|
「異邦の地にて」
水槽の声なきオペラ幕上がり一人ひとりの拍手の気泡
点描のアヴェニューとする漆黒を生き抜く理由拾い集めて
瞼閉じトリコロールの夜駆けていく風記す 詩集の余韻
彗星は不器用に逝く濃密な空を彩る一人芝居か
驟雨待つ渇いた土を一枚のガラスで癒す水のレプリカ
愉しさは点々とする宿命の遊園地のよう 手を振ったまま死
黄昏はグラスの中へ色別にジャン・コクトーの言葉を愛す
天空に衛星を上げどこまでも願うバビロンよみがえるエゴ
貝の皿溜まり始めた宵映すモノクロシネマのような水脈
球体の中には舞台休みなくダンス・ダンスと時間を忘れ
透明なサキソフォン吹く三次元支えきれずに堕天使となる
夕空のプルシャンブルーを透過したプランクトンの暗がりを見る
やみくもにピアノが浮かぶ和音しか許されぬ世界不条理の果て
一日のダークサイドを探査機の糧にと添える月の裏まで
振り向けば世界は透ける背中なく漂うばかりの水母と気づく
遺伝子を闇夜へ放り散らばったミトコンドリア紡ぐこの星
凪いでいる都市をうつろに彷徨ったトラムのままで眠りへ沈む
ベネチアングラスの雫飲むとばり銀河のような夢をさかなに
こんばんは嘆きの終幕見えるまで黙々と巻く罪のリューズよ
孤独なすかたちを指で辿りつつトワイライトをいくらか背負う
唐突にアスパラガスと摩天楼つながり探すある日の終わり
真夜中の狂詩曲聴く明日から地軸傾く玉座のために
誰ひとりいない時空の片隅で端からシナプス切れてゆく音
通りからはみ出したままたむろする言葉を包む黒のエーテル
夕暮れのパントマイムとすれ違う街の演技に終わりは来ない
ぼんやりと月光写真映しだす波の奏でる心音脆く
プリズムを通しとり出す紫は独りに似合う 皮肉な事実
濁点に翳る言葉を蓄えた住まいの中に居場所求める
いたずらに吹かれ吹かれて異邦の地ケサランパサラン見知らぬなかま
|
「異邦の地にて」全30首
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]




