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経営学

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戦略と組織


企業が存続・成長していくためには、戦略と組織が適切な関係を持たなければならないという考え方があります。戦略は企業の環境適合の基本的な方法を示すものであり、戦略と組織が食い違いをおこしていないことが組織の目標達成には不可欠となります。

 このような組織と戦略の関係を最初に明らかにしたのはチャンドラーです。かれはアメリカ企業5社の歴史的研究を通じて、アメリカ企業の戦略と組織との関連には段階的な発展の順序があることを示しました。企業の戦略プロセスを量的拡大、地理的拡散、垂直統合、製品多角化の4つの段階に分け、量的拡大による管理部門の発生、地理的拡散による地域ごとに立地する現業組織の発生、開発や生産などの垂直職能を統合化することによる職能制組織の生成、そして製品多角化の進展による事業部制組織の導入という一連の流れを明らかにしたのです。?

 特にチャンドラーの研究で注目するべき点は、「組織は戦略に従う」という非常に有名な命題を導き出したことです。上記の戦略プロセスの違いに応じて組織構造が変わっていくという現象から組織は戦略に従うという主張をしました。ただ、この命題に対する反論もあります。戦略が組織の構造を規定するだけではなく、組織構造のあり方が組織能力を規定し、最終的には実行可能な戦略にまで影響を与えるというものです。この場合は「戦略は組織に従う」という逆の命題が成立することになります。現実的には、組織が先か戦略が先かではなく、両者はダイナミックに関係しているのでしょう。

垂直統合


 多角化は企業成長の一つのタイプであり、事業の種類が増加することです。それに対して、業務の種類が増加することも企業成長の一つのタイプと捉えられるもしれません。これは垂直統合と言います。前者の多角化は水平的な成長、後者の垂直統合は垂直的な成長と言いかえられるでしょう。?

 垂直統合とは、たとえば、流通企業が製品の生産に乗り出したり、鉄鋼メーカーが鉄山の運営に乗り出すなどの企業行動をいいます。これまで市場を介して行っていた取引を企業内での取引に置き換えることです。企業の業務は原材料市場から製品市場へと流れる川にたとえられます。原材料の供給企業が生産や流通に乗り出すことを前方統合、逆に流通企業が生産や原材料供給の業務に乗り出すことを後方統合といいます。?

 統合を行うと、企業は独占的地位を得たり、参入障壁を築くことができます。原材料供給という業務において、自社だけに供給するだけではなく、他社にまで行うほど競争力を高めることができれば、他社に対して戦略的に優位に立つことができるでしょう。さらに原材料供給を一手に握ればそれは参入障壁になります。

 次のようなメリットも考えられます。たとえば流通企業が安定して製品を販売するためには、メーカーから良質の製品を安定的に供給してもらわなければなりません。しかしメーカー側はいつも安定して供給できるとは限りません。経済原則に従うと、利益率の高い会社に対して優先的に製品を供給することになりますから、独占的な供給契約を結んでいない限り、必ずしも安定的に製品の供給を受けられるという保証はないのです。しかし流通企業が製造業務に乗り出せばそのような不確実性を取り除くことが可能です。実際、アパレル流通の企業がオーストラリアに自社の牧場を所有し、優れた羊毛を自社で調達できるような体制を組んでいますし、縫製業務に関して独占的に行うことを契約で取り決めるというケースは一般的に見られる現象です。?

 ただ統合することによるデメリットも存在します。たとえば業務を統合することは企業の規模が単純に拡大することにつながるので、内部管理上の問題が発生します。本社ばかりが大きくなって間接部門のコストが肥大化すると、企業の競争力に大きく影響してきます。また社内に密接に関連する業務を抱えている場合には、他社との取引の方がいいと判断されるにもかかわらず、人間関係などの理由から自社の当該業務部門に発注せざるを得なくなるかもしれません。どの業務は市場での取引に任せるのか、どの業務は内部化するのかは企業戦略上、重要な意思決定項目です。

 

企業の内部成長と外部成長


 企業成長は大きく内部成長と外部成長の2つに分けることができます。?

 内部成長とは、企業内部にある資源を利用して成長する方法です。このタイプはおもに企業が研究開発活動を行ったり、企業内部にある未利用資源を有効に活用することによって行われます。ただ、内部資源の活用による成長はスピーディではなく、したがって環境変化が激しかったり競合企業の行動がすばやい場合にはリスクが高くなります。内部成長によって企業の競争力を高めるためには新製品開発や技術開発をいかにすばやく効果的に行うかが重要になってきます。?
それに対して、企業の内部資源に依存しないで外部の資源を利用して成長することを外部成長といいます。これは主としてM&Aを行って必要な事業を外部からとりこんだり、企業間の戦略提携などによって達成されます。ただM&Aを行った後、相互に異なる組織が融合するためにはかなりのリスクがあります。多くのM&Aが必ずしも成功していないことはそのことを物語っています。また戦略提携についても双方にメリットがある場合には良好な関係が維持されるでしょうが、メリットが一方的になった場合にはなかなか難しい問題を発生させてしまいます。?

 一般的には、日本企業は、アメリカ企業と違って、環境分析を徹底的に行うよりも環境機会にいつでも乗れる、もしくはリスクに直面した場合にはそれに耐えられるような企業力を内部で累積的に蓄積することを志向してきた、と言われています。さらに環境の機会分析についてもトップやゼネラルスタッフ主導で行うよりも、トップは方向性を示すだけであり、現場の短期計画を微調整していくことですすめられるケースが多いようです。?

 それに対してアメリカ企業は環境の機会やリスクの分析を徹底的に行った上で、柔軟に資源を展開していきます。環境の機会分析を行って内部資源を迅速にフィットさせるわけです。たとえばシスコシステムズはその潤沢な資金をR&D(Research and Development)に向けるのではなく、A&D(Acquisition and Development)と呼ばれる、これから大きく成長すると予想される企業を発掘し、買収することによって内部化し、製品開発・技術開発を行って企業の製品競争力を高めていくという方法をとっていました。これとは逆に赤字部門や衰退事業を外部に売却することによって組織の存続を図る企業の事例も多く見られます。

 日本とアメリカにおけるこのような資源展開の違い、つまり企業成長のタイプの違いは、労働市場の流動性や、重視する経営資源の違いなどの影響を受けています。労働市場の流動性が低い場合には、雇用の問題を解決しなければならなくなるので、必要のない事業を切り離して売却するといういわゆるリストラクチャリング(事業の再構築)が柔軟に行えなくなるでしょう。また最近でこそ資本コストを意識した経営が行われるようになりつつありますが、日本のように、手元流動性の潤沢な企業が、資本コストを下回る利回りで現預金などを運用することが許容されるような経営環境では、豊富な資金を活用して外部の企業を取り込むことはそれほど積極的には行われないでしょう。言いかえると、アメリカのように資本コストに基づいて厳密に資産の利回りがチェックされるような資本市場では、現預金を豊富に抱えていると買収の対象になったり、株主からのプレッシャーを経営者が受けるなどの作用が働きます。このように資源展開の違いによる企業成長の相違は労働市場や資本市場のあり方、外部環境などと密接に関連しているのです。

日本の産業は空洞化するのか?


 一般に海外に生産拠点が移転すると日本は空洞化が起こり大変なことになると言う議論があります。これは、海外拠点の子会社が生産された製品を日本市場へ販売することによって、本来ならば日本で生産されることによってえられたかもしれない価値分だけ日本における生産が生み出す価値は減少すると主張することが背景にあります。

 しかし現実にはそれほど単純な構造ではないようです。たとえばアジアの生産が加速すると、日本側から見ると二つのプラスの点を指摘することができます。一つは子会社が現地生産で付加価値を生むことです。そしてもう一つは海外の生産拠点は部品や資本財を日本に依存しており、海外生産拠点が生産を活発化させると、日本での部品や資本財生産が活発化します。それによって日本の工場は価値を生み出すことができるのです。つまり日本と現地子会社のネットワーク全体が生み出す余剰価値を考えると、海外の生産拠点が活発化することが必ずしも日本で生み出される価値を低下させるわけではなく、プラスサムの状態になる可能性もあるわけです。?

 たとえばアジアについて見てみると、アジアの子会社は日本から多くの部品や資本財を調達している(つまり価値は日本に帰属すると言うこと)一方で、日本にも大量に輸出しているため(つまり日本はアジアに支払っているということ)、アジアの生産子会社の価値が日本に移転して日本だけがもうけるという構造にはなっていません。?

 それに対して、アメリカの生産子会社は、日本から多くのものを輸入している一方、そこで作られる製品の日本への輸出が非常に少ないために、対アメリカ市場は日本に大きな価値をもたらしています(実はこれが日米貿易摩擦の元凶です)。つまりアジアで生み出された余剰価値はアジアに帰属していますが、アメリカや欧州で生まれた余剰価値は現地ではなく日本に帰属するようになっているため、日本は欧米諸国と貿易摩擦を繰り返すことになるのです。?

 アジアにおいて生産が活発化すると、日本の部品や資本財の生産活動が活発になります。つまりアジアが成長することによって日本の生産水準が低下すると言うわけでは必ずしもな「ようです。アジアが伸びると日本も伸びるという関係が成立しており、日本の空洞化が進むという構造にはなっていないと言えるでしょう。

企業の国際競争力


 企業の国際化が進むと国際競争力が問われるようになります。海外現地市場で競合他社との競争に勝つためには、何らかの国際的な競争優位を持った企業特異性の高い経営資源を持っていることが前提となるでしょう。?

 トヨタが海外でも相当の競争力を持っている一方で、多くの日本の銀行が海外市場で競争力を発揮できないという事実を比較すると、トヨタは「トヨタ生産システム」という自社で開発した特異な経営資源を持っており、それを海外市場で活用しています。トヨタ生産システムについては、海外の多くの企業が導入しようと努力していますが、どの企業もトヨタほどの成果をあげることができていないと言われるほど、トヨタとトヨタ生産システムは切っても切れない関係があります。トヨタ生産システムは国際的に通用するトヨタ特有の経営資源なのです。?

 それに対して、金融機関の本質的な技術は「つながり」です。特に日本の金融機関は国内の融資先との緊密なつながりを梃子にして融資を拡大してきました。その強みが果たして海外市場で発揮できるかというと疑問です。また国際金融の場で多くの企業を調整することのできる言語力があるかというと、依然として日本の金融機関にそのような人的資源は不足していると思います。つまり、国際的に通用する何かその企業特有の経営資源を、国境を越えて活用することによって、国際競争力を発揮することが可能となるのです。

 


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