POETOGRAPHY

螢 映池 写真集ブログ: 謹賀新年 2012年が良い一年となりますように

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GM PLACE

五輪の書 【風の巻】

GMプレース、並びに、ロブソン・スクエア。

宮本武蔵の五輪書【風の巻】は(まだ未読である)、他の流派について書かれているらしい。昔風とか、今風とか、それぞれの家風などのことで、ここで言う『風』というのは、気圧の合間を吹き荒れる気流ではなく、言ってみれば、広島風(ひろしまふう)のお好み焼き。バンクーバーで広島風お好み焼きを見かけたことはまだないが、日本風のホットドッグならある。その中でも、今一番人気なのがマオドッグ。もちろん浅田真央選手を応援する意味で作られたそうである。

では、カナダ風とはどういったものか。閉会式を観られた方はお解りかと思うが、はっきり言って何もない。だから大自然を見せて、どうだと言うしかなく、これではカナダ人の自慢にはなり得ない。なぜなら、本来カナダ人とは移民の寄せ集めであるからだ。でも一つだけこの国民の愛国心になり得るものがある。

アイスホッケー

この氷上のスポーツはカナダで生まれた。それ以前にも陸上でスティックを用い、ボールをゴールに入れる遊びはあったようだが、これを氷の上でスケートを履いて行い、新しくルールを制定して新聞に発表し、モントリオールで大会を開いたのがアイスホッケーの起源とされている。だからホッケー(カナダ人はわざわざアイスを言わない)はカナダの誇る国技であり、寄せ集めのカナダ人をまとめるアイデンティティーとして広く信仰されている。

暗雲立ちこめる、ゼネラル・モーターズ・プレース(略してGMプレース)

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1995年、今までバンクーバーホッケーの聖地であったパシフィック・コロシアム(今回のフィギアスケートの会場)を引き継ぐ形で、NHLのバンクーバー・カナックスと、当時あったNBAのバンクーバー・グリズリーズ(もうありません)の本拠地として建てられた。もちろん今回GMはスポンサーにならず(なれず)、看板を五輪の幕で隠され、大会中はカナダ・ホッケー・プレースと改称されて使われている。日本風に言うと、両国国技館。

で、今回もう一点の写真の場所が、ダウンタウンの心臓部、最も人が集まるロブソン・スクエアである。

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僕はこのところ週に一度ここに来ているが、未だかつてバンクーバーでこれだけの人間の集まりを見たことがない。どこに行ってもラインアップ。僕みたいに待つのが嫌な奴はどこにも入れず、ただせかせかとひたすら歩き回るしかない。まあ、これも性に合っている。カナダ人はのんびりしているから(ヒマだから)わりと平気でニコニコしている。僕だってしかめ面をしてメンチ切りながら歩いているわけではないけれど、そうニコニコもしていられず、首からペンタックスの645、右肩にニコン・クールピックス5700、左肩にニコンF801を掛け、被写体を探して歩いている。そうするといろんな人から声をかけられる。それだけカメラがあれば十分か?とか、何だそのでかいのは?(ペンタックス645)とか、そんな時、たずねてきたマスコミ系の兄ちゃんとかに、こいつは20年前のペンタックスだと答えると気が清々したりする。妙に感心されたり、意気投合したりする。ちなみに、この格好は『地獄の黙示録』のデニス・ホッパーを参考にしている。もっとがちゃがちゃぶら下げた方がいいのかもしれないけれど、このような姿で僕がカメラを構えていると被写体が何であれ、わりと周囲が遠慮してくれる。怖いのか? まさかそんな? きっとみんな『地獄の黙示録』のデニス・ホッパーが好きなのさ。

余談が過ぎた。

この文章を書いているのは3月1日。閉会式の一日後である。本当は昨日書きたかったけれど書けなかった。(仕事から帰って、閉会式の録画を見ていた為……当たり前のことだけど、カナダかアメリカの放送局の映像しか見られないため、日本選手はほとんど映らなかった)

前述した通り、カナダには大自然とホッケー以外何もない。

だから、あんな閉会式になった。

きっと、他の国の人達、特に年配の人達には、面白くも何ともなかったはずだ。先ずは開会式の失敗をネタにした自虐的なギャグから始まり、始めから最後まで内輪ネタのようなカナダ人しか解らない笑いしか取れなかった。本当に世界を楽しませたいのか? その後の、中途半端なライブ・コンサート。我が師、ニール・ヤングをあそこで見られたのは嬉しかったけれど、他のミュージシャンの選曲がどれも悪い。しかもロビー・ロバートソンがいない。Tragically Hip もOur Lady Peaceも、世界では最も有名なはずのセリーヌ・ディオン(個人的にはどっちでもよかったが)も出ず。で、突然終わり。

責任者出てこい。

もちろんこれは14年前に大阪から移民した一人の日本男子の意見である。

生粋と思い込んでいるカナダ人達は大いに楽しんだと思う。そしてきっとカナダ人達は、他国の人達も楽しんだと疑わない。知らぬが仏。カナダ最高。これがカナダ風。この楽観、ポジティブな感情が一体どこから来るのか。このいじらしいカナダ人へそれを書くのは酷すぎる。

話を元に戻そう。

閉会式の前に男子ホッケーの決勝があったのをみなさんは覚えておられるであろうか?決勝戦はアメリカ対カナダであった。これは、野球やサッカーでの日韓戦に相当する。だから、わりと負けたりする(日本がカナダとして)。僕も何となく負けそうに思っていたのだけれど、カナダは勝った。しかも、22歳にしてすでにカナダの英雄であるシドニー・クロスビーが決めた。この瞬間はすでに伝説になった。

開催国の追い風と言うのはあるのだろう。

政府は暴走を危惧し、午後2時に酒屋を閉店させた。恥ずかしながらカナダ風。

僕は小雨降る暖冬のロブソン・スクエアに咲く2月28日の桜を眺めている。ホッケーで金メダル(男女とも)が穫れたことで、バンクーバーオリンピックの筋書きは、最高の終わり方になった。カナダ人唯一のプライドは損なわれることなく、愛国心は絶頂に達した。狂い咲きとはこのことか。14年も住んでいると、愛国心ではないけれど、腐れ縁的な愛着を覚えるものだ。よかったよかった。そして、つい、ぼやきたくもなる。

あの、ビーバーはやめとけよ……って。

馬鹿者! 責任者出てこい。

ロブソン・スクエアにあるアートギャラリー前の桜。(2010年2月25日撮影)
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