モノクロ − タイ

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以前、ラオスでビジネスをするタイ人が来日したので、案内をした。彼は私とは違い紳士で、仏教への信仰も篤かった。初日は鎌倉、翌日は東京の若者が集う所へお連れした。

彼は東京のその場所をとても気に入ったようだった。確かに高く繁った木々は真夏の陽光や辺りの喧騒を遮り、通り抜ける風は身体に籠もった熱を解き放ち、足元の小砂利の音は心地よく耳に響いた。彼は興味深げに周囲に視線をやり、拝み、奉納した。

彼は言った、「ここは素晴らしいですね、大変心が穏やかになりました。鎌倉は騒がしかったので」

「気に入っていただいたようで、私も嬉しいです」

彼は尋ねた、「ここはいつ造られたのですか」

「100年ほどになります」

彼の穏やかな笑みに、困惑の色が染み入ってきた。

「すみません、いつかはわかりませんがかなりの年月が経っているようです」と口にするべきだったと気がついた。
タイ人は敬虔な仏教徒であると謂われています。確かに街の至るところに拝む人々の姿が溢れています。

しかし実際に彼らに拝む訳を尋ねてみると、私たち日本人が神社に詣でるのと同じく、宝くじを当ててもらいたいであるとかの、現世利益の類が多かったのですが、驚いたのはタンブンという喜捨を通じて贖罪を果たしていたことです。

私の中では、神社仏閣で贖罪という装置が働いているという認識はありませんでした。これが私の勘違いでないのなら、私たち日本人は自らの罪を罪として認めて何処かで贖罪をするならば、もう少し楽に過ごしていけるような気がします。


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前世紀の日本において、中古カメラ屋さんのパトロールをしながら写真を撮っていた流れで、日本人である私がバンコックを2時間ほど歩いてみたのは、大きな間違いでした。

自転車好きなオランダ人がバンコックの大気に倒れたように、私も数日熱にうなされました。


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バンコックの最初の休日、ヘキサーを抱えて外に出ました。

当時居住したのは、市の南に位置するビンガァウという街でした。日本でいうと東京から多摩川を越えた溝の口に相当する場所です。

その日、バンコックの中心部のひとつであるサイアム地区にある東急デパートを目指すために、路線バスに乗ろうとバス停に立ちましたが、どのバスに乗れば良いのかまったく分からず、しばし黙考してから、R246に相当する市の中心に向かうラチャダムノン通りをゆくバスでいいやとシートに着きました。

しかし、走りだして5分と経たないうちにバスは左折をして、あらぬ方向へ突っ走りだしてしまい、キンキンに冷えたバスのなかで嫌な汗が滲んできました。

それでも車はチャオプラヤーを越えて戦勝記念塔に辿り着き、ランドマークであるバイヨーク2ビルが視界に入ると、いくらか落ちつきを取り戻したのですが、バスは人工衛星の如くのっぽのビルをなぞるだけで一向に近づく気配はなく、終いにはビルの重力を外れて飛ばされてしまいました。

眼にする文字はタイ語ばかりの中、ラームカムヘン大学のアルファベットを見つけて、バスを降りようと考えたのですが、下がり続ける株をなかなか損切れないように、腰は重くなるばかりでした。

我に返ったのは、先っぽだけのバイヨーク2を背にして、前にSEIYUの文字を認めたときでした。反射的にバスを飛び降りて、反対車線のタクシーに行き先を告げました。サイアムにある東急デパートが見えたときには、メーターは150を過ぎていましたので、バンコックの郊外まで行ってしまったようでした。

車が歩道に寄せられてから料金を支払い、降りようとドアノブを引きましたが全く手ごたえがありません。何度引いても無言であったドアは、外にまわった運転手によって開かれました。

たまたま壊れてそのままにしていたのか、ある意図をもってドアノブが効かなかったのか分かりません。偶然や、乗り逃げを防ぐためであれば良いのですが、なかにはよからぬ考えをもつ人もいることを思ったら、再び噴き出してきた粘ついた汗に包まれながら喧噪の街を歩きだしました。


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前世紀の終わりに渡タイした際の、最初のフィルムを引っ張り出しました。

ネガのはじめの10コマほどは、成田エキスプレスの車窓からの風景が写っていることと、特徴的なフィルムノッチから、コニカヘキサーで見た初めてのバンコックで間違いありません。

居を構えることとなったバンコックの、ファインダー越しの景色を懐かしく思い返してみます。


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