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私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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9月1日以降は新規投稿できないはずなのですが、できそうなのでテスト投稿してみます。

その前に宣伝。
9月中におそらくFC2ブログに、「クラシック音楽の名曲名盤この一枚」というようなタイトルで移転します。(すぐ移転しないのはいろいろ迷っているからです。移転するよりも心機一転新しいブログを立ち上げたほうがよくないか?とか。)
このブログが閲覧できなくなったら、移転したということです。
いずれにせよ、よろしくお願いたします。

さて、このブログのアクセス解析です。

まず直近30日間の訪問者数の推移です。
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8月15日が最も多かったです。お盆休みだったからかな? この一カ月間は安定した訪問数でしたが、最盛期の訪問者数には及びませんでした。

次に直近30日間のPV数の推移です。
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ちなみにPVとはページビューのことで、1日のうちにこのブログが表示された回数を表します。同じブログ内で複数のページが表示された場合、表示された回数に応じてカウントが増えます。

流入元です。
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Googleで検索して訪問される方が多いのです。

訪問者様の年代です。
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圧倒的に60歳以上と50代が多いのですが、10代や20代の方も訪問してくださいます。

訪問者様の性別です。
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やっぱり女性が少ないですね(泣)

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ブルックナーの交響曲第9番を途中で挫折してしまったのが心残りです。

検索キーワード
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2019年9月1日 (日)23時45分現在の訪問者数など
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目標2,000,000アクセスだったのですが、叶わぬ夢となりました。

以上、テスト投稿でした。

今度こそ終了です。

皆様には大変お世話になりました。

お気持ちさわやかに毎日をお過ごしくださいませ。
Yahoo!ブログではこれが最後の投稿になります。ぎりぎりまで選曲に迷いましたが、最終的にこの曲に決めました。

ヨハネス・ブラームス 交響曲第1番ハ短調作品68
第1楽章 Un poco sostenuto - Allegro
第2楽章 Andante sostenuto
第3楽章 Un poco allegretto e grazioso
第4楽章 Adagio - Più andante - Allegro non troppo, ma con brio - Più allegro


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
ヨーロッパ室内管弦楽団
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
2000年5月11〜14日(ライヴ)
バーデン=バーデン
【お薦め】
これは20世紀の録音なのですが、惜しいので21世紀の名盤に入れてしまいます。
第1楽章の序奏は、大編成の大河のような演奏に慣れた耳には軽く物足りなく感じられるでしょう。それでも力強さには欠けていません。この小さな編成ならではの細部までよく聴き取れる演奏に新鮮味を感じるはずですし、暑苦しいブラームスが苦手な人には支持されるでしょう。木管楽器が弦に覆い隠されずきちんと聴こえるのがありがたいです。最近流行りのベートーヴェンの編成ぐらいでしょうか(なお、提示部は繰り返されます)。編成だけではなく、オーケストラがベルグルンドの指揮に必死に食らいついていくようで、緊張感を伴った白熱した演奏になっているのも特筆されます。
第2楽章も各声部が聴き取りやすく、響きはあっさりしていますが感情はたっぷりと込められています。
第3楽章は他の楽章より木管楽器が活躍するのでこの演奏スタイルに合っていると言えます。A'の部分ではこういう曲だったのかと初めて知ったような気分になります。
第4楽章も序奏は重厚感がありませんが、その後の現のピッツィカートやティンパニのロールには緊迫感があります。序奏の第2部もホルンとフルートのバランスが良く、トロンボーンとファゴットのコラール風主題も同様です。第1主題の弦楽合奏も気品があります。ヴァイオリンの対向配置も効果的で、見通しのよさに貢献しています。原典通りなので慣例版に親しんでいる人にはあれ?と思うところも多いと思います。オーケストラの響きは清冽そのもので、清々しくさえ感じられます。コーダも押し出しの強いものではありませんので、ここれは物足りなさを感じるかもしれません。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
マリン・オールソップ(指揮)
2004年

アメリカ合衆国の女性指揮者であるオールソップによるブラームスです第1楽章は(最初は)少しこもり気味の録音が気になりますが、堂々たるブラームスです。意外に昔ながらの重厚感と悲壮感のある序奏で力がこもっています。提示部に入っても同じ(提示部のリピートは有りです)です。全体にこぶしが回っているというか、多くの人がイメージするブラームスらしさが溢れています。細やかな表情にも欠けていません。
第2楽章も重厚な響きでありかつ繊細です。この演奏も従来路線から逸脱しておらず、違和感なく聴けるものでしょう。
第3楽章も名前を伏せて聴かされたら往年の名指揮者の名前を上げそうです。まずは理想的なこの楽章の再現といってよいでしょう。
第4楽章も感想を書こうとすると単なる楽曲解説になってしまいそうな演奏で、このようなスタイルであれば21世紀の名盤としてこれを選ぶ必要もないような気がしてきます。20世紀の録音でお好みの指揮者でどうぞと言いたいほどです。では全くオールソップの録音が取るに足らない演奏かというと、そうでもなく、アルペンホルン風主題をフルートがリピートするところや第1主題の提示などうまいなぁと思いますし、テンポの変化も自然です。ただ、名盤とするにはあと数歩足りないように思われます。(評論家A氏はなぜこれを平成の名曲名盤に推したのでしょうか。)


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)
2007年秋(ライヴ)
ロンドン、パリ

第1楽章は速めのテンポ、オリジナル楽器の響きが心地よいです。オーボエやフルートの物悲しい響きと弦の後の主部はやや速めで推進力があります。21世紀の名盤と題するからにはこのような演奏をご紹介しなければなりません。期待どおりです。ただ速いだけでなく緩急自在です(提示部は繰り返されます)。オーケストラはブラームスらしい内声部が充実した響きで、十分分厚い響きが得られています。ブラームスの交響曲第1番を聴くともなると身構えてしまうのですが、このような演奏であれば大歓迎です。
第2楽章は割とあっさりと進められていきます。主部も中間部もオーボエの独奏が実に美しい。ホルンも第1ヴァイオリンの独奏も夕映えを観るようです。
第3楽章は速めのテンポで弾むようなリズムが愉しいです。
第4楽章の序奏はこの部分に最もふさわしい表現というものがあって、ガーディナーもそこは他の演奏と変わるところがありません。アルペンホルン風のホルンの主題もそれを繰り返すフルートも一般的です。コラール風主題も同様。第1主題は一転して速くなるのではと予想しましたが裏切られ、その後も(面白い節回しがありますが)オーソドックスです。オリジナル楽器・小編成による細部の見通しのよさは言うまでもありませが、あまり意外性がないのはそれを良しとするか判断に迷うところ。ガーディナーをピリオドオーケストラで聴くのであればもっと新しい発見が欲しかったです。もっともガーディナーのベートーヴェンもそんな感じでしたね。準お薦めといったところ。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
バイエルン放送交響楽団
マリス・ヤンソンス(指揮)
2007年10月30-31日(ライヴ)
ミュンヘン,ヘルクレスザール

マリス・ヤンソンスって録音が多いですね。2つの名門オーケストラの常任を務めるだけのことはあります。
第1楽章序奏部はこの曲にふさわしい重厚感に艶を与えたものです。たっぷりと粘った表現がこの曲らしさを十分表現しています。録音も良いと思います。主部もやや粘りつつ堂々たる進行です。期待されるイメージに十分応える演奏といったところでしょうか。さすがバイエルン放送響といったところで美しいアンサンブルを聴かせてくれます。このようなスタイルであれば時おりもう少し厳しい表現がほしいと思うこともありますが、これだけの演奏はめったに聴けるものではありません。
第2楽章は冒頭が息をのむほど繊細な表現であることに驚かされます。マリス・ヤンソンスとはこんなにも懐の深い指揮者であったのかと見直しました。独奏楽器の引き立て方が非常に上手です。
第3楽章も申し分ありません。旋律は豊かな歌に溢れ、デリケートに扱われます。あまりに横に流れすぎるので、もう少しキリッとした表現があってもよいかと思いますが、
第4楽章はやはり序奏が重厚です。アルペンホルン風とコラール風の主題も朗々と二われます。そのあとの第1楽章の美しさと気品を兼ね備えた表現も絶品ですが、これはオーケストラを褒めるべきかも。その後もこの主題は豊かにたっぷりと歌われていきます。ただ、この楽章でももう少し切迫感、ドラマティックなものがあったらなおよかったと思います。全曲を通じて楽観的に聴こえてしまう嫌いがあったのでした。準お薦めです。最後に拍手が収録されています。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ウラディーミル・ユロフスキ(指揮)
2008年5月25日(ライヴ)
ロンドン,ロイヤル・フェスティヴァル・ホール

近年ますます人気が高まっているユロフスキ(1972年生まれ)が2007年から首席指揮者に就任しているロンドン・フィルとのブラームスです。
第1楽章の序奏は速めのテンポでブラームスの焦燥感のようなものが感じられ、この演奏はいろいろ発見がありそうだと期待が高まります。きびきびとした音楽進行が心地よく、これでもう少し熱いものが感じられたら言うことなしかもしれません。なかなか聴かせる第1楽章でした。
第2楽章は緩急の差を大きく取った演奏です。粘らないので清々しく抒情的です。
(聴きながら作業をしていたので感想を書く手が止まってしまいました。集中集中!)
第3楽章は短いですが私の好きな曲。ユロフスキの指揮は奇をてらったところがなくオーソドックスそのものですが、安心して聴けます。
第4楽章で最も個性的な演奏はヴァント指揮のものだと思っているのですが、この楽章は「型」ができていて、変わったことはやりづらいのかもしれません。アルペンホルン風とコラール風の立派な演奏のあと、やや速めの第1主題、ミュンシュ盤のような熱さを期待したいところです。両翼配置が効果を上げているところもありますが、端正な演奏という域を超えるのは難しいようです。それでもコーダにはこだわりがあり、ユロフスキが一矢報いたという気持ちがします。最後に拍手がありライヴ録音であることに気がつきました。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サー・サイモン・ラトル(指揮)
2008年10月29日ー11月14日(ライヴ)
ベルリン,フィルハーモニー
【お薦め】【決定盤】
ラトルが満を持して(?)ベルリン・フィルでブラームスの交響曲を録音したときは、いくつかのブログで話題になりました。当時、私も感想を書きましたが、意外なことにおまけのDVDのほうが演奏が良かったという記憶があります。改めて聴いてみます。
第1楽章序奏の充実した響きはさすがベルリン・フィルであり、思わず息をのみました。ここだけで【お薦め】を付けたい気分です。他のオーケストラとは格が違うという気がします。響きだけでなく彫も深いのです。提示部に入ってからも堂々としており、横綱相撲といった感があり、向かうところ敵なしで圧巻です。これほどの演奏が某誌の名曲名盤500でかろうじて1票というのは信じられません。提示部は繰り返されずに展開部となりますが、ラトルが磨き上げたベルリン・フィルのサウンドは究極のオーケストラという気がします。旧EMIの録音も優秀です。どこもかしこも理想的です。
第2楽章もベルリン・フィルのたっぷりとした分厚い弦の響きが印象的です。オーボエをはじめとする各独奏も素晴らしいです。オーソドックスなようでいて彫琢の限りを尽くした表現に魅せられます。ベルリン・フィルの凄いところは、ブラームスの第1交響曲のような自家薬籠中の曲でも緩みがなく全力投球していることです。
第3楽章も重心の低いサウンドで、これ以上ないくらいブラームスらしい演奏となっています。伴奏セクションのキレ・リズム感の良さも特筆物です。
第4楽章序奏の重さ・美しさも理想的です。序奏第2部のアルペンホルン風の主題、コラール風の主題の巧いこと。
この演奏のすごいのは、どこもかしこも素直に受け止めることができるということ。他の演奏はたまに首をかしげたくなる箇所が多かれ少なかれあるのですが、この演奏はちっとも嫌なところがありません。それでいて少しも退屈ではないのです。ただひたすら聴き惚れる演奏でした。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
スウェーデン室内管弦楽団
トーマス・ダウスゴー(指揮)
2011年3月
スウェーデン,エレブルー・コンサートホール

第1楽章序奏は速いテンポで過去のブラームス交響曲第1番像を打ち破ってくれるのではないかという期待が高まります。主部に入ってからもキリッと締まったテンポで、小編成オーケストラならではの明快なテクスチュアが楽しめます。提示部は繰り返されますが、テンポが速いのでもたれません。ただ速いだけではなく緩急差もきちんと設けていますので表情にメリハリがあります。
第2楽章は小編成でも重い響きが維持されています。情に流されない指揮ですが、ブラームスの緩徐楽章の叙情性はしっかりと感じられます。ただ、味は薄めですね。
第3楽章も良い演奏ですが、他の演奏に比べて特に優れている何かがあるというわけでもなく、普通です。
第4楽章序奏は小編成オケならではの軽快なフットワークを聴かせますが、第1主題提示に入ってからはこれまた普通でオーソドックスな音楽づくりです。たまに両翼配置が耳を引きます。もう少し木管楽器等が聴き取れれば新鮮味を感じることができるのですが、録音が助けてくれません。この楽章でもテンポの収縮がはっきりしており、活動的な印象があります。
ただ、全曲を通じての感想は、当初予想したほどではないということでした。好演なのですが。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
2011年2月

「作曲家はスコアに無駄な音は書かない」「スコアに書かれている以上、すべての音が聴衆に聴こえるべきだ」との信念を持っているというスクロヴァチェフスキのブラームスです。
第1楽章序奏はなんて立派な響きなのでしょう。録音も良好で名演の期待が高まります。普段は聞き取れないリズムも聴こえてきます。主部は一音一音を踏みしめるように進んでいきますので必然的に内容が濃い音楽に聴こえます(提示部は繰り返されます)。ただ、だんだんもたれてくるのも事実。指揮者もオーケストラもスコアに忠実なのはよいのですが、もう少し情念のようなもの、ドロドロしたものを聴きたくなります。響きが本当に立派なだけに惜しいと思います。
第2楽章も惚れ惚れとするバランスの良い響きです。第1楽章もそうでしたが、木管楽器がよく聴こえるのがありがたいですし、弦も内声の動きがよくわかります。オーケストラが一体化してひとつの生き物として動いているようです。
第3楽章はゆったりとしたテンポで丹念に演奏されていきます。クライマックスに向けてもう少し加速してもよいと思うのですが、スコアの忠実な再現が第一のようです。
第4楽章上層部は重さと昏さが確保されています。序奏の第2部も厳かな雰囲気がよく出ています。第1主題は予想したより速いテンポで輝かしい印象があります。編成の大きなオーケストラでもこれだけ細部がよく聴き取れるのであればブラームスの交響曲を小編成で演奏する意味はないのではと思ってしまいました。とにかく最後まで「立派な」響きのする演奏でした。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
ロンドン交響楽団
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
2012年9月,10月,12月(ライヴ)
ロンドン,バービカン・ホール

2007年から首席指揮者の任にあるロンドン交響楽団を指揮してのゲルギエフのブラームスです。
第1楽章序奏はゲルギエフらしい重厚な音づくりですが、剛柔併せ持つと言ったほうがよいかもしれません。提示部は繰り返されますが、渋い響く重く引きずるような演奏ですが、録音のせいか、それほど熱の入った演奏には聴こえず、ゲルギエフへの期待が多少裏切られた感じがします。けして単調な演奏ではないのですが、どこか客観的です。
第2楽章も水墨画のような響きで多彩ではないところが、ブラームスらしいとも言えます。ただ、なぜいかあまり惹かれず音楽に集中できないのも事実。聴き比べで私がこの曲に飽きてしまったからでしょうか。
第3楽章も端正な演奏です。ゲルギエフはロンドン響の伝統的なブラームス演奏に乗っかって、そこに最小限の自分らしさを付与しているかのように思われます。
第4楽章序奏は予想したほど偉丈夫ではない感じがします。第1主題はイギリスの名門オーケストラらしく端正で気品があります。ただ、ゲルギエフに期待してしまう情熱的な演奏は最後まで聴くことができず、少々物足りなさを感じます。あくまで格調の高さを重視しているようです。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調 
シュターツカペレ・ドレスデン
クリスティアン・ティーレマン(指揮)
2012年10月(ライヴ)
ドレスデン,ゼンパーオーパー

ティーレマンにはミュンヘン・フィルとの2005年6月ライヴもDGから発売されていますが、これは再録音のほうです。首席指揮者就任の年に録音したブラームス。
第1楽章序奏はなかなか良い感じです。重厚過ぎず軽くなく、これは期待が持てるかもしれません、と思ったのですが、主部に入ってからわざとらしいテヌートやオーバーなリタルダンドが気になります。ティーレマンの演出が見えてしまう(底が浅く感じられる)のです。ただ、オーケストラの響きの美しさは格別です。
第2楽章は第1楽章で感じた欠点が気にならず、ただただ音楽に身を任せていればよいだけの演奏です(と思いましたが今度はアッチェレランドが気になったりします)。
第3楽章も第1楽章と同じような感想を持ちました。わざとらしさが気になるのです。常に、ではないのですが、たまにやると目立ってしまうのです。
第4楽章はやっぱりアルペンホルン風とコラール主題がさすがシュターツカペレ・ドレスデンというところで美しく気高い演奏を聴かせてくれます。第1主題直前の間の長さ、そして第1主題が弱音で開始されるのは意外で、はっとさせられるものがありましたが、その後の音楽づくりは無理に盛り上げようとしているように感じられ、いまひとつ音楽に没入することができないのです。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
リッカルド・シャイー(指揮)
2013年3月,5月
ライプツィヒ,ゲヴァントハウス
【お薦め】
シャイーにはコンセルトヘボウ管との旧全集がありますが、これは2005年からカペルマイスターに就任したゲヴァントハウス管との再録音です。
第1楽章序奏は重厚な響きかつ速めのテンポで攻めの姿勢がうかがえます。ダイナミックレンジも広く(録音は優秀)、最初のクライマックスは圧倒的です。主部も速度設定や楽器バランスが適切でゲヴァントハウス管も鮮烈な演奏でそれに応え、いぶし銀の響きが相乗効果を発揮しています。提示部が繰り返されますが、積極的なブラームスなのでちっとも長たらしく感じません。
第2楽章は演奏による差があまり出にくい曲なのですが、速めのテンポでよく歌う凛々しい演奏となっています。主旋律に対する伴奏が大きめで、全体にリズムを強めに出しているようです。
第3楽章も第2楽章と似た解釈で、弾むようなリズムと溢れる歌心が特徴的です。
第4楽章も積極性に変わりはなく、音楽に推進力があり、情熱的です。壮大なアルペンホルン風主題と敬虔なコラール風主題の対比も見事。第1主題は途中からテンポを速め、緊張感を高めています。それが自然な感興のうちに行われているのが好ましいのです。最後まで熱っぽさを維持しており、聴き応えがあります。この曲の聴き比べも自分の中でマンネリ気味でしたのでよい刺激になりました。


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ブラームス 交響曲第1番ハ短調
タピオラ・シンフォニエッタ
マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)
2016年1月
フィンランド,タピオラ、エスポー・カルチャーセンター

いつもデータを参照させていただいているHMV & BOOKSさんによると「マイニンゲン宮廷管弦楽団とほぼ同じサイズ、対向配置、弦楽パートは徹底したノン・ヴィブラートと、ピリオド・スタイルを採り入れた演奏」だそうで、聴くのが楽しみな一枚(3枚組だけれど)です。
第1楽章序奏はまるでオルガンのような響き。主部は小編成のため和音が寂しいです。よく言えば透明感のある(澄んだ)、さもなければ痩せた(枯れた)響きです。煩くなく威圧的でないサウンドは耳に優しく、第1楽章はこんなにも叙情的な音楽であったかと思うほどです。淡々と音楽は進んでいき、ブラームスの音楽が古めかしく聴こえます。
第2楽章のほうがこの演奏スタイルに合っているかもしれません。ほんのりと暖かい素朴な音楽を聴かせてくれます。
第3楽章は第2楽章以上にふさわしいと思いました。都会的で洗練された演奏が多い中、これは土の香り、草木の匂いがする演奏です。
第4楽章の序奏第1部は軽いです。第2部はそれがあまり気になりません。そして第1主題は速く抑揚を巧く付けながら歌われます。この部分でこの演奏をここまで聴いた甲斐があったと思わされます。
ただ、今回思ったのですが、ブラームスの交響曲第1番はピリオド・スタイルじゃないほうが良いですね!


ブログの移転先

日程はもう少し後になりますが、FC2ブログに移転することを考えています。
検索エンジンに重複を悟られないよう?ブログタイトルは「クラシック音楽の名曲名盤この一枚」(似た名前のブログがいくつかあったので変更しました)に変更します。ハンドル名はもっとカッコイイ名前に変えたかったのですが「ハルコウ」のままで我慢します。
このブログはnemo2さんに教えていただいた
でバックアップをした後、利用停止(削除)する予定です。新しいブログが検索エンジンでヒットするための処置ですので、ご理解ください。

2008年12月7日(日)の開設以来、ご訪問いただいた方に感謝申し上げます。

「Yahoo!ブログ サービス終了のお知らせ」の「終了までのスケジュール」によると、9月1日以降は「記事・コメント・トラックバックの終了および編集機能終了」とあるので、8月31日までがそれらができる期限ということになります。(機能ごとのスケジュールでは9月1日終了となっているのは間違いではないのか?)

「Yahoo!ブログ サービス終了のお知らせ」を知ってすぐにブログの移転を検討しましたが、結局ぎりぎりまでYahoo!ブログにしがみつく結果となってしまいました。

このブログの売りの一つである「聴き比べ」の記事も、今回とあともう一回できるかどうかというところ。最後の1曲がまだ決められないので、間に合わないかもしれません。

そのようなわけで、これが最後になるかもしれませんので、初心に戻ってベートーヴェンの交響曲を取り上げたいと思います。

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園」

第1楽章 Allegro ma non troppo
「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」
ヘ長調 4分の2拍子

第2楽章 Andante molto mosso
「小川のほとりの情景」
変ロ長調 8分の12拍子

第3楽章 Allegro
「田舎の人々の楽しい集い」
ヘ長調 4分の3拍子

第4楽章 Allegro
「雷雨、嵐」
ヘ短調 4分の4拍子

第5楽章 Allegretto
「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」
ヘ長調、8分の6拍子

吉田秀和先生がその著書「LP300選(新潮社)」で「それから、交響曲に戻ると、ご存じ『第六交響曲田園』がある。が、私はあんまり好きではない。好楽家に憤慨されるだろうが、私はとらない。」と書いてしまったことから、一段低く見られているこの交響曲ですが、私は好んで聴きます。第5番や第7番より好きかもしれません。

「田園」はいわゆる名曲ですので録音もたくさんありますが、今回は21世紀に入ってからの録音に絞って聴きます。ちなみに21世紀は2001年から始まります。2000年からでありません。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
クラウディオ・アバド
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2001年2月(ライヴ)
ローマ,サンタ・チェチーリア音楽院

アバド/ベルリン・フィルには1999-2000年のセッションもあるのですが、これは2001年のライヴ録音です。20世紀と21世紀に2つのベートーヴェン交響曲全集をリリースするとはさすがアバドです(もっとも後者はDVDの音声トラックをマスタリングしたものですが)。
第1楽章の厚みのある響きはさすがベルリン・フィル、テンポも中庸を保ち、旋律をよく歌い、抵抗感なく曲に親しめます。モーツァルトの時にはH.I.P.(作曲された当時の楽器(オリジナル楽器、 ピリオド楽器 )を用い、楽譜や奏法に関しても作曲当時の情報を可能な限り調べてオリジナルに近い形で演奏するという、いわゆる HIP (Historically Informed Performance)) を意識した演奏を聴かせるアバドですが、「田園」は(編成は小さいが)昔ながらのベートーヴェンを着かえてくれるので安心できます。ベートーヴェンの交響曲中、最もアバドに合っているのは「田園」ではないかと思ってしまいます。
第2楽章も丁寧に演奏をしています。弦が少ないので木管とのバランスが良好です。やや速めのテンポであっさりともたれないのがよいです。
第3楽章も。第1楽章と同じくオケに厚みがあり、適度に活気もあり、優れた演奏と思います。ベルリン・フィルの管楽器はさすがに巧いですね。
第4楽章も迫力は十分です。ティンパニが効いています。
第5楽章も構成は立派ですが、牧歌的な雰囲気もよく出ています。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
トーマス・ファイ
ハイデルベルク交響楽団
2000年

第1楽章は残響が多い録音ですが、速めのテンポで抑揚が大きく、ヴィブラートを抑制した小編成の弦(両翼配置が効果的)に木管楽器が大きく聴こえ、活気があるものとなっています。平たく言えばワクワク感の高い演奏ですね。喜びに溢れた演奏ということができます。
第2楽章は第2ヴァイオリン、ヴィオラ、独奏チェロの音が深く、いつもと変わった響きが新鮮です。常に木管楽器が大きく聴こえ、主役を主張しています。くすんだ音色の弦はあまり目立ちません。全体に平穏な気分が漂っています。
第3楽章もくすんだ響きですが、木管が素朴な感じでよい雰囲気を醸し出しています。中間部2/4拍子でいきなりテンポを速めるのが田舎踊りぽっくて楽しいです。
第4楽章は一転してテンポが落ち着きを取り戻したのも束の間、嵐が始まりますが、ここれはもう少し思い切った表現を望みたいところです。なかなかの迫力ではあるのですが。
第5楽章もホルンや木管楽器が大きめに聴こえます。弦が量感に乏しいということはありません。むしろ色彩的です。チェロとファゴットにオブリガード旋律が再び出るあたりからの高揚感、それがひと段落ついてからラストまでもなかなか聴かせるものがあります。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
サイモン・ラトル
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 
2002年4月、5月(ライヴ)
ウィーン,ムジークフェラインザール
【お薦め】
2002年4月29日から5月17日にかけて、ウィーンのムジークフェラインザールでおこなわれた連続演奏会を収録したライヴ録音の1枚です。
第1楽章第1主題がゆったりとしたテンポで歌われるのにほっとします。ベーレンライター版使用、二管編成、ヴァイオリン両翼型というこだわりがあっても聴こえてくるのは昔ながらのベートーヴェンといった感じがして安心して聴くことができます。ウィーン・フィルの雅やかな音色もそれに貢献しています。多少粘るところもありますが、美しく気持ちがよい演奏です。
第2楽章はひそやかに始まり、弱音主体の弦にウィーン・フィルの木管が美しいです。極上の第2楽章と言えましょう。コーダも思い入れたっぷりに演奏されます。
第3楽章も奇をてらわらないオーソドックスな演奏で誰にでもお薦めできるものです。中間部も過度に速くなったりしません。これも丁寧な演奏です。
第4楽章はトゥッティにさらに一段と迫力があったらと思いますが、この編成ではこれが限界なのかもしれません。しかし、ピッコロの叫びがすさまじい。
第5楽章も立派な音楽を聴かせてくれます。主題は細心の注意をもって歌われ、常に楽器間のバランスに留意がなされ、この楽章も最後まで安心して聴くことができました。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
サー・ロジャー・ノリントン
シュトゥットガルト放送交響楽団
2002年3月9日(ライヴ)
シュトゥットガルト,リーダーハレ
【お薦め】
ノリントンには、ロンドン・クラシカル・プレイヤーズを指揮した1986〜88年の録音もありますが、これはシュトゥットガルト放送響を指揮した新しいほうの録音です。
第1楽章は緩急豊かですが、全体に速めのテンポで快活に演奏されており、喜びに溢れています。まさに「田舎に到着したときの愉快な感情」といったところ。細部まで見通しがよく伴奏音型もよく聴き取れます。単調に陥らぬよういろいろと工夫もこらしています。録音も良いです。
第2楽章でも他の演奏では聴くことのできない表現があり新鮮です。木管楽器が常に前面に立てられ、クリアな録音のせいもあってよく聴き取ることができます。それがこの楽章では効果を発揮しています。
第3楽章も前2楽章と同様で、終始快活であり、木管やホルンが常に鮮やかです。
第4楽章はすごい迫力です。ティンパニの強打がすさまじい。
第5楽章は第1ヴァイオリンの主要主題提示が美しく奏でられ、祈りに満ちているようで息を呑むほどです。充実の名演で、最後はブラボーと拍手が収録されています。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
トマス・ダウスゴー
スウェーデン室内管弦楽団
2003年

「田園」の場合、演奏がHIP (Historically Informed Performance)を意図したものでも割と抵抗感なく受け入れることができます。「田園」という曲の器が大きいのでしょう。
第1楽章はデッドな空間の中、乾いた響きの演奏が繰り広げられ、もう少し潤いを求めたくなりますが、柔らかい弦と素朴な管楽器に次第に惹き込まれるようにはなります。
第2楽章は終始穏やかな雰囲気に支配されています。ただ、あまりにも平穏無事(安全運転)過ぎ、もうちょっと何かないかという気もしてきます。オリジナル楽器による演奏という以上の特徴があまりない(全然ないわけではない)です。木管が奏でるリズムが面白かったりはしますが。
第3楽章もくぐもった響きが気になり、あまり愉悦感の感じられない演奏です。
第4楽章も録音のせいか、いまひとつ盛り上がりに欠けます。
第5楽章はホルンの音色が古風なのが耳を引きますが、解釈が現代風なので、モダン楽器による演奏でもよかったのではないかと思ってしまいます。ただ古臭い音色がするだけの演奏に聴こえてしまうのです。聴いていて少し飽きました。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ブルーノ・ヴァイル
ターフェルムジーク・バロック管弦楽団
(音楽監督:ジーン・ラモン)
2004年

未入手。これを聴かずして21世紀の「田園」を語ることなかれという思いがしますので今後入手に努めます。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
ザールブリュッケン放送交響楽団
2005年10月31日-11月3日
ザールブリュッケン,ザールラント放送大ホール
【お薦め】
第1楽章はやっぱりモダン楽器が良く、第1主題の楽しさ、美しさを味わうことができます。第2主題もほのぼのしていて素敵です。スクロヴァチェフスキの信念である「スコアに書かれている以上、すべての音が聴衆に聴こえるべきだ」のとおり見通しの良い演奏で低弦の動きなどよくわかります。
第2楽章も痒い所に手が届くような演奏で隅々にまでスクロヴァチェフスキの意図が反映されています。繊細かつ濃厚で豊かな音楽で第2楽章はこうでなくてはと思わせるものがあります。
第3楽章は厚みがあるけれど各楽器が聴き取りやすい見通しのよい演奏となっており、木管楽器が活躍するこの楽章にふさわしい演奏といえます。
第4楽章は、迫力のある演奏です。ティンパニの強打も効いています。
第5楽章も構成が立派です。例えば主要主題に基づく無窮動風な16分音符のオブリガードなど努めて対旋律が聴こえるよう工夫しているようです(この箇所はベーム/ウィーン・フィルが最も立派でした)。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ベルナルド・ハイティンク
ロンドン交響楽団
2005年11月16-27日(ライヴ)
ロンドン、バービカン・センター

9月6日のルツェルンでの公演をもって引退するという90歳のハイティンクが76歳のときに指揮した「田園」です。
第1楽章は、ハイティンクらしい自然な表現です。何の変哲もないと言ってしまえば元も子もなくなりますが、最上のオーケストラバランスを保ち、美しく歌いあげている演奏です。安定感は抜群です。
第2楽章も同様で、柔らかい弦の音色が素敵で繊細な気配りが行き届いており、耳に心地よい音楽となっています。ラストの小鳥の声の描写など本当にデリケート。
第3楽章もこの曲のお手本のような演奏で、主部と中間部の適切なテンポ配分、若々しい音楽づくりなど、文句のつけようがありません。
第4楽章冒頭の緊迫感、全合奏の嵐など迫力も十分です。低弦の不気味さもよく表出されています。
第5楽章への転換も何気なく行われているようで細心の注意が払われており感動的です。ピアニッシモで弦が主要主題を演奏するところなど本当に美しいです。
全体を通じて76歳のハイティンクの円熟の境地にある演奏でしたが、短所がない代わりにこれといった特徴に乏しいのも事実なので無印とします。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ミハイル・プレトニョフ
ロシア・ナショナル管弦楽団
2006年6-7月
モスクワ音楽院大ホール

第1楽章は初めから驚きます。止まりそうなテンポで第1主題が提示されたかと思いきや、そのあとは非常に急速なテンポで進み、第2主題も同様。繰り返しの前には大きく間を取ったり、思いっきりリタルダンドしたりと変化の多い演奏ですが、このような聴き比べでは聴き飽きが生じてくるのですごく新鮮で面白いです。やりたい放題で大変忙しい第1楽章でした。
第2楽章はやや速めのテンポで特に大きな変化もなくこのまま進むのかと思いきや、そのとおりでした。さすがにこの曲でオーヴァーな表情は似つかわしくないと判断したのでしょう。フルート、オーボエ、クラリネットが鳥の声を模すところはさすがにテンポを落として演奏していました。
第3楽章主部は普通のテンポで始まり、演奏も変わったところはありません。主部の後半も同様です。中間部もいたって普通(多少の変化はありますが)他の演奏と大きく変わりません。あの第1楽章はなんだったのだという思いがします。
第5楽章は速めのテンポで始まり、何やらやらかしてくれる予感がし、凄まじい嵐となりました。「雷雨、嵐」はこれぐらいの演奏をやってくれると満足します。
第5楽章はクラリネットが思いっきり音を延ばし、続くホルンも同様、その後はやや速めのテンポで進行し、中間主題、再現部も特に演出効果を打ち出さない演奏で、肩透かしを食らった感じです。最後は再弱音まで落とし、テンポも遅くなって眠りに落ちるようになってから終わります。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ヨス・ファン・インマゼール
アニマ・エテルナ
2006年11月13-16日
ブリュージュ,コンセルトヘボウ

アニマ・エテルナは、ベルギーを拠点に活動する古楽器オーケストラで、インマゼールによりJ・S・バッハのチェンバロ協奏曲を録音するため設立された団体だそうです。
オリジナル楽器による演奏ですが、第1楽章は響きも解釈も違和感ありません。第1主題も第2主題もスムーズ、よく流れます。弦の編成が小さいのでホルンがよく聴こえます。
第2楽章はゆったりとよく歌っている演奏。この楽章もホルンや木管楽器がよく聴こえるのがありがたいです。オリジナル楽器ということで、弦はもちろんのこと、フルートの音色が違うのが音響的にかなり変わった感じがしますね。最後の鳥のさえずりはモダン楽器より、らしく響きます。
第3楽章ははしゃいでいるような愉悦間に溢れた演奏。クラリネットやホルンの素朴な音色が好ましいです。オリジナル楽器のほうが田舎っぽさがよく出ています。
第4楽章は音の洪水。ティンパニの一打一打が効いています。嵐が波状的に荒れ狂う様がよく表現できていると思いました。
第5楽章も終始ホルンがよく聴こえるのですが、この楽章では少々うるさく感じられ、賑やかな牧歌となりました。涼やかな弦が心地良いです。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
オスモ・ヴァンスカ
ミネソタ管弦楽団
2007年
【お薦め】
第1楽章提示部はしっとりとした響きで、楽器のバランスが絶妙で各楽器が奏でる音楽が有機的につながっています。当たり前のようでいてどうして他の演奏ではやっていないのだろうと思える箇所もあります。展開部・再現部でもそれは同じで、全体におっとりとした感じなのですが、細心の注意を払って演奏されていることがよくわかります。
第2楽章は先の楽章でもそうだったのですがヴァイオリンがくすんだ響きで、それが落ち着いた印象を与えます。緊密なアンサンブルによる非常に丁寧な演奏で、一部の隙もありません。それでいてヴァンスカの指揮に堅苦しい印象は全くなく自然と音楽が語りかけてくる感じです。
第3楽章も見事な演奏です。柔らかさと剛さの切り替えが巧みで、中間部は速めのテンポで一気に駆け抜ける印象があります。コントラバスがはっきりと聴き取れるのも前2楽章同様です。
第4楽章はことさら嵐であることを強調した荒々しい演奏ではないのですが、シンフォニックな響きが素晴らしいです。あくまでバランス重視ですが、迫力は十分あります。
第5楽章も充実した響きです。低重心型の弦5部のバランスが良いのです。例の16部音符で第1ヴァイオリンから第2ヴァイオリン、ヴィオラとチェロへ旋律が受け継がれていく箇所も美しいです。最後も美しい演奏でした。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
パーヴォ・ヤルヴィ
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2007年12月15日〜17日
【お薦め】【決定盤】
パーヴォ・ヤルヴィのモダン=ピリオド・アプローチによるベートーヴェンは、評論家さん達に絶賛されていて、私も発売されるたびに購入していました。ただ、その演奏はあまり良いとも思えなかったのですが、今回改めて聴き、その真価を問いたい(おおげさ!)と思います。
第1楽章は、新鮮です。既にいろいろな演奏を聴いた後ですが、それでもここはこうであったかという発見があります。録音も優秀で、ベートーヴェンが書いた楽譜が手に取るように分かるようです。小編成ながらもしっかりとしたバスの上に和声が構築され、響きに厚みがあり、それが実に心地よく、メリハリも効いていて素晴らしいです。
第2楽章も第1楽章で述べたことがそのまま当てはまります。そのプロポーションの美しさは完璧といってよいほどです。ただ単に美しいだけでなく、木管楽器のメロディひとつひとつが考え抜かれたものとなっており、表面的ではなく内容の濃い美しさとなっているのです。
第3楽章も期待を裏切りません。実はいくら「田園」が佳い曲とはいえ、いささか聴き飽きてきたのですが、この演奏は音楽が実にフレッシュで思わず耳を傾けてしまいました。中間部もしっかりとした足取りで演奏されます。
第4楽章は第2ヴァイオリンの走句がいかにも不安気で、その後の雷雨も凄まじい迫力です。ティンパニがいい音を出しています。嵐が過ぎ去った後の平和な気分も十分です。
第5楽章は気持ちの入れ替えが滞りなく、旋律は歌い込まれ、強弱の変化も適度に行われ、楽器のバランスは最上に保たれ、と、理想的なこの楽章の再現と思いました。ベートーヴェンの「喜ばしい感謝の気持ち」が伝わってくる演奏でした。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
リッカルド・シャイー
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2009年11月23-29日
ライプツィヒ,ゲヴァントハウス

第1楽章は速めで颯爽とした感じであり、ゲヴァントハウス管の豊麗な響きが魅力的です。昔ながらの編成の大きなベートーヴェンで弦に厚みがあります。逆に小編成に慣れた耳には鈍重に感じられます。鈍重といっても指揮者はシャイーですから、旋律をよく歌わせ、オーケストラの楽器バランスにはきちんと目が行き届いています。編成が大きくてやかましいと思うのと同時にこの音響に浸っているのは気持ちがよいです。
第2楽章も弦の編成が大きなオーケストラならではの豊かな響きを満喫できます。ゲヴァントハウス管の非常に巧い木管楽器群もマイクがきちんと拾っています。
第3楽章の厚みのある響きには昔の演奏は皆こうだったという懐かしさがあります。中間部のトランペットの強奏には驚きました。
第4楽章も大編成のオーケストラならではのすさまじい嵐です。
第5楽章は嵐がすさまじかっただけに、牧歌的な性格がより強く出ています、と言いたいところですが、編成の小さなオーケストラに慣れてしまった耳には少々うるさく感じられます。極彩色のベートーヴェンといった感じがしますね。
時代を逆行しているようなシャイーのベートーヴェンでしたが、たまにはこういうのもよいです。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ダグラス・ボイド
マンチェスター・カメラータ
2010年1月30日
マンチェスター,ブリッジウォーター・ホール

モダン=ピリオド・アプローチを掲げたボイド&マンチェスター・カメラータのベートーヴェンだそうです。楽器はモダンでピリオド奏法ということなのでしょうか。このタイプの演奏は他にもあるのでよほどのことがないと凡演の烙印を押されることになります。
第1楽章は見通しのよい室内楽的な響きで始まります。リズムを弾ませず少し引き摺るように演奏しているので快活さが少々失われているようです。
第2楽章も小編成ならではのすっきりしたものですが、いささか特長に乏しいようにも思われます。録音がもう少し冴えていたら感想が変わるかもしれません。
第3楽章は響きが薄いものの、木管やホルンが爽やかで好演と思いました。
第4楽章は意外に迫力がありました。
第5楽章は他の楽章にも言えることですが、オーケストラに音色の美しさ等の練度を求めたくなります。悪くはないのですが、演奏よりも素直に曲のすばらしさに感動しているようです。それはもしかしたら理想的な再現なのかもしれません。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
クリスティアン・ティーレマン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2010年4月(ライヴ)
ウィーン、ムジークフェラインザール

ティーレマン/ウィーン・フィルのベートーヴェン全集はブルーレイ(購入済)やDVDで発売されていますが、これは音声をCD用にリマスターしたものだそうです。実はティーレマンの演奏は一度もよいと思ったことがないので聴く前から気が重いです。
第1楽章は「おっ、なかなかいいじゃないか!」正直と思いました。テンポは少し遅め、柔らかく抒情的な表現で、愉快な感情というわけではありませんが、これはこれでウィーン・フィルの演奏ということもあり、美しいと思いました。しかし繰り返し聴くにはつらいかもしれません。ちょっとだらだらしている感じ。
第2楽章のほうがこのスタイルには合っています、が、曲が長く感じられます。同じことを繰り返しながら延々と続いていく感じ。小川というのはもっとさらさらと流れていくものなのではないかと思ってしまいます。
第3楽章は普通のテンポでほっとします。弦主体の音楽づくりでもう少し木管を聴かせてくれたらと思いますが、ティーレマンはバレンボイムとは違った重厚長大路線なのかもしれません。
第4楽章は編成が大きいのでそれなりに迫力はありますが、物足りなさもあります。
第5楽章は第4楽章からのつなぎの部分は美しいのですが、音楽の作り方が第1楽章や第2楽章と同じでワンパターンのように感じられます(リタルダンドとかわざとらしい)。今一つ冴えない録音にも原因があるのかもしれません。レガートが基本なのは交流があったというカラヤンの影響が大きいのかも。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
小林研一郎
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
2010年11月18-19日、2011年10月19-22日
プラハ,ルドルフィヌム

第1楽章第1主題は豊かな歌に始まります。「田園」は(ティーレマンのように)柔和に演奏する指揮者がいますが小林研一郎は剛毅で好印象です。しっかりと地に足がついている感じがします。木管が編成の大きい弦に埋もれてしまうことがありますが、大した瑕疵ではありません。小林研一郎がチェコ・フィルに敬意を払い真摯にベートーヴェンに向き合っていることが感じられる演奏です。
第2楽章はアンダンテ楽章にふさわしいテンポに感じられます。つまらない演奏だと遅いと感じるのですが、小林研一郎の場合はそうではありません。この楽章が交響曲第9番第3楽章に匹敵する崇高な音楽に思えてくるから不思議です。いや実際本当に美しい曲なのですけれど。
第3楽章は「田舎の人々の楽しい集い」にしてはやや重たく立派過ぎますが、気分はよく出ています。
第4楽章は実演は相当な迫力だったと思われますが、録音の限界からか強弱の幅が狭くなっています。これはこれでなかなかのもの。
第5楽章もよく歌う、スケールの大きな音楽となっていますが、第1楽章から同じ路線が続いたので少し飽きてしまいました。
なお、小林研一郎の唸り声はこの録音からは全く聴こえませんでした。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ケント・ナガノ
モントリオール交響楽団
2011年
モントリオール,サル・ウィルフリード・ペルティエ
【お薦め】
「フランスのオーケストラよりフランス的なオーケストラ」と呼ばれたシャルル・デュトワ時代は1977-2002年のこと、2006年から音楽監督の任になるケント・ナガノの指揮です。
第1楽章は颯爽と第1主題が提示されます。上々の滑り出しです。少なめの弦に管楽器が美しくブレンドされています。(この演奏に限ったことではありませんが)ヴァイオリンが左右両翼配置であるのも効果的です。とにかく爽やかで細部までよく聴き取れる演奏なのですぐに気に入りました。現代の「田園」第1楽章はこうでなければと思います。モダン=ピリオド的演奏です。
第2楽章は、弦楽器は弱音器を付けているのでしょうか。終始控えめな音量でその分木管楽器が目立ちます。もちろんそれは好ましいことでありまして、木管楽器のための楽章のようです。この楽章もテンポは速めでこのような演奏スタイルにピッタリです。
第3楽章のような曲はさらに似つかわしく、中間部ではさらにスピードアップするのが効果的で楽しいです。
第4楽章も鮮やかです。迫力こそ大編成のオーケストラに及びませんが、楽器のバランスがよいです。
第5楽章も牧歌的な雰囲気が良く出ている好演です。第5楽章は第3楽章の延長線上にあると思っているのですが、これはそのような演奏です。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ダニエル・バレンボイム
ウエスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ
2011年8月(ライヴ)
ケルン

バレンボイムにはシュターツカペレ・ベルリンを指揮した1999年のベートーヴェン交響曲全集があり、それも優れた演奏でしたが、この録音は、イスラエルとヨルダン・レバノン・シリアなどのアラブ諸国出身の若き音楽家達によって編成されたオーケストラを指揮した再録音です。実はこの全集は最初に聴いたとき、演奏も録音も気に入らなくて売却してしまったのでした。
第1楽章は遅めのテンポでたっぷり歌っています。重く厚い響きで、例えは悪いですがねっとりドロドロした感じがします。第41楽章の標題に即した爽やかさがあるとよいのですが、バレンボイムはこの曲を重厚に演奏したいようです。ブラームスの交響曲のような第1楽章でした。
第2楽章も重ためで小川というより大河の流れを連想させます。木管の音色は美しいけれど雰囲気があまり曲に似つかわしくないように思われます。
第3楽章も重厚でもっと切れ味のよい素朴な踊りが望まれます。管楽器は良いのですが、弦楽合奏がもっさりしていて聴いているのがつらいです。
第4楽章はもっとも出来がよいかもしれません。重戦車のような迫力です。嵐の合間の不安気な表情もよく出ています。嵐が過ぎ去った後の神々しい感じも良いです。
第5楽章もやはり重たいですが、この楽章ではさほど違和感はありません。この交響曲は木管楽器が活躍する場面が多いのですが、この演奏でも心を込めて吹いている木管が印象的でした。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
フランス・ブリュッヘン
18世紀オーケストラ
2011年10月(ライヴ)
ロッテルダム,デ・ドゥーレン

ブリュッヘンが1984年から1997年にかけて8年を要して完成したベートーヴェン交響曲全集は非常に評価が高かったのですが、2011年10月に再録音が行われました。それは私にとってあまりよい印象がない演奏だったのですが、これも気持ちを新たにして聴き直してみることにします。
第1楽章は落ち着いていますが、次第に気持ちが高ぶり、なんだか懐かしい気持ちにさせられるような演奏です。ただ、気になるのは録音で一番最初に聴いたときにも感じたことですが、低音が膨らみすぎて全体をマスキングして歯切れの悪い響きにしてしまっているように聴こえるのが残念です。ある音域になるとホールが共鳴し過ぎるというか。演奏自体は優れたものと思うのですが録音に難点があるのです。
第2楽章も低音が気になりますが、それはさておき、ブリュッヘンがベートーヴェンの心情に寄り添って音楽を奏でているのが心を打ちます。
第3楽章ももう少し冴えた録音であったらと惜しまれますが、強い個性は感じないものの愉悦感は十分表出されており、ピリオド楽器の木管やホルンの素朴な響きが印象的です。
第4楽章もなかなかの迫力でティンパニが効果的です。
第5楽章も大らかなで感謝に満ちたものではあるのですが、この演奏ならではという表現は少し乏しいように思います。あるいはこれがブリュッヘンの円熟の境地なのでしょうか。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
マリス・ヤンソンス
バイエルン放送交響楽団
2012年11月8,9日(ライヴ)
ミュンヘン、ヘルクレスザール

第1楽章は昔ながらのオーソドックスそのものの「田園」ですが、編成の大きな弦により木管がよく聴こえないときがあるのが惜しまれます。
第2楽章も柔らかく静かに演奏が始まります。奇をてらたところが全くなく、安心して音楽に身をゆだねることができます。反面、この演奏から新しいなにかを聴きとることはできません。
第3楽章も理想的なテンポ設定のもと、抜群に巧いオーケストラによる完成された演奏(品がよすぎるけれど)なのですが、この演奏ならではというものは聴こえてきません。指揮者が私心なく音楽を再現しているという点で、初めて「田園」を聴く人にはこの演奏は向いているのかもしれません。
第4楽章は、オーケストラの編成が大きいのでそれなりの迫力はありますが、踏み外しがなく一歩手前で止まっている感があります。
第5楽章もオーソドックスな演奏であることは変わりなく、抜群の安定感はあるものの、目新しさは皆無です。最後に拍手が収録されています。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ラン・シュイ
コペンハーゲン・フィルハーモニー管弦楽団
2013年12月
コペンハーゲン,デンマーク王立音楽院コンサート・ホール

ラン・シュイ(蘭水)は、中国生まれの指揮者です。
第1楽章は速めのテンポですが、特にHistorically Informed Performanceということではありません。速ければいいってものでもないけれど、現代的な感じはしますね。
第2楽章は悪くないのですが、ヤンソンス同様オーソドックスな演奏に終始しているようです。
第3楽章はよいテンポでこの曲の快活さをよく表現していますが、中間部の威勢のよさ以外、この演奏ならではというものに乏しいように思われます。
第4楽章はダイナミックスをしっかり聴かせる演奏に仕上がっています。楽器のバランスに気を配っているので、強奏のときでもちゃんとリミッターがかかっています。
第5楽章は前4楽章同様、リズムに重点を置いて演奏しているようですが、意外にオーケストラが鳴っていなかったりします。意外に流動感もあり、それなりに聴かせる音楽には仕上がっています。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
ヘルベルト・ブロムシュテット
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
2016年5月19日(ライヴ)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス

ブロムシュテットは、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮して1975-1980年にベートーヴェン交響曲全集を完成させていますが、それは48-53歳の最も脂が乗り切った頃で非常に高い評価を受けました。このベートーヴェン交響曲全集は2014-2017年、なんと87-90歳時の録音です。
第1楽章は音楽が全く老け込んでおらず細部まで配慮が行き届いた若々しく瑞々しい演奏であることに驚かされます。非常に丁寧な音楽づくりでブロムシュテットが美しく老いたことを感じさせます。ただ、解釈はオーソドックスそのものです。
第2楽章も安定感のあるものです。非常に柔らかく落ち着いたテンポで歌われていきます。瞑想的と言ってよいほどです。
第3楽章もシンフォニックな響きが立派です。
第4楽章は重心の低いサウンドで過不足のない嵐の音楽となっています。
第5楽章の牧歌もなんら奇をてらったところのない演奏なので、何を書いたらよいのやらという気がしないでもありませんが、熟練の棒裁きと言ったところでしょうか。何の文句もありません。ただ、このようなスタイルの演奏は今後聴くことができない(需要がない)のではないかと思うだけです。


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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
フィリップ・ジョルダン
ウィーン交響楽団
2017年3月8,9日(ライヴ)
ウィーン,ムジークフェラインザール

2009年よりパリ国立オペラの音楽監督、2014年よりウィーン交響楽団首席指揮者の任にあり、2020年からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任するフィリップ・ジョルダンの「田園」です。
第1楽章は、やや速めのテンポ設定ということもあり、推進力を感じます。また、楽器のバランス、(少しわざとらしい箇所もあるが)強弱の付け方などよく考え抜えた設定と言えますが、もう少し思い切ったことをやってみてもよかったのではないかと思います。
第2楽章は柔らかい日差しを思わせるもので、暖かみのある音楽です。弦と管が溶け合ったサウンドですが、もう少し木管楽器が目立つほうが好みです。美しく演奏することに終始しているような気もします。
第3楽章は主部はやや速めのテンポで活気も十分、第4楽章は緊張感もあり劇的な効果を上げています。
第5楽章は大らかな自然賛歌となっており、全楽章を通じて感じたことは、ウィーン交響楽団の伝統に寄り添った、割とオーソドックスな演奏ということで、ジョルダンはきっと新しいことをやってくれるのではないかという期待は外れてしまいました。


以上、21世紀に発売されたベートーヴェンの交響曲第6番「田園」を録音順に聴いてまいりました。全速力で書きましたので乱筆乱文お許しくださいませ。

貪欲にクラシック音楽のレパートリーを広げていた頃、名曲ガイドや名盤本に頼らず、全く先入観なしで聴いて気に入った初めての曲がチャイコフスキーの交響曲第4番でした。テレビでNHK交響楽団のコンサートを視聴し、第1楽章の第2主題が忘れられなくて、早速地元のレコード店でシルヴェストリ指揮の廉価盤を購入したのでした。

ピョートル・チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 作品36
第1楽章
Andante sostenuto - Moderato con anima - Moderato assai, quasi Andante - Allegro vivo ヘ短調、序奏付きのソナタ形式
第2楽章
Andantino in modo di canzona - Più mosso 変ロ短調、三部形式
第3楽章
Scherzo: Pizzicato ostinato. Allegro - Meno mosso ヘ長調、スケルツォ(三部形式)
第4楽章
Finale: Allegro con fuoco ヘ長調、自由なロンド形式


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
ピエール・モントゥー
ボストン交響楽団
1959年
ボストン,シンフォニー・ホール

第1楽章、運命のファンファーレから第1主題への移行が雰囲気たっぷりでさすがです。第1主題から経過部は速めのテンポですっきりしていますが、ベトつかない演奏が好みの人には歓迎されるでしょう。第2主題もあっさりしているようでなにやら諦念が感じられます。対向配置のヴァイオリンが効果的。クライマックスの迫力も申し分ありません。展開部は低弦の響きが常に美しく、トゥッティではこの頃のボストン響の優れた合奏力を堪能できます。再現部の第2主題はドライな感じがしますが、デッドな録音にもよるのでしょう。最後のクライマックスもキリリとしています。
第2楽章も速めのテンポですが、第1部はボストン響の弦が美しいアンサンブルを聴かせ、第2部もかなり速く、あれよあれよという間に終わってしまう感じです。モントゥーの常で木管楽器がよく聴き取れます。この楽章の演奏時間は9〜11分程度だそうですが、この演奏は8分10秒で駆け抜けます。
第3楽章もヴァイオリン対向配置の面白さがあり、トリオはがらりと雰囲気を変えますが、それも束の間、再びスケルツォに流れ込みます。僅かに木管が遅れ気味?
第4楽章のロンド主題はまばゆいばかりに輝かしいです。第2副主題(ロシア民謡)ではテンポがぐっと落ちますが変奏するにつれ速くなり、三度演奏されるロンド主題は立派です。副主題の再現も情感があり、第2副主題の再現も手に汗握るようで、運命のファンファーレの後の力が抜けた雰囲気も巧く、コーダへの流れ込みも上手で、力強く締め括ります。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
エフゲニー・ムラヴィンスキー
レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
1960年9月
ロンドン,ウェンブリー・タウン・ホール

ムラヴィンスキーがDGにステレオで録音したチャイコフスキーの3つの交響曲は名盤として有名ですが、ムラヴィンスキーは第4番があまり好きではなかったようで、同じDGに録音したモノラルのチャイコフスキーは第4番のみザンデルリンク指揮となっています。ESOTERICのSA-CDで聴いてみます。
第1楽章のファンファーレはレニングラード・フィルの強力な金管で厳かに遅めのテンポで演奏され、第1主題はささやくように始まり、壮大なクライマックスに導かれますが、演奏は若干単調なような。第2主題はメロディの歌い方がこの曲にふさわしく、さすがと言いたいところで、金管楽器が朗々と歌うクライマックスも盛り上がりに欠けていません。この演奏では常にファンファーレが強靭な音色で演奏され、さすがレニングラード・フィルといったところです。ただ、もう少し第1楽章全体に渡って変化があるとなお良かったかもしれません。
第2楽章は、主要主題がしっとりと演奏され、テンポの緩急の付け方や歌い回しが見事。この楽章はムラヴィンスキーが共感をもって指揮しているのがよくわかります。
第3楽章の弦のピッツィカートはモントゥー/ボストン響は乱れ気味だったのですが、レニングラード・フィルはきっちり揃っていて気持ちがよいです。中間部では靄が晴れ光が差すような印象の木管と、金管による行進曲が絶品と言いたい出来栄え。スケルツォへの移行も実にスムーズ。メリハリが聴いていてこれも心地良い演奏です。
第4楽章はこのオーケストラの機能性の高さを再認識させられる演奏で、運命のファンファーレまで一気に持って行きます。その後も圧倒的な演奏が続きます。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
ロリン・マゼール
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1964年9月,10月
ウィーン,ゾフェインザール

第1楽章序奏部の運命のファンファーレはステレオ効果を発揮した録音。第1主題に移行する際にも工夫があり、ウィーン・フィルの音色が鮮烈でゾクゾクするような提示部です。第2主題もあちらこちらにマゼールの才気が発揮され、内容が濃い音楽となっています。再登場する運命のファンファーレが楽し気に聴こえてしまうのが玉に瑕ですが、ウィーン・フィルが楽しんで演奏しているのかも。不思議なくらい幸福感に満ちた第1楽章となっています。
第2楽章は先ずウィンナ・オーボエの音色が耳を引きます。弦の旋律と同じくらいの強さで木管を吹かせたりと、いろいろ新しい発見があります。第2部は速めのキリリとした冴えた表現でウィーン・フィルの高弦が美しく、第3部は低弦が美しいです。
第3楽章は、奇をてらったところのない音楽です。トリオのウィーン・フィル特有の木管楽器がチャーミングで、金管楽器による行進曲もあっという間に通り過ぎ、再びスケルツォ。ピッツィカートがよく揃っていて気持ちの良い演奏です。
第4楽章は、ロンド主題及び副主題のオケのバランスが最上に保たれ、その後も一音たりとも疎かにしないという姿勢で演奏されているようです。マゼールらしさを期待すると肩透かしをくらいますが、これはこれで立派な演奏です。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
小澤征爾
パリ管弦楽団
1970年
パリ,サル・ワグラム

小澤征爾指揮の第4番は複数あるのですが、今回は彼が35歳のときのパリ管との演奏を選びました。小澤征爾が最も小澤征爾らしかった頃?の録音です。小澤が得意としたチャイコフスキー。
第1楽章序奏部のファンファーレは十分重苦しく、これが運命のファンファーレであることを改めて認識します。大きく間を取った後、第1主題がやや粘り気のある表現で演奏されます。重厚で重苦しい雰囲気が楽想にぴったり。第2主題も仄暗く、これが曲想にジャストフィット。クライマックスも抑制が効いており、絶叫型にならないは良しとしましょう。展開部も終始重く、悲壮感が漂っています。再現部も哀愁を帯びた木管の歌わせ方が最高。速めのテンポで演奏されるコーダも説得力があります。
第2楽章も暗く重く、しっとりとしています。第2部は明るい曲想なのですが悲劇性が保たれています。第3部もしめやかに音楽が進んで行き、パリ管の木管陣の優秀さを堪能できます。
第3楽章は、強く弦をはじかせていないため、ざわざわした感じがあります。トリオの木管が巧く、金管の行進曲も落ち着いたものです。全体的に丁寧な演奏。
第4楽章はロンド主題が十分輝かしいのですが、それでも抑制を残したままです。第2副主題は幾分テンポを落とし悲し気に歌われます。全体に重苦しさが曲を支配している感じで、第1楽章冒頭の再現場面を頂点としているようです。それでも最後は力強く幕を閉じます。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1971年9月16-21日
ダーレム,イエス・キリスト教会
【決定盤】
この演奏はチャイコフスキーの交響曲第4番の名盤としてトップに挙げられることが多いのですが、良くも悪くも録音に難があります。良い点は(よく言われることですが)まるでライヴ録音のように白熱した演奏に聴こえること、悪い点は録音に使用したテープに欠陥があり、強音時に音が歪むことです。EMIのSA-CDハイブリッド盤で聴いてみます。
第1楽章冒頭のファンファーレは他のどの演奏よりも強烈に響きます。すすり泣くような第1主題に息を呑みます。提示・確保後も重苦しく息苦しい音楽が続き、カラヤンならではのチャイコフスキーを聴かせてくれます。第2主題も蠱惑的で、その後の壮大なクライマックスもカラヤン/ベルリン・フィルならではのゴージャスな音響を楽しめます。展開部もねっとりとした熱を帯びた進行ですが、この曲はこれくらいやってくれないと冗長に感じます。コーダも圧倒的な迫力で終わります。もっと音が歪んでいるかと思いましたが、第1楽章の何度か訪れるクライマックスはなんとか持ちこたえている感じです。
第2楽章も重々しい演奏です。非常に洗練され彫琢された演奏ですが、録音のせいで生演奏を聴いているような臨場感があります。第2部も濃厚なチャイコフスキーの世界を満喫することができます。クライマックスで音が歪むのが難点ですがそれほど気になりません。第3部は時おり聴こえるジェームズ・ゴールウェイのフルートが美しいです。もちろん他の木管楽器も同様です。
第3楽章はしっかりと強く弾く重心の低いピッツィカートが印象的です。トリオの変化も巧みなテンポ設定で文句なしの演奏となっています。スケルツォに戻ってからがこれまた圧倒的。
第4楽章は渾身の力を込めたロンド主題(さすがに音が歪んでいる)で始まり、副主題も絢爛豪華な音の饗宴となっています。第2副主題で落ち着きますが、熱は収まらず、3度目のロンド主題と第2の経過句は圧倒的です。その頂点は第1楽章冒頭の再現でこれはかなり強烈です(他の演奏もこうだったら良いのに)。その後もベルリン・フィル全開の白熱した演奏が続き、圧倒されっぱなしのまま曲が終わります。
なお、今回は視聴しませんが、1973年12月フィルハーモニーザールでの映像収録もこれと同様の演奏であったと記憶しています。また、私は長い間、チャイコフスキーの第4番はカラヤン/ベルリン・フィルの1975年の演奏を愛聴していましたが、LPはとても良かったのですが、CD化されて普通のマスタリング(LPはティンパニなど壮絶な音を出していました)になってしまい、魅力が半減しました。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
サー・ゲオルク・ショルティ
シカゴ交響楽団
1984年5月

予想どおり、第1楽章序奏部の金管によるファンファーレが強力で、さすがはシカゴ響の金管セクションです。ただ、それだけではなく、それと対比するような第1主題の柔和な表情、経過部の木管・弦、金管のしっかりとしたアンサンブルなど大変立派です。第2主題も素晴らしいです。オーボエのちょっとした表情づけが心憎いです。ティンパニが心臓の音のように響いてその後のクライマックスの壮絶さを予感させます(が、それ程ではなく抑制の効いたものでした)。オーケストラを絶叫させることがないのが、円熟期のショルティです。再現部も第2主題が絶品。こういうところが本当に巧いです。第1主題の変形である行進曲ではアクセルを踏んでコーダに流れ込みますが、これもオケの厚みは十分であるものの、品が良い演奏です。
第2楽章は、仄暗い演奏で弱音時の表現が素晴らしいです。この録音は木管楽器がよく聴き取れるのがありがたいです。トリオも弦と木管の対比、バランスが優れており、上出来です。それにしてもシカゴ響は巧い。
第3楽章は、シカゴ響の弦セクションの優秀さを聴くことができ、またトリオの管楽器のアンサンブルも素晴らしいです。万事控えめな感じがしますが、この楽章にはそのようなスタイルが合っているともいえます。
第4楽章ロンド主題は厚みをもって力強く演奏されますが、トゥッティでのエネルギー管は解放された自由さがあります。第2副主題もクライマックスにおいてバランスに留意しているようです。第1楽章序奏部の再現も大音響を期待してしまいますが、ショルティのコントロールが行き届いています。その後は速めのテンポによるヴィルトゥオーゾ・オーケストラならではの音の饗宴が繰り広げられます。満足しました。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1984年9月
ウィーン,ムジークフェラインザール

6(7)度目となるカラヤンの最後の録音です。同時期に収録された映像もあります。
第1楽章冒頭の金管楽器がウィーン・フィルらしい音色。第1主題は弱々しくおずおずと演奏され、木管に主題が移っても変わりありません。悲劇的要素たっぷりです。最初のクライマックスもうるさくなく、どこか客観的です。皮相的な第2主題も上手に導き出されます。この辺の語り口は絶品と言ってよいかも。第2主題のクライマックスも演出過剰にならず自然な盛り上がりを聴かせます。再現部ではやはり第2主題が素晴らしく、ウィーン・フィルの木管には何とも言えない味わい深さがあります。3度目のファンファーレの後の子守唄のような楽句もデリケートに歌われています。コーダは迫力がありますが、あくまで自然な感情の発露に聴こえます。
第2楽章は、マゼール盤同様、ウィーン・フィルのオーボエの魅力に耳を奪われます。続く弦も心を込めて弾いているのがよくわかります。第2部はカラヤンらしく滑らかなに演奏されていますが、それがちっとも嫌ではありません。第3部も彫琢された歌を聴くことができますが、それもあくまで自然にそうなったと言うしかない演奏です。
第3楽章は、ウィーン・フィルの弦の木の香りがするようなピッツィカートが耳に心地よいです。トリオの木管合奏も美しく、金管楽器とティンパニによる行進曲も木管の彩が素晴らしいです。スケルツォに戻りますが、木管が加わったコーダがやはり見事な出来栄えです。
第4楽章は、ロンド主題が力強く演奏され、副主題を挟み、エネルギー感が十分です。第2副主題はテンポを落とし、切々と歌われます。第2の経過句も丁寧な演奏で、3度目のロンド主題ではアクセルを踏み、B及びCの再現の切迫感、第1楽章冒頭のファンファーレの再現の緊張感は半端ではありません。Aの経過句は喜びを抑えられずに始まるといった様子で、ウィーン・フィルの演奏にノリが感じられます。迫力満点のコーダでした。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
ナード・バーンスタイン
ニューヨーク・フィルハーモニック
1989年10月(ライヴ)

バーンスタインは1990年10月に亡くなっているので、ちょうどその1年前の録音となっています。ニューヨーク・フィルとの旧録音もありますが、最晩年のバーンスタインを新たな気持ちで聴いてみます。
第1楽章冒頭は予想どおりの遅いテンポで冒頭にして最後という感じがします。音楽が止まりそうなくらい遅くなってから第1主題の提示部が始まり、少しずつテンポが速くなっていきますが重厚感は失われていません。再び音楽が非常に遅くなり第2主題の提示はお化けが出そうな感じです。徐々に加速していき、クライマックスや冒頭のファンファーレの再現は他の演奏と変わらない速度となります。その後は一つ一つ念を押しながら進めていくようなテンポなので今一つ緊張感や高揚に足りない感じがし、やや冗長な展開、クライマックスに近づくと加速するのがパターンとなっています。三度目のファンファーレは普通のテンポですが、その後はすぐ遅くなり、猛烈に加速してまた遅くなるという繰り返しです。
第2楽章は、やはり遅めのテンポ設定ですが、それが良い方に働いています。一音一音を噛み締めるように歌わせており、それがこの楽章にマッチしているのです。止まりそうなテンポになってから第2部はいきなり加速しますが、やがて遅くなり、設計どおりなのか、感情の赴くまま(気分次第)の指揮なのかよくわからなくなってきます。
第3楽章も遅いかと思いきや、他よりいくらか速いくらいのテンポなのが意外です。行進曲は速いです。
速いとか遅いとかばかり書いていますが、この演奏はテンポの設定が不可解なのです。第4楽章は普通のテンポで始まります。第2副主題では遅くなりますが次第に加速し、ロンド主題に戻ります、と、いくら書いてもキリがないのですが、この楽章も緩急差を大きく取った楽章であったということです。それが劇的な効果を上げているかというと「?」です。なんだかもう一歩踏み込みが浅いような気がするのです。コーダはとても速いです。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
マイケル・ティルソン・トーマス
サンフランシスコ交響楽団
2002年5月30-31日(ライヴ)
サンフランシスコ,デイヴィス・シンフォニー・ホール

第1楽章は意外でした。序奏部のテンポが遅いのです。MTトーマスはもっと普遍的な演奏をする指揮者だと思っていました。ただ遅いだけではなく、随所にちょっとした味付けがあります。第1主題も次に何が起こるのか予想がつかない面白さがあります。第2主題の歌わせ方も弾むようなリズム感覚もユニークです。他の指揮者がさらっと流してしまうようなところでも細かな表情を付けたりしていて、一風変わっているというか、小技のデパートのような指揮です。オーケストラを自分の手足のように操っているのがさすが。
第2楽章もオーボエの主要主題からして表情豊かです。第2部は幾分速度を上げますが、旋律をよく歌わせているのは第1部と同じで、非常に洗練されているという印象があります。ファゴットが主要主題を吹くあたりは瞑想的ですらあります。
第3楽章は軽妙なフットワークで魅せます。トリオはぐっとテンポを落とし、行進曲で速めるという定石どおりの指揮です。安心して聴ける演奏でした。
第4楽章は期待どおりの輝かしいAとBです。Cも極端に遅くせず、音楽の流れが自然です。キレのよい2度目のBを経、3度目のAも喜びそのものといった演奏。二度目のCは物悲しく、弱音も効果的で表情豊か、第1楽章冒頭の再現はやっぱり遅いのですが、これも必然という感じがします。その後はゆっくりと、徐々に加速しながらコーダに流れ込み、スピード感のある終結となります。拍手が収録されています。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
ワレリー・ゲルギエフ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2002年10月(ライヴ)
ウィーン,ムジークフェラインザール
【お薦め】
ゲルギエフにはマリインスキー劇場管弦楽団との2010年の再録音もありますが、より評価の高いウィーン・フィル盤を聴いてみます。
第1楽章は暗くて重たく、理想的な序奏部から始まります。十分な間を取って第1主題が始まりますが、これも序奏部同様で重く引き摺るような演奏です。低弦が大きめに録音されており、ピラミッド型の音響となっています。演奏によってこんなに印象が変わるものかと改めて思いました。第2楽章も重ためで、知らないで聴いたらウィーン・フィルとは思わなかったでしょう。コデッタに至ってもちっとも輝かしく響かないのです。展開部はいっそう重苦しく息苦しく、再現部の第1主題がトゥッティで演奏されるところはもう少し盛り上がりがほしいような気がしますが、そのような録音なのでしょう。第2主題の再現も暗いまま終結し、コーダも重厚に終結します。
第2楽章は、軽やかに始まりますが、この物悲しさは他の演奏では聴くことができません。重荷を背負って坂道をのぼっているような気分です。第2部はやっとウィーン・フィルらしさ(優美さ)が垣間見えますが、それも束の間で、第3部は再び重苦しい雰囲気に支配されます。これほど味の濃い第2楽章もないかもしれません。
第3楽章は、変な言い方ですがウィーン・フィルが一生懸命弦を弾いてるのが伝わって来ます。トリオの木管、金管でもウィーン・フィルからこれほど重い音色を引き出すなんて、この頃のゲルギエフはすごい人だったのですね。しかし、このような演奏に接すると、この交響曲においてこの第3楽章は異質な存在に思えてきます。
第4楽章もロシアのオーケストラのような重厚な演奏が続きます。気がついたことをひとつひとつあげていたらきりがありませんが、これは名演ですよね。感動しました。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
サー・アントニオ・パッパーノ
ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団
2006年7月3-15日(ライヴ)
ローマ,アウディトリウム・パルコ・デラ・ムジカ,サラ・サンタ・チェチーリア

パッパーノと聖チェチーリアのオーケストラの組み合わせは、非常に良い印象があります。
第1楽章序奏部は、ファンファーレが適度に重く悲劇性も十分で、先ずは上々の滑り出し、録音も良い感じです。第1主題も暗い響きでよく歌わせており、指揮者の音楽センスが高いのでしょう、その端正な演奏には好感が持てます。第2主題は特徴的な歌い方により速く感じられ、木管が面白い効果を上げています。展開部はやや軽めで曲が冗長に感じられてしまうのが惜しまれます。それでも再現部の第1主題など壮絶ではあります。以降も凄みはないのですが、清々しささえ感じる抒情的な演奏が続きます。もちろんここぞというときには踏ん張りを効かせています。
第2楽章のほうがパッパーノとこのオーケストラには向いています。本当に丁寧に丁寧に演奏しているのがよくわかりますし、第2部の軽やかさや明るさに生かされています。第3部はヴァイオリンの再弱音で開始され、第1楽章第2主題を思い起こします。木管楽器などこれ以上ないというくらいに歌っていますよ。
第3楽章も好演でチャイコフスキーのバレエ音楽を聴いているようです。軽やかさがプラスに働いているのです。トリオはパッと日が差すように明るく見通しの良い感じで、行進曲のキレも良いです。再びスケルツォに戻り、よく訓練されたオーケストラのピッツィカートは大きなギターによる演奏を聴いているみたいです。
第4楽章はスケールの大きな響きですが、重心は低くありません。第2副主題は切迫感を伴ったもので三度目のロンド主題は相応のエネルギー感があります。このあたりの緊張感はなかなかのもので見事に第1楽章冒頭が導き出されます。その後も白熱した盛り上がりを聴かせ、力強く終わります。なかなか聴き応えのある演奏でした。


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チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
アンドリス・ネルソンス
バーミンガム市交響楽団
2011年6月1-4日(ライヴ)
バーミンガム,シンフォニー・ホール
【お薦め】
第1楽章序奏部の運命ファンファーレは、音色が重く暗く響きで、名演の予感がします。第1主題も流麗でありますが、悲劇性はちゃんと確保されていて、これも良い出来。第2主題はやや素っ気ない感じで木管楽器が演奏しており、ここはもう少し豊かな歌が欲しかったところです。コデッタは明るく力強くて◎。冒頭のファンファーレが登場し、展開部となる場面の雰囲気はカラヤン指揮の演奏によく似た感じです。再現部第1主題も迫力があり、第2主題のファゴットもいい味を出しています。3度目のファンファーレが演奏されてコーダが始まると、演奏も勢いを増し、力強く第1楽章を終えます。
第2楽章は、遅すぎない、よいテンポで始まります。この楽章も適度な重みがあり、かつ流麗です。ネルソンスはカラヤンのCDを聴いて予習したのではないかと思ってしまうほどです。第2部は幾分テンポを速めるので、一層スムーズに音楽が流れていきます。第2部の終わりははっと息を呑むほどに美しいです。ここでもファゴットが思い入れたっぷりに旋律を奏でる箇所が良かったです。
第3楽章は、トリオで木管が登場するとぱっと視界が開けたようでとても鮮やかです。スケルツォのピッツィカートは、あまり演奏による差が出ないのですが、木管楽器が加わると途端に色彩感が増します。ピッツィカートだけだと音量が出ないのでしょう。
第4楽章はグランカッサが効いている爆発的なロンド主題で始まります。理想的な響きと言ってよいでしょう。第2副主題も後ろから追われているように先を急ぎます。この辺りの切迫感はなかなか大したもので、運命のファンファーレまで一気に駆け抜ける感じがあります。コーダになって勢いが戻り、熱狂のうちに曲が終わります。最後に拍手が収録されています。チャイコフスキーの交響曲第4番の普遍的な名演としてお薦めしたい録音です。


手あたり次第聴いて感想を書いているように思われるかもしれませんが、第1楽章を聴いてこれはダメだと思った演奏については書いていないのです。

何度も書いているようにYahoo!ブログは9月1日から新規投稿ができなくなります。残された日々はあとわずか。あともう1曲、なにか書けたらよいのですが、これはと思う曲がありません。

ダ・ヴィンチ音楽祭 in 川口 Vol.1 2019
朴葵姫(パク・キュヒ)ギター・リサイタル
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2019年8月17日(土)13:00−
川口総合文化センター・リリア 音楽ホール
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本日の演奏会の趣旨を演奏会の後で知りました。こういうことなのだそうです。

2019年、没後500年を迎えるレオナルド・ダ・ヴィンチにちなみ、川口総合文化センター・リリアにおいて、彼の名を冠した「ダ・ヴィンチ音楽祭 in 川口」が始まります。

ダ・ヴィンチは、美術のほか、建築・解剖学・自然科学・天文学・物理学・土木工学など、様々な分野に業績を残しています。そして更に、リラを片手に即興で歌ったり、楽器の発明や改良を行い、音響や音声を研究し、イべントプロデューサーを担うなど、音楽の分野でも高い評価を得ていました。

その精神に倣い、多くの才能が新しいことに挑戦し、互いに研鑽し合える場を作りたい。その思いで音楽祭は誕生しました。「ダ・ヴィンチ音楽祭 in 川口」ならではの熱いコラボレーションを、ぜひ体感してください。

音楽祭芸術監督/アントネッロ代表 濱田芳通

ギターにとって本当は、ルネサンス・バロックはレパートリーの宝庫。ところが実際にはそれらを披露する機会は少ない。そのなかで朴葵姫は、このルネサンス・バロック期のレパートリーを最良の師から学び、今後もそれをさらに深めようとしている。いよいよ本フェスティヴァルにおいてその成果の一端が披露され、それは継続される予定。本ホールの音響はギターソロにも極めて有効で、拡声しない生音で存分に朴の美音を味わっていただける。


曲目

ジョン・ダウランド(1563−1626)
 ハンスドン夫人のパフ
 涙のパヴァーヌ
 蛙のガリアント

ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685−1750)
 シャコンヌ

(休憩)

ドメニコ・スカルラッティ(1685−1757)
 ソナタK208、K32、K322、K178、K391

ベンジャミン・ブリテン(1913−1976)
 ノクターナル〜ジョン・ダウランドの「来たれ、深き眠りよ」による Op.70
  1. 瞑想するように
  2. 非常に興奮して
  3. 休み無く
  4. 不安げに
  5. 行進曲の様に
  6. 夢見る様に
  7. 優しく揺れて
  8. パッサカリア
  9. ゆっくり、そして静かに

(アンコール)

フランシスコ・タレガ(1852−1909)
 アルハンブラの思い出

私にとってギターは最も身近な楽器であり続けていましたが、クラシック・ギターの演奏会は、村治佳織さんと朴葵姫さんしか行ったことがありません。朴葵姫さんのコンサートはこれで何回目になるのでしょう。いつものことながら非常に丁寧に一音一音を紡ぐ美しい演奏でしたが、できればもっと小さいホールで聴きたかったです。CDだと目の前で演奏されているのに、最前列とはいえギターが遠く感じます。

朴葵姫さんによると、ダウランドとブリテンは今回初めて弾いたそうです。ブリテンのノクターナルは最も好きな曲と語るギタリストが多いのだとか。名ギタリストのジュリアン・ブリームが1964年に初演した曲ですが、一回聴いただけでは理解できなかったので、解説を読みながらゆっくり聴きたいと思いました(朴葵姫によるレコーディングを望みます)。D.スカルラッティとバッハ以外は少々ぎこちなさを感じたのは、初公開だったからなのでしょうか。

終演後はいつもサイン会に並んでいましたが、今回ももちろん並びましたよ。ファンですからね。(みなさん、当たり前のように写真を撮っていらっしゃったので、私も撮ってしまいました)。

いただいたサインです。
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ユジャ・ワンみたいに同じCDが増えつつあるので、そろそろニュー・アルバムを録音していただきたいものです。DENONさんお願いしますよ!

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