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製造業、海外にシフト 生産35兆円・雇用96万人が流出
国内の生産や雇用が日本から「流出」している。製造業がアジアなど海外に生産をシフトしたことから2008年度は国内生産額が35兆円、雇用は96万人ほど下押しされたもよう。09年度以降も流れは変わらない。日本企業にとってグローバル化は避けられない道。国内に見切りをつけるような脱ニッポンに歯止めをかけ、内外企業の国内投資を促すには、高すぎる税制や昔ながらの規制の見直しが重要になる。 海外生産は9%増。その一方で国内生産は10%減、輸出は26%減――。トヨタ自動車など乗用車8社の09年度の実績は生産の内外格差をくっきりと浮かび上がらせている。海外生産が国内生産を上回ったのは07年度。それから2年、異国での生産規模は国内の1.3倍に膨らんだ。 縮みゆく日本市場、広がる世界市場。円高という冷風にもさらされ、日本企業は海外シフトを急いでいる。輸出から現地生産、そして原材料や部品などの現地調達へと足を速め、国内への影響はいよいよ無視できない。 第一生命経済研究所の永浜利広氏が経済産業省の海外事業活動基本調査をもとに製造業の海外生産の影響を試算した。(1)現地法人が生産した製品などが日本からの輸出に置き換わる「輸出代替効果」(2)現地生産品が日本に輸入される「逆輸入効果」(3)国内から現地法人に部品や原材料などが輸出される「輸出誘発効果」――の3つのルートを分析対象とした。 「輸出代替効果」と「逆輸入効果」は国内の生産や雇用のマイナス要因。「輸出誘発効果」はプラスに働く。08年度に国内生産に与えた影響はどうだったか。輸出代替効果は47兆9000億円、逆輸入効果は10兆3000億円。半面、輸出誘発効果は22兆6000億円。差し引き35兆6000億円の生産が国内で減ったことになる。 自動車は海外生産比率が5割を超える(ニューデリー近郊のスズキ工場) 08年の国内の製造品出荷額は334兆円。生産のおよそ1割が海外進出によって押し下げられた計算だ。生産の減少に伴って、単純計算で国内の雇用も差し引きで96万人下押しされた。約1000万人の製造業の就業者数と比べ、1割近い雇用が減ったことになる。 日本企業が海外の現地法人などから受け取った配当は09年度に初めて3兆円を超えた。それでも日本から流出した生産の規模はこれをはるかに上回り、「脱日本」は打撃の方が大きい。 国際協力銀行によると、全業種の海外生産比率は02年度の29.3%から08年度は34.5%に上がった。自動車41.4%→51.9%、電機・電子36.3%→41.0%、繊維22.3%→38.3%と、各産業で海外生産比率が上がっている。 世界経済には不透明感が漂っているものの、中国やインドなどを中心に成長は続いており、日本企業が海外に進出する流れは今後も勢いを保つだろう。内閣府の調査では、製造業の55.7%が海外生産を「拡大・強化する」としている。生産拠点としても、有望な市場としても存在感を増すアジアなど海外。国内の生産や雇用への影響が無視できない「空洞化」が、本当の現実味を持つ時代になってきた。 外資の日本進出は低調 「モノ作り大国」足場揺らぐ 外へと向かう日本企業。かつての英国のように海外勢が積極的に流入してくるならつじつまも合いそうだが、外資の日本進出は低調だ。外資系企業を対象に経済産業省が調査したところ、08年度の設備投資額は前年度から35%も減った。経済の活力を生み、雇用を創出するため、政策的な後押しが欠かせない。 外資系企業の08年度の設備投資額は1兆140億円で、04年度以来の水準に低下した。常時働いている従業者数も前年度から25%減り43万8000人となった。金融危機の余波もあるが、生産拠点や市場としての日本の地盤沈下は否めない。 長い間をかけて日本が培ってきた「モノ作り大国」の足場は揺らいでいる。法人税の実効税率が40%で高止まりしている日本のかたわらで、欧州やアジアは20%台を競う。空港などのインフラも含めたコストの高さが企業の動きを鈍らせ、新たな産業を呼び起こす規制改革が見当たらない。 温暖化ガス25%削減という目標も負担の論議が先行しがち。国際競争力を保ちながら排出を減らすビジョンが示されず、企業に警戒感ばかりが募る。他国との経済連携協定(EPA)の締結も後手に回り「外で稼ぐ」仕組みづくりそのものも立ち遅れたままだ。 家計支援に軸足を置く民主党政権。脱ニッポンの流れがさらに加速するならば、家計に生活の糧をもたらす働く場も、少しずつ失われていく。 アップルやフォード、重点分野選別でシンプル経営 【ニューヨーク=武類雅典】米国の有力企業で競争力の浮沈が目立ってきた。IT(情報技術)では、停滞気味のマイクロソフト(MS)などに対し、アップルが絶好調。自動車大手でも、フォード・モーターが経営不振から一歩先に脱出した。好調組の最高経営責任者(CEO)は、重点分野に全精力を傾ける「シンプルな経営」でライバルを引き離している。 携帯端末「iPad(アイパッド)」を世界デビューさせたアップル。先行発売した米国では1カ月足らずで100万台以上を販売した。「この魔法のような製品を多くのお客様にお届けすべく努力しています」と言うスティーブ・ジョブズCEOは自信満々だ。 携帯電話の「iPhone(アイフォーン)」も人気に陰りはない。苦境にあった1990年代には、ジョブズ氏がMSのビル・ゲイツ氏に全面提携の支援を頼んだこともあったが、そのMSを時価総額で抜き去った。今やエクソンモービルに次ぐ全米2位。中国問題の後は少し元気がないグーグルも引き離した。 その強さはジョブズ氏流の革新性だけではない。製品のデザイン同様、シンプルな経営戦略が支える。パソコン「マッキントッシュ」、携帯音楽プレーヤー「iPod」、iPhone、iPadとほぼ4つの製品群を世界中で売りまくる。同じ製品を大量に売れば、それだけ部材コストなども下がる。革新性と「規模の経済」を両立したジョブズ氏の価値は「250億ドル(2兆3000億円)以上」(金融専門紙バロンズ)と評される。 再建競争でゼネラル・モーターズ(GM)に先行するフォードのアラン・ムラーリーCEOも、大黒柱の「フォード」ブランドに集中するシンプル経営にカジを切っている。2006年の就任後、「ジャガー」など欧州高級車ブランドを次々と売却。70年以上の歴史がある「マーキュリー」の廃止も検討中とされる。実現すれば、ブランド数は就任前の7つ(マツダ除く)から2つに減る。 「フォード」の世界戦略車「フォーカス」はプラットホーム(車台)を世界規模で共通化し、部品などのコストを大幅に削減する。1〜3月期の純利益は20億ドルを超えた。地道な改革の成果次第で、通年で100億ドル規模の利益も視野に入る。 ジョブズ氏もムラーリー氏も細かい点まで口を出す「トップダウン型」の経営者だ。ジョブズ氏は「エレベーターで乗り合わせるのを社員が嫌がる」とささやかれたことまである。2社とも権限集中のリスクを抱えているが、分かりやすい経営戦略と実績が株主も社員も納得させている。 「経営のお手本」と称賛されてきたGE(ゼネラル・エレクトリック)は、多様な事業をうまく動かす「複合経営」が強みだったが、金融危機を境に「GEの複雑さが判断を鈍らせていないか」と批判された。分かりやすい経営を求める投資家は無視できない。ジェフ・イメルトCEOは昨年末に事実上のメディア事業売却を決め、最近は「今のGEはよりシンプルな会社になった」と強調する場面が増えている。 アップルなどは事業構造が単純であるがゆえに、主力が振るわなくなった場合のもろさも抱える。一方で無用な多角化に踏み込めば強みが打ち消される面もある。自動車ビジネスなら電気自動車など、中核事業の次世代戦略で先行し切れるかが競争力持続の鍵になりそうだ。 任天堂DS、ソニーPS、iPhoneにiPad……ゲーム端末機“多様化時代”の生き残り策を スクエニ、コーエーテクモのトップが語り尽した 任天堂、ソニー、マイクロソフトなど、世界的に強力なハードメーカーの護送船団によって守られてきたゲーム業界。だが、昨今、携帯電話やネットブラウザを使ったゲーム、あるいはアップルの「iPhone/iPod (touch)」などの携帯端末も登場し、業界の市場状況が変化しつつある。この状況について、大手ソフトメーカーのトップはどう考えているのか。2010年3月期末決算で2003年のグループ発足以来、最高の売上高、営業利益、経常利益を計上したスクウェア・エニックスホールディングスの和田洋一社長と、経営統合した2社をベースに今春「コーエーテクモゲームス」を発足させたコーエーテクモホールディングスの松原健二社長に話を聞いた。 ゲーム市場はひとつの ハードに収れんせずに分散する 石島:ゲーム業界は長い間、ハードメーカーを頂点とする護送船団の下でソフトメーカーが利益をあげる構図を保ってきました。いわば、ハードメーカーによるエコシステムが機能していたわけです。一方で、最近は携帯電話やネットブラウザを使ったゲーム、また、アップルの「iPhone/iPod (touch)」などの携帯端末も登場し、市場状況が変化しようとしています。今後、ゲーム業界にとっての市場はどう変化していくのでしょうか。 松原健二(まつばら けんじ) 1962年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール(経営大学院)修了。日立製作所、日本オラクルを経て、2001年コーエー入社。同社執行役員を経て、2007年コーエー社長。2009年現職、2010年4月コーエーテクモゲームス社長。 松原:ご指摘の通り、いわゆるソフトメーカーは、家庭用ゲーム機向けビジネスに特化してきたのは事実です。 その一方で、ソーシャルネットワークゲームやブラウザゲーム、アップルの「iPhone/iPod (touch)」などのモバイルゲームなど新興市場が登場してきて、だいぶ世の中の話題にもなっています。ですが、それぞれのビジネスの市場規模が異なるにも関わらず、単純比較されすぎているな、というのが私の印象です。 和田:私は今後の市場の変化については、ビジネスモデルとコンテンツサービスデザインの2軸を分けて考える必要があると考えています。 和田洋一(わだ よういち) 1959年愛知県生まれ。東京大学法学部卒。野村證券を経て、2000年スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社。CFO(最高財務責任者)等を経て、翌年代表取締役社長。2008年から現職。2006年から、業界団体社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)会長も兼務。 まずは、ビジネスモデルの軸から申し上げると、ダウンロードビジネスとパッケージビジネスの関係ですね。トレンドとして、パッケージビジネスはどうしても厳しくなりますし、ダウンロードビジネスは加速していく。これは時代の流れとして捉える必要があります。 また、コンテンツサービスデザイン軸に関しては、従来のソフト制作がクリエイターサイドからの「プッシュ型」だったわけですが、これが今はユーザー同士のコミュニケーションをベースにした「コミュニティ型」に寄ってきているという感じがします。この2軸が混然と語られていることが理解を難しくしていますね。 かつての映画業界も同じようなことが起きていました。ビジネスモデルの観点では、興行収入しかなく、行き詰まってしまったため、マルチウインドウ、つまり興行収入以外の収入も得られるようにしていった。おそらく、松原さんの所もそうだと思いますけど、基本的にあそこしかやらない、とかではなくなって、どこもバランスよくやるというのが、今後の経営方針になると思います。 松原:それに加えて、マルチウインドウビジネスを考えるときは、 |

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