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昼間 抑えていた不安が 夜になると広がっていく ちょうど暗闇が辺りを 少しずつ支配していくように 恐怖が 小さな やわらかな心に ぽつぽつと降りはじめ やがて あふれて 彼女は 押し流されそうになる できるだけ 自然を装い 窓の向こうの 空を見上げる 悲惨なニュースが流れると 下を向いて 耳をふさぐ 僕は そんな彼女を なすこともなく 見つめている それはこの世界で僕に 断言できることが何もないからだ 正しく 強く 恐れは脈打ち 生きている 犬が吠え 魚が跳ね 鳥が激しく羽ばたくように 私が眠るまで 起きて 何かを していて欲しいの うるさくも静かでもなく ごく日常的なこと その音 その音を聞きながら 彼女はようやく眠りにつく ずっと遠くで 誰かが誰かに話しかける 声がする 家の中の 電球を一つだけ灯して 僕は待っている 扉の錠を開くように 僕はゆっくりと ダイアルを回す |
Absence
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