テストライダーという仕事

長らく乗っていなかったら空気圧の点検を(^^)

テストライダーの仕事

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好きでやっている仕事なので、特に「苦労」というほどではないのだが、普通の仕事と違って神経を使う部分はある。まず、当然ながらケガができない。一般の仕事だったら、腕の骨を折っても、ギブスをしながら仕事は出来るが、テストライダーはそうは行かない。スキーなんかやりたいなって思っていても、ちょっとケガが怖いという部分がある。風邪もひけない。基本的には風邪を引いたら仕事はできない。繊細な判定をする仕事でもあるので、体調が悪いと無理なのだ。普段から風邪や怪我をしないようには神経を使っている。私もうがい薬を常時携帯しており、特に冬場などは外出した際は必ずうがいをするようにしている。

いろいろなテストがあるが、一番気を使うのは、素材などを変更したときなどの、差異を判定するテストだ。かなり細かな仕様変更となるときがあるので、全神経を集中させてのテストとなる。5回もやればヘロヘロだ。当然、前の日から体調を整えるべく、お酒は飲まないし、いつもより早く寝るようにする。まあ、お酒を飲む、飲まないは個人にもよるだろうが、私は飲まないようにしている。また、睡眠不足はテストの大敵である。必ず十分な睡眠を確保するようにしている。

あと太れない(笑)。いままで太っているテストライダーは見たことない。お腹が出ているようでは務まらないと思っている。テストライダーは意外に体力がいる仕事でもあるし、腹が出ているようでは、だめなのだ。体力がなければ、当然だが、集中力も落ちてしまう。みんなそれなりに、涙ぐましい(?)努力をしているのだと思う。私も若い頃と違って、簡単に体重が増えるようになってしまったので、食事にはものすごく気をつけている。常に体重・体脂肪をチェックし、オーバーしないようにコントロールしている。

こう書いていると、結構ストイックな生活(?)をしているように思えるが、まあ、健康にはいいだろうし、好きなオートバイに乗って仕事が出来ることに感謝しながら、なんとか頑張っている。

いままでテストライダーの仕事について述べてきたが、テストライダーは別にいつもオートバイに乗っているばかりではない。意外と思われる人もいるかもしれないが、実際はかなりデスクワークがあるんだなー。会議も多い。じゃあ、机にかじりついて何をやっているのかというと、あまり詳しくは書けないが、私の場合(タイヤメーカーのテストライダーとして)、テストしたタイヤの判定に関するレポートを書くのが多い。テストの判定はただ、「良い・悪い」だけではない。細かく判定も分かれているのだが、なぜ良いのか、なぜ悪いのかというところまで理論的に突っ込んで書かなければならない。タイヤ開発エンジニアと必ずミーティングをするのだが、タイヤ構造的なこと、オートバイとのマッチング的なことも含めて、かなり技術的なところまで踏み込んでの話となるので、タイヤの評価判定はきわめて工学的にしなければならないのだ。

これは別な機会に話しをするが、オートバイのテストライダーにしろ、タイヤメーカーのテストライダーにしろ、かなり高度な工学的な知識が要求される。なにしろオートバイやタイヤを開発しているエンジニアたちは一流大学(または大学院)の理工系を卒業しているバリバリのエリートだ。そういう人たちを前に「あんな感じ、こんな感じ」じゃあ、具合が悪いでしょ(笑)。テストライダーって意外に世間の皆様が想像している以上に頭脳労働なんだな。テストライダーって、ただのバイクバカと思っていた皆さん、それは誤解ですよー。

というわけで、テストライダーも、机にかじりついてひたすらパソコンに向かって頑張っているのだ(笑)。思うようにタイヤが仕上がっていない場合など、レポートが何枚にも及ぶ時がある。タイヤ開発エンジニアの人たちが一生懸命作ったタイヤを「ダメ」の一言で片付けるわけにはいかない。それなりの判定をするのには、テストライダーのほうにも責任が生じるのだ。逆に言えば、お互いの信頼がなければ絶対に出来ない仕事でもあるといえるのだ。

また、社内的な問題だけでもない。新車に付けられるOEM(標準装備タイヤ)の開発の場合、オートバイメーカーとの折衝も生じてくる。提出する書類も多い。オートバイメーカーの設計エンジニアやテストライダーとのミーティングも頻繁に行われる。言うまでもなく、相手も超一流エンジニアである。話しが合わなければ、それこそ「お話にならない」のである。だから、これからテストライダーになりたいって言う若者に言いたい。「バイクにばっかりにほうけてないで、ちゃあんと勉強もしてね」。

ちょっと長くなってしまったが、とういわけで、テストライダーというのは意外にデスクワークが多いのだ。まあ、オートバイに乗ってばかりいても疲れてしまうけどね。

なぜ、テストコース以外にも、一般道路でテストを行うのであろうか。その理由は簡単である。オートバイやタイヤを買うほとんどの人が一般道路で使用するからである(笑)。いくらテストコースでいい結果を出しても、コンピューターのシュミレーションでいろいろなデータがわかっていても、それが「いいオートバイ」、「いいタイヤ」とは限らないのである。一般道路での使用が前提となると、性能ももとより、「乗り心地」の問題が非常に大切な要素となってくる。この乗り心地は、「官能」ともこの業界では表現され、「官能試験」の一環として、ある意味もっとも重要なタイヤ性能(オートバイの場合は車体性能)としての試験として位置づけられている。この「官能」については、また別な機会に話しをしたい。たとえば、ギャップを乗り換えた場合、タイヤがどの程度ショックを吸収するのかも大切な要素である。変な突き上げ(キックバックという)があったらいけないし、ラジアルタイヤなどで高速道路を走った場合、路面状況によっては、コツコツ感が出てくるときがある。これは大きく乗り心地にも関係するので、無視することは出来ない。極端なことを言えば、どんなにテストコースにおける、「限られた範囲内」での性能が良くても、一般道での乗り心地が悪ければ「NG」なのである。

一般道路の路面はテストコースほどいい状況とはいえない。グリップも悪い。テストコースのように完全にフラットではなく、でこぼこだ。一般的に路面がフラットでないと、タイヤのライフ(摩耗)も違ってくる。データ的には10%〜20%もライフが短くなることもある。テストコースで10,000km走れても、一般道路では、タイヤの寿命がそれよりはるかに短くなる場合だってあるのだ。また、路面状況が悪いと、偏摩耗の原因になることもある。また、市販用のタイヤはさまざまな機種に取り付けられるし、ライダーも違えば乗り方も違うし、使用される路面状況だって様々だ。したがって、一般道でのテスト走行は、そういう実質的なデータを取る意味もあり、大変重要な意味があるのだ。

その他、燃費の問題など、一般的な使用状況を想定した場合を考えると、どうしても一般道でのテストもせざるをえないというのがその理由である。雨が降っているときにもテストをしなければならなく、体力的にもしんどい。ただ乗っているだけではなく、テスト目的で乗っているので、常にオートバイやタイヤの挙動に神経を集中させなくてはならないので、結構精神的にも疲れるのだ。車の中で楽しく会話しているカップルを尻目に、ひたすら雨の中を走りテストをするのは、なんとも辛いものなのである。まさにテストライダー悲哀の物語である。

前回テストライダーの仕事の一部について話をしたが、今回は一般道でのテストについて話をしたい。メーカー所有のテストコースは、いうまでもなく大変整備の行き届いた、路面状況が良い条件下でテストを行っているため、一般道にてテストを行うことも大切な仕事の一つである。メーカー所有のテストコースには、一般道路を想定した、悪路とまではいかなくても、路面状況が悪いわるいことを想定した作ったでこぼこの路面があるが、あくまでもシュミレーションの域を出ない。一般道は砂だって、異物だってたくさんあるが、テストコースは塵ひとつないようなところだ。

オートバイは日本国内だけで販売されているわけでなく、世界中に輸出されている。現地の道路状況も様々であるし、気候も違う。オートバイメーカーでは必ずといっていいほど、その国で発売する機種を、その国にてテストを行っている。日本で開発し、海外で発売する前に、現地でテスト実走テストをするのだ。4輪の世界ではもっと凄いことをしている。場所は言えないが、50度にもなる灼熱砂漠のようなところから、零下何十度となる寒冷地にて実際に車両を持ち込み、テストをしているのだ。気温差±90度ぐらいでやっているのではないだろうか。恐るべしである。

有名なのはアウトバーンでのテストである。これは日本のタイヤメーカーもドイツに車両やタイヤを持ち込んでガンガンやっている。4輪メーカーなんかは当たり前のように日々テストを行っているぐらいだ。ちなみに、ヨーロッパでは4輪タイヤには2つの表示がなされていることが多い。一つはタイヤが保証する最高速度。もう一つは最高巡航速度だ。タイヤメーカーが保証する速度域はアルファベット(スピードシンボルという)で示されるが、最高速度でずっと走ってもいいということではない。そんなことしたら危ないからね(笑)。日本ではそういう状況がないので心配する必要はないのだが、アウトバーンなどがあるヨーロッパなどではその車の持つ最高速度でずっと走れてしまう場所があるだけに、このような標記が必要になっているのだ。私も時速200km/hを超えるスピードで1時間ほど走ったことがあるが、タイヤの発熱の仕方が想像以上だったのを覚えている。

次回はなぜ一般道路にてテストをする必要があるのかを書いてみたい。

「テストライダー」と聞いて想像するのはどんなことであろうか。サーキットをかっこよく疾走する姿を想像する人が多いと思うが、実際の仕事は意外に地味なのだ。デスクワークも結構多い。信じられないぐらい会議もたくさんあったりする(笑)。

開発するオートバイの機種やタイヤの種類によっても違うが、多くの人が想像しているような、サーキット走行を主に行うテストは稀なのだ。定常円旋回というテストがある。これは同じところを円を描くようにぐるぐると回るテストなのだが、このテストに費やす時間は多い。スピードも20km/hからせいぜい60km/hという程度だ。スクーター機種などのタイヤの開発では目が回るほど定常円旋回を行うこともあり、テストライダー泣かせなんだなーこれが。また別な機会に話をしようと思うが、この定常円旋回は、数多くのテスト項目を旋回中に行う大変重要なテストの一つなのである。

もちろん、テストライダーとしての醍醐味を味わえるテストもする。基本的にはドラムテスト(タイヤを試験機で回すテスト)を徹底的に行うので、あらゆる速度域におけるテストはしているのだが、実走行も必ず行う。これは装着するオートバイの限界域もしくはタイヤの限界域まで実走テストをするものであるが、このときばかりはギンギンに走ったりするが、とーぜんだが、遊びでやっているわけではないので、神経をすり減らしてやることになる。

ネイキッドクラスのバイクなら、メーカーのテストライダーが全てのテストを行うが、スーパースポーツクラスのテストとなると、契約している現役レーシングライダー(大体ワークスライダーが多い)にテストの一部をしてもらう場合もある。これはメーカーのテストライダーの安全を確保するという意味もあるし、レース車両のベースにもなるような高性能のオートバイの限界域では、現役レーシングライダーの方が適しているという意味もある。ミシュランの一部の市販タイヤは、あのバレンティノ・ロッシがテストを行っているのは業界ではよく知られた話である。本当にあのバレンティノ・ロッシがひたすら何百周とぐるぐる回ってテストをしているのだ(笑)。ロッシ君、お疲れ様。

ちょっと長くなったので、今日はこの辺で。次回は一般路におけるテストやデスクワークについて話をしたい。

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