(゜Д゜ )新聞

メルマガ⇒ 00430000s@merumo.ne.jp ツイッター⇒ https://twitter.com/wataru4

経営学

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全24ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]

ライフサイクルと多角化


 「企業の寿命は30年」と言うフレーズを聞いたことがある方もいるでしょう。ちなみに、今から100年以上前の1896年、そして1919年、1936年、1955年、1990年の鉱工業に属する企業の総資産額のランキングを見ると以下のようになっています。?

  1896年 1919年 1936年 1955年 1990年
1 鐘淵紡績 川崎造船所 日本製紙 八幡製鉄 トヨタ自動車
2 大阪紡績 三菱造船 王子製紙 富士製鉄 松下電器産業
3 三重紡績 久原鉱業 鐘淵紡績 日本鋼管 日立製作所
4 北海道製麻 鐘淵紡績 三菱重工業 日立製作所 日産自動車
5 摂津紡績 東洋紡績 日本窒素肥料 東京芝浦電気 新日本製鉄
6 岡山紡績 三井鉱山 日本鉱業 新三菱重工業 東芝
7 東京紡績 大日本紡績 東洋紡績 三菱造船 三菱重工業
8 金巾製織 三菱鉱業 川崎造船所 東洋紡績 日本電気
9 大阪アルカリ 北海道汽船 三井鉱山 住友金属工業 三菱電機
10 尼崎紡績 台湾製糖 大日本紡績 川崎製鉄 富士通

出所:中村(1993)

 たしかに30年を経てランク外に落ちた企業もあるでしょうし、そもそも存在がなくなった企業もあるようです。しかし総資産で見たトップ10企業に30年以上入っている企業もあるようです。

 この違いの一つを説明する概念はライフサイクルです。企業が生産する製品には一般にライフサイクルが存在すると言われます。製品が新しく開発されて市場に登場し(導入期)、顧客に受け入れられて当該製品の売上高が急速に上昇していきます(成長期)。その後、多くの顧客に製品が受け入れられるようになり(成熟期)、ほとんどの顧客に行き渡る時期に入ります(飽和期)。そしてついには製品として売れなくなる衰退期に移ります。

 このように製品にはライフサイクル(寿命)が存在するために、経営者は当該製品及び市場が衰退する前に何らかの手を打たないと存続できなくなります。製品ライフサイクルにしたがうと、その製品の寿命=企業の寿命になります。しかしある製品のライフサイクルを超えて企業が存続しているということは、企業が主力とする製品を次々に変えている、もしくは一つの製品に依存するのではなく、複数の製品を生産・販売していることが想像されます。一般に、経営者は、製品ライフサイクルを越えて企業を存続させるために、既存の製品及び市場が衰退する前に何らかの手を打つでしょう。その一つの手段として、企業は既存製品分野とは異なる製品市場に進出するという多角化を行うのです。

 企業は成長するための一つの手段として多角化という戦略を選択するようです。

企業成長と多角化


 企業の多角化という話題は、大きくは企業成長というトピックに入ります。1900年代に入り、アメリカでデュポンやスタンダード・オイルなどビッグ・ビジネスが形成されますが、ブラックマンデーなど一時的な景気後退をのぞくと、アメリカの大企業はメこの世の春モを謳歌していました。しかし1960年代にはいると、アメリカ企業は国内市場の成熟化や経済成長率の停滞などの外生的要因から、企業の成長率が低下し始めました。そこで、いかにして市場機会を捕らえて企業を成長させていくか、いわゆる企業成長の問題を考える必要性に迫られることになりました。

 この問題に一つの枠組みを提供したのがアンゾフです。彼は市場と製品の2つの軸を使って企業成長の方法を「市場浸透」「市場開発」「製品開発」「多角化」の4つに分類しました。ハ
まず市場も製品も変更せずに成長機会を捉える方法が「市場浸透」です。具体的には現在の顧客が既存の製品を購入する頻度や量を増やすこと、競争相手の顧客を奪うこと、新規顧客の開拓などが挙げられます。

 「市場開発」とは、既存の製品を新しい市場に導入することによって企業成長を達成する方法です。例えば、これまで販売していなかった地域において、新たに製品の販売を行うことです。
「製品開発」による成長とは、既存の市場に対して新製品を導入する方法です。これは自動車やエレクトロニクス製品の市場など、巷でもよく見られる事例です。いわゆる新製品開発です。
そして最後に多角化が挙げられます。これは市場も製品も新しくすることによって企業成長を達成することです。

 これら4つのうち、市場浸透・市場開発・製品開発の3つは拡大戦略と呼ばれることもあります。多角化の議論が盛んに行われた時期(1960〜70年代)には、企業戦略の基本的展開は、拡大戦略から多角化戦略の方向にある、と言われていました。そして、多角化戦略による企業成長が限界に達すると、経営戦略はもう一つの全社戦略である国際化戦略に移行すると考えられていました。

オプション空間における行動の選択肢およびその決定


 行動するかしないかを決定付けるのは、対費用価値が1を上回るかどうかです。対費用価値が1以上であれば、費用を上回る価値を得ることができるので、たとえばあるプロジェクトに投資するなど「行動する」という選択になります。

 ただ現実の世界では行動するかしないかよりも、すぐに行動するのか、もしくは後になって行動するのかといった意思決定のほうが難しいことが多いでしょう。たとえばある株式を買うことは決まっていても、いつ買うか、すぐに買った方がいいのかそれともしばらく待った後に買った方がいいのかということに悩むわけです。とにかく「行動する」と決めたとして、「すぐに行動するべきなのか、それとも直ちに行動するのが望ましいのか、後に行動する可能性が高いのか」を決める要因はボラティリティです。将来も現在と同じ状況の場合、つまりボラティリティ(変動率)がゼロの場合には、待ったとしても状況は変化しないわけですから、直ちに行動することになります。それに対して、ボラティリティが高い場合には、将来の状況は現在と大きく変わる可能性がありますから、現時点の意思決定としては、すぐには行動せず、「後になって行動する可能性が高い」という選択になるでしょう。

 同じように対費用価値が1未満の場合を考えてみましょう。ボラティリティがゼロの場合は、行動しても費用を上回る価値を得ることはできず、それは将来にわたって変わらないわけですから、「決して行動しない」という決定になります。それに対して、ボラティリティが高い場合には、もしかしたら費用を上回る価値を得られる状況に変わるかもしれないという可能性もありますから、「後に行動することになるかもしれない」という決定になります。?

 これまでは「直ちに行動する」「後になって行動する可能性が高い」「決して行動しない」「後に行動することになるかもしれない」という4つの選択肢を考えましたが、現実には「直ちに行動する」と「後になって行動する可能性が高い」の間には「直ちに行動するのが望ましいかもしれない」という選択肢が考えられるでしょう。また、「決して行動しない」と「後に行動することになるかもしれない」との間には「おそらくは行動することはないであろう」という中間的な決定領域があります。この中間の選択肢は対費用価値とボラティリティの関係で決まります。たとえば、ボラティリティが高くなっていって、状況の変化が期待できるよう状況を想定しましょう。そのような状況においても、対費用価値が0に近づけば近づくほど、コストに見合った価値を実現することができず、「おそらく行動することはないだろう」と決定する可能性が高くなります。逆に対費用価値が1を上回って大きくなればなるほど「直ちに行動するのが望ましいかもしれない」と決定するでしょう。?

 以上の選択肢およびその決定を含んだオプション空間は以下のようになります。もちろん、ある事業がどの領域に属するのか、それをオプション空間にプロットすると、全社的なポートフォリオはどのようになっているのか、そしてどの事業にどのような意思決定を下すのかが明確になるわけです。さらにオプション価格理論を用いると、そのポートフォリオ自体の価値、つまり「複数の事業を営んでいる当該企業の価値」が計算されることになりますが、いまは全社ポートフォリオ分析の議論ですから次の機会に譲ることにしましょう。?

 いずれにしても、オプション空間を全社ポートフォリオ分析に用いる発想で重要なことは、ボラティリティを考慮し、対費用価値が現在価値で評価されているために、静態的な分析ではなく動態的な分析であり、その意味ではPPMの欠点を克服する可能性があることです。たとえば、PPMでは問題児に分類されるような新規事業は、PPMを杓子定規に使うと“撤退せよ”という戦略指針になりますが、オプション空間の考え方では、「後に行動する可能性が高い」とか「後に行動することになるかもしれない」など、必ずしも撤退という後ろ向きの戦略指針にはならない可能性があると考えられます。それが結果的には最適な全社ポートフォリオの構築に役立つことになるのです。

“オプション空間”を用いたポートフォリオ分析


 事業を行うのかどうかの意思決定理論は企業財務でも語られる問題です。そこではNPV(Net Present Value:純現在価値)と呼ばれる、当該事業が将来にわたってもたらすキャッシュフローの現在価値から、投資など当該事業を行うに当たって負担するコストを引いたものが、プラスかマイナスかで判断されます。NPVがプラスの場合には、投資以上のリターンを得ることができるので、その事業は採択されることになります。

 いまは戦略論を対象にしていますから、企業財務意思決定の詳しい内容には立ち入りませんが、このような投資意思決定やオプション価格理論を活用した分析枠組みの中に、全社ポートフォリオ分析に有効なものもあります。その一つがオプション空間と呼ばれるものです。オプション空間は全社ポートフォリオ分析の目的のために開発されたものではないと思いますが、非常に有効なツールと考えられますので、取り上げることにしましょう。ここではティモシー・ルーマンの考え方に立脚し、オプション空間の概念および軸、戦略的インプリケーションを説明することにしましょう。?

 オプション空間とは、ある事業やプロジェクトの「費用に対する価値(:対費用価値=価値/費用)」と「不確実性」の二つの軸で形成されるもので、行動するのかしないのか、直ちに行うのか行わないのか、それとも後になって行うのか/後になっても行動する可能性は低いのかなど、意思決定者が何を行うべきか=オプションの価値を示すものです。?

 ある事業を行うにあたって、それがコストを上回る利益をもたらすのかどうかを考えなければならないことはいうまでもありません。さらに将来にわたってもたらされるキャッシュフローが総投資額を上回らなければなりません。つまり現在価値で評価した上記の「対費用価値」という要因を考慮しなければなりません。また時間という要素が絡まなければ、事業がリスクにさらされる度合いは低くなります。言いかえると、「今後どうなるのかわからない」といった時間的要素が絡んでくるからこそ、リスクが発生します。そのため、ある事業を行うのかどうかを決定するためには、その時点だけではなく、将来にわたってどうなるのかという動態的な分析が必要となります。オプション空間の場合、リスクはボラティリティ(変動率)で把握されます。将来起こるであろうと思われる事象が現時点からどの程度変わる可能性があるか、ということです。つまりオプション空間は対費用価値とボラティリティの2軸で形成されます。

 

戦略的事業計画グリッド


 GEはPPMにかわって、戦略的事業計画グリッドという手法を開発しています。PPMとの違いは、まず縦軸と横軸の区切り方が、高いか低いかの2分法ではなく、中程度も認めた3分法になっているため、9つの象限で形成されます。中程度を認めたと言うのは、現実の世界では高いか低いかだけでは分類できない部分があるからだと考えたことがその理由です。

 第二の違いは、2つの軸がそれぞれ様々な要因を組み合わせた複合指標であることです。PPMでは縦軸が市場成長率でした。これは成長率が高いとそれだけその産業は魅力的だという前提があることが原因と思われますが、市場の成長率以上に供給能力の伸びが高い場合には、需給バランスが崩れ、産業として魅力的ではなくなる可能性があります。そこで戦略的事業計画グリッドでは、市場成長率にかわって、さまざまな要因を組み合わせて形成される“産業魅力度”という軸を使用します。PPMの横軸である相対的マーケットシェアに対応する軸は“事業強度”と呼ばれます。

 産業魅力度は、市場の規模、市場成長率、利益マージン、競争度、循環的変動性、季節性、規模の経済性、学習曲線のそれぞれをウェイト付けを行って平均したものです。また事業強度は、相対的マーケットシェア、価格競争力、製品の質、顧客/市場の知識、販売効率、地理的カバレッジのそれぞれをウェイト付けして平均化したものです。そしてそれぞれの軸に関して、魅力が高い/中くらい/低い、強度が高い/中くらい/低いという3つに分けられ、9つの象限が形成されることになります。

 ただ産業の魅力度が高くても事業強度が弱い場合には、全体としての魅力は今一つと評価されるでしょう。このように最終的には全体の魅力度として事業が捉えられなければなりません。たとえばGEの戦略的事業計画グリッドでは、9つの象限を高い/中程度/低いの3段階の全体魅力度に分類します。そしてそれぞれの事業に対して「投資価値が高い製品」などの評価を行うのです。

 

全24ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事