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財務会計論

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IT企業の特徴



 IT企業ではどのような費用がかかるでしょうか。費用の構造を考えるには、変動費と固定費という捉え方を知っておく必要があります。変動費は売上が計上されるとともに比例的に計上される費用です。例えば、流通業ではモノの販売と同時にモノの仕入価格が費用として計上されるので、仕入原価は典型的な変動費といえます。固定費は逆に売上の計上とは関係なく一定の費用が計上されるものです。本社建物の減価償却費などが典型的な固定費といえます。実際には純粋に変動費・固定費と区分できない費用項目も多くありますが、費用のうち変動費的要素が強い費用項目が多いか固定費的要素が強い費用項目が多いかを考えることで損益構造が見えてきます。

通常のメーカーや技術系の会社を例にすれば、工場や研究開発費などの莫大な投資をして製品化するため、固定費が特に高くなる傾向にあり、また製造のための原材料仕入れといった変動費がかかります。あるいは、流通業なら売上に対しての商品の仕入価格といった変動費率が比較的高くなりますが、多くの商品を販売して固定費である店舗の運営費用(家賃、人件費など)を回収していきます。


 「損益分岐点」は売上が一定の規模を超えると利益が出ることを表しています。どれだけの売上をあげると損益分岐点を越えるか、経営者にとって事業計画を考えるにあたって重要な項目になります。



IT関連企業の収益構造
IT関連企業とりわけインターネット上でe-コマースを行なうような企業では、主要なコストとして人件費・サーバー関係費・広告宣伝費といった固定費的要素の強い費目が多くなります。とはいえ、例えばオンラインショップのサイトを構築するとしても、実際の店舗を造るのとでは投資額がかなり少なくて済みます。さらに、サイト運営によりサービス収入や手数料収入、広告料収入を得るビジネスモデルの場合には「モノの仕入れ」を自社で行うわけではないので、変動費もあまりかかりません。

結果として、サイト運営が成功し売上が伸びていくと、変動費率が低く、また固定費もリアルビジネスよりも低く抑えることが可能となるため、利益率が高くなります。例えば、日本国内のポータルサイト運営で現在のところ圧倒的な地位を築いているヤフーは平成16年3月期決算では営業利益率が50%を超えています。例えばメーカーでは、利益率が10%を超えれば「高収益企業」ですから、ヤフーは相当な収益力を持っていることが分かります。

一方、IT企業は実店舗や工場を保有するわけではないので、貸借対照表(B/S)に計上される資産、特に有形固定資産が比較的少額になります。また、無形固定資産のソフトウェアについては一定の要件を満たしたものについてのみ資産計上することになりますが、全体的に非常にシンプルになる傾向にあります。事業に成功し売上が増加、高利益率でキャッシュ・フローが潤沢な場合、流動比率が高く現預金が非常に厚いという構造になるわけです。

もちろん、単純に誰もが儲かるビジネスというわけではありません。競業企業も多く、総費用を回収できるだけの売上を達成することも容易ではありません。またITビジネスでは、決算書の限界においても説明した、経営者の資質・経営戦略・組織能力・高サービス提供能力・革新的な企画力・技術力etcといった、決算書では表現されない無形資産が重要となりますので、決算書分析においても留意が必要です。

IT企業が重視する経営指標
業績把握としてはどのような指標が重要と考えられるでしょうか。例えば、上記の例で登場したヤフーは、自身で以下のような財務要素を重要視しています。収益拡大のための事業の成長性とともに収益性を重視し、収益の裏付けとなる各要素を重視していると書いてあります。

〜(株)ヤフー平成17年3月中間期(自平成16年4月1日至平成16年9月30日)決算短信より〜

『目標とする経営指標主な成長性・収益性の財務的な指標として、売上高増加率、営業利益率、営業利益増加率などを掲げております。当グループにおいては、利用者のサービス利用状況が事業を展開する上での重要な構成要素となっており、具体的には、全体および各サービスの閲覧状況を示すページビュー数、ユニークプラウザ数、各月中にログインしたYahoo! JAPAN ID数であるアクティブユーザーID数等を重視し、また有料サービスの利用状況を示すYahoo! プレミアム会員ID数、「Yahoo! BB」会員数および「Yahoo! オークション」・「Yahoo! ショッピング」等のコマース取扱高等を重要な指標としております。』


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