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「カラスの暮れがた」
木霊するほどの 広さも器もないのが 街だとしたら エコーのかかる声で カラスは何を唱えているのか 自分の言葉といえば 風に乗せても届かずに ぽつん ぽつんと 見えない林檎 身体は 吹き抜けのようになり 通り過ぎる 求めてはいけない時間 終わりの霧が 胸のあたりに押し寄せて 動けない 陸に上がった海月のようだ 電線の上からうかがう カラスの気配を振り払う 呪文をくれないか のびきるまでは 影でいられるような そうやって 生贄として慣れてゆくんだ やけに喉が いや 世界に渇く
*詩と思想2014年12月号入選作
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