POETOGRAPHY

螢 映池 写真集ブログ: 謹賀新年 2012年が良い一年となりますように

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Konica Auto S3

時々こんなことがある。
深夜、ワインを飲みながらebayを覗いていると、ずっと前から心の隅でほんのりと気になっていた彼女、いや、カメラが目の前をふっと通り過ぎる。どうせ高嶺の花だとか、とんでもなく遠い所の話だと諦めながらも、追いかけてよく見ると、それがわりと近所で、まだ誰にも声をかけられていなかったりする。ずっと昔の美少女……憧れの朝倉南。どうせ自分には縁がないと思っていた彼女、いや、カメラが、そんな夜には自分の声に振り向いてくれそうな気がして、僕は叫ぶ。先の見えない暗闇に向かって、消え入りそうな自分の存在を確認するかのように、僕はキーボードを叩く。極めてebay的に、あさくらみなみをebay標準語のUSドルに変換する。

明け方、傷ついたKonica Auto S3は僕のもとにやってきた。
(Konica Auto S3、日本での名は、Konica C35 FD)
イメージ 1


1973年。
1月    ブルース・スプリングステーンが『アズベリーパークからの挨拶』でデビュー。
3月    ピンク・フロイド『狂気』発表。
      レッド・ツェッペリン『聖なる館』発表
5月    マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』発表
7月13日 クイーンが『戦慄の王女』でデビュー
10月6日 第四次中東戦争勃発。
      オイルショックでトイレットペーパーや洗剤の買い占めが起こる
11月   ウィングス『バンド・オン・ザ・ラン』発表。
      ザ・フー『四重人格』発表。

コニカという会社はカメラに愛称を付けるのが好きらしい。コニカC35シリーズは基本的に『じゃ〜に〜コニカ』初心者向けが『気楽なじゃ〜に〜』、これに内蔵ストロボのついたのが『ぴっかりコニカ』時代が進んでオートフォーカス機能がつくと『じゃすぴんコニカ』

中でも、C35シリーズの最高機種である、かつての美少女、永遠の姫である僕のAuto S3嬢は、その性能の高さを誇り『すご腕じゃ〜に〜』と呼ばれている。

シャッター速度優先EE。バルブ、1/8秒から1/500秒。距離計連動。フラッシュマチック機構。当時としては画期的な日中シンクロ機構。レンズはヘキサノン38㎜1.8。絞り羽だって一眼レフなみの六角形。当時の最先端を凝縮した、まさにコンパクトカメラの女王。

クイーン。

デビュー当時、クイーンはあまりいい評価をされなかった。フレディー・マーキュリー曰く、録音は一年前に済ませてあり、レコード会社が発表した時点ではすでに時代遅れになっていた、と言う。それで、クイーン?鵺に続きブレイクするわけだが、当時、本国で酷評されたデビューアルバムだって、今聴いてもそんなに古臭い感じを僕は受けない。当時の最先端の詰め合わせと言えば、悪く聞こえるかも知れないが、いかにもブリティッシュロックという気品を随所に見せる、若くても懐の深さを予感させる好アルバムである。

ピンク・フロイド的なプログレッシグ・ロックの色。
レッド・ツェッペリンのハードロックなグルーブ。
ザ・フーのロック・オペラの要素。
ウィングスのメドレー形式と英国的な格調あるハーモニー。
オールドフィールドのオカルトのサントラにどこか通じるステージ・パフォーマンス。

1973年にクイーンは生まれ、1991年11月24日、世界的なカリスマ・ボーカリストであるフレディー・マーキュリーはこの世を去った。

以後もクイーンは解散することなく、ブライアン・メイとロジャー・テイラーがクイーン名義で活動を続けている。

God save the Queen

傷だらけのローラ、いや、Konica Auto S3は今、僕の鞄の中でぐっすり眠っている。僕は彼女を、いや、カメラを、そっとしている。できるだけ、がさごそしないよう気をつけて、充分の休養が取れるように案じている。それがかつての女王に対する、最低限の礼儀だと僕は思っている。もちろん、来たるべき時には写真を撮ってもらう。それまで、僕はじっと想像している。僕は傷口にそっと触れる。気づかれないよう、傷口にほんの軽くキスをする。そして、かつての美しかった姿を想い出そうとしている。

時々こんなことがある。

じゃ〜に〜。

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1973年って,こうして見るとスゴイ年だったんですねぇ。ピンボールだけで語るべきじゃないですね。

2009/5/18(月) 午後 6:42 NONAJUN

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nonajunさん。お久しぶりです。なるほど、村上春樹のことを忘れていました。『1973年のピンボール』現時点での、村上春樹のラインナップでは見過ごされがちな初期の短い小説です。でもここにはその後に続く小説の素がたくさん見られますね。『風の歌を聴け』でデビューした村上春樹が、小説家としてその後生きていけるかどうかを賭けて、いけると確信した作品のように思えます。とても好きな小説です。

2009/5/19(火) 午後 2:33 poe*o*ra*hy35



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