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思わず立ち上がりながら、少年は「そうか、海は海だってことか」と呟いた。そうしたら急に笑い出したくなった。「そうさ、これは海なんだよ、海という名前のものじゃなくて海なんだ」もし友人がかたわらにいたら、こんな独白は一笑に付せられただろう。頭の隅でちらとそんなことを考えながら、少年はふたたび呟いた。「ぼくはぼくだ。ぼくはいるんだ、ここに」そうして今度は、泣き出したくなった
『コカコーラ・レッスン』
谷川俊太郎
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poetography
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レモネードの作り方 ’ 自分の手で触れて 気に入ったレモンを選びます つんとした両先を左右に置き 断面が花の形になるよう 真ん中から半分に切ります 準備が整えば軽く目を閉じ レモンから レモン汁を絞り出します あっと声が漏れ 息が一瞬止まりそうなほど 冷たい清涼水を注ぎます 太陽の光に透かせると キラキラ光る白い砂糖を入れ 渦巻きがグラスの底に届くまで 慎重にリズムをとりながら すべてを混ぜ合わせます |
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卵を焼くとなぜかとてもいい匂いがする そんなこと考えたことあっただろうか? |
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終わった所から始めた旅に 終りはない 墓の中の誕生のことを語らねばならぬ 何故に人間はかく在らねばならぬのか? 『終りし道の標べに』 安部公房 |
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雨の中で車を止めて 時が過ぎていくのを待つ 外の景色が濡れて 歪んで流れていくのを見る ラジオから初めて 想い出せないメロディーを聴く |


