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昨日の月が赤くて
漆黒のなか怖いくらい赤くて
牙に滴るような色
見ないように3秒数えて
まだ数えたりないのに
ぜんぜん足りないのに
あの月を見てしまった
怖いと思った私の目は
私の心より現実を見てて
星はきちんと輝いてて
漆黒の中の赤は
墨を薄めたような空に負けたのか
薄桃色にしらけて
私の足元をどんよりと照らした
現実を見る目なんて
ほんとうにほんとうに面白くない
怖いと思いながら
心のずっと奥で
血のように鈍く光る
真っ赤な真っ赤な月を
息が止まるくらい睨んで居たかった
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動くたび波紋が広がり
ゆかたの袖を水面が引っ張る
進めないね
水が重すぎるね
捨てたはずの心にうっすらと夏の影を映す
私はもうここには居ない
浮かぶことも沈むこともできず
水面にくっついた笹みたいで
太陽に焼かれることもなく
薄い水の膜に守られる
ゆかたなんて着なきゃよかった
ずっと水の底で凍っていられたのに
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抱きしめていたら
この手で抱きしめていたら
あの子達が銃を手にする前に
誰もが抱きしめていたら
あの子達が親を失う前に
誰もが気づかず恐怖を杖にして
言葉は銃に置き換え破壊の先に幸福があると信じてる
自由があると信じた其処は幸福に見えず
世の中は断片だけを見せて
真実なんて本当は誰も見たこと無い
悪魔なんてこの世に居ない
いるのは恐怖に慄いた可哀想な人間
そこにいる誰かが其処に居ない私が
恐怖が和らぐまで抱きしめていたら
泣きじゃくるその子を
強く強く
抱きしめていたら
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あんなにくっついてたくせに
ただいま〜はドアの音しかしない
急に騒がなくなったと思ったら
いつの間にか大人になって
おまえの泣き顔中々可愛かったのにな
見ることもなくなって
テレビを観て私と同じところで笑ってたのに
ちがうところでアイツと同時に笑い転げ
私は何か置いてけぼりだよ
フンッ
なんだよ
半分は私の血で出来てんだ
あいつの血だけじゃねーぞ
スタンプみたいに二人で笑うんじゃねー
ちっとはピーピー鳴いてた頃を思い出せッ
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ひとりじゃないないよね
誰かそこにいる
知らないけどそこにいる
生きてるよ
ほんとに生きてる
それだけで安心なの
何も言わないけど安心なの
私も生きてるもん
ここで生きてるもん
ずっとずっと最後まで
一生懸命生きてるもん
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