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西洋メディアが命名した『アラブの春』の背景と『なぜ?』は、前出記事で何回か説明した様に、欧米西洋列強諸国の新世紀アジア、アフリカ図実現のための、戦略的な作戦の一環だ。
英語で解かり難く恐縮だが、上記の4年前のビデオでも明言されている上、欧米諸国が決して隠すつもりなどは無く、「陰謀説」などでは全くない計画作戦がある。
戦略的作戦とは広く世間一般の人々に知らせるべきものではないから、表に出て見えにくいだけだ。
中東アフリカ地域が新時代に向けて西洋列強諸国によって分断されたのは、サイクスピコ条約によるが、これには長期的な計画があり、第二段階の分断計画があった、と言われる。
その第二段階の分割計画の実現が、現在進行中の中東アフリカ地域のあちこちで起こっている「紛争・内戦」とか「民衆蜂起」とか「民主化革命」とか「アラブの春」とか呼ばれる形で、実現に向けて進行中の事どもなのだと言われる。
「そんなのは飽くまでも想像的な勘ぐり『説』じゃないのか」
と思う者達も少なくはないのかも知れない。 考え勘ぐり続けてもしょうがない。
地図を見て、どこで何が起こり、どうなったかを観察してみるのが一番よい。
西洋列強が世界の植民地化争奪戦に血道を上げて以来、植民地化とその経営作戦は案外単純な作戦の登用によるものだったのかも知れない。 よく知られた「分断し制覇統治せよ」だったし、現代でもそれは十分に効用がある。
ある団体、社会、共同体、国家...、あらゆる人間集団には、いつでも分裂し対立し得る要素がある。 人間の性であるところの、妬み心や恐怖ゆえの懐疑心、その他様々、ありとあらゆる要素はいつでもどこにでもある。
こと中東アフリカ地域に当てはめてみれば、例えば
ユダヤ教とキリスト教、キリスト教とイスラム教、イスラム教とユダヤ教...
トルコとアラブ、アラブとペルシャ、ペルシャとトルコ、クルドとトルコ、トルコとアルメニア...
ファタハとハマス、王国と共和国、アラブ連盟とGCC,カトリックと正教会、ドゥルーズとキリスト教、
スンニとシーア、スーフィーとスンニ、モスレム兄弟団とサラフィー
アラブとアフリカ、トアレグとアラブ...
続けていけば限りがない。
サイクスピコ分断計画の第二段階は、第一段階で分断した結果、天然資源が豊富で、自給自足可能な広大な国土となった、スーダン、エジプト、リビア、ナイジェリア、イラン、イラク、シリア、サウジアラビア、ナイジェリアなどだ。
これらの国々を良く見てみれば、
イラクは戦争破壊の上、事実上3地域に分けられる既成事実が積み重なりつつある
スーダンは既に南北に分断完了
リビアはNATO,カタール/UAE軍に破壊され、部族民兵集団を組織、訓練した上武器供給し、内戦の危機に落し込んだ。
シリアは内戦、分断過程進行中。
アフリカ最大の原油埋蔵国ナイジェリアでも始まっている。
原油資源豊富な隣国イラクに起こった事、続いてスーダン、リビア、そして同じく隣国シリアに起こりつつある事を観て感じているイランは、今何をどう思っているか、想像してみれば良くわかる。
間違い無く「次はわが身」と確信しているだろう。 そして、その前哨戦は既に始まっているのだ。
それが「イラン危機」の実情だ。
イラクが侵略されサダム・フセインが殺され=『外国武力介入により無理矢理の政権交替』が行われたのは、何あろう「大量殺戮兵器を保有していた」からではなくて、「保有していなかったからこそ」だった。
世界中の核兵器保有諸国は未だ嘗て、どこも侵略され、戦争しかけられた記録が無いのが歴史の事実だ。
イランがどうしても「独自に平和利用核開発」を主張し急ぐのは、シリアと共にイランもまた、『米国の新世紀世界地図』=戦略的再分断計画を知っているからだ。
イラク、リビア、スーダンを分け、その結果得た、欧米のスーパーメジャーと言われる石油会社が得つつある原油増量とその権益額、大規模建設、金融インフラほかあらゆる分野の、殆どゼロからの国土インフラ建設にかかわる契約額と、一体誰がそれらの契約仕事を取っているのかを観てみれば良い。
欧米諸国はメガトン級借金と飽和状態市場で治癒のしようも無い慢性患者状態だ。ではどうしたら、そこから抜け出せるのか?
当分は長引きそうな、そんな経済低迷状況下、西洋価値世界以外の地域で立ち上がりつつある次世代のスーパーパワーの予兆を感じつつ、できるだけ早く天然資源とキー産業市場の既得権を確立したい西洋世界の真剣度は、中東、アジア地域に起こっている諸々の事どもから十分察せられる。
巨大な未開発市場と溢れ出る天然資源宝庫が、今まで任せていた旧世紀の遺物、重層汚職独裁政権に管理させて来たが、病める西洋世界には、大至急、最高率の利益で、できるだけ多くの権益を獲得、業務開始する事が、今最も必要とする特効薬なのだ。
それには、旧態依然として融通利かない旧友老朽独裁者達では機能しなくなっていたのだ。
中東アフリカ地域への民主主義導入などは、基より西洋の利益ではない。
それどころか、中東地域のイスラム原理主義化こそが西洋にとって最も都合良く利益が合致する。
民衆革命後のアラブ諸国で何故軒並み保守イスラム原理主義勢が政権に就くことができているのか。
それは彼らが熱心に社会保障や福祉政策を説き、選挙運動し続けたからだ。
では、その選挙資金は何処から出ているのか、と言えばカタールから出ていたことは既に公になっている。 ではカタールは独自にそう言う政策を取ったのか? 勿論そうではない。
大借金西洋世界は、もう何処にも一銭も使いたくないし、使えない。
そこで、湯水の如く湧き出だし続ける膨大な天然ガスマネーと、世界を買ってもまだ使い切れない、極小人口カタールの富を使い回して、新世紀の世界地図⇒新世界支配構造の実現、実行する事にした訳だ。 ここ数日、欧州中央銀行総裁達が挙ってGCC諸国を訪問し、IMFはGCC産油諸国に供出金を増やす様に迫っている。
シリア、イランが、旧西洋列強とは一線画してきたロシアと中国に期待するのは当然だ。
ロシアは政治思想・経済体制の違いに関係無く、昔から伝統的に地中海に出る「南下政策」を堅持してきたし、またそうせざるを得ない。
欧米諸国がシリアの開発発展協力を拒んだ時、ソ連は真摯に協力し、シリアは独自の建設産業技術を発展させることができた。
その結果ソ連/ロシアが得た地中海での係留地は、何としてでも保持したいのがロシアの気持ちだ。同じくペルシャ湾、ホルムズ海峡を制するイランとの同盟関係の重要度が、ロシアにとってどれほどのものかを理解するのは難しくない。
シリア、イラク、イランの地理位置は、人類が初めて文明の域に達する事を可能ならしめた自然と大地、「肥沃な三日月地帯」そのものだ。
この3国が保有す原油量、豊かな天然資源は、東と西の世界を結ぶこの広大な地域を完全に自給自足ならしめる。 この地域の資源と、それ以東のアジア地域だけで世界は、膨大な経済圏は十分成り立ち得てしまう。
内戦によるシリア破壊と分断、その次は勿論イランだ。 そしてイランの次はサウジアラビア。
問題なのは、シリア、イランは、イラク、リビアの様な筋書きどおりにはいかない。
米英仏軍は既にトルコで待機しているし、気付かず提灯持たされ歩き回るカタールは、イスラム世界のカリフになったつもりでいるかの様だが、シリアもイランも強権化で苦労してきた民衆だ。
自国がミサイル、戦闘爆撃受けたら必ず応酬するし、またその能力も有る政権だ。
先進諸国の文明生活に慣れ切ったイスラエルやトルコ、カタールの様な国々が、応酬攻撃で受ける戦傷に対する精神的耐久度と、軍事強権下で耐えてきた途上国生活に慣れた人々の耐久度とどちらが「被害度」をより深刻に感じ、受け取るか。
シリアやイランが撃たれ死ぬ時は、できるだけ多くの被害を敵側に与えようとするだろう事は容易に想像できる。
イスラエル、トルコ、カタール、アブダビなどがどれ程被害に堪えられるか。
西洋世界にしてみれば、更なる新市場創出と混乱の中での利権獲得劇に有利に動けるチャンスになるだろうが。
ロシアは、イラク、リビアには欧米に目を瞑った。
が、シリア、イランは渡さない。
昨年の今頃、『アラブの春』で世界が沸いた。
一年後の今日、中東アフリカは『アラブの地獄』を迎える年の始まりを予兆する。
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2012年01月26日
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