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ピアノで旋律を歌ったり、和音を作ったり、強弱で語りかけたりするのに必要な指先の トレーニングも、整音の出来具合でその表現がかわってしまいますね! 整音は弾き手には関係のないようなことに見えますが・・・・・・。 リズムを刻んだり、早いパッセージで表現したいときにはピアノの機能部分が正確でないと 出来ません。 よく言われますが、プロピアニストさんがグランドピアノでトリルを1秒間に約7回ほど されて、同じ方が今度はアップライトピアノで同じトリルをされても4回位しか出来ない ・・・という事ですが、これは両ピアノによる機能の違いから来ています。 そして、その機能を充分に維持していく作業を整調と呼びます。 グランドピアノもアップライトピアノも 整調と整音がきちんと揃っていて、奏者の努力が報われるのです! 鍵盤の重さや深さ、連打しやすいか、また揃って同じ力で連打できるか・・・等々。 整音と相まって整調が出来ているかどうかもピアノにとってはかなり影響が出ます。 理屈があって作られた楽器なのでそこを考えずして進めば、なんだかの負担が演奏に かかってきます。 コンサートでは勿論ですが、自宅のピアノでも同じことが言えます。 こんなことを言っていますと、全家庭のピアノにもメンテナンスをしてあげたくなりますね。 せめて年1回の調律のときには少しでも、整調、整音に時間を割きたいと思います。 |
整音
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今日はたまたまレーニッシュのベビーグランドを調律してきました。 整音について書いてきましたが、このレーニッシュも独特の音色を持ったピアノです。 整音には限界というのがあるとしたら、ハンマーの持つ独自の音でしょう。整音調整は 前に書きました条件と、調整する際のピッカー(工具)の使い方によってもかなり変わって きます。 それと、弦に対して同時に当たっているか?の3弦合わせ作業がとても重要です。 これをしないで針を刺しても全く意味がありません。なぜなら3弦合わせが出来ていて 初めてそのハンマーの良い部分が出てくるからです。時間もかかる地味な作業なのですべての 調律師が実施できていないのが現状でしょうか!それと3弦合わせが必要と思っていない 方も、少なからずいらっしゃいます。ここをやらずして先には進めません・・・という位の 気持ちをもって調整しなければ絶対に良い音になどなるはずがありません。 そのくらいこの調整後には存在感の有る音になって行きます。 それから整音です。そこから針を刺して目標の音になるまで頑張ります。一針多いだけでも 気に入らない音になってしまう事もありますので、刺せばどうなる・・と分かってから入れる ことで失敗が防げると思います。 イメージして、ハンマーの状態からどの箇所へどのくらい刺すか?を想像するのです。 整音はそのくらい芸術的な感性が調律師にも求められます。そこが面白い!! レーニッシュのようなピアノであれば、レンナーの音が調整しなくても出ています。 これはハンマーによる違いでしょうね。これでいい・・・といわれるくらい調整しなくても 好みの方にとれば充分な音なのかもしれません。そこからさらにきちんと調整したら もっと好みの音が、しっかりと存在感を増してコンスタントに続いて時間経過でも 変わらず、楽しめる音になります。 どちらにしてもはっきりいえることは、3弦合わせ、整音を手抜き無くすればどんな ハンマーでも納得のいく音になりますね!ピアノの可愛いところです。 |
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・ 弾力に優れている事。 ・ 弦跡がハンマーの中央についている事。 ・ 一つの面積当たりの繊維本数がたくさんある事。 ・ 優れた羊から入手している事。 上記以外にも3弦合わせ、1本針による整音などがとっても大事な要素です。 弾力に優れている事。・・・ボールのように弦を叩いたときにハンマーの重量がまんべんなく 音として表現される為に必要な条件で、銘柄も関係してきます。繊維の質が問われて きます。アベル、レンナー、など有名ハンマーにはこのような条件を満たしてくれる ものがたくさんあります。勿論、クッション作りは整音工具で行いますが、もともとの 素材がよければ仕上がりもおのずと素晴らしいです。 弦跡がハンマーの中央についている事・・・これも大事な要素です。 ハンマーの動きといえば弦への直線運動ですので、正しく弦に向かってそれも中央に打たないと 可能な限りのトルクを発してくれません。 フォルテシモは弦の端よりでは出ないし、ノイズっぽい音になっていきます。 一つの面積当たりの繊維本数がたくさんある事。 ・ 優れた羊から入手している事。・・・・・・これらの条件もとても大事です。 先日、習字の師範宅に伺ってピアノのハンマーはどんな羊だろうか?と先生がおっしゃられた ので色々と話しているうちに、習字の世界でも羊の毛がその種類によって芸術的な字を描く際 に影響してくるのだという事を教えてもらいました。オーストラリア産だとカールしていて 思うような字が書けないが中国のものでは直毛でよい・・・とか直毛の毛でもピンきりなので 書いてみてタッチでいい悪いがわかる、とピアノにもいえることを発見したのです! 1本30万円の筆と3万円の筆の違いも実際触らせていただきました。ピアノで言うと 安物のレンナーと本物レンナーとの違いでしょう。明らかに音が違いますね。 弘法筆を選びます!! やはり調律で一番違いが出る整音、素材の力には勝てませんが安物ハンマーでも上記の 条件に見合う調整をされてあればそれなりに、「すばらしい音」というものが得られると いうことも今までの仕事の中で経験してきました。 ですので、一概に高級ピアノでないとダメとは言いがたいところです。 |
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ハンマーフェルトの状態・・・について感じる事をあれこれと考えてみたいと思います。 良い音を出せるハンマーフェルトには共通したポイントがあります。
・ 適当に弾き込んだ弦跡がついている事。
・ ハンマーの形状が卵型を維持している事。・ ハンマーが湿気ていない事。 ・ 弾力に優れている事。 ・ 弦跡がハンマーの中央についている事。 ・ 一つの面積当たりの繊維本数がたくさんある事。 ・ 優れた羊から入手している事。 など、まだあるかもしれませんが最低条件とするとこんな感じでしょうか。 大きさにして5〜6センチのハンマーも製造過程では、その数倍の大きさのフェルトなんですが 2トンの加圧機械で挟んで小さく、卵型に仕上げています。 ・ 適当に弾き込んだ弦跡がついている事。・・・なぜかというと2トンで加圧された ハンマーは硬くそのままでは金属音しか出ないので、ピッカーという針がついた工具で
フェルトを刺してほぐしていきます。ハンマーの銘柄によって多少違いますが、一つの
ハンマーに150〜200本ほどの針を刺してちょうど良い音が出る硬さになっていきます。 鍵盤88本に対して88個のハンマーがあるので1本につき150〜200本を刺して ほぐして音楽に使えるようなフェルトにしていきます。そこで弦に触れるハンマーの先端 までがほぐれて柔らかくなりすぎると、音としてはこもって艶も無くなってしまいますので 先端部分のみある程度の方さ・・・人が弾いて硬くなったような方さ加減がベストです。 それが弦跡なのです。どうして人が弾いたのが良いかというと、それは音楽をする上で 弦を叩いて表現するピアノでは強弱で音の深さや色が創れるので、その加減は手でなされる という事で、人が出せるフォルテやピアニシモがそのまま音に現れるような硬さが弦跡と なって現れます。 私が思うベストな弦跡はハンマーに約7ミリ前後ついた跡ではないかと思います。 10ミリを越すようになると、フォルテシモの時に音が歪みますね。 綺麗な最大音は誰しも受け入れます。歪んだ音にはトゲが感じられて耳が痛く楽しめません! また10ミリ以上の場合はピアニシモで弾いても弦跡が長すぎて弦に直接当たる面積が 多いために、いくら脱力して弾いてもぺちゃぺちゃな硬い音でピアニシモにならず音楽に なりません。 ・ ハンマーが湿気ていない事。・・・これは当然ですが張りのある音がでません。 張りのある音にはボールが勢いよくはねる感じのフェルトでないといけませんね。水分は 不必要です。やはり湿気たお部屋で使われていくと、どうしてもフェルトに水分がたまって 暗い音になってしまいます。ずっと使っている方にはわかりにくいのですが、他のピアノ と比較すると全然違う音になってしまっていることにびっくり! ・ ハンマーの形状が卵型を維持している事。・・・ちょうどラクビーボールのような 形が鍵盤で言うと2点あたりから上でしょうか。低い音域のハンマーほど卵のように 丸くなっています。でもたくさん弾いた鍵盤から卵の先端部分が楕円形になっていくので そこだけぺちゃっとした音になって、音質が違って違和感を感じます。 たくさんの天然部品からなるピアノですが、ハンマー一つをとってもこんなに緻密で デリケートな理由があるのです。調律師が一番神経をつかうところでしょうね。 今日はこのくらいにします。続きはまた後日! |
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ピアノの調律をしてもらって弾いてみると、一番変わったと感じる部分が整音に関係しています。 自分で弾いてみて調律前よりいい音になったな〜と思っていただくために、調律師側では まず弾かれる方の個性を知っておかなければ、良かれと思って調整した音に不満を持たれる 事も多々ございます。 調律をしてもらったピアノ所有者の方からみると、この整音が何であるのかを考える事が出来る 方から、全くわからないまま調律師さんにお任せしている方と様々ですね。 実は整音をしないでは調律をした後に、音が綺麗になったとおっしゃっていただけません。 ですので調律師なら調律と整音はセットで含めて「調律しました!」と言っている事が ほとんどです。 ピアノの音にはハンマーフェルトで叩く素材の音から弦の音、そして響板、本体とすべてが 同時に鳴って聴こえています。このとき一番目立つのがハンマーフェルトの素材が与えている 音です。良いフェルトの条件は密度の濃い繊維質で,弾き手がピアノからフォルテまでの タッチで弾いたとき、弾き手にとってストレス無く気持ちが伝えられるような強弱が出来る 状態でしょう。しかし使っていくほどにハンマーフェルトは磨り減ってしまうので、ピアニシモ が出しにくくなります。 ある方のお家での調律で整音した時のことですが、この方は先生で一日3時間ほどはレッスン に使って1時間はご自分の楽しみで練習をされています。どちらかというと調律の狂いというより 鍵盤を叩いたときの出てくる音色に気を使って弾かれるタイプです。なので結構狂っていても 我慢できるとの事ですが、鍵盤によって強弱のバランスが違うと、とても気になって弾けないのだ そうです。勿論狂っていると強弱も悪く感じるのではないかと思いますが、このように 人によって気になる箇所が違っている事が多いです。 音の狂いも強弱も良いというのが調律の条件ではありますが、これは許せない!って思う のが整音なのか調律なのか、様々で大変興味深いところでもございます。 次回(整音2)は消耗品であるハンマーフェルトの状態についてです。 |
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