|
PENTAX PC35 AF どこか具合の悪い僕のオートロンである。どこが悪いのかわからない。悪くないときもある。ネガを横にして見た時、いくつかのフレームで、左から3分の1辺りで露出が変わっている。そこを境目にはっきりと露出が一段、もしくはそれ以上異なっている。横位置の風景ならさほど目立たないが、縦位置のポートレートなんかだと、眉毛の上と下できっちり線を引いたように露出がズレている。まあ、これはちょっと笑える。でも、幕切れというようなシャッター幕など、このカメラにないのに、どうしてこうなるの? 誰かわかる人いますか? 1982年発売。 ニックネームは先述した通り『オートロン』。もちろん僕がつけたわけでなく、ペンタックスがこんな愛称を付けて世に送り出した。これは初代だから、初代ウルトラマン、じゃなくて初代オートロン。同じ年にキヤノンが発売した完全自動化カメラの最初の名前がキヤノン・スナッピイ50。はい、オートロン対スナッピイ。どっちが勝つのか、ゴジラ対ガメラ。 いつものように、ロック史とともに見る1982年… なんだけど、この年は月日のはっきりしていないものが多い。ごめんね。 4月 1日 500円硬貨発行 5月 ロキシー・ミュージック『アヴァロン』発表 ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』発表 9月 ザ・フー解散 イーグルス解散 ドゥービー・ブラザーズ解散 10月 1日 ソニーが世界初のCDプレーヤーを発売 10月 4日 『笑っていいとも』放送開始 NECがPC9801を発売 12月 1日 マイケル・ジャクソン『スリラー』発表 この年は大物バンドの解散が続き、ロックとは言い切れないようなポップスが主流となった。カルチャー・クラブのデビュー。TOTO IV 『聖なる剣』のグラミー6部門。クインシー・ジョーンズ、それに故マイケル・ジャクソン。 初代オートロンには4つの特徴がある。 1:コンパクト、2:オートフォーカス、3:オートストロボ、4:ワンタッチオープン。それで、広告のキャッチフレーズが『カタテ、カンタン、キモチイイ』いやいや、どうも、キモチイイってのがねえ…片手でナニをしてるのを見られたようで、恥ずかしいんだけどさーって。この広告の写真がまた凄いんだよ。 体操選手のような体格をした若いブロンドの白人男性が、白のパンツ一丁でオートロンのシャッターに指を掛け、片手腕立て伏せをしている写真。 カタテ、カンタン、キモチイイ ということで、1982年のキーワードはカタテ(片手)。 ポケットからひょいとだせる500円玉もそうだけど、CD(コンパクトディスク)はそれ以前の音楽の方向(時間の流れ)をがらっと変えてしまった。それまでのレコード時代、僕達はレコード屋でLPレコードを買って、家で聴くだけではもの足らず、外にカセットとして持ち出せるように46分か54分のカセットテープを買って、A面からスプレーをかけて埃を拭って、ターンテーブルにうやうやしく載せて、耳を澄ませ、心を鎮めてゆっくりと、針を回転するレコードの溝の上にのせるのが儀式であったのだ。 なのにCDプレーヤーは、ワンタッチでトレーがオープンし、オートローディング、片手でカンタンに、聴くところまでこなすことができる。それにA面もB面もなく74分まで一気に鑑賞できる。まさに、エッチ、スケッチ、ワンタッチなのだ。 この頃、正直言って僕はCDに反対だった。いずれレコードの時代に戻るなんて本当に信じていた。こんなものを今までのミュージシャンが許すだろうか。LPレコードは短編小説のように時間に沿って流れるもので、尊敬するミュージシャンに対しては決して飛ばしてはならず、そのストーリーを順番に追っていくのが正しい聞き方なのだ。『ベガーズ・バンケット』のB面はストリート・ファイティングマンから始まらなければならないし、『ジョンの魂』のA面の最後の曲は孤独(アイソレーション)でなければならない。だが、テクノロジーの進歩とレコード会社はいつでも殊勝なミュージシャン達よりずっと強い。今どき音楽は曲ごとのダウンロードだもの。レコード大賞なんて言葉も死後。その場だけ、ぱあっと売れりゃあいいんだよって、なんやと、コラ、アホかおまえら。 怒っていても、僕は話を戻す。 僕は以前の記事で、マイケル・ジャクソンはロックではないと書いた。その考えは基本的に今も同じだ。これは僕の性格のねじれかもしれない。黒人音楽に関して、僕はロックだと思っている。オーティス・レディングだってジョン・リー・フッカーだって僕はロックの歴史を支えてきた人達だと思い慕っている。彼らはリアルだ。そういう意味では、レゲエのボブ・マーリィーだって、ジョー・ストラマーみたいにロックである。言わばここに一つの指針がある。ロック=ライフ。音は人間が弾くもの。だからそれがショーであればあるほどロックから遠ざかってしまう。 ならMJはどうか。 今になって、彼の死後にこんなことを言うと、とても後ろめたい気がするが、彼が死んでいろいろなことで取り上げられるたびに、想い出したり気づいたりしたことがたくさんあった。それを一つ一つ書くのはとても時間がかかるし難しい。ただ、二点だけこの場で取り上げるなら、一つは僕がバイブルのようにしている一冊の本がある。それは僕が高校生の頃、親友がくれたもので、ロックの名盤がアーティストごとにコメント付きで書かれている。僕は本当にこの本から多くを学んだ。そして、ここにはマイケル・ジャクソンの欄が堂々とある。編集長は知る人ぞ知る鳥井賀句氏。 もう一つは彼の書いた『ビリー・ジーン』がまぎれもない名曲であるということ。これは『スリラー』のB面の2曲め。A面は主題曲でもある『スリラー』で終り、B面はロックギターのノリのいい『ビート・イット』で始まる。もちろんこの構成は正しい。それにして見事なのはこの後に続くのが『ビリー・ジーン』だということだ。B面の2曲めはアルバムの重要な位置を占めることが多い。例を挙げれば『ジョンの魂』のラヴ、『イマジン』のオー・マイ・ラヴ、『アビイ・ロード』のビコーズ。 以上を持って、マイケルをこの度晴れてロックの仲間に入れようと思う。 おのおのがた、異存はあるまいな? ちなみに皆さんの記憶にもあると思いますが、マイケルはその頃から片手(カタテ)にだけ白いピカピカの手袋をはめるようになりました。いろいろと憶測はあるものの、なぜなのかは今でも不明です。もちろんどこか具合の悪い僕のオートロンとマイケルの関係も。 ちなみに『ビリー・ジーン』は今やロックのカリスマとなりつつあるクリス・コーネルもカバーしています。このバージョンがまた素晴らしい。一度聴いてみる価値あり。 オートロン。ヤフーで検索すると、必ず『オートローン』ではありませんか?とでてきますが、なかなかシャープに写ります。35mm F2.8。小さなレンズですが5群5枚。ペンタックス特有の紫のコーティングが本当に美しい、今となっては安いカメラです。カタテ、カンタン、キモチイイ、はわかりますが、あの広告はどうなんでしょう。状況を説明するのに片手腕立て伏せ? 僕にはカメラの凄さより、片手で腕立てをしながら写真を撮るお兄さんの方が凄く思えたりします。 ふーっ。今回もやっと、終わった……長くなりました……
ありがとう。 |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2009年09月14日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]






