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減損会計(過剰資産の解消法)
1.減損会計とは?
減損会計は、3月末決算の会社であれば、本年度(平成18年3月末に終了する事業年度)から適用が強制される新制度で、固定資産に著しい減損が生じている場合に、回収可能価額まで帳簿価額を減額し、減損損失を計上することを規定した会計基準です。
減損会計によれば、固定資産の価値下落について直ちに損失計上すると誤解されている方も多いようですが、実際には、固定資産に著しい価値下落があった場合のみ損失計上するという限定的な取り扱いとなっています。また、減損会計は損失のみを測定する会計基準ですので、含み益を計上することはできません。この点、含み損益を決算に反映する時価会計とは、全く性格が異なります。
<減損会計の流れ>
2.過剰資産解消策としての減損会計
企業再生が必要となる企業は、何らかの原因で自力での事業継続が困難となり、結果として、過剰資産と過大債務という大きな問題を抱えているケースが大半です。
減損会計によって損失計上すれば、価値下落の著しい固定資産の含み損を一掃することで帳簿上の過剰資産状態を解消でき、決算書の信頼性が高まるというメリットがあります。損失計上後の事業年度においても、固定資産(償却資産)の簿価引き下げに伴う減価償却負担の大幅な軽減によって、以前に比べ利益体質になるというメリットがあります。
もちろん、減損損失が多額であればその負担は重く、会社の決算上大幅な当期損失となって、資本不足や債務超過に陥る可能性もあります。この場合には、減損損失の計上に併せて、企業再生スキームのなかで資本増強などの施策を検討していくことになります。
3.減損会計の主な特徴
<減損損失は有税>
減損損失は、税務上、資産の評価損と同様の性質を有すると考えられています。法人税法では、資産の評価損は一定の例外を除き、原則として損金の額に算入することは認められていません。したがって減損損失は、原則として有税扱い(会計上の費用であるが税務上は損金と認められない)となります。
<減価償却費の二重計算の必要性>
償却資産を対象として減損損失が計上されると、その翌事業年度以降、会計上の減価償却費と税務上の減価償却費(無税枠)の2つを計算する必要があります。上記の通り、減損損失は、会計と税務の取り扱いが異なる結果、減価償却の基礎である償却資産の簿価について、会計と税務で違いが生じるためです。今まで減価償却計算システム等で行っていた1つの作業が、もう1つ別に必要になり償却資産の件数の多い会社は、コストや手間がかかり、思いのほか事務対応に苦慮するようです。
<減損会計の対象会社>
減損会計の対象は、実質上、公開会社や大会社等の公認会計士(会計監査人)による会計監査が必要となる会社であり、当面、中小企業等その他の会社は任意適用ということになります。もっとも、先ごろ公表された「中小企業の会計に関する指針」には、減損会計の採用が盛り込まれており、これが一般に普及すれば、中小企業においても減損会計の採用が原則となります。
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