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獣医学科の大学生ぴぷによる、ZOO(動物園)を主題としたBLOGです。日々のことや動物園に関することを思いつくまま書き連ねます。

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混合展示 その3

第3弾です。

イメージ 1
カバとナイルティラピア、2007年9月、天王寺動物園にて。
種間の「共生」関係が見事に再現された、大変興味深い混合展示です。
ティラピアはカバの体表のごみや糞などを餌とすることができ、カバは体を綺麗にしてもらえる。
糞を食べることでの水質の浄化にも一役買ってそうな気もしますですが、どんなもんなんでしょう。
国内の動物園には他にも数箇所、カバの水中展示をおこなっているところはありますが、魚が入ってるのは天王寺だけのようです。

イメージ 2
ジェフロイクモザルとカピバラ、2011年9月、旭山動物園にて。
ここでは混合展示を始めた当初、カピバラとクモザルがトラブルを起こし、クモザルが死亡してしまうという事故が起こったのは有名な話でしょうか。
(敢えてタブー視する必要もないでしょう。旭山動物園WEB内「園長(ゲンちゃん)日記」平成17年9月2日の記事に詳細が掲載されています)
混合展示では、野生下での棲み分けを表現する場合がしばしばですが、ほとんどの場合、個体は動物園生まれで、他の種類の動物のことを知らずに育ってきています。当然、上手な付き合い方も知りません。種間のトラブルは混合展示では特に注意すべき点ですが、それでも時に、起こってしまうようです。
旭山の賞賛すべき点は、事故を理由にして混合展示をやめなかったこと。飼育する側の推測の甘さを認めつつも、事故を教訓に飼育方法の改善を図り、現在も混合を継続しています。確固たるポリシーが感じられます。そこが、旭山の強さ、でしょうか。
余興的に、あるいは流行に乗っただけでおこなった、ポリシーのない混合展示だったら、多分すぐに中止となっていたでしょう。

イメージ 3
ワオキツネザルとムツオビアルマジロ、2011年8月、サンシャイン水族館にて。
水族館の主役は「水の生き物」ですが、ここでは、名脇役として(?)陸の動物が集められた区画にいます。
水に対する、、という部分が共通項でしょうか。
野生では住む地域も環境もまったく異なりますが、ワオキツネザルはアルマジロのことが気になるみたいです。

イメージ 4
フンボルトペンギンとカマイルカ、2007年6月、のとじま水族館にて。
一つ前「その2」で、イルカの混合展示はさほど見ない〜と書きましたが、その例外です。
イルカを中心とした「イルカたちの楽園」では、イルカ、ペンギン、他にアカウミガメや暖かい海の様々な魚が一緒に飼育されています。この施設のオープンのニュースでも驚きましたが、実際に行って見てみるとやはり、これまでの固定観念からか、ペンギンとイルカが一緒にいるのは不思議な感じがします。
野生では決して出会わないであろうペンギンVSカマイルカ・アカウミガメですけれど、プールも十分に大きく、程よい種間関係を持てていそうな風に感じました。
サンシャインの場合と逆で、広い意味での「海」の生き物、人気者たちを共通項に混合している展示と言えるでしょう。

イメージ 5
マクジャクとシロテテナガザル、2007年2月、上野動物園にて。
アジア・アフリカの熱帯雨林の動物を集めた「ゴリラとトラの森」内にあるテナガザル専用のケージでしたが、いつからか、マクジャクやコサンケイなどの鳥類も混合展示されるようになりました。
特に熱帯雨林は、多種多様な生物が高密度で共存している環境ですから、このような混合展示は非常に展示効果の高いものだと言えるでしょう。野生でも生息域が重なるようなこれらの種であればよりいっそうです。
個人的には・・・テナガザルよりもクジャクばかり目立ってしまうので、入れるならもう少し小さい鳥だけのほうがいいなあというのが感想。
マクジャクはけっこう好きな鳥なので、マクジャク主役でこういうケージが作られればベストなんですけれど。

イメージ 6
アフリカハゲコウ、シュバシコウとアフリカヘラサギ、2008年8月、セキアヒルズ森のウォーキングサファリ(閉園)にて。
訪問時の様子は、こちら
越谷のキャンベルタウンや大島公園のフライングケージなどと比べても、比にならないくらいの巨大な、多分日本最大のバードケージだったと思います。
(まだ施設は残っているんだろうか・・・)
あまりに巨大すぎてほとんど野生のような状態で暮らしていましたが、そういう場合は他種の干渉がないよう種ごとに集まって暮らしたりするのかと思いきや、意外にも彼らは3種類で行動を共にしていました。
それがたまたまだったのか、同種の個体数が少ないので似たような種の仲間同士集まっていたのか、それとも「アフリカの鳥同盟」が組まれていたのか、は、分かりませんが。

たつのとし

皆さま〜

遅ればせながら・・・明けまして、おめでとうございマウス。

2012年、辰の年ですね!
本年も、どうぞヨロシクお願い申し上げます。

毎年、年賀状には自分で撮った動物の写真でデザインしていますが・・・困ったことに今年は「たつ」
龍も辰もドラゴンも、実在しません

そこで、今回の年賀状は、なんとなく、龍で辰でドラゴンな動物を集めてみました。

イメージ 1

皆さんの賀状やブログ等、そして各地の動物園・水族館で「干支の動物」として話題になっているのを拝見するに、タツノオトシゴ系や爬虫類のなんとかドラゴン等がよく登場しているようでした。
そこで、
・実在するドラゴンの中では最強であろうコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)
と、
・リーフィーはよく出てたけど、ウィーディーもシックで味わい深くて好きなのでウィーディーシードラゴン
そこまではいいとして、
他に何を選ぼうかと思ったときに、やはり「タツノオトシゴ」とか「ウォータードラゴン」では芸が無いなあ、キャラがかぶるなあ、と思いとどまり、悩んだ挙句選んだのが下の2つです。
たつ年だからって、「シタツンガ」は考えつかなかったでしょう。(ドヤっ


そんなこんなで始まった2012年ですけれども、
皆さんにとって、そしてわたし自身にとって、良い年となることを願っております。


もはや「竜頭蛇尾」になりつつありますけれど、このブログは今後もダラダラと、マイペースで続けていくつもりですので、気が向いたときにでも覗いてみていただけると幸いです。

混合展示 その2

意外と反響が大きかったので(ありがとうございます)、頑張って続けます。
第2弾です。

イメージ 1
カマイルカと海産魚類、2007年8月、八景島シーパラダイスにて。
まあ、混合展示と呼んで差し支えないでしょう。
イルカと魚、双方にとっての利点と言うよりも、演出的な意味合いの方が大きいかもしれませんね。
ただ、イルカプールで魚類も一緒に泳いでいる例は、さほど見ないように思います。

イメージ 2
アヒルとカイウサギ、2011年12月、椿花ガーデン・リス村(伊豆大島)にて。
ふれあいなどで飼育される、これら家畜は、しばしば「ふれあい広場」のようなところで同居している例を見かけます。
家畜化されたという点で、既に、他者からの干渉への耐久力がある程度強い傾向があるかもしれません。

イメージ 3
マイワシとサメ(クロヘリメジロ?)、2008年3月、名古屋港水族館にて。
はじめにの中で、『動物園学』からの引用で、混合展示をする種は「(願わくば)捕食関係にないものの中から」選ぶ、というようなことを述べましたが、これはその例外に当たるかもしれません。
マイワシなどの小魚と同居する肉食の魚は、充分に餌を与えられていても、たまに“つまみ食い”をすることがあるようです。
生き餌などと異なるのは、マイワシの同居が被食されることが目的ではないことと、防衛戦略としての大群形成をして捕食者より水槽内で“幅をきかせている”(でもたまに食べられちゃうけど)ということでしょうか。
生き餌にしても混合展示にしても、一般が見えるところで生きたものが捕食されることに寛容なのは、魚類や昆虫くらいだと思います。サメに食べられるのが哺乳類や鳥類だったら、恐らくその混合展示は「問題」とみなされてしまうでしょう。福祉的な問題や、動物観が関わってくる、難しい部分です。
食う・食われる、は、生物の最も重要な行動ですが、なかなか動物園・水族館での再現はできません。しかし、来園者一般に認められる部分であれば、確固たる信念のもとにそれを再現して展示するのは、立派な生態展示あるいは行動展示の一部となるでしょう。
混合展示の新しい可能性を感じる点です。

イメージ 4
シャチとバンドウイルカ、2010年9月、名古屋港水族館にて。
これも、もう一つの、捕食関係の例外と呼んでいいかもしれません。
シャチは野生下では、魚を主食とするグループや、イルカなどの海獣類を捕食するグループなど、いくつかのグループの存在が知られています。
そのような意味で、シャチにとってイルカは、食べものとなり得る存在です。
しかし、飼育下で、満足に栄養を与えられる個体は、しばしばイルカと“友達”になります。真意は分かりませんが、鯨類は発達した知能を持っていますから、今ここで食べちゃうよりも、一緒に楽しく暮らすことの方がメリットがあると考えているのかもしれません。わたしどもも、ブタを食べたり、ペットにしたりしますから。
いずれにせよ、これも興味深い混合展示の例です。

イメージ 5
ラッコとアゴヒゲアザラシ、2010年9月、大分マリーンパレス水族館うみたまごにて。
詳細は、昨年の訪問記の記事こちらをご覧下さい。
これまでで最も驚いた混合展示の一つです。
どのように馴致をおこなったか、気になるところです。

イメージ 6
アカシカとフタコブラクダ、2009年9月、富山市ファミリーパークにて。
もともと生息する地域も環境も異なる動物ですが、混合展示がおこなわれていました。
「はじめに」の中で、混合展示をおこなう動機の例として簡単に挙げましたが、「お互いひとりじゃ寂しい」ので、混合飼育することの例です。(WEB等にそのようなことが説明されていたと思います)
群れの社会性を持つ動物は、異種であっても、似たような他者の存在で安心する部分が大いにあるように感じます。
現在は残念ながらラクダはいないようですが、同様に、ダマジカの群れを隣で飼育することで、アカシカに安心感を与えようとしているようです。

混合展示 その1

では早速、混合展示の事例を雑多に挙げていこうと思います。

「混合展示」ってなあに?という方は。一つ前の記事を参照して下さい。
概要と言いながら、嫌になるくらいくどくどと解説してあります。

基本的に、思いつきでアップしますので、順番とかあまり気にしないで下さいね。


イメージ 1
さまざまな海産の熱帯魚、2007年8月、八景島シーパラダイスにて。
動物園での混合展示に意識が向きがちですが、水族館でははるかに多く、そして恐らくかなり無意識的に、混合展示は実践されています。
例えば、サンゴ礁の海に棲む熱帯海水魚などは、どの水族館でも、サンゴ礁を模した、あるいは本物の生きたサンゴなどと一緒にした水槽で、多種多様な魚を混合展示しています。
概して、色や形に特徴的なものが多く、来館者の目を惹くカラフルな水槽は展示効果も高いものとなります。

イメージ 2
アミメキリンとシロオリックス、2010年1月、多摩動物公園にて。
他にグレビーシマウマ、ダチョウ、モモイロペリカン、シュバシコウなども一緒です。
アフリカのサバンナに暮らすような草食動物は、広い放飼場で一緒に飼われることも多いですね。

その典型的な例として、サファリパークが挙げられます。
イメージ 3
グラントシマウマとエランド、2011年6月、富士サファリパークにて。
サファリパークの「草食ゾーン」のようなところでは、広い敷地を利用して、多様な草食動物(主に有蹄類)を混合展示しています。
群れで飼育することで、繁殖成功率を高めることにも寄与していそうです。
種類数が増える分、種間の関係の管理など手間も増えそうですが、面積とのバランスを考えることが重要でしょう。

イメージ 4
左から、フンボルト、マゼラン、ケープペンギン、2011年2月、志摩マリンランドにて。
ペンギンも、混合展示されやすいグループです。
コウテイペンギンなど特殊な極地ペンギンを除き、一般に欲求する環境や餌が共通であり、日本の気候であれば屋外でも比較的容易に混合飼育できます。
「はじめに」で挙げたように、種間の交雑がやや心配されるところですが、国内にこれだけ混合飼育の例があるにも関わらず、さほど交雑の話を聞かないのは、種によって微妙に繁殖特性が違うことや繁殖の管理がしやすい(ペアが見つけやすい)ことなどが理由にあるかもしれません。
(現場の方、教えて下さい!)
ちなみに、マニアックな情報ですが、フンボ、マゼラン、ケープはよく飼育されるペンギンで混合の例も多いですが、3種一緒に並んだ写真を撮るのができるのは志摩マリンランドとマリンピア松島水族館くらいです。

イメージ 5
左から、ウミネコ、ユリカモメ、オシドリ、奥にカルガモ、2009年5月、京都市動物園にて。
水鳥の仲間(カモ、シギチドリ、トキ、サギなど)もよく混合飼育されますね。
飛ぶようす、潜るようす、水かきやくちばしの形など、比較して見て欲しいですね。

イメージ 6
オオワシとイヌワシ、2011年5月、多摩動物公園にて。
猛禽類も、意外に混合飼育される例が多いですね。
肉食の鳥なので闘争が恐いと考えがちですが、餌や空間に不足が無ければ、相手も強くて大きな鳥ですから、不必要に争うことはないのかもしれません。少し逸れますが、傷病野鳥のリハビリで、オオタカとハヤブサを一緒に飼育できていた例もあるので、同じような体格・ニッチであることが大事なのでしょう。

イメージ 1

Face book の「Zoo enrichment」のページに、「Mixed exhibits」というアルバムがあります。
世界中のいろいろなところの動物園での、さまざまな動物種における混合展示の写真を掲載しています。

2011年12月25日現在で、47枚の写真がアップされていますが、どれもなかなか興味深いものばかりです。
例えば、とある動物の上に同居する別の動物(大抵サル類)がクマにまたがる金太郎よろしく乗っかっていたり、異なる2種が仲良く過ごしていたり、あるいはほどほどな緊張感を呈していたり、種同士で微妙な距離感を保っていたり、まったくお互いに気にもかけない存在であったり・・・というように、さまざまなケースが紹介されています。
世界中で見られるような混合の組み合わせもあれば、なかなか珍しい同居であったりもしています。

とにかくそこに毎度アップされる写真に感銘を受け、触発されたので、「混合展示」なるカテゴリを設けてしまいました。
まず最初の今回は、混合展示の基礎について論じてみたいと思います。


◆そもそも混合展示とは何か?

『新・飼育ハンドブック 動物園編4』(日本動物園水族館協会)では、
「目,科,種の異なる複数の動物種を同じエリアで展示することである」 と、定義しています。
説明するまでもないかもしれませんが、「同じエリア」というのは、英語で言うところの「enclosure」(いい和訳がないのだけれど、「囲い」「檻」など、すなわち原則的に動物が越えることのできない障壁で囲まれた空間=普段動物が生活する場所)のことで、一つのenclosureの中で分類学的に異なる2種以上の動物を飼育・展示することです。
その反対の語は「単一種展示」で、一つのenclosure内で一種のみ飼育します。いわゆるふつうの飼い方、と言っていいでしょう。


◆混合展示で飼育される動物にはどういうものがあるか?

『動物園学』(文永堂)では、
「野生で同じ地域を生息地とする種で,(願わくば)捕食関係にないものの中から,相対的に適切なものが選ばれる.」
というように述べています。
しかし、もう少し補足をすると、実態としては必ずしも同じ地域とは限らず、「同じような生活環境」であったり、場合によってはもともとの生息地も環境も異なる場合もあります。詳細は後述します。
適切であると思われる飼育動物の、種同士、個体同士の相性を慎重に評価し、必要であれば見合いや馴致などの期間をおいて、同居することが可能となります。
以上のプロセスを経て混合できる動物であれば、どんなものでも混合展示で飼育できると言えるでしょう。


◆なぜ混合展示は実施されるのか?その利点や注意すべき点は?

▼混合展示による利点の大きなものとして、特に生態展示などの場合、野生の環境をイメージしやすいということがあります。来園者に対する、教育的効果としての利点です。
誰もがイメージするアフリカのサバンナ、シマウマやアンテロープの群れが草を食み、その傍をキリンの家族が闊歩している光景を、混合展示では再現することができます。例を挙げ出せばきりがないですが、同じ生息地での共生関係、あるいは空間的な棲み分けの様子などは、教育的効果が非常に高いものだと考えられます。
「同じような生活環境」の場合もあると先述しましたが、例えば、水辺の環境ということで世界のあらゆる地域から集めた水鳥の混合などはイメージしやすいかもしれません。水族館の場合でも、「熱帯の淡水」ということで、世界の熱帯河川に棲む大型淡水魚(アマゾンのピラルクーとか東南アジアの大型ナマズのカイヤンとか)が同じ水槽に暮らしているのをしばしば見かけます。これらのような場合、まったく違う場所・分類群の動物でも住む環境によって似たような形態を持っていることや、あるいは多種との棲み分けのため独自の方法でそれぞれその環境に適応していることの比較ができるという利点があります。ただし、それらが野生でも本当に同じ地域に生息しているわけではないということは、慎重に、伝える努力をせねばなりません。

動物園(飼育管理者)の立場からの利点として大きなものに、「省スペース」が挙げられると思います。
単一種展示では、それぞれの種の要求する生活空間を用意せねばなりませんが、似たような環境を要求するものであれば同じにすることもでき、より広い空間を与えることもできます。これは、場所の管理の手間や費用などの節約に直結します。
ややネガティブな言い方をすると、「喧嘩しない」ものであれば、一箇所に押し込むことができるわけです。実態として、生態展示等でない場合の、生息地域を同じくしない動物の混合展示は、これが動機であることも少なくないと想像しています。
管理者にとっての利点もある一方で、混合することによって生じる、注意が必要な点もあります。
種が異なればそれぞれの栄養要求も異なるため、まったく違うものを主食としているような場合を除き、餌の与え方の管理が難しくなります。食物が原因での争いを生じさせる可能性もあります。
生物学的に種が近いものであれば、要求する環境や食物が似ることもありますが、あまりに近すぎると種間・亜種間での交雑個体を生む原因ともなります。(交雑についての議論は別の機会に)
それから、健康管理の問題もあります。闘争による怪我などは、個体間の相性や同居する時期(例えば、攻撃的になる繁殖期は避ける、など)を検討することで避けられたとしても、感染症が交差する可能性なども考慮しなければなりません。ある種の動物にとっては常在する微生物が、同居するもう一種には致命的な病原体となり得る場合などです。

飼育される動物にとっても、同じ空間に他種の動物がいる、ということは少なからずプラスになる(と考えられている)部分があります。
例えば、野生環境で共生関係にあるもの同士であれば、その行動を飼育下でも再現できるかもしれません。また、共生と言えるほど濃密な関係がなくとも、他種の存在は退屈になりがちな日常に適度な緊張感や刺激を与える可能性があります。
本来群れで暮らす動物で、何らかの事情で単独で飼育せねばならないとき、群れの生活という社会性を充たすための手段としても混合展示が用いられる場合もあります。似たような社会構造を持つ動物同士を、個体間の相性を鑑みながら同居させることで、それらの生活の質の向上につなげようとの意図です。野生での生息地も環境も異なる動物を混合飼育する理由としては、このような場合もあります。国内の例でも、ラクダ(中央アジアの砂漠)とアカシカ(ユーラシア全域の森林・平原など)や、キリン(アフリカ草原)とラマ(南米高地)など特に大型草食獣での例が顕著でしょうか。
これは混合展示に限ったことではないですが、四六時中、他者と生活することはあまり気の休まるものでないかもしれません。ひとりで過ごしたい時間に利用できるプライベートな空間や、弱い立場になってしまいがちな種には逃げ隠れできる場所などが与えられていれば、動物にとっても快適な混合展示となるでしょう。空間の広さ・容積・複雑さが解決する話かもしれません。

経験則的に、混合展示はある程度は動物のためになっていると考えられています。ただし、刺激や緊張感はストレスと紙一重の存在でもあります。
混合展示が本当に動物の福祉につながっているのか、環境エンリッチメントの手法として用いていいのか、残念ながら、客観的に調べられた研究成果は少ないようです。
今後の課題として、混合するすべての動物の立場からの、科学的な評価・研究が望まれるところです。


混合展示の概略はこのくらいにして、次からは「Mixed exhibits」よろしく、国内のさまざまな混合展示の例を示しながら、ケーススタディしていくことにしましょう。
わたしの写真の腕や、撮影できるタイミングの問題もありますので、もっといい例もあるかもしれませんし、既にどこかに掲載した写真も含まれます。その点はご容赦くださいね。
気力とネタの続く限り、継続して投稿していきます。お楽しみに。

(冒頭の写真は、高知県立のいち動物公園のサバンナ展示場。アミメキリン、グラントシマウマ、セーブルアンテロープ、写ってませんが当時はアフリカハゲコウも一緒に暮らしていました。国内で最も綺麗だと思う放飼場の一つです)

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