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【善き人のためのソナタ】 

(あらすじ)
1894年社会主義体制下の東ベルリン。
市民は国家保安省(シュタージ)の厳しい監視のもとに生きていた。
国家批判をするものは見つけ出されただちに処罰される、
密告と盗聴と逮捕と、非人間的な管理が当たり前だった時代、
国家に忠誠を誓っていたひとりのシュタージの職員が、
劇作家の生活を盗聴することになったことがきっかけで
変化していく。。。

(感想)
これはとてもいい映画でした!良質の、すばらしい作品だと思います。

私の映画の指南役、カルさんのところで記事を目にしていらい気になっていたのですが、
本当にすばらしい、この映画を知ったことによろこびを覚えるような、作品でした。

地味な作品ですが、アカデミー外国語賞も受賞しているそうです。

社会主義体制下の東ドイツを舞台としているため、映像も暗く、
沈うつで華やかさはぜんぜんないのですが、
人間の心理のドラマを声高にではなく、ごく静かに
えがきだしています。
ことにラストは秀逸です。

言論の自由というものが一応認められている日本では考えられないような、
監視と管理の社会体制が現実にあったのだということ、
まずそれが驚きでもありました。
わずか20数年前のことです。

じつは学生のころ、私は大学の40名ほどのグループでドイツに研修旅行にいったことがありました。
その旅行日程の中には、東ドイツ訪問、というのも含まれていて、
ノンポリで何もわからなかった私も、みんなと一緒に
その地をおとづれたのでした。

それまですごした西ドイツの賑わいとは対照的に、
東ドイツの町は、どこかさびれて活気のない、死んだ町のように感じました。
たった二日間の滞在だったのですが、
私たちの団体にも監視のために女性二人がつけられ、居心地の悪さを覚えました。

がらんとしたレストラン、大通りにも賑わいはまったくなく、
まして夜になると、寒々しい明かりがぽつんぽつんとともっているだけで。

昼間買い物をしようとしても、店はどこも行列ができていて、品不足を感じました。

そのときは知らなかったことですが、
この映画をみていまさらながらわかったのが、
人の心も冷たくて重いものに支配されていたのだなということ。

反体制分子征伐に重きをおくような国家に生きていた人たちの心の世界に
踏み入ったような思いがしました。

当時、戦後処理により東西ドイツが存在することになり、
埋められない政治体制のみぞができてしまったことくらいしか知らず、
このまま東西にひきさかれたままこの国は存在しつづけるのだろうか、などと
感じていました。

まだ子供だったので、
いまあるものがなくなる、物事はすべて変化していく、
ということがわからなかったのですね。

その数年後、ベルリンの壁がこわされ、東西ドイツが統合したことは
思いがけない驚きでした。
世の中は変化していくんだ、
激動の歴史の只中に私たちはいきているんだ、
ということをおぼろげながら感じました。

映画の中でも、
かたくなに国への忠誠をちかい、容赦なき容疑者への尋問も
気にしていなかった主人公が
盗聴という任務とはいえ、芸術家の生活を垣間見ることによって
人間らしさに目覚めていく様子が
ごくしずかに描かれていて、

人間は変化していくものだ

ちいさな部分でも影響をうけて
変わっていくものなのだと
感じました。

国家への批判を一分たりとも許さない独裁的な国家にあっては
芸術家たちは自由な精神の活動を限定され、
一般市民よりもなおさら息苦しくいきにくい状況だったことでしょう。

映画の冒頭で観劇のシーンがあるのですが、
その映画も役者も内容も、すべて国家が選んで許可したものだけ。
精神の活動を制限され、しかも見張られることになる
芸術家たちの苦しさが伝わってくるようでした。

劇の台詞で、「大きな車輪につぶされて・・」というのがあったのですが、
のちに文字通りの意味と、体制につぶされていった人びとの
魂の叫びのようなものが
ここにあらわされていたのだとわかりました。

守護天使のように見ていた者と、見られていた者とが
最後にむすびつく、すばらしいシーンには
心のそこから感動が湧き上がってくるようでした。

社会主義体制下での生活がどのようなものであったか、
これから
また知ることができる機会があればいいなと思いました。

なんどもいいますが、ほんの、20年ほど前のことだったのです。
国家保安省から監視され、友人、恋人のことを密告させ
むりやりに協力させようとする、
人間の負の精神性をあおるような社会が存在していたのだという恐怖。

私たちは、普段はなかなか気がつかないけれど、
動いている歴史の中に生きているんだなあと
感じます。

まったくの近未来フィクションの映画も面白いけれど、
こういう史実をもとにして作られたフィクション映画、
そこにこそ、学べるものは多いかもしれないと
おもったのでした。。。。


補足。

劇作家を監視、盗聴する作戦を隠語で
「ラズロ作戦」とよぶのですが、
このラズロって、
映画カサブランカでヒロインが一緒に去っていく男性、反ナチの地下活動家の名前と
かぶるのですが。。。どうなんでしょうか。

主人公ヴィスラー大尉を演じた俳優さんは、
実際に東ドイツで生活していたころ、自分の妻によってかのシュタージに内情を密告されていた、
という役柄とかぶるかのような経歴の持ち主だそうです。
それもあっての、真に迫った演技なのでしょうか。
表情を変えず、笑みももらさないのですが、みごとに
非人間的な存在を演じていました。
残念ながら胃がんのため、最近なくなったそうです。

閉じる コメント(4)

はじめまして!
心揺さぶる作品でしたね。
たくさんの人に観て欲しいと思いました。

2007/8/31(金) 午前 10:52 くるみ

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くるみさん。コメントありがとう。派手さはないけれど、いい映画でしたね。ほんと、いろんな人にみてほしいと思いました。

2007/8/31(金) 午後 3:10 poeko

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壁が崩壊する前の東ドイツに行ったことがあるなんて凄い! 貴重な体験をされましたね!!
つい先日も『飛ぶ教室』というセバスチャン・コッホも出演するドイツ映画を見たのですが、壁の崩壊後を描いた作品にも、やはり壁によって離れ離れになってしまった青年達の友情が描かれていて、ドイツ(特に旧東ドイツ)の人々のいまだに癒えない痛みを感じました。
本作はそんな貴重な壁崩壊前の東ドイツの実情が描かれていましたが、ラストのシーンは良かったですね! 名シーンのひとつとして心に残ると思います。
TBさせてくださいね。

2007/9/4(火) 午後 4:14 kim

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kimさん。東ドイツにいった当時は私は世の中の状況が変わりうるなんてことを想像できない若造でした。だから数年後の変化にはうれしい驚きをおぼえました。【グッバイレーニン】とかも見たいと思っています。いまの統一ドイツはどういう状況なんでしょうね。

2007/9/4(火) 午後 9:17 poeko

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