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がんを克服した医師がみずから実践している
「素朴な食事術」を明かす

現代ビジネス 3/20(水) 


タレントの堀ちえみさんが自らステージ4にあることを告白したことで、
一気に注目度が高まった舌がん。そんな舌がんを40歳で患ったものの、
再発することもなく今も元気に医師として活躍しているのが、
医学博士の青木厚医師だ。

しかも、がんになる以前よりも健康に暮らしているという。
一体、青木医師の健康の秘密はどこにあるのか。
その意外な、しかも極めてシンプルな健康法・食事法について語ってもらった。


舌がんは口内炎に似ていて、見過ごされやすい
ステージ4の舌がんを患い、舌の6割を切除する手術をうけた堀ちえみさん。
術後の経過は順調なようで、ひとまず安心ですが、医師としても
一ファンとしても、この苦境を乗り越えられるよう願い、応援いたします。

堀さんもそうでしたが、舌がんは症状や形態が口内炎と似ているため
見過ごされることが多く、また進行が速いため、診断がついた時点で
ステージが進行していることが非常に多いがんです。

私も40歳のときに舌がんを患いました。
幸いにしてステージ1の早期で発見できたのは、
医師として舌がんの知識があったからですが、
当時私には幼稚園に通う二人の娘がおり、
妻のお腹の中にはもう一人の子どもを授かっており、
何としても生き抜かなければなりません。死ぬわけにはいかなかったのです。

 手術では舌の左側の4分の1を切除しました。

手術で病変を切除したら、5年、10年と再発していないか経過観察となります。手術は成功しましたが、40歳という若さで罹患してしまったので、
舌がんの再発や他のがんにも罹患するのではないかと
不安な日々を過ごすことになりました。

この不安感をどうにか払拭するため、私は「どうしたらがんの再発、
新たながんの発症を防ぐことができるか?」をテーマに研究を始めました。

医学論文が教えるがん予防に大切な「2つのこと」
自分の命がかかっているから、それは必死です。

私たち医師は、臨床医学の疑問が生じたとき、PubMed(アメリカ国立衛生
研究所のアメリカ国立医学図書館)で医学論文にあたることから始めます。
まずは、”cancer prevention(がん予防)” をキーワードにヒットする
論文を片っ端から読み始め、あることに気づきました。

ヒトががんを発症する主な原因は、「①細胞の質の劣化」と、
「②免疫力の低下(NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性の低下)」です。

個人差はありますが、人体では毎日5000個程度の質の劣化した細胞が
”がん細胞”に変化しています。それががんの塊として増殖してこないのは、
NK細胞が”がん細胞”を発見しては殺傷しているからなのです。

よって、がん予防をするためには、「①細胞の質の劣化を食い止め、
細胞のがん化をできるだけ少なくする」ことと、
「②NK細胞の活性を上昇させる」ことが大切となります。

 これと同じことが、身近な風邪にも言えます。

私は舌がんに罹患した40歳当時、月に1回は風邪をひいていました。
風邪を発症するのは、ウイルスに感染した咽頭粘膜のウイルス感染細胞を
NK細胞が殺傷できないからです。つまり風邪をよく引くということは、
NK細胞の活性が弱いことを意味しており、その体質を改善できれば、
同時にがんの再発を防ぐ可能性も高くなるのです。

16時間の空腹時間で、細胞が生まれ変わる
 そのことに気づいて以降、私は、「①細胞の質の劣化を食い止める方法」と「②NK細胞の活性を上げる方法」をテーマに研究を重ねました。

その中で、Autophagy(オートファジー)や
”intermittent fasting(間歇的断食)”というキーワードに出合いました。

オートファジーとは、簡単にいうと人体の古くなった細胞を
新しく生まれ変わらせる仕組みのことです。
細胞が新しく生まれ変われば、NK細胞の活性も高まります。
つまり、オートファジーを誘導させることは、
がんの再発を防ぐのに効果を発揮するのです。

ちなみにオートファジーは2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した
大隅良典栄誉教授の研究テーマで、今世界中で注目が集まっています。

では、どうすればこのオートファジーを誘導することができるのでしょうか。そのために有効とされるのが、間歇的断食です。

間歇的断食とは1日のうちに16時間程度はものを食べない時間、
すなわち「空腹時間」をつくる食事法です。
16時間というのがポイントで、16時間の空腹時間を作ると
オートファジーが誘導されることが、昨今の研究でわかっています。

16時間ものを食べないと聞くと、
大変だと思われる方がいるかもしれません。

確かに最初の数日は空腹感が強く大変かもしれません。
しかし、この強い空腹感は、意外と数日で消失します。
むしろ慣れてくると、空腹の時間が気持ちよくなってきます。
感覚が研ぎ澄まされて集中力が増して、診療や研究もはかどります。

マラソンをやる方なら”ランナーズハイ”をご存知かと思いますが、
空腹の時もこの”ランナーズハイ”の感覚に似た
”空腹ハイ”のような感覚が生じてくるのです。

 実践の仕方も簡単です。

睡眠時間も空腹時間にカウントしてOKですから、
たとえば、朝食を朝9時にとり、夕食を夜17時にとる人の場合、
翌日の朝食まで16時間は空腹時間ができますから、
逆に言えば朝食から夕食までの間は何を食べても自由です。

同様に、朝6時に朝食をとり、昼食は抜き、夜22時に夕食をとることで、
16時間の空腹時間を確保するやり方でもOKとなります。
朝食や夕食の内容は一切問いません。

詳しくは拙著『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム刊)を
ご参照いただければと思います。

空腹時間を作る食事法で、舌がんを克服!
私自身、オートファジーが誘導される食事法を実践していますが、
その結果まったく風邪を引かなくなりました。

たくさんのインフルエンザ患者さんにもマスクをせず対面で診療していますが、一度としてインフルエンザに罹ったことがありません。

舌がんについても、9年にわたって再発の兆候もなく、完治したといえます。
それどころかオートファジーの効果で実年齢よりかなり若く見られるようになり、髪の毛もフサフサになりました。

舌がんを患った当時の体脂肪率は17%でしたが、現在は6.6%まで落ちました。私は自らの肉体を根拠に、がんの再発を防ぐには「16時間の空腹時間を作る」食事法が有効であることを断言します。

またこの食事法は、肥満や糖尿病、喘息やアトピー性皮膚炎などの
アレルギー疾患、関節リウマチ、うつ病や統合失調症などの疾患にも
著明な効力を発揮することが様々な研究でわかっています。

まさに、「空腹」こそが、最強のクスリなのです。

そもそも現代人は食べすぎです。食べすぎだから病気になるのです。
人類の歴史をひも解くと、縄文時代は飢餓の時代でもあり、
縄文人が数日間の「絶食」をすることは、日常茶飯事でした。

そのおかげで、縄文時代には病気などほとんどなかったと言われています。
その後も江戸時代までは1日2食が普通でした。
飽食の時代になったのは昭和40年以降で、がんや糖尿病、
高血圧などの生活習慣病が急激に増加してきた時期と重なります。

だから私は声を大にしていいたい。「空腹」によって、
多くの病気や不調は予防や改善をすることができる、と。

これから堀ちえみさんは、過酷な闘病生活がはじまるかと思います。
ぜひ「空腹」の力を利用した食事法を実践されて、
舌がんを克服していただきたいと願っています。

青木 厚

転載元転載元: Dr ミカのメモ帳: 脳・栄養・心 (発達障害・特別支援教育)

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