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センバツ高校野球が開幕した。
毎年のことだが、「センバツ」の文字に、そして響きに春を感じる。
球児の晴れ舞台となる甲子園は、彼らの思い出の地であり
私にとっても忘れられない場所である。
何度も取材に行った。数多くのドラマを見てきた。
前橋高校の松本投手が、センバツ史上初の完全試合を達成したのを目の当たりに見た。
当時、前橋支局員で県大会をずっと追いかけていたわけだから
その偉業は自分のことのように嬉しかった。
七回が終わった段階で、「行ける」と確信したのは
松本投手のクレバーさを知っていたからだと思っている。
大リーガーで活躍している松井選手に対する「敬遠攻勢」も見た。
大舞台で一発打ちたかったろうに、松井選手は敬遠された後
悔しがるでもなく、そっとバットを置いて後続に期待した。
その姿に松井選手の気配り、野球に取り組む純粋な気持ちを感じた。
今、押しも押されぬ世界の打者になったのは、
素質、努力だけでなく、何事にも負けない「強い心」があるからだと思う。
時は過ぎ、昨年までの4年間は、主催者としての関係で開会式に行っていた。
開会式に臨む若々しい姿にいつも元気をもらった気がしたが
必ずと言っていいほど胸がこみ上げる瞬間があった。
大会歌「今ありて」の歌が球場全体に流れる時だった
阿久悠作詞、谷村新司作曲の名曲だ。
「今ありて 未来も扉を開く 今ありて 時代も連なり始める」
そう。今があるから未来があるんだ。今があるから時代も続いていくんだ。
勝負の結果より大事なもの。
「今」を大事にしてほしい、と整列している球児にエールを送っている自分がいた。
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