おじさんの白馬日誌

大自然とのふれあいを楽しんでいます

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夜明けのスキャット

「今だから言える」ということがありますよね。
 
遠い昔に胸がときめいた瞬間。
由紀さおりのCD「ピンク・マルテ」を聞き、若かりしころの純粋な思いがよみがえってきました。
 
由紀さんの名曲「夜明けのスキャット」を初めて聴いたのは、彼女からの電話でした。
「こんな曲がはやっているの。知っている?」
受話器から聞こえるスキャットと「愛し合うそのときに この世は止まるの」の歌詞が印象的で、
黙って聞き入っていました。大学受験勉強真っ最中のころ。胸に突き刺さりました。
 
人間て忘れる動物だから、時とともに記憶は薄れていくのですが、
そのときの光景は、今でもはっきり残っているのです。
玄関の下駄箱の上にあった黒い電話。
居間には母がいて、父がいて…。聞こえないように小さな声でしゃべった彼女との会話。
毎日1時間も、よく話すことがあったな、と思っても、そのころは夢中で時間の感覚もなし。
 
あれから44年。
彼女のご主人は亡くなった、と風の便りに聞きました。
彼女の中では、淡い恋心に燃えた青春時代の私との思い出は消えても、
ご主人のことはいつまでも記憶に残っていることでしょう。
きっと「時計は止まった」ままなのでしょうね。
 
降り積もる真っ白に雪を見ながら、そんなことを考えていました。
 
 
 
 

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