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ライフサイクルと多角化
「企業の寿命は30年」と言うフレーズを聞いたことがある方もいるでしょう。ちなみに、今から100年以上前の1896年、そして1919年、1936年、1955年、1990年の鉱工業に属する企業の総資産額のランキングを見ると以下のようになっています。?
1896年 1919年 1936年 1955年 1990年
1 鐘淵紡績 川崎造船所 日本製紙 八幡製鉄 トヨタ自動車
2 大阪紡績 三菱造船 王子製紙 富士製鉄 松下電器産業
3 三重紡績 久原鉱業 鐘淵紡績 日本鋼管 日立製作所
4 北海道製麻 鐘淵紡績 三菱重工業 日立製作所 日産自動車
5 摂津紡績 東洋紡績 日本窒素肥料 東京芝浦電気 新日本製鉄
6 岡山紡績 三井鉱山 日本鉱業 新三菱重工業 東芝
7 東京紡績 大日本紡績 東洋紡績 三菱造船 三菱重工業
8 金巾製織 三菱鉱業 川崎造船所 東洋紡績 日本電気
9 大阪アルカリ 北海道汽船 三井鉱山 住友金属工業 三菱電機
10 尼崎紡績 台湾製糖 大日本紡績 川崎製鉄 富士通
出所:中村(1993)
たしかに30年を経てランク外に落ちた企業もあるでしょうし、そもそも存在がなくなった企業もあるようです。しかし総資産で見たトップ10企業に30年以上入っている企業もあるようです。
この違いの一つを説明する概念はライフサイクルです。企業が生産する製品には一般にライフサイクルが存在すると言われます。製品が新しく開発されて市場に登場し(導入期)、顧客に受け入れられて当該製品の売上高が急速に上昇していきます(成長期)。その後、多くの顧客に製品が受け入れられるようになり(成熟期)、ほとんどの顧客に行き渡る時期に入ります(飽和期)。そしてついには製品として売れなくなる衰退期に移ります。
このように製品にはライフサイクル(寿命)が存在するために、経営者は当該製品及び市場が衰退する前に何らかの手を打たないと存続できなくなります。製品ライフサイクルにしたがうと、その製品の寿命=企業の寿命になります。しかしある製品のライフサイクルを超えて企業が存続しているということは、企業が主力とする製品を次々に変えている、もしくは一つの製品に依存するのではなく、複数の製品を生産・販売していることが想像されます。一般に、経営者は、製品ライフサイクルを越えて企業を存続させるために、既存の製品及び市場が衰退する前に何らかの手を打つでしょう。その一つの手段として、企業は既存製品分野とは異なる製品市場に進出するという多角化を行うのです。
企業は成長するための一つの手段として多角化という戦略を選択するようです。
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