(゜Д゜ )新聞

メルマガ⇒ 00430000s@merumo.ne.jp ツイッター⇒ https://twitter.com/wataru4

経営学

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

価格戦略



 実際にビジネスを行うにあたってこの製品をいくらで売るか、価格の設定と言うのは非常に大きな問題です。他のライバル会社との比較では安ければ安いほどいいわけですが、逆に安く設定すると利益率が悪くなり、「もっと高い価格でも売れたのに」という場合には、せっかく儲けられたかもしれない利益をまるまる失うことにもなります。さらにマーケットシェアとのからみで考えると、ただ価格とつければいいと言うわけではなく、市場における自社のダイナミックな競争力を考えながら価格をつけていかなければなりません。価格戦略は事業を行うにあたっては非常に重要な問題なのです。

 企業の価格戦略は、モデル的には、大きく上澄み価格戦略、成長志向価格戦略、利益志向価格戦略という3種類に分類されます。上澄み価格戦略とは、事業を行っていくうちに単位あたり費用が低下していくことがありますが、その単位コストの低下と平行するように価格を下げていくような価格の設定をすることです。したがっていつも一定のマージンを獲得することができます。

 利益志向価格戦略とは、生産量の少ない段階ではコスト以下の価格で販売します。そのため赤字がでます。しかし、生産量が増加して経験効果によってコストが減少しても、初期に設定した価格を維持して初期の損失を回収し、利益を高めていきます。そしてある程度利益をあげるとコストの低減に伴って価格を下げていく、という価格設定をする方法です。

 成長志向価格戦略は次のようなものです。生産量の少ないときにはコストを下回る価格を設定して、できるだけシェアを獲得していきます。シェアを獲得すると、生産量も増加し、経験効果を発揮して、急速にコストを下げて行くことが可能になりますから、累積生産量の増加に伴ってコストが下がると、それにしたがって価格も下げていくという方法です。初期の時点で大きくシェアを獲得すればコスト割れによる損失も後になって回収することができます。シェアも獲得し、長期的には利益も出るという長期的には合理的な戦略なのです。ただし、シェアの獲得とコストの低減との間にあまり連動性がない場合にはこの価格戦略は妥当ではないことになります。

 

PIMSプロジェクト


 マーケットシェアが重要であることは1970年代に行われたPIMS(Profit Impact of Market Strategies)と呼ばれる別のプロジェクトでも実証されています。この研究では、そのプログラムの題名通り、市場戦略が利益にどのような影響を及ぼすのかが分析されました。その結論の中の一つにマーケットシェアと投資収益率との間には強い相関関係があり、シェアが40%以上の事業の投資収益率は、シェアが10%以下の事業の投資収益率の2.5倍になっているというものがあります。単純に計算するとシェアが10%大きくなると、投資収益率は5%増えることになります。つまり投資収益率にシェアは大きな影響を与えることになります。シェアが投資収益率に最も影響を与えるというのであれば、企業戦略上、シェアの拡大が最も重大な関心事になるわけです。

 最近、日本の企業でも、採算性が悪い事業からは撤退し、事業の絞り込みを行っています。これらの行動もPIMSプログラムの定量的な分析に従うと非常に合理的な行動である。特に収益を重要視するのであれば、もちろん雇用など複雑な問題はありますが、トップシェアを獲得できる事業に絞りこむことは至上命題になるかもしれません。多くのアメリカ企業は80年代にはいると積極的に企業の合併・買収を行いましたが、この企業行動の経済的根拠の一つがPIMSの結論です。

 もちろん、PIMSの結論はあらゆる事業分野で当てはまるわけではありません。たとえばサウスウエスト航空は売上規模が業界でトップではないにも関わらず、非常に高い利益率を達成しています。マーケティング学者の研究によると、マーケットシェアではなくカスタマー・ロイヤルティが利益をもたらす大きな要因であるとの結論です。このようなPIMSの結論にそぐわない事例もありますが、経験効果やPIMSなどの結論を見ると、マーケットシェアを高めることの戦略的重要性は非常に大きいと判断することができるでしょう。

 

経験効果


 経験効果とは経験が蓄積されるにつれてコストがさがるという現象のことを言います。たとえばゲームを行っていると、そのうちクリアにかかる時間が早くなってきます。経験を積み上げて行くうちにクリアにかかる時間というコストが下がって行きます。これと同様なことがビジネスの現場でも起こっていると言うのが経験効果の話です。

 この現象はスウェーデンの鉄山における採掘現場で「経験的」には知られていたようですが、あくまでそれは経験的な事象であって、科学的にそのメカニズムが解明されたのは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の研究によるものでした。1960年代に、BCGは一製品の累積生産量が2倍になるとトータルコストが一定の予測できる率で低下するという経験則を、多数の製品コスト分析から発見したのです。たとえば半導体の生産では累積生産量が2倍になると、トータルコストは10〜15%ほど低下すると言われています。

 この経験効果が発生する原因は次のようなものと考えられています(野中1980)。

(1)あらゆる職務において最も能率的な職務達成方法や最短ルートの学習
(2)職務の専門化と作業方法の改善による効率
(3)新しい製造方法の開発と改善
(4)当初の生産設備の能率向上
(5)製品の標準化
(6)製品の設計改善
(7)熟練工を半熟練工にかえるなど、より安い資源のミックスを考えること

 つまり生産などの業務に従事していると、だんだん慣れてきて、部品を取りやすいところに移動させたり、ある作業を行うにあたって動作を変更したり、組みたてる順番を入れ替えてみたりなどの工夫が行われます。これらの要因間で生じる相乗効果が経験効果をもたらしてくれるのです。

 経験効果が発揮されることによって総コストが下がるのであれば、企業としてはいかに経験効果が発揮できるようにするかが競争力を構築するにあたって大きな経営課題となります。より簡単に言うと、他社よりも早く経験を積み上げて行くことが競争力の源泉となるのです。そのためには経験をつむ機会や場がなければならないわけです。もしマーケットシェアが高い場合にはより多くの生産機会に巡り会うことになります。マーケットシェアは相対的な評価尺度ですから、シェアが大きいほど他社よりも早く経験を積み上げることが可能になります。つまりシェアを高めて経験を積み上げ、経験効果を発揮することによってコスト競争力を高めることができる。他社と比較してより安い製品を提供することができるので、製品がより一層売れてさらにマーケットシェアを大きくすることができる。したがって経験効果をさらに発揮できる…という具合に、非常にいい循環に入ることになります。最終的には市場おいて独占的な地位を確立することも可能になるかもしれません。

 

「経験効果と価格戦略」

 やはりマーケットシェアは重要か?

 企業の目標を聞いたとき、最近は株主の利益の最大化と答える企業が多くなっています。しかし数年前に同じ質問をすると大企業の多くは「マーケットシェアを獲得すること」と答える企業が比較的多かったように思います。現在でもシェアの逆点は目を引くようです。たとえばビール業界ではキリンのシェアをアサヒが上回ったことが大きく報道されます。パソコンの出荷台数のシェアについても大きく報道されているのを見たことのある人も多いでしょう。

 エクセレントカンパニーとしてよく事例として引出されるGEは、業界において1位か2位の事業しか行わないという方針をたてていることはよく耳にします。この時の「業界の1位・2位」はおそらくマーケットシェアを尺度としたものなのでしょう。とすると、GEはシェアの獲得を重視していることになります。

 このように、企業の目標として株主の利益が挙げられていますが、依然としてシェアを獲得することも重視されているようです。ある事業において競争力を高くするために、マーケットシェアがなぜこれほど重要なのでしょうか。その合理的な根拠を与えてくれるのが経験効果という概念です。

「ドメイン」


 ドメインとは

 たとえば中期経営計画を立てたり、リストラクチャリングを行う際にどの事業を継続するのか、事業の組換えをどうするか、という議論を行うときに、事業ドメインという言葉が使われることがあります。企業は何らかの領域で事業を行っています。この事業領域のことを経営学ではドメインといいます。

 ドメインの設定が非常に重要であることを指摘したのはセオドア・レビットという人です。彼は「マーケティング・マイオピア(近視眼的マーケティング)」という論文の中で、鉄道事業などの事例を用いて、ドメインの定義が企業の成長にとって決定的に重要であることを指摘したのです。

 ドメインは広すぎても狭すぎても、また抽象的過ぎても具体的過ぎても意味がありません。というのは、ドメインの設定が資源配分の一つの指針になるからです。たとえば先ほどの鉄道会社の話に関して言うと、鉄道会社が自社のドメインを鉄道建設ではなく、輸送と定義していれば、事業展開に広がりが出てきます。したがってドメインの定義の仕方次第では、企業が営む事業の種類、言いかえると、多角化の範囲までも異なってくることになるかもしれません。

 ドメインの定義のしかたは、自動車メーカーであれば「ドメインは自動車である」という物理的定義と、「鉄道会社のドメインは輸送である」という機能的定義の2種類があります。レビットの論文にはハリウッドの例が出ています。ハリウッドは一時期、不振を極めたことがあったそうです。当時、ハリウッドの人たちは自分たちの事業を映画と見ており、エンタテイメントとは捉えていませんでした(これがハリウッドの不振の原因であるとレビットは考えています)。前者の捉え方が物理的定義であり、後者の捉え方が機能的定義です。

 ハリウッドや鉄道事業などの事例から、物理的定義は現時点のものであり、方向性を指し示すものではないので、一般的には物理的定義よりも機能的定義のほうが優れていると考えられています。また物理的定義は活動の成果だけに注目し、空間的に狭い領域しか捉えていないことも理由として挙げられます。


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事