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小説の締切って大変ですねぇ〜〜プロの方達の凄さが分かる!

【土竜探偵事務所】「お人形」第2

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【土竜探偵事務所】
    「お人形20」

 新宿歌舞伎町、異世界と言われる町。そこは昼と夜の顔が全く違う町。六本木、渋谷など若者の集う
町は数多くあるが、夜の新宿歌舞伎町は一種違う「異世界」が、多数存在する町だ。

 ファン家の幹部は国際手配になっていたため、CIAの管轄となりそれ以外は香港警察に身柄を拘束された。《人形》を作成していたパンドールは脅迫されての犯行が認められ情状酌量され、香港警察に身柄が渡った。むろん刑務所行きは決定での事であるが・・・しかし浅井洋子はケネディ空港で逮捕時抵抗し射殺されてしまった・・・と、そんな動きがあったと、宇津野が太郎の事務所に来て報告してくれた。何とか日曜の夜に帰国出来たのだ。碓井は今日はお休みだ・・・が
 「せ・・・先生・・」
 碓井が仕事帰りに事務所に立ち寄った。事件の経過が気になって、会社でもずっとうわのそらだった
そうだ。

 「そうですか・・・それで、何年入るんですか?」
 「裁判がまだですから・・・荷担していた年数からすれば、浅井洋子さんが生きていれば無期懲役でしたでしょうし・・1年2年で出れる事はありませんね」
 「・・・そうですよね・・・」
 落ち込む碓井。仕方のない事なのだ。落ち込む碓井をパモアドが慰める。
 「それで、返済の方は?」
 太郎が聞く。碓井は昨日の夜、タオ家の成功報酬全額を碓井に渡したのだ。
実質、タオ家当主を助けたのは碓井だと言い、今日中に完済してきなさいと言っ
たのだった。
 「はい・・・粘られましたけど、カードも返却してきました。有り難うございます」
 立ち上がり御礼を言う。
 「碓井さんが頑張ったから手に出来たお金です、これからも頑張れば高級
マンション生活も夢じゃなくなりますよ!」
 「・・・あの・・・」
 「?どうしました?」
 きちんと座り直した碓井。太郎の目を見ないで話す。
 「が・・・外国って・・・殺人犯でも・・・その莫大な・・・保釈金を払えば・・・釈放してもらえるって聞いたんですけど・・・」
 「・・・碓井さん?」
 「だから・・・その・・・私無給でいいです・・・無給で、幽霊関係も頑張りますから、パンドール
さんを・・・」
 碓井なりに悩んで悩んで出した答えだ。許されない犯行。被害者家族からすれば、非人道的な人間に
見えるだろうパンドールを・・・それでも悩んで・・そしてここに来たのだ。大きくため息を付く太郎。碓井の行動が分かってたようだが・・・
 「・・・碓井さん・・・香港はね、殺人事件に関しては日本より厳しい国なんですよ。組織からの圧力があっての犯行だからと情状酌量されても、釈放はありえないんです。本来ならすぐに死刑が確定して
しまうんですから」
 「・・・・」
 涙ぐむ碓井。慌てる太郎。
 「だ・・・駄目ですよっ泣くなんて反則です反則っそれにね僕が1億2億用意したって、そんなので
香港警察は動きませんっその聞いた国ってのは中東かどこかの国でしょ!」
 焦りながらも横に向く太郎。無理だろうと碓井にも分かっていたのだ、けれど太郎の不思議な力と全て解明されていないだろう人脈に望みを掛けていたのだ・・・
 「変な事・・・お願いして・・・すいませんでした」
 ゆる〜りと立ち上がり、扉へ向かう碓井。・・・・・気まずい雰囲気が事務所内に漂う。。。。
 「・・・・した・・・」
 小さい太郎の声に気づき振り向く碓井。
 「分かりましたっ」
 太郎が立ち上がり黒電話を持つ。
 「?」
 「確実にパンドールさんを助けられる人物がいます。」
 「ほっ本当ですか?」
 すごく言いたくない顔をして黒電話を碓井に突き出す。
 「その代わり、自分で『後始末』がつけられないと思ったらやめて下さい」
 「?え?」
 「タオ・ヘルシャンですっ彼しか香港警察を動かせません」
 「・・・ヘルシャンが・・・」
 香港を影から牛耳っているタオ家次期当主。警察でも逆らえない絶対的な権力を持つ人物だ・・・・
恐らく碓井がオネダリすれば動いてくれるであろうが・・・・
 「・・・お嫁・・・さん」
 考えうろたえる碓井。まぁ当然ヘルシャンもこの事に関しては、ただでは動かないだろう・・・
 「よく考えて電話して下さい」
 黒電話を渡す太郎の眉間が又痙攣している。
 「そ・・・そんな・・・だって、こんな大変な事頼めば・・・ヘルシャンの希望を聞かないわけに
いかなくなっちゃいます〜〜〜っ」
 「超玉の輿ですから、嬉しい限りでしょ?」
 ・・・・と棒読みの太郎。かなりご立腹である・・・・が
 《ジーコージーコー》・・・貰った電話番号に電話している碓井。
 「!」 
 即決に驚く太郎。
 「いいんですか?本当にお嫁に行くことになるかもしれないんですよっ」
 「でも、ヘルシャンしかいないんでしょ?仕方ないじゃないですかっ」
 アセアセとうろたえながらもパンドールを救う方を取った碓井。・・・太郎が受話器を取る。
 「!先生?」
 「英語分からないんでしょう?ヘルシャンにつながるまでは僕が話しますよ」
 「あ・・有難うございますぅ!!」


 桜が散り始めた4月中旬、富士の裾野の孤児院にリコが元気に走り回っていた。お人形に戻った
エリィを抱えて。
 「リコちゃん」
 「何ですかシスター?」
 孤児院のシスターがリコを呼び止める。
 「リコちゃんのパパが、お迎えに来てくれましたよ」
                                   終わり

【土竜探偵事務所】
    「お人形19」

 新宿歌舞伎町、異世界と言われる町。そこは昼と夜の顔が全く違う町。六本木、渋谷など若者の集う
町は数多くあるが、夜の新宿歌舞伎町は一種違う「異世界」が、多数存在する町だ。


 パンドールが真相を続けて話す。太郎も碓井も真剣にパンドールの話に耳を傾ける。
 「・・・私のエリザベスが焼けてしまったとシスターから連絡を受け・・・大分経ってからでしたが、日本でフランス人形展をしていた時に行きました。引き取りにね・・・その時に恵子に会った。恵子は
そこの孤児院で育ち・・・エリザベスに助けられたと言っていた・・・引き取ろうと思ってたエリザベスを・・・ボロボロになってしまったエリザベスを欲しいと言われて・・・」
 恵子は院から引き取られた後、外国語を必死で覚え通訳となって、経済的に苦しい孤児院へ毎月仕送り
をしていた。勿論洋子も同じだ。そんな2人は命を救ってくれたエリザベスに毎月のように会いにきて
いたと言う。川本恵子は政府要人の通訳をしていた最中、某国の政治家が己の権限を利用し臓器密売を
しているのを偶然目撃。消される所、通訳という政治家と同じ待遇を受けられる職業のおかげで殺される事はなかったものの、利用される事になってしまったのだ。犯罪に荷担している許せない自分。しかし
その成功報酬が孤児院を助ける。心の中での辛い葛藤。その葛藤の心のよりどころがエリザベスだった
のだ。パンドールはその時は、そんな心の葛藤を知らずにエリザベスを譲った。それからは親交を深め、親のいない境遇が2人の心をより近くにした。けれど恵子はすぐにパンドールの前からも孤児院からも
姿を消した。必死で探し宛てた時には・・・リコがいたのだ。恵子はパンドールに全てを話し、リコを
預けそのまま又姿を消したのだ。そしてパンドールは消えた恵子を探すためリコをエリィと一緒に
シスターの元へ、
 「・・・あの時・・・どうして恵子の腕を離してしまったのか・・・警察に出頭させ・・・罪を償わ
せれば・・・こんな事には・・・」
 手で頭を覆い涙するパンドール。恵子の死は知らされていた。
 「・・・恐らく最初に密売をさせられた時に、浅井洋子さんを・・・妹さんを取られたのでしょう
・・・恵子さんが出頭しても、組織は痕跡を残さず分散し組織逮捕が出来ない、出来なければ洋子さんが
殺される・・・だから犯罪を犯し続けるしかなかった・・・」
 太郎が組織犯罪の恐ろしさを口にした。
 「酷い・・・」
 涙ぐんでいた碓井の頬にも涙が流れた。
 「恵子を救えるのなら・・・そう思って組織に荷担してしまいました・・・許されない事だと分かっていても・・・もう昔のように純粋な人形を創れなくなろうとも・・・私にとって恵子はたった一人の
女性だった・・」
 パンドールが全てを言い終わらないうちに、エリィが太郎の足に纏わり付く。太郎の太ももに顔を
埋め表情を消して・・・
 「シスターが話してるの聞いてたの・・・リコちゃんをウイリーが預けにきた後・・・ママがこっそり来てたって・・・いつもリコちゃんに会わずに帰ってたって・・・リコちゃんのママが自分を消してくれって言ってたって・・・ママのお名前・・・浅井洋子にしてくれって・・」
 ズボンが濡れていくのに気づく太郎。
 「・・・きっとママは、リコちゃん守るために・・・妹を助ける為に・・・いつか必ず命を落とす
こと・・・分かってた。だから、リコちゃんのママの名前を妹にしたの・・・」
 「エリィちゃん・・・」
 顔を見ずともエリィが泣いてるのが分かる。碓井は3人から顔を背けた。背け、窓の外を見た。自分が立ち入ってはいけない世界だと分かって・・・
 「ご免なさい・・・守れなかった・・・ウイリーしか助けられなくて・・・パパもママも助けられたら・・・リコちゃんもママも・・・エリィが助けられたら・・・こんな事にならなかったのに・・・」
 「エリィ・・・」
 「ご免なさい・・・ご免なさい・・・神様ご免なさい・・・」
 嗚咽で言葉にならないエリィ・・・太郎はエリィの頭を撫でる。人間しか愛せない可愛いエリィ。
大好きな人を守ることだけに一生懸命なビスクドール。だからこそジュモーも手放さずに守ってきた
のだ。
 パンドールがエリィ抱きしめる。
 「エリィは何も悪くないっ責められるのは私なんだっ結局は誰も・・守れなかった・・私が・・・」
 犯したくて犯した犯罪じゃない・・・だが子供が多く命を落としたのは間違いない・・・許される事
じゃない。悪いこと!そう重犯罪なのだ・・・と碓井にも分かっている・・・が・・・
 「!碓井さんっ」
 けたたましくドアを開け、飛び出す碓井。太郎が後を追う。目指す場所は分かっている。リコの所だ。日本の特捜を捕まえ、部屋を聞く碓井。大柄なCIAの強面の男達を投げ飛ばし(!??!)ドアを開け中に入る。・・・大きなソファに座っている金髪に近い茶髪の髪を二つに結び、大きなリボンを付けて
いる、瞳の大きなお人形のような女の子・・・
 「・・・はぁ・・はぁ・・・・あ・・あなたが・・・リコちゃんね?」
 息を切らしながら、確認する碓井。太郎が追いついた。すると碓井はリコを担ぎ上げ部屋を出ようと
する。無論CAIが立ちはだかる。
 『その子をどうするつもりだっ捜査協力は感謝するが、勝手な行動・・』
 みなまで言い終わらないで、太郎の裏拳炸裂。大柄な男が気を失い倒れ込む
 「!」
 驚く碓井。
 「驚くのはこっちですよっ碓井さん・・・柔道やってたんですね・・・」
 「・・・2段です・・・それより、あの・・」
 太郎がリコちゃんを貰う。
 「行きましょうリコちゃん、エリィの所へ」
 「?・・・エリィ?」
 不思議そうな顔をするリコを抱え2人はパンドールとエリィの元へ。
 
 「エリィッ!」
 「!リコちゃん?・・」
 リコがエリィに気づき駆け寄る。お人形じゃないエリィに・・・その事に驚くエリィ。
 「エリィッエリィッ」
 泣きながらエリィを抱きしめる。太郎がしゃがみ込みリコの目線に顔を落とす。
 「エリィちゃんはね、リコちゃんを助けたくて僕の所まで1人で歩いて来たんですよ。そしてここまで来たんです」
 「うん・・」
 ぽろぽろ涙を浮かべて太郎の話を聞くリコ。
 「エリィはね、ママや色んな人を助けてくれた神様の子なの、だからきっとリコも助けてくれるって
思ってた!」
 「リコちゃん・・・」
 エリィも泣き出す。想っている相手にそれ以上に想われてる事の嬉しさからだ。エリィの肩を抱き
しめる碓井。
 「良かったねエリィちゃん、リコちゃんに会えて」
 「うん!有り難うお姉ちゃん!有り難う太郎先生!」
 そんな2人を見ていたパンドールが席を立つ。
 「・・・パンドールさん?・・・あの」
 碓井が静かに呼び止める。
 「有り難うございます・・・もう二度と見れないだろうと思ってました・・でも・・・これ以上ここにいたら・・・手放したくなくなりますから」
 パンドールの親心が碓井にも痛いほど伝わってきた。名乗っちゃいけない・・・名乗れば・・・
 「パパ?・・・」
 「!」
 エリィ含め、全員驚く。
 「エリィのパパさんでしょ?」
 「!・・・リコちゃん・・・」
 エリィがリコを見つめる。
 「だってねシスターがゆってたのよ、このおじちゃんがエリィを創ったって、お写真見せてくれた
のよ。エリィ創った人なら『パパ』でしょ?」
 孤児院のシスターは・・・名乗れないパンドールや恵子の悲しみを分かっていたのだ・・・それでも、2人の顔を知ってもらおうと・・・恐らくママ(浅井洋子)の写真は、恵子の写真だろう。リコが
パンドールに近づく。
 「エリィを創ってくれてありがとございます。」
 子供なりに深々とパンドールに頭を下げて御礼を言うリコ。パンドールは静かに微笑み・・・
 「エリィ・・・リコを頼んだよ・・・」
 そう言って部屋を出た。後には悲しみと、無邪気なリコの笑顔が残った。
つづく

【土竜探偵事務所】
    「お人形18」

 新宿歌舞伎町、異世界と言われる町。そこは昼と夜の顔が全く違う町。六本木、渋谷など若者の集う
町は数多くあるが、夜の新宿歌舞伎町は一種違う「異世界」が、多数存在する町だ。

 貧民街を抜け埠頭の倉庫街へ警察の人間が大挙する。『現場』を押さえてこその検挙なのだ。
ヘルシャンのメモ書きにはその『現場』がきちんと書かれていた。逃げられぬように、全ての入り口、
下水道に人数を配し突入。その光景を碓井と太郎は見ているだけ。
 「・・・あっけないですね・・」
 「だから言ったじゃないですか、僕の仕事に推理はないんです。すべて『視』えるんですから」
 そう言うと少し悲しそうな表情をする太郎の横顔を碓井は見逃さなかった。
 「この事件が組織犯罪だったと、もうすぐニュースで報道されるでしょう」
 「犯人は組織の人全員って事ですよね」
 「いえ、トップと関与した人間だけにしかこの事件の逮捕状は取れません。他の連中は恐らく他の
事件で逮捕状を取ってるのでしょう。」
 「・・・浅井洋子さんもパンドールさんも・・・逮捕されちゃうんですね」
 「仕方ありません・・・犯罪を犯したんですから」
 碓井も頭では分かっているのだ。ただ今まで犯罪とは程遠い場所にいただけに、目の前の現実を受入ることが、心で出来ないのだ。
 「先生、リコちゃんは?倉庫にいるんですか?」
 「いえ、トップの人間の屋敷でしょう。もうそろそろそっちの検挙も終わった頃でしょう。警察に
戻ってみましょう」
 観光で来るなら人気の香港で、世界の凶悪犯罪を見た碓井。普通のOLには刺激が強すぎる光景に、
碓井の何かが変化を起こしている。勿論、鈍感な超霊能力者としての何かであるが・・・
 警察に着くと、途端にエリィが目を覚ます。本当だ。
 「エリィちゃん!」
 「リコちゃんがいる!リコちゃんがっ」
 勢いよく階段を駆け上がるエリィに遅れて碓井と太郎が駆け上がる。所が扉の前で立ち止まるエリィ。
 「エリィちゃん?」
 「・・・お姉ちゃん・・・リコちゃん驚くよね・・・?」
 「!」
 エリィは自分が動かない人形だと言うことが分かっている。リコに物言わぬ人形として可愛がられて
いただけの自分。でも純粋な子供にはきっと人間のように歩き回る自分が見えるだろう・・・見えて・・怖がられるだろうと・・・
 「エリィちゃん・・・」
 ギュッとエリィを抱きしめる碓井。純粋に大好きなリコを思って遙々香港まで来た《人形》エリィが
悲しくて・・・・そんな二人の肩を叩く太郎。
 「このまま、中へ入りましょう。大丈夫ですよエリィちゃん」
 そう言うと扉を開ける。数人の警察官に囲まれた金髪の貴公子のような男性がいた。パンドール氏だ。(高次がいたら大興奮?)衝立を通り越しパンドール氏に近づく太郎。警察官が表に出る。逃亡の恐れが無いこと言うことで、太郎達への面会を許可したのだ。
 『初めまして、日本で探偵業をしています。鈴木太郎といいます』
 紳士的な挨拶をする太郎。なんと仏蘭西語もペラペラなようだ。
 「・・・日本の探偵が何です?」
 仏蘭西語で話す太郎に日本語で答えるパンドール。こっちは日本語がペラペラだ。
 「あなたの娘を返していただきにきました」
 「!」
 返す?何を言い出すのか?実の父親に対して・・・
 「リコちゃんのいる孤児院では、事件に巻き込まれての失踪だと言う事が分かっていました。だから
警察に届けが出せなかった・・・でもシスターも皆心配しています。組織が捕まった今、日本が
リコちゃんにとって一番安全な国なんですよ」
 「・・・リコは私の娘だ」
 「パンドールさん・・・エリィが返してほしいと言ってるんですよ」
 「!!・・・エリィ?・・・」
 「私は【生者】から【死者】まで依頼を受けている【心霊探偵】なんです。その私の元に《エリィ》が依頼してきたんです」
 そう言うと衝立を退かしエリィをパンドールの目の前に。
 「エリザベス!」
 パンドールにもエリィは普通の女の子に見える。・・・それに驚く碓井。 《パンドールさんも霊能力者?》・・・ん?エリザベス?
 「そう、エリザベスですよ。あなたが、一人にしてしまうリコちゃんの為にリコちゃんの話し相手と
して孤児院に置いてきた・・・あなたの先祖が残した最高傑作です。」
 「ええええ〜〜!・・・先祖って・・・パンドールさん・・・ジュモーの子孫なんですか?」
 メチャクチャ驚く碓井。メジャーな名前の有名人の血筋など見た事もないから当然だが・・・
 「・・・ウイリー・・・リコちゃんはどこ?」
 エリィがパンドールに詰め寄る。・・・するとパンドールは瞳に涙を浮かべエリィを抱きしめる。
 「・・・リコを守ってくれていたんだな・・・」
 「ウイリーが守れって言ったしょ?エリィちゃんと守ってたよ」
 涙を大きな手で拭いリコの所在を話す。犯罪組織下で・・・誰も信じられなくなっていたであろう
パンドールは、それでもエリィの登場で太郎の言葉を信じた。信じて、所在を話した。やはりエリィ
を連れてきて正解だった。
 「・・・別室で・・・CIAに保護されている・・・私も・・・会わせてもらえない・・・」
 ソファに静かに腰を下ろすパンドール・・・その膝にエリィが手を置く。
 「ウイリー・・・優しい子。優しくて・・・リコちゃんに会わなかったんでしょ?会えなかったんで
しょ?」
 パンドールを見つめるエリィの大きな瞳。その綺麗なガラス玉の瞳に吸い寄せられるように・・・
パンドールの瞳に涙が溢れる。
 「・・・恵子の国・・・世界一安全で・・だからリコを預けた・・・恵子にも・・私にもなって欲しく
なかった、心の優しい夫婦にでも育てて貰えたらと・・・」
 「リコちゃんを犯罪者の子供として育てたくなかった・・・お二人の気持ちは痛いほど分かります。
だからエリィちゃんを一緒に残したんでしょう?」
 そう言うと太郎はエリィの洋服の袖を引き上げた。そこに大きな火傷のような後が。
 「!」
 驚く碓井。可愛いビスクドールに傷があるからだ。
 「この傷は・・・あなたが小さい頃家が火事で焼けた時にエリィがあなたを担いで逃げる時に出来た
傷ですね?」
 「えっ?」
 さらに驚く碓井。・・・って事は何度もエリィは人間になってたって事?
 「はい・・・エリザベスは・・・ジュモーが門外不出にした、我が家の家宝です。心を込め、かわい
がり慈しみ・・・そうして心を持ってしまった・・・人しか愛せない人形です。私もエリザベスを可愛がり・・・いつかエリザベスと同じような人形を作ってみたいと・・・」
 「それで最初に作った人形が同じ名前のエリザベスですか・・・孤児院に昔からいたのはパンドール
さん、あなたの作ったフランス人形ですね?」
 「!!」
 ????碓井の思考回路がショート寸前だ。
 「はい・・・私はエリザベスに助けられた、でも両親は死んでしまいました。孤児となった私を
シスターが育ててくれました・・そのシスターが日本の教会へ行く事を知り、お別れに人形を
プレゼントしました。けれどシスターの教会も火事で焼け、私の作ったエリザベスは・・」
 太郎が胸ポケットから一枚の紙を取り出す。古い地方新聞の記事をPCで調べてプリントアウトした
ものだ。
 「日本語に精通してますから、この記事が読めますね?『孤児院を置いている教会から出火・奇跡的に怪我人無し』」
 碓井もその記事を見ようと近づく。
 「この記事の内容を見て下さい。『焼け跡からフランス人形見つかる』」
 「!・・・先生これって・・・」
 「ええ、パンドールさんのエリザベスです。リコちゃんの孤児院の場所は分かってましたから
シスターに連絡は入れてたんです。そこで面白い話しを聞きまして調べたんです。院の子供達が、
『エリザベスに助けられたと』言ってたと。あなたのエリザベスにです」
 「!」
 驚く碓井。当然だ。エリィのような人形をと作ったパンドールの最初の人形が、本当にエリィのような
子になったのだから。
 「ウイリーが心を込めて作ったから、あの子もエリィみたいになったのよ、でもウイリー・・・今の
あなたじゃもう何も創れない・・・」
 ぽろぽろと涙を流すエリィ。犯罪に荷担してしまったパンドールにもう純粋な人形を造る事は出来ないのだ。エリィの涙が止まらない・・・
 「・・・エリザベス・・・エリィ・・すまない・・許してくれ・・・」
 パンドールがエリィの涙を拭う。
 「こんな私は・・・もうエリィを視ることなど出来ないハズなのに・・・有り難う・・・
有り難う・・」
 碓井ももらい泣き状態だ。エリィを抱きしめパンドールが話し始めた。
                                      つづく

【土竜探偵事務所】
    「お人形17」
 新宿歌舞伎町、異世界と言われる町。そこは昼と夜の顔が全く違う町。六本木、渋谷など若者の集う
町は数多くあるが、夜の新宿歌舞伎町は一種違う「異世界」が、多数存在する町だ。

 香港警察には日本の特捜から3名の若手刑事がいた。宇津野から連絡を受けていたので、太郎はすぐに組織犯罪の全容を話し始めた。すでにタオ家からファン一族のアジトをもらっている。組織壊滅作戦は
すぐにでも行われるだろう。香港警察もCIAも太郎の事件の全容説明を真剣に聞いている。・・・
香港警察では、組織犯罪であることは分かっていたのだ。だが、その香港警察さえも手が出せないのが
タオ家である。そのタオ家が『許可』したのだ。これで警察のメンツが保たれる。
 「鈴木先生、宇津野警部が所沢の事件の全容が分かったと電話してきました」
 「そうですか、それでどうですか?」
 「はい所沢の女性殺人事件の被害者『川本恵子』ですが、『浅井洋子』とは本当の姉妹です。孤児の
2人は1人づつ引き取られ川本と浅井に苗字が別れていますが」
 「!先生?・・・それって・・・」
 「ええ、関係しているんですよ2つの事件は。恐らく『川本恵子』さんは口封じでファン家の日本潜伏組に殺害されたんです。」
 「口・・・封じ?」
 驚く碓井と特捜の人間達。
 「ファン家は人質を使って死体人形を作ってるんです。」
 「!!」
 「その人質が今はリコちゃんです」
 「どうゆう事です?」
 「『死体人形』を作ったのは人形氏パンドールと浅井洋子さんです。」
 「へ?」
 「そしてパンドールはリコちゃんの父親です」
 「あの人形師パンドールがリコちゃんの父親〜?」
 「そしてリコちゃんの本当の母親は川本恵子さんです。」
 「???へ?本当の母親?」
 「川本恵子さんは通訳家です。政府要人の通訳として入国すればどの国でもフリーパスですから、臓器密輸をやらされていたのでしょう。恐らく川本恵子さんは浅井洋子さん・・・妹を人質にされてね」
 「浅井洋子さんて・・・何して・・・?」
 「検死医です。ですから臓器取り出しが専門でしょう、どのような経緯でファン家に捕まったかは
分かりませんが、1年以上前から、つまり白人を捕る前から臓器売買にかんでます。勿論川本恵子さん
もね」
 「ちょっと待ってくださいっリコちゃんは6歳ですよね?・・・川本恵子さんって人は・・・パン
ドールさんとは6年以上前に結婚してるって事ですよね?・・・そんなんで、1年以上前からそんな
犯罪に手をそめてるって事は・・・」
 「弱みに付け込むのが、犯罪組織のいいところです」
 笑顔で答える太郎・・・
 「それに川本恵子さんとパンドール氏は恐らく結婚していないでしょう。リコちゃんが育った場所は
孤児院ですから」
 「へ?孤児院?」
 「恐らくリコちゃんを孤児院へ連れてきたのはパンドール氏です。その辺の事情はまぁ家庭の事情で
しょうが、その孤児院でエリィはリコちゃんと会ったのでしょう」
 「・・・先生すいませんが・・・頭が混乱してしまって・・・」
 「ああ・・すいません。僕もすべてが視える訳ではないんですが、ファン家は白人を捕るように
なってから『死体人形』を作り出したんです。その作製にパンドール氏が携わってます。その
『死体人形』の《売れ残り》が今回の死体で発見された子供達です。」
 「・・・売れ残り・・・」
 「なんて酷い・・・」
 特捜も驚く。これが世界犯罪なのだ。
 「川本恵子さんの恋人がパンドール氏と言うのに組織が目をつけたんでしょう。恐らく最初は川本恵子さんを質にしてパンドール氏に作製をさせた・・・しかし犯罪行為がどうしても許せなくなったパン
ドール氏を、今度はリコちゃんで縛りつけた・・・」
 太郎が全容を話す。
 「川本恵子さんの方もかなり苦しんだんでしょうね、彼女の方も恋人も娘も質に取られた形になって
しまって・・・妹含め3人も・・・気が触れてしまって・・・恐らく逃亡の恐れが出てきた為に殺害
されたんでしょう」
 「・・・そんな・・・じゃあ・・・リコちゃんは・・・リコちゃん見つかっても、そんなんじゃ」
 「・・・・だから孤児院だったんでしょう・・・」
 「!」
 「母親の名前は浅井洋子、お父さんはいない・・・リコちゃんはそう育ってきたんです・・・それが
パンドール氏と川本恵子さんの親心だったんでしょう、恐らく川本恵子さんはリコちゃんを産む前
から・・・いえ、パンドール氏と出会う前から《犯罪者》だったんでしょう・・・川本恵子さん、
浅井洋子さんにどんな過去があるのか分かりませが、それでもパンドール氏は川本恵子さんを愛し、
川本恵子さんはリコちゃんを産んだ・・・」
 太郎の透視の内容に碓井は黙り込むしかなかった。自分の知らない恐ろしい世界の姿に、何も言えな
かった。
 「まぁ・・・自分を隠すにしては実の妹を《母親》にしたのは不思議ですが・・・・その事はエリィ
ちゃんの方が詳しいでしょう」
 「へ?エリィちゃんが?」
 「エリィちゃんは100年もの長い時を生きてきました。その記憶の残像は膨大な量です。ですから
エリィちゃん本人に詳しく聞かないとわかりませんが」
 「でも先生・・・エリィちゃんは・・・」
 「大丈夫です。エリィちゃん自身がリコちゃんに会うまで眠ると言ってきたんです。リコちゃんを
見つければ目を覚ましますよ」
 「!・・・そうだったんですか」
 ホッと胸を撫で下ろす碓井。飛行機の中でもタクシーの中でも殆ど寝ていたため、太郎とエリィの
やり取りを聞いていなかったのだ。
 「でもエリィちゃんは『当たり』なんですよね?・・・なのに川本恵子さんと浅井洋子さんの過去を
知ってるって・・・?」
 「それは、これから聞けばいいでしょう!」
 優しく微笑む太郎。特捜の人達と共に香港警察の人達の元へ行く。エリィを抱きしめ碓井も続く。
                                     つづく

【土竜探偵事務所】
    「お人形16」

 新宿歌舞伎町、異世界と言われる町。そこは昼と夜の顔が全く違う町。六本木、渋谷など若者の集う
町は数多くあるが、夜の新宿歌舞伎町は一種違う「異世界」が、多数存在する町だ。

今だピクリとも動かないエリィは碓井が抱く。太郎は足付きの黒い鞄を乗せようとした。
 「先生?その鞄は?」
 「ああ1億です。うちは現金払いと言ったらすぐに用意してくれたので」
 「!本当に貰うんですか?」
 「ええっ仕事はきっちりし・・」
 「500万でしょ!成功報酬はっ」
 怒る碓井。確かにボッタクリにも程がある。それを平気で持ち帰ろうとする事に怒り出す碓井。
 「未来、いいんですよっ確かに悪霊を退治してくれたんだから」
 「駄目よそんなのっ100万200万ならともかく、こんな酷い値上げに応じる事ないでしょっ
ヘルシャンもヘルシャンよっいくらお金持ちだって、こんな使い方しないでよっ使うんなら孤児院でも
福祉施設にでも寄付すればいいじゃない」
 一般ピープル的な正論だ。ヘルシャンも一言も無い。(勿論太郎も)
 「分かりましたよ・・・怖い思いした碓井さんがそれで良いって言うなら」
 そう言うと鞄を開けて、中から500万取り出し、残りをヘルシャンに返却する太郎。・・・・正面
玄関外でのやり取りだが、凄まじいやり取りだ。残り9千500万(9千500万だぞっ)を返却。
 「本当にいいの?未来・・・」
 「いいのっ香港の事件で凄い金額貰ってるんだもんっ」
 そう言うと車に乗り込もうとする碓井の手を握るヘルシャン。そして突然、
 「未来・・・僕のお嫁さんになってくれる?」
 「!」
 太郎含め、メイシェン、ペクフォンやオープシェン全員驚く。
 「は?・・・お嫁さん?」
 「うんっ未来お嫁さんにしたい!」
 『わ・・・若様?何をいきなり・・・』
 青ざめるペクフォン。当然だ。外国女性に懸想した5代前の当主の事を聞いた矢先に言う事か? 
太郎が手を振り払う。
 「タオ家なんかに嫁にやれるかっ」
 ・・・・お前は父親か?な突っ込みはおいといて、驚き固まる碓井を車に乗せる太郎。ヘルシャンも
何を考えているのか・・・車が静かに走り出す。
 『若様一体何を言い出すのです・・・ミス碓井が若君よりいくつ年上か、お教えしたではない
ですか・・・』
 ペクフォンは驚きながらもヘルシャンの言動を正そうとする。
 『6歳年上だろ?そんなの大人になれば関係ない』
 『若様っ!』
 『五月蠅いぞペクフォンッ』
 今度はメイシェンが、どうやら考えあっての言動でなく、ヘルシャンの本当に碓井に好意をもっての
発言に気づきヘルシャンを諫める。
 『若君、タオ家の当主たる言動ではございませんぞ。そのような事を言ったとて、ミス碓井がお受け
するとは限りませんし、そのような発言は手順を追って言う事です。それに若君は当主となる身で
ございます身分違いにも程が・・・』
 『黙れ!僕の決めたことに口をはさむなっ』
 そういうと屋敷内へ入って行った。一生懸命ヘルシャンを助ける碓井の姿がヘルシャンから見ると
女神のように見えたとて仕方ない事だが、ごくごく普通のOLの碓井にとっては迷惑(か?玉の輿だし・・・)な話しだ。又一騒動ありそうだが、太郎と碓井は事件に向かって車を走らせている為、
この件は又後ほどの事である。無論、碓井にとってこれは良い出会いとなる。
                                    つづく

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