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1971年、まだ学生だった私は東京・大井町に下宿していた。
JR大井町駅から30分もかかる下宿まで、よく歩いた。バスはあったのだが、当時恋人だった妻とデートをしながらニコン通りを歩くのが好きだった。
そのとき、声を合わせていつも唄う歌があった。
尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」と「さよならをもう一度」だった。
どちらも別れの曲なのに、尾崎さんの心の底から搾り出す声量感と全力で歌いきる情熱感に惹かれていたのかもしれない。
5月31日に尾崎さんの訃報を聞いて、当時がよみがえった。
まだ緑の残っていた界隈の木々の葉がこすれあう音、ほほをなでる風の感触も一緒に…。
そして、隣にはいつも「愛すべき彼女」がいた。
ただ、「二人でドアを閉めて 二人で名前消して…」「このままいると 壊れそうな…」。そうなって欲しくはない、と胸の中でつぶやく自分もいた。
あれから41年。まだ、尾崎さんの歌った詞は体験していない。
それは、きっと幸せなことなのだろう。
曲を通して作った二人だけの思い出。名曲はいつまでも胸に残る。
昭和がまたひとつ失われた。
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