。GMが倒産し、米国内消費が冷
え込み、住宅着工が過去のピークの4分の1に落ち込んでいるので、米国内では次々
と失業者が増え続けている。
そのような中でつい最近まで米国の雇用を支えてきたのは、なんと米軍であった。
政府部門が雇用の大きな受け皿として機能してきたのであるが、米軍への入隊希望
者は増え続け、下記リンクによると既に各州の軍隊は定員オーバーとなり、削減を
始めている。つまりこの「特殊な雇用の受け皿」も既にいっぱいである。州兵の中
から、米兵として海外の戦場に派遣される元失業者も今後増加するという。
米国には戦争と言う名前の公共事業が残っており、優れた体格、体力、精神力を有
する希望者は文字通り命を的(マト)にして職につくことが出来る。しかし、一時
的にせよ海外の戦場で兵士となったものには、仮に生還でき、PTSDのような深
刻な精神障害を発症しない強靭な精神力を維持できたとしても、その代償は余りに
も大きい。州兵のような「究極の選択肢」を選ばない失業者は、配給切符に並ぶし
かない。
7月に入って、高騰していた原油、大豆、金などが軒並み下落している。ドルが暴
落し、国際商品相場が高騰するというのは、ウソであった。国際商品の需要が急激
に落ち込んでいるのに、買い占めただけで高騰するという訳には行かない。需要が
落ち込んでいるのに高騰している商品は、「買われない」か、「他の商品に取って
代わられる」かのどちらかしかない。買われなければ、すぐに暴落するしかない。
今後ドルが暴落しないと言う保証はない、が、需要が極端に冷え込んでいるのに、
買占めだけで、殆どの国際商品相場を高止まりさせようとするのは、愚かな行為で
ある。国際的な商品流通の指標と言われる「バルチック海運指数」は、昨年末の安
値から徐々に値上がりしていたが、6月初めごろの戻り高値の後、最近では再度下
落傾向が鮮明になっている。
日本メーカーなどの動きを見ていると、昨年末のリーマンショックの後、真っ先に
国内での「非正規切り」や海外工場の人員縮小(解雇)などの雇用調整と平行して
急激な在庫整理を断行し、年が明けて暫くして、在庫整理終了後に少し生産を復活
させた。それを見た気の早いマーケットの連中が、「景気回復だ」と騒いでいたの
であるが、メーカーの方は生産再開後も本格的に需要が戻らないので、再び生産の
ペースを落とさざるを得ない。日本の社長は客観的な根拠もなく、自分達の期待に
基づき、来年1〜3月には景気が回復すると予想している。
国際商品相場市場に流入するカネがG8の国際合意によって絞られ、末端での消費
が落ち込み、一次産品(工業原料)を消費するメーカーの動きも鈍くなると、国際
商品相場が一斉に暴落するのは時間の問題であった。そしてそれは米雇用統計の発
表をきっかけに現実となった。
巷では「中国の景気は本物だ」と言われているが、バルチック海運指数を引き続き
高止まりさせる程の勢いはなさそうである。つい先日上海の建築中のマンションの
ビルが倒壊したように、基礎が根本的にプアなままで上物を豪勢に飾っても、つぎ
込んでいるおカネは膨大ではあるかもしれないが、本当に実体経済を成長させるた
めに使われているか?と問われると、「どこまで本当か怪しい」と思われる。
昨年の原油相場の反落は、米議会の原油取引監視強化が引き金となったが、今年は
米議会が強権発動するまでもなく、景気が急速に低迷し、市場の自浄作用によって
暴騰が治まりつつある。恐らく6月までで売り抜けた賢い連中は、巨額の利益を懐
に悠々と撤退し、更なる高騰を狙って買占めしていた連中は、今頃慌てふためき投
売りに走っているのだろう。生活必需品を買占め巨利をむさぼっていた連中が、破
綻するのを見ても同情する気は起こらない。
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雇用対策と戦争:米陸軍で増加する中年の新兵
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/cat20508131/index.html
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戦争社会アメリカ:州兵の再雇用問題
2009/06/05
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2009/06/post-9957.html#more
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国際商品相場のサイト(フジフューチャーズ)
http://www.fuji-ft.co.jp/newspaper/frame_genyu.htm
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バルチック海運指数(不定期船運賃指数)
http://www.investwalker.jp/shisuu/Baltic-Dry.shtm
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世界不況は終わりつつある??
2009年6月16日 田中 宇
http://www.tanakanews.com./090616economy.htm
(抜粋)
独仏や中露などは「量的緩和(ドル過剰発行)と財政赤字急増をやめないとドルが
崩壊するぞ」と警告を発し、今回のG8での「量的緩和と赤字増の政策をそろそろ
終わりにする」という合意に結びついた。
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景気は2010年1〜3月に底を打つ(日経BP社ITproのサイト)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090626/332682/
(抜粋)
調査に回答した480人の上場企業社長のうち61.9%が、「2010年1〜3月」までに底を
打つとみている。
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