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ライン・スタッフ制
“宅急便”市場を創ったヤマト運輸の小倉昌男元社長がライン・スタッフ制について語った箇所がある。
そこで教わったのがライン・スタッフ制である。セミナーで教わった生産性向上の理論同様、ライン・スタッフ制の組織論もすべてアメリカの、しかも製造業における事例がベースにあった。日本の、しかもサービス業に属する運送会社の経営には、必ずしも適切でなかったが、それには気づかず、自社に応用したいと思い、いろいろ検討したものである。
ライン・スタッフ制というのは、製造および販売の基幹部門をライン部門と規定し、総務、人事、経理など、ラインを補完し支援する部門をスタッフ部門とし、機能分化を図るものである。
わかりやすいのでひところ流行ったようだが、経営力の強化にそれほど役に立ったとは思えなかった。ライン部門では、生産工場や販売支店など現場組織が主体であり、スタッフ部門は、主として本社の管理機構に属していた。このため、スタッフ部門は経営管理の中枢という意識を持ち、ややもするとラインに命令する傾向が生ずる結果になることが多かった。
本来の目的は、製造や販売の第一線部門から間接業務を取り除き、機能を純化して組織の機動的な活動を進めるものだった。だが、実際には、間接業務を担当するスタッフ部門が頭でっかちになり、ライン部門に対して過剰な報告を求めたり、企業の意思決定に時間がかかる欠点も見られるようになった。いずれにせよ、製造業を対象とした組織論であった。
製造業でもライン・スタッフ制の弊害が言われている。スタッフ部門の肥大である。それもスタッフ部門が、スタッフ部門にふさわしい仕事を行なっているかについて疑問が投げかけられている。ライン部門が行なうべき仕事を、スタッフ部門(間接部門)が行なっているというのである。いわゆる分業のし過ぎである。
分業のし過ぎに対して、一足先に販売部門において対策が打たれた。セールス・フォース・オートメーションである。販売員個人にコンピュータ端末を持たせて、スタッフ部門が行なっている仕事を、ランイ部門(営業員)が行なうのである。 工場においても、同様の試みが行われている。製品が完成した時、コンピュータ端末から出荷伝票を打ち出す等である。トヨタ自動車では、ライン部門とスタッフ部門の人事交流等を行ない、スタッフ部門の肥大には注意している。
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