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当たり前だけれど、世の中では毎日いろいろな事が起こっていて、一瞬一瞬と時が過ぎる毎に起こった物事は過去の歴史になってしまう。 生きている全ての当事者達にしてみれば、一つ一つの出来事は大きな事件で、心身ともに緊張もし、疲労困憊もし、感動感涙に浸りもしている訳だけれど、いざ歴史になってしまうと平面的に記録された文章にしか過ぎなくなってしまうのがナンだか気の毒な気がする。
世界の多くの歴史学者達は、過去から残された多くの文書記録を読み解く事や、その当時使われていたであろう言語を読み解こうとする事が歴史を紐解く事であるとしてきたのだと思う。
立体的な人間の生活が平面的な記録になってしまうと、その平面的な記録から想像して、また立体的な人間ドラマをイメージ再生するには、きっと随分と豊富で創造的な想像力を要求されるのだろうと思う。
今年のラマダンもあと残すところ数日となりましたけれど、日没と共に終わる毎日の断食後、最初に口にする伝統的な食べ物はナツメヤシの実と水とされている。
一年に一度、丸一回転の月の満ち欠け期間を、日の出から日没まで断食し、恵まれない貧しい者達の飢餓の苦悩に思いをめぐらし、幸い薄い者達への救済を奨励する一月こそが一年中で最も聖なる期間として位置付けたイスラムの高い社会倫理システムだ。労働や商活動よりも人の福利と、家族親族はもとより、利害抜きの他人との人間関係を第一優先することの価値を社会全体に思いいたらせる賢いシステムだ。口先や気持ちの上だけで慈善慈悲を語るのではなく、物理的に身体経験を伴って思い至らせる方法で積極的な姿勢での断食の義務付けを教えたのであろう。
その断食の後に最初に口にする食物がナツメヤシの実であると言う事に、この地の人々が住み続けてきた厳しい砂漠の生活への謙虚な誇りと感謝、畏敬と尊重の意が込められているのだろうと思いめぐらす。
砂漠地の所々に現れるオアシスに育つこのナツメヤシの実と、砂漠で飼育されるラクダが人類の文明の発展と歴史とにどれ程大きな貢献を果たしてきたことだろうか。ラクダとナツメヤシの文明と歴史に対する貢献への評価は未だに低過ぎると云う思いを、ムスリム友人に招待されたイフタール(断食後の食事)のナツメヤシを味わいながら考えていた。
一日7つぶだけで人間に必要な一日のカロリーを供給できるナツメヤシのオアシス栽培、砂漠の貨物車=ラクダの酪農飼育が恒常的かつ広範に可能であったのは広大なアラビア砂漠であったことと、アフリカ大陸、地中海、ユーラシア大陸、アジアを東西南北に結ぶ文明航路の十字路地点に繋がる地理位置のアラビア砂漠に住む人々が、物量運搬と文明地域間の人間の止まない移動の流れを支えていたであろう事は理屈の上からも想像に難くない。
未知の世界への好奇心、より美味しい食べ物への欲望、より便利で、より美しいものへの願望を実現したい人間の欲望が、人類が創り出し続けてきたあらゆる科学技術と発明、産業のモーティベーションだ。
現代のムスリム達が過激暴力化していくイスラムセクトを止められない理由は何なのか。 それは本来原始イスラム社会の中で機能していた【持てるものが持てない者を、できる者ができない者を、強い者が弱い者の面倒を見る】社会福祉の原理を「現代国家組織」の枠組みの中では機能させることに失敗し続けるムスリム社会。そのイスラム世界が貧困を解消できない事に深く関係しているのだろう。
イスラム原理主義と呼ばれるカルト イスラムセクトグループは、そのイスラム社会の福祉原理を用いて貧困故に無教育な最下層を【救済】する方法で、速いスピードで増加し続ける若年人口層を見事にかつ確実にリクルートすることに成功し続けるからだ。
【貧困と無知】を解決すべく登場し、実際驚くべきスケールで人類を【この世で救済】し続けることに成功したイスラムが、1200年の長きを掛けて落ち込み続け、元来の原始イスラム原理時代から遥かに非イスラム化し続けて現代のセクト化現象を招いた悲劇と不名誉から立ち上がる路を見出してくれることを願ってやまない。
世界のイスラム教徒人口は16億人に近い。
そのムスリム人口のうちアラブ人は20%に過ぎない。
ナツヤメヤシの実とラクダによって砂漠の民が支えた古代文明間の交流によって可能となった更なる文明発展は、厳しい砂漠の自然に生きた民が導き出した【教え】が他民族、多文化、他宗教を征服支配することなく交流することを可能にしていた。
恐らくは、そのことが15世紀以降の西洋によるアジア植民地征服を可能にしたのかも知れない。インド航路を略奪した新しい勢力の西洋貿易商達がアラブ商人にとって替わってインドや中国との通商を始めた時、インドも中国も、まさかあれほどの膨大な軍事力をもって西洋商人達が貿易強要するとは思わなかったから、植民化征服戦争に対する軍事防衛発想も、技術的準備も無かったのだろう。それ故にあっさりと、圧倒的な武力と有色人種非キリスト教徒蔑視思想の前に見事に植民地化されていったのだろう。
インドにも中国にも数千年に及ぶ東西貿易によって蓄積された富は膨大なものだったと云われるが、その富と知識と知恵をもってしても、近代科学に基づく軍事防衛力を構築するにはいたらなかった。 それは恐らくは、古いアラブイスラム商人達との長い間の通商交易にそんな軍事防衛の必要がなかったからだろう。
彼らは侵略征服ではなく、商売にだけ興味があったからだ。
そんな事どもも、何の科学保存料の必要も無く、自然のままで高温でも湿度の変化するの環境でも長期に保存できるナツメヤシの実、デーツを味わいながら、ラクダのミルクの効用を話し合い、それを常用していると言うドイツ人達とパキスタン友人と、パキスタン式イフタールを味わった。
アラビア砂漠に登場したドバイと言う街は、こう云うことを可能にする街なのだ。
過去の【アラブ・イスラム文化、諸宗教】についての記事は同名書庫をご参照くださいませね
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イスラムに対する偏見を 払拭しなければなりませんね、
一方通行の選択された情報を元に判断するのでなく、
様々で立体的な政治経済のお話をお聞きしたいです。
農業の活性化ね これまで勧められてきた事といえば 小さな農業を
切り捨てて、あるいは離農させることによって、
大農場を育成するだったです。心配なのは、
山村の狭い耕地美田を保持している農家が耕作意欲を失うことになれば山村はさらに疲弊します。美しい山野を維持し
零細農業者を守りながら、農業自給率をどのように拡大させるかが問われているのでしょう。
2010/9/8(水) 午後 3:10
一日に7つぶで一日に必要なカロリーをまかなえるデーツ…いつも、ついつい10つぶ以上食べちゃってる気がします…。
2010/9/8(水) 午後 9:46 [ 高橋美香 ]
モランさん、そうなんでしょうね。そもそもの戦後農地改革の時点で失敗せざるを得ない原因を作ってしまった...
欧米の農業は既に一農家単位の農地面積が全然違いますし、平地が少ない日本の地形とも違うので、やはり『統合』の問題が最大の難関だと思います。貧困層を解消でき、発展に成功した先進産業国の経済条件は農業人口を最低限2〜3%に抑えることなんですね。日本の農業人口は既に2%以下だと思いますが、農家の所有農地面積が狭すぎる故、専業農家として採算の合う生産性を産み出せないのですよね。だからグリーンツーリズム導入もやはり難しいのでしょうね。第二の農地改革で規模を大きくする...または共同体化する...いずれも社会心理上も実質経済上も難しそうですよね。
2010/9/8(水) 午後 10:06
ヨシさん、有り難うございます。
<一方通行の選択された情報を元に判断するのでなく、様々で立体的な政治経済のお話>
を何とかお伝えする様精進してまいりたいと思いますですぅ...^^
<美しい山野を維持し零細農業者を守りながら、農業自給率をどのように拡大させるかが問われているのでしょう。>
これに成功する国は恐らく世界中何処を探しても無いのかも知れませんね...
産業発展する過程で農業政策、農業経済の成功が最も難しい問題とされてきていますね。
ハイテク化、機械化、新技術投入...など高い先行投資を可能に、長期的に投資回収できるビジネスモデルを創り出さないといけない訳で...それには売り先市場の確保と拡大が必要となり...
『市場とは人口なり』ですから農村人口増政策を打ち出さないといけない...
農村部への企業移転に対する免税措置とか、都市機能分散とかね...^^
2010/9/8(水) 午後 10:22
MESTさん、それが毎日続いたらヤッパリ、チトまずいでしょうねぇ〜...^^
温泉ホリデー うらやましいですぅ...^^
2010/9/8(水) 午後 10:25
断食という人類の智慧と意義,についていろいろ考えさせられました.たしかユダヤ教にも断食はあったかと...日本も暑いのでそのうちナツメヤシが育つ気候になるかも!
2010/9/9(木) 午前 5:58
ぎゃ〜PINKさん、「 断食時間の最期の2時間、サッカートーナメントがある」って、何の意味があるんでしょう〜(苦笑)
もう、せめて明けてからにしたらよいのに。。。
2010/9/9(木) 午後 1:45
ドバイ、今まで興味が薄かったのですが(ゴメンナサイ)、行ってみたくなりました〜。歴史・貿易・砂漠の旅人が通過する・・、惹かれる記事で、PINKさんのムスリムへの想いを感じました。ポチ☆
ナツメヤシ、私も断食明けに5、6個は食べちゃってました〜(笑)。そうでしたか、1、2個だけで十分だったんですね。確かに、アフ○ン人達は、1、2個しか食べてませんでした!
2010/9/9(木) 午後 10:08 [ datechibu ]
イード ムバラク!!3日間(4日間)を、身近な人達と楽しんで下さいね!!^^
2010/9/10(金) 午後 3:52 [ - ]
地球大好き!さん、有り難うごじます。
そうなんですね、実際、ユダヤ教にもキリスト教にも断食の教えはありますが、キリスト教だけ現代では実施しない様です。 ユダヤ教徒とイスラム教の戒律は大変に似ていて、共通点も多いのですね。だからイスラム教徒はユダヤ教徒に対して敵意や憎しみは無く、従兄弟同士として尊重しますが、ユダヤ教は逆なんですよね。 アラブ人達ははっきりと『ユダヤ人とイスラエル人』の違いを認識している事が多いです。
断食や、贖罪、蘇り、昇天と言う信仰はユダヤ教発祥以前の古代宗教にもあった教えらしいです。
2010/9/11(土) 午前 5:20
モスリママさん、ナンなんでしょうねぇ〜...毎年の伝統、恒例なんですよね...
砂漠の民は『エンデュアランス』が好きなのかも知れないですね...^^
2010/9/11(土) 午前 5:23
datechibuさん、ポチ有り難うございますですぅ〜...^^
ふつー ドバイなんぞに興味のある人は少ないんじゃないですかぁ〜 突然ヘンに歪んでユーメーにされてしまって大変な事になってもいますけれど、国土が厳しい自然の環境にある人々の苦労は痛み入りますですね... ^^ ドバイに駐在している日本人は勿論、他の国から働きに来ている外国人居住者の殆どは地元人に出会う事も無く、知る事も理解する事も無く去って行くことが多いのです。でもドバイに数年住んだ...と言うだけで『ドバイ通』してオカシナ情報を堂々と書き立てたりしているのが現状なんだと思いますです...
2010/9/11(土) 午前 5:29
山田さん、お優しいお言葉有り難うございますですぅ〜... 久々にビーチでゴロゴロするのも良いかなぁ...なんて考えているところなんですが ^^
2010/9/11(土) 午前 5:31
...有り難うございます。
まあ、そう言うことだと思いますです..^^
2010/9/11(土) 午前 5:34
異教徒もラマダーンしなくてはいけないのでしょうか?
しなかったら法律か何かで処罰されたりしますか?
すみません、初歩的な質問で・・・(笑)
2010/9/11(土) 午後 2:56
宗教皆、崇高な教えに元付いては、居るモノのって、ドバイちゃんの、新エネルギー戦略は素早いネーって、決して、止まるレ無いドバイちゃん、チョイと世界をリード出来る資金が有るのには、脅威ですネー、日本も、文明開化頃ニャー、そんな具合だったンだろうネ、うらやましいコトばかりです、
2010/9/11(土) 午後 7:17
たんぽぽさん、いえいえ、いつでもどんなご質問でもご遠慮なくどうぞ...^^
勿論異教徒は断食の義務はありませんが、UAEやサウジアラビア等いくつかのイスラム教国では、日中断食時間中の公共の場での飲食を禁じている場合もあります。 ただ多くのムスリム達は異教徒に対して、遠慮せずに食事してください、と言う場合が多いようです。
2010/9/12(日) 午前 8:51
べるるさん、『ドバイちゃん』...ってカワユイですねぇ〜 ^^ 実際今ドバイちゃんはお金無いのですよぉ... 世界中に投資した資産を今売りに出して借金返そうとしているところなんですぅ〜...^^
2010/9/12(日) 午前 8:54
ナツメヤシ、というと『アラビアン・ナイト』の中のお話で、オアシスのナツメヤシを食べてその種を投げすてたら、それが大入道の眼にあたって怒った入道から難問を吹っかけられる、というような筋がありましたね。
しかしデーツ7粒で一日のカロリーが賄える!逆に言うと、デーツ7粒食べて、ほかの食べ物も食べたら、即脂肪として蓄えられる、ということになりますね。ダイエットの大敵ですね!笑
ドバイ、近年イギリス人のホリデー・デスティネーションとして人気ですね。
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2010/9/14(火) 午前 6:20
Maximilianoさん、そうです、ナツメヤシの実、気をつけないとトンでもない事になりますです。 このデーツのお陰でアラブ コンクェストを果せた、と言われています。
公式データでは、英国人に最も人気の高いホリデー・デスティネーション、マイアミの次に人気があるのがドバイなんだそうです。 旧植民地ですからコロニアルナな気分を味わえるんですよね英国人達は...^^
2010/9/15(水) 午前 6:49